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負ケ戌共 −マケイヌドモ−

35ムツ:2013/01/05(土) 16:57:31 HOST:softbank220024115211.bbtec.net

 負ケ戌共 −マケイヌドモ− 【三十二】


 朝一に。道場に脚を運ぶと、流石に誰も居なかった。
 鋼獅郎は先ほど東に飛ばされせいで、地面にぶつけ、たんこぶを作ってしまった頭をさする。
 「……あぁ〜、イってぇー……」
 そんな愚痴を零したところで誰が聞いている訳でもない。独り言というよりは只の憂さ晴らしのような音量で愚痴を零す。
 玄関まで行って木の引き戸を横に引くと、先程よりも倍の暖かく眩しい日差しが自分を照らす。
 そこで大きく伸びをすると、一日が始まったと自覚が湧いてくる。
 踵を返して道場を通り、屋敷の方に戻る間、今日はあぁしてこうして、と自然に予定が思い浮かばれてきた。
 面倒臭いなぁ。そう思って道場を抜けた時。
 「………っお……」
 目の前に一人の青年が竹刀を片手に立っていることに気付く。
 自分と同じく長い髪を一つ結びにしている、気品の高い青年。その白肌にはきっちり記憶がある。
 「どうしたんだよ、一架。…こんな時間から稽古か?少しは休めよぉ〜…?」
 一架と呼ばれた青年は愛想笑いを自分に向ける若頭を楽に受け流して道場に進む。
 「…ッタク……こっちは心配してやってるっつゥのに…」
 そんなことを思って一架の背中を見ると、既に素振りを始めていた。


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