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おもらし千夜一夜4

617事例15「黒蜜 真弓」とコーヒー班。9:2018/09/29(土) 23:32:15
「ん、メイドアンド男装執事喫茶? ……これ、メイド服、綾菜も着るの?」

コーヒー券に書かれた喫茶店の名前を見たらしく尋ねてくる。
なぜ、私が着るかどうかなのかはよくわからないが。

「……え、多分……」

……。

なぜか観察するように椅子に座った私を上から下まで順番に視線を動かす……。

「歌恋、想像してる、気持ち悪い」
「ばっ! 〜〜〜っ わ、分かった買う、5枚とも買ってやろーじゃん!」

よくわらないが売れた。

「歌恋、メイド好きだか――」
「黙って白縫!」

――……私の――銀髪メイドが見たい……そういう事?

……。

「……そ、それじゃコーヒー準備するから」

何だか恥ずかしく、いたたまれないのでコーヒーを淹れるため席を立つ。
星野さん……話してみると少し印象とずれがあった。
傍若無人ではあるが割と接しやすい性格……私の事を知らないなど良くも悪くも噂には疎い。
周りに流されず、興味のあるものには真っすぐ……。

――……まぁ、傍若無人だからこその“あの言葉”だったんだろうけど……。

……星野さんにコーヒー券を買って貰えたのは良かった。
コーヒー券を売るのが面倒……もちろんそれが最大の理由ではあったが
買ったということは飲みに来てくれるわけで……流石に5杯を一人で一気に――ってことにはならないだろうけど
それでも、『声』を聞ける可能性が出来たのだから、チャンスがあれば……“あの言葉”を言った星野さんを――

考え事してコーヒーを淹れているとまゆと星野さんの会話が聞こえる。
星野さんは私の知らないまゆも知ってるみたいで……なんというか少し羨ま――……あれ?

……。

――……あー、うん…そっか、そういう事なのか……。

少し前のまゆの言葉の意味が分かり、今更ながら何だか嬉しくもあり恥ずかしい。
私は少し熱くなった顔を見られないように少し俯きながらコーヒーを皆に渡す。

「あやりんご苦労様ー」

そして、5回目の試飲を始めた。


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