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負ケ戌共 −マケイヌドモ−
33
:
ムツ
:2013/01/04(金) 16:02:20 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
負ケ戌共 −マケイヌドモ− 【三十】
青白い光が道場に差し込む中。一人の青年が竹刀を上下に降っていた。所謂(いわゆる)自主錬という物だ。
長いツヤのある黒髪を一つに結んだ、肌白の青年。
頬に垂れる汗は大粒になって床に垂れる。
青年しかいない、道場に「ブンッ、ブンッ」という音だけが連呼する。
何回か素振り終えると、青年は竹刀を下ろし、どこか遠くを見るような目になる。
「………一体、一人で隠れて何をしている」
青年が凛とした声で言うと、屋敷に行く扉の方から偉三郎が笑いながら出てきた。「やっぱ、バレてた?」両手を曲げて、後頭部にくっつけて言うと青年は汗を着物の袖で拭き取る。
「……一体何をしていたんだと聞いている。答えないならさっさと部屋に戻れ……」
「釣れないなぁ〜……。良いじゃねぇかよ、別にぃ〜…!人の稽古は見ちゃいけないってか?」
トコトコと青年に近付いてくる偉三郎。それを厳しい目で睨む青年。
「……用がないなら、失せろ…。殺すぞ……」
青年が目を鈍らせて言うと、偉三郎は手を肩の位置まで上げて「おぉ〜、怖ッ!」とわざとらしく発言する。
「一架(いっか)さぁ〜…新入の東の事、嫌いだろ?」
青年の瞳が月明かりに反射して先ほどよりも倍に鈍く光る。「………俺は男女問わず好きじゃない。…だが、あの白髪は……」青年は偉三郎から目をそらす。
「………今まで見てきた奴以上に嫌いってか?…かぁ〜、コレだから人間恐怖症人第一号は……」
大げさに言う偉三郎に、青年はピクリと目を引きつらされる。「俺とあの愚物者を同等で見るな。殺すぞ」顔を向けて青年がそう言うと、偉三郎はもう一度「おぉ〜、怖」を口にする。
「……そんなにアイツが嫌いなら…勝負してみればぁ〜?若頭側近第二号のお前ならアイツといい勝負かもよ?」
何気に言ったその言葉に、青年の眉がハの字になる。それを見逃さなかったのか、偉三郎は追い打ちを掛けるようにクスッと笑ってみせる。
「明日、楽しみにしてるよぉ〜!一架くぅ〜ん…」
手を振って去っていく偉三郎の背を青年は怪訝な顔で睨みつけた。
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