アインシュタインの“神話”
相対性理論で有名なアルベルト・アインシュタイン博士(1879-1955)が日本の天皇制を絶賛したという話を聞いたことがある人は多いと思うが、そういう事実はなかった可能性が大きいとする記事が、6月6日の『朝日新聞』夕刊に載った。東京大学の中澤英雄教授(ドイツ文学)がその讃辞の出典を調べた結果、どこにも確かなものがなく、その代わりに、よく似た趣旨の言葉が、ローレンツ・フォン・シュタイン(Lorenz von Stein, 1815-1890)という全く別のドイツ人法学者の発言として、戦前に発行された田中智学(1861-1939)という宗教家の本の中に記されているのが分かったという。そこで中澤教授は、問題の発言をさらにシュタインの講義録などで確認しようとしたが、該当するものはなかったという。