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倉工ファン

181名無しさん:2018/07/07(土) 10:30:16
「 甲子園の詩  ( 阿久悠 ) 」

1982年8月8日  一回戦  「 完全という言葉 」


完全という言葉ほど 融通のきかないものはない  99.9に対する0.1でも 不完全にしてしまう

思えば完全というのは 人間臭くない言葉ですね  人の思いというのは もう少し寛容でやさしいものですから

ほとんど完全というものも 認めるものです それにしても 記録というものは 不思議な裏切りをするものですね


九回二死まで完全で あと一人で大記録という次の瞬間 女神が目をそらしたのでしょう 

女神自身が 緊張に耐えられなくなったのでしょう ストライク  ボール  ボール そして その日きみが投げた94球目 

女神のよそ見の間に ボールは代打者の躰をかすり  完全という言葉は一瞬に消えました

 
佐賀商業 新谷投手 その瞬間のきみの顔が 実に晴れやかにほころんだことが 印象的でした

おそらく 息をつめてみつめつづけた人々も 同じ笑みを浮かべたことでしょう それほど 完全という言葉は窮屈なものです


ぼくは その後乱れを見せずに投げたきみを 94球までのきみよりも その後の4球を高く評価します

ノーヒット・ノーラン 史上21回目 微笑むことを知り しかも 揺らがない少年に会えて 今日は幸福でした



高校野球での記録というものは、興奮すると同時に、少々気持に痛みも感じるものである。
早さ、高さ、遠さを競うものと違って、必ず相手の失意が成立条件になっているという野球の性質上、
こんな思いをするのであろう。

佐賀商、新谷投手の完全試合未達成を喜ぶわけでは決してないが、力と力の対決の結果でなく記録をこわしたことを考えると、
神の、考えに考えたあげくの結果としか思えないのだ。
堂々たるノーヒット・ノーランを、あと一人の失敗の結果と見ないで、拍手を送りたい。




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