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生長の家政治連合と「今の教え」を考える

1160金木犀:2012/06/21(木) 11:47:09 ID:vaQBf3X6
 日本の歴史において、皇室が最も困窮された時代は室町時代である。この時代の天皇は、室町幕府によって擁立された北朝であることから、歴史の上では影が薄く、恰も室町幕府の傀儡のように見られがちである。また実際、室町の将軍は天 皇を蔑ろにすることも甚だしかった。ところが、この北朝の何の権力もない天皇が民を思われる心には、胸を打たれずにおれないような話が多い。

南北朝統一を果たした三代将軍足利義満は、南朝をだまして神器を取り上げた人物だが、それを独断で行い北朝の天皇にも 話してさえいなかったというほどだが、この義満が急死すると将軍家は急速に衰えてゆき、後土御門(ごつちみかど)天皇の時代に応仁の乱がおこった。後土御 門天皇は将軍義尚(よしひさ)に御製(天皇の和歌)を送られて、お諭しになられた。

君すめば人の心のまがりをもさこそはすぐに治めなすらめ
   (あなたの心が澄んだなら人の心の曲がりもなおり、そうなれば治世もうまくゆくでしょう。)

天皇の御製はほかにも次のようなものがある。

にごりゆく世を思ふにも五十鈴川すまばと神をなほたのむかな

みどりごの乳房のみかは まつりごと甘きに民もはぐくまるらむ

一 首目は政治的に実権のない天皇がそれでも民のことを思われ悩まれて、ひたすら神に祈られる御様子がわかる。二首目は、赤ちゃんが母親の乳房を吸ってはぐく まれるように、為政者の愛情が民を育むのである、という意味で、やはり将軍に送られた歌ではないかと思う。為政者を母親にたとえられるところが、いかにも 日本の天皇である。
さらに次のような御製がある。

まつりごとその古(いにしえ)にのこりなく たちこそかへれ百敷のうち

百 敷というのは内裏すなわち御所のことで、当時天皇は戦火を逃れて将軍邸の行在所(仮宮)におられた。財政難のために、新嘗祭をはじめとして、主だった祭祀 が出来なくなっていた。天皇は祭祀をすべて残りなく昔の姿に戻したいという熱烈な御希望をもっておられ、そのお心を詠まれたものである。
祭祀を行うことが出来なくなっても、いつか祭祀を復活させようというお心は強く、そのため天皇は後の世のために、内侍所御神楽の作法を記した「御神楽記」、神膳の次第故実を明らめた「御神膳次第」を残されている。

この後土御門天皇が崩御されたとき、財政難はいよいよ極まって、御大葬を営む費用すらなく、御遺体は40日 余りも放置されたのである。次の天皇は後柏原天皇で、即位礼を挙行する費用もなかった。天皇は幕府に費用の調達をお命じになったが、時の管領細川政元はそ んな天皇に「即位礼など行う必要はありません。そんな儀式を挙げたとしても、実権のない天皇など、誰も天皇とは思いませんよ。」と、何とも失礼なことを 行って、費用を出さなかった。如何に幕府が天皇を軽んじていたかがわかる。

 そのため後柏原天皇の即位礼は、何と御在位21年 目にして本願寺の献金によってやっと挙げることが出来た。後柏原天皇は後土御門天皇と同じく、祭祀を後世に伝えるために、「四方拝次第」を残されている。 ちなみに次の後奈良天皇は「後奈良天皇宸翰御記」を残された。後者は今は伝わっていないが、公事に関することどもを書き記したものであったらしい。

こ の時代の内大臣三条実隆はご即位の費用献上を諸家に説いた人で、好学の朝臣である。この人の日記に、次のようなことが書かれている。先の南北朝の時代に左 大臣兼太政大臣であった洞院公賢(とういんきんかた)の日記「園太歴」を、その所持者中院内大臣が家門困窮のために手放そうとしたそうであるが、幸いに実 隆公の斡旋で、御所に納められることとなった。

洞院公賢は有職故実に明るく、学識経験もあり、その日記「園太歴」は南北朝当時の人の動きを知る上で、貴重 な資料となっている。後柏原天皇は八貫という当時の大金を内大臣に賜わったという。その時の御柏原天皇は践祚4年目でまだ即位礼も挙げられぬ財政難の時である。それでも朝廷の故実を明らめんが為に、大金を投じて太政大臣の日記をもとめられたというのである。この八貫という大金を工面されるために、さぞやご苦労があったことであろうと思うと、胸の痛む話である。

こ の室町時代の天皇の方々が、祭祀を行う費用もない時代に、皇室の伝統を守り、後世に伝えようとされる御努力は涙ぐましいものがある。祭祀や故実を大切に思 われる心があったればこそ、古来よりの神事、そして皇室の歴史伝統は、現代の御皇室に、今上天皇まで受け継がれてきたのである。御皇室に伝統が受け継がれ ているのは、歴代天皇の並々ならぬ意志と努力の結果なのである。


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