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朧の光、空の青
3
:
よう魔
:2012/12/01(土) 17:26:15 HOST:218.185.141.59.eo.eaccess.ne.jp
ためしに障子も破れないかと試してみたところ、殴った自分の手の方が激痛にやられることになった。
「いっ……てえええ」
未だに痛む拳に、もしかして骨にひびでも入っているんじゃないかと思いながら、亘は辺りを見まわす。
箪笥、押し入れ――道場と聞けばだれもが思い浮かべるような部屋は、とても脱出できる道があるとも思えず、亘は頭をぐしゃぐしゃとかき回す。
――まさか、押し入れに秘密の通路がある、とか?
緊張を表情ににじませながら、亘はそろり、と押し入れの扉を開ける。
「……うわっ」
そこには、雑多な荷物が積まれていた。外からは想像できないほど奥行きがあり、軽く倉庫のようにも見えるつくりである。
中には当然明かりなどなく、どこまで続いているか分からないような真っ暗闇が続いている。
「……ん?」
しかしよく目を凝らしてみると、奥に階段の様なものが見受けられた。まさか地上へ脱出できる通路か、と足をこんがらがせながら倉庫内に入ろうとし、
ガツン、と。
「い゛っ!?」
またもや体を襲う衝撃と激痛に、後ろを振り向く。今度は背中への攻撃だった。
その衝撃の主は、
「……刀?」
御神刀、だった。それはまるで自分を連れて行けとでもいうように、亘の真後ろに転がっている。
「まさか、独りでに刀が動いたっていうのか……?」
非現実的な現実に、亘はいよいよ自分が訳の分からない世界に放り込まれたという事を実感する。
この刀は代々この家の当主が携えるものだ、と父親の言葉が脳裏に蘇る。
――まさかもう俺は当主になっているのか……?
一夜。すべては一夜で、亘の世界は逆転してしまったのだと。
亘は半ばやけになりながら、刀を乱暴に掴み取る。
「……ああもう、とりあえずもってきゃいいんだろ!?」
刀に向かい怒る亘はずいぶん奇妙だが、この刀に対して「刀」という印象はもはや亘のなかにはなかった。
一時的に携えた「相棒」に納得のいかないながらも、亘は薄暗く埃っぽい倉庫の奥、階段を駆け上って行った。
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