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長距離走者の孤独

68よしりん# ◆AcVyotaJPw:2018/04/15(日) 23:20:33
「焼鳥屋」

ノブが4年生で、もうすぐ夏休みになる手前…、

1学期も終りが近づいた7月の土曜日の夕暮れを迎えた時の話である。

午前中だけの半日授業を終えて帰宅するなり、
いつものように仲良しのフミトくんと、その他二人くらいで、
いろんな遊びをして楽しんだ子ども達も夕暮れを迎える頃には、お腹も減ったし、
何よりもお母さんに叱られるから、一斉に家に帰った。

「今日の晩御飯は何かな?カレーライスだといいな〜」…などと考えながらノブは帰宅した。

「ただいまー」ノブが帰宅すると母が台所で何やら晩飯を作っていた。

匂いからして焼き魚だった。
「なんだ魚かよ、つまんねーの」…ノブは以前、魚の骨を喉につまらせ痛い思いをしてから魚嫌いになっていた。

そこに思いもよらない親父の救いの声がかかった。

テーブルの椅子に座り、お茶をすすっていた親父は、ノブの帰りを待っていたかのように、

「おう、帰ってきたか!今から焼き鳥屋に行くぞ!」

「えっ!?」…ノブと同じく母親も驚き、
「ちょっと〜そんな話、聞いていませんよ。今、晩御飯作っているのに〜」…と不服そうに母は文句したが、

ノブは…と言うと「うん、行く!」…と2つ返事。

焼き鳥屋など1度も行ったことのないノブである。

また親父と二人きりで外食したことなんてなかったから楽しみであった。

この頃の親父は、以前のように外で飲んで帰ってきて酔っぱらって家で暴れる行為は無くなっていた。

酒は相変わらず飲んでいたが、家で大人しく飲んで飲むと、すぐに寝ていたのだ。

大人しくなった親父に抵抗感がなくなったノブにとって、
二人っきりで夜の焼き鳥屋に繰り出す行為は、
なんだかちょっとした冒険のような感じでワクワクして楽しみだった。

「ねえ、お父さん焼き鳥さんって何処にあるの?」
既に出掛けて焼き鳥に向かい歩いていたノブが問いかける。

「築地口の交差点のパチンコ屋の裏の路地にあるところだ。」
少し微笑みながら優しく語りかけた。

「そっか、じゃあ歩いて10分もかからないくらいだね」…ノブは嬉しそうに返事をした。

こんな他愛もない何気無い会話にノブは、一時の幸せを感じた。

“あんなに暴れて怖かったお父さんが優しくなってくれた"…

普通の家庭では普通のことだがノブにとっては、この上無い喜びであった。

焼き鳥屋に着くまで、ノブは学校であった出来事やフミトくんのことを親父に話し親父は、優しくうなずき共に笑いながら会話した。

ノブは、焼き鳥よりも親父と手を繋ぎながら笑いながら歩く現状が嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。

程なくして焼き鳥屋に到着した。


今日は、ここまで。
つづく………



 (・Θ・)
=(ο┳ο
.◎ー┻◎
爆笑またなーーコマネチ


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