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スタッカート!
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COM COP2/優しいトムくん
1で読者の心を打っただろう幽霊課刑事コムの優しさ。
そこに二つの試練が降りかかる。
息子トムくんの反発
「全然オヤジらしくないその性格だ!!
だいたいオレはすぐチャブ台をひっくり返すような男気のある父親が良かったんだ」
もう一つ、優しさだけでは解決できそうもないシリアスな人斬りもありうるシチュエーション。
この二つがずばりと作中で解決する。
だから少年漫画としてのカタストロフはちゃんとある。
にもかかわらず、優しさではどうしようもなかった、もう一つの隠された事件。
母親へのカーリーの事件が、ふかいふかい悲しみとして横たわっている。
その最も悲しい部分を、トムくんはあまり考えないで、それでも核心を突く質問を投げてしまう。
「なあ、父ちゃん
母ちゃんの時はどうしようもなかったんだろ?
母ちゃんは体が弱ってたの。病気か?」
答えは。
「――父ちゃんは何も言わずに オレの手をつないで歩き始めた。
だけど……オレには何となくわかってしまった。
ああ、そうか、オレを産んだからだ」
コムは何も言わない。それは何も言えないのだろう。君のせいで妻が死んだ、なんて幼な子にはあまりにも悲しすぎて重い。
でも同時に彼の優しさは、それを受け流すとか、ごまかすことも許さない。だから無言で手をつなぐ。
だけど、コムはだからこそわかってしまう。
そのわかるには相手のことを思いやるイマジネーションに支えられた気持ち、
第一話冒頭の「お母さんの気持ちわかるよ」と言えるトムの優しさに通じるものがある。
理解に支えられたやさしさをまた、トムも持っている。
と同時に読者はそこに救いを感じはしないか。母の喪失の中で、コムの想いはちゃんと二人の間の息子に育まれている。
その優しさのメロディ。
続くコムの質問には、「君が居るからかな」と応える。そこで物語は閉じられていく。
個人的に、ここで良くなったと思うのは今までの作にはどうしても男女の甘酸っぱい恋愛を過剰にクローズアップするというか、
強調し過ぎてオチに繋げる傾向があったのが、上手く親子愛として自然とまとまっているところ。
コムの妻への愛の気持ちも読者には明かし過ぎないで、それとなく余韻に上品に含ませているところ。
またこの2は、1話目をより引き立たせる、理想的な続編になっていることにも注目したい。
「悲しい気持ちがやわらぐ時は……きっと遠くから誰かがぼく達を想ってるんだ。
元気になれって…… だから元気になれる」
このメッセージは第二話の主人公コム自身の悲しみ、そしてそれを元気にしてくれる誰か、トム君がいるという、
そこを知るとに俄然、服雑味と実感のあるセリフとして伝わってくる。
ちゃんと一話目を引き継いで物語を展開している。
だが、同時に時を飛び越し過ぎているし、見せ場を惜しみなく語っているため、週間連載への幽霊刑事課ドタバタ話の道を犠牲にして開いた。
そういう美しい物語だろう。
あとがきで構想をふれた「コムコップ3」はジャンプで読み切りとして掲載され、それこそ幻の作品となってしまったが、
気を付けたいのはこの作品には原作者がついている、
それがこの世界観を築き上げて大切に紡いだこの作者にとって、いかに厳しい事だったか、
よそ様がうわべの設定を借りて、仕立て上げるにはあまりにも丹念なハンドメイなド作だったのか、
を考えると無理をしてまで見たいと思わない。
そういう原作者付きという判断をしたジャンプは、やっぱり岩泉には合わなかったんだろう。
これだけの作者だから読み切りにせよ、連載にせよ、
他紙で人知れず別のペンネームを使って活躍した、活躍していることを願って、彼女の想いが叶っていること願って、ここに所感を終える。
COM COP2/優しいトムくん 了
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