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【資料】神秘主義の系譜【探索】

17名無しさん:2013/07/20(土) 04:22:55
ゾロアスター教
ゾロアスターきょう Zoroastrianism

ゾロアスター Zoroaster がイラン北東部で創唱した宗教。その主神アフラ・マズダの名を採って〈マズダ教〉,またその聖火を護持する儀礼の特質によって〈拝火教〉ともよばれる。中国においては,松(けん)教の名で知られた。ゾロアスターの活躍時期については,前2千年紀中ごろから前7〜前6世紀にわたる諸説があり,なお定説が得られない。アラブによるイラン征服(7世紀前半)までイランの国教の地位を占めていた。その聖典はアベスターと呼ばれる。聖典の言語,アベスター語では,ゾロアスターはザラスシュトラ Zarathushtraに近い音であったと推定される。その聖職者階級をマグ Magu(中世語形でモウベド Mowbed)と称した(マギ)。
 ゾロアスター教は歴史的に以下の3段階に分かれる。(1)アベスター中のガーサーに見られる創唱者自身の教説,(2)アベスターの残余の部分に出るインド・イラン共通時代の神々の復活した段階,(3)中世ペルシア語(パフラビー語)文献に記述されている教義。第1段階の教説は,ゾロアスターによれば,世界は相反する根元的な2霊,スパンタ・マンユ Spトnta Mainyu(聖霊)とアンラ・マンユAngra Mainyu(破壊霊)の闘争の中にあり,各人は自由意志でその両霊のいずれかを選択し,善と悪,光明と暗黒の戦いに身を投じるとされる。その教義は強い終末論的色彩をもち,ユダヤ教への影響が論じられてきた。この戦いにおいて最高神アフラ・マズダと信徒を助けるものに,創唱者の死後アムシャ・スパンタ Amトsha Spトnta(聖なる不死者)と呼ばれることになる6神格がある。この6神格は物質世界にそれぞれ,火,水,大地などの特定の庇護物を有している。信徒は特にこの3要素を汚すことを避け,拝火教の通称が示すように独特の祭祀形式や,鳥葬・風葬のためのダフメdakhme(沈黙の塔)を発達させた。ゾロアスターの教説は,当時の多神教をアフラ・マズダを最高神とする倫理的一神教に統合しようとするものであった。これに反して,ゾロアスターの死後の第2段階では,アベスターのヤシュト書に見られるように,インド・イラン共通時代の神々(ミスラ,アナーヒターなど)がゾロアスター教のパンテオン中に復活した。第3段階のササン朝期の二元論的教義では,アフラ・マズダ(中世語形でオフルマズドOhrmazd)はスパンタ・マンユと同一視され,直接アフリマン Ahriman(アンラ・マンユの中世語形)と対立することになった。この結果,両者をともに超越する根本原理として,ズルバーン Zurv´n(時)を定立する,いわゆるズルバーン教が勢力を得た。
 シーア派の第4代イマーム,アリーはササン朝最後の王ヤズダギルドの娘から生まれたとする口承が流布し,多くのゾロアスター教徒がシーア派イスラムを受容する因となり,イランのイスラム化がすすんだ。他方,10世紀以降ゾロアスター教徒のインドへの移住が行われた結果,現在ボンベイを中心にインドにパールシー教徒とよばれる約8万人のゾロアスター教徒がいる。また,イランにはヤズド,ケルマーンを中心に約2万5000人,さらにパキスタンに約5000人の教徒が数えられる。インドにおいては,ターター財閥が示すように,教徒は活発な経済活動を展開している。
 なお,ニーチェの《ツァラトゥストラ》の主人公ツァラトゥストラはゾロアスターのドイツ語読みである。
                        上岡 弘二

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