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生長の家政治連合と「今の教え」を考える

502トキ:2011/09/30(金) 19:40:44 ID:wTFlIQZo
以下、同書の206ページからです。

天下統一後、鎖国を行った日本には、完全な閉鎖系でどのようにして文明を持続させ
るか、という課題が残されました。ジャレッド・ダイアモンドはイースター島の環境破
産、グリーンランド植民の失敗、ルワンダの人口爆発、マヤ文明の崩壊などの事例を検
討し、閉鎖系環境が崩壊に至る主要因をいくつか指摘していますが、長期の内紛と戦乱、
森林伐採と土壌荒廃、極端な経済格差、、過剰人口などに加えて、長期の環境対策を立て
実行する能力のなさを奉げています。幸い、江戸時代の日本には、これらの環
境崩壊要因の増大を抑止する政治・社会的さらに倫理意識的条件がありました。
 閉鎖系環境維持の例として森林保護を挙げると、戦国から江戸初期にかけて、伐採と
土地開発による森林破壊がはなはだしかったといわれます。森林事業は、数十年単位の
計画を必要とし、戦乱が続く時代には成り立ちません。
 天下が統一されると、焼き払われた都市の再建、大規模建造物の造営、築城が一方で
は進み、莫大な量の木材が必要でした。また江戸初期には食糧生産のための土地開発が
進み、これも森林地の減少を促進させました。一七世紀半ばの明暦の大火は、木材資源
の払底を印象付けたでしょう。幕府は一六六六年「諸国山川掟」を出して開発を禁止し
ましたが、その際の森林管理は徹底したもので、森の樹木を一本一本同定し、良木か不
良木か、何年後に利用すべきかなどすぺて記録し、盗伐には「木一本、首一つ」といわ
れるほどの厳しさで臨んだといいます。
 掟そのものも厳しいですが、それを几帳面に、まじめに守る性格を民衆が持っていな
けれぼ、法の執行は効果的ではありません。「几帳面」「素直」「まじめ」などの「ひき
こもり」が持つ性格特性は、このような状況で有利です(現在、伐採が禁じられている
アマゾンの熱帯樹林では、一年間に四国分ほどの面積が盗伐で消失しています)。また

管理に当たる森林奉行職は世襲され、世代を超えた森林保護が幕末まで続けられました。
ここには、明らかに子々孫々という後代へのつながりが意識され、このような努力の結
果、森は再生し、都市の周辺には燃料とする人工林も整備された自給自足の循環型社会
が維持されていたのです。
 資源の循環という視点からいうと、狭い閉鎖系の食糧生産には生産性の向上と、さら
に徹底した資源の再利用が必要です。米生産にはリンやチッソの成分が制限因子になり
ますが、江戸時代には人間や動物の廃尿、落ち葉などが肥料として活用されていたこと
はよく知られています。江戸という大都市で生産される下肥(人間の排泄物)は、近郊
農村のもっとも重要な肥料であり、化学肥料換算で年に五万トンに上ったといいます
 石川英輔氏によれば「農作物のメーカーは肥料の消費者で、農作物の消費者は同時に
肥料のメーカーという、現在ではちょっと考えにくいような関係だったが、消費がすな
わち生産で、生産がすなわち消費という持ちつ持たれつの関係にあり、見事なリサイク
ルの環ができ上がっていた」。下肥はそれなりの価格で農家により引き取られて
いました。つまりきわめて効率よい生産が行われており、その効率とは、完全な閉鎖系
で、当時の技術水準が許すかぎりの資源再利用率についての観念です。この生産者ー消
費者−生産者の循環にも、勤勉、正直、まじめといった性格的要素が働いています。


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