[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
メール
| |
影と幻と不死の鳥
1
:
ピーチ
:2012/11/24(土) 22:56:30 HOST:EM114-51-14-145.pool.e-mobile.ne.jp
はいコラボ第二弾です←
どのスレ立てても一言です。
荒らしなし。
2
:
ピーチ
:2012/11/24(土) 23:00:16 HOST:EM114-51-14-145.pool.e-mobile.ne.jp
不死の鳥と幻の影
―――絶対に死なない。
否。死ねない。
そのせいで苦しんだ少年と、
人殺しという残酷な行為を、こともなげにこなす少年。
呪われた運命を持った二人が、ぶつかった。
3
:
日陰
:2012/11/24(土) 23:04:18 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
ピーチ>>
早速書いてくれて有難うございまーーす!!
と言うか、題名良すぎない!?
4
:
ピーチ
:2012/11/24(土) 23:20:35 HOST:EM114-51-14-145.pool.e-mobile.ne.jp
不死の鳥と幻の影
「―――みーっけ」
不敵に嘲いながら夜の道を疾走していた影が、唐突に止まった。
「あ……っ」
「アンタさァ、オレ様から逃げようたって、そーはいかねェンじゃねェの? ……あンだけ言って、まだ近寄って来るってことは、オレ様に殺されたいワケェ?」
そう言った少年―――宮神 霊(みやがみ りょう)が、漆黒の刀を振り上げた。
「―――…っと」
唐突に凪いだ風に、霊が思わず飛び退る。
「おいおい、自分ン家の特技ってのはずりーンじゃねェのー?」
「…条件反射よ。それと、私は貴方に殺されたいなんて微塵も思ってないわ。勘違いしないで」
凛と研ぎ澄まされた声が響くと同時に、少女の周りに荒い風が渦を巻き出した。
「おー、見事見事」
ぱちぱちと拍手を送る少年に対し、彼の目の前に居る少女―――神瀬 緋織(かみせ ひおり)が言った。
「……私は、貴方を傷つけるつもりはないの。ただ…」
これ以上逃げ続けるのなら、多少の危害は加えることになる。
その言葉を聞いた霊が面白いと言わんばかりに口端(こうたん)を吊り上げてみせる。
「へェ…? できるモンなら、やってみろよ?」
瞬間、彼の漆黒の瞳が鋭利に光った。
「………っ…」
その光が灯った時の霊は、正気を失う。ただ狂気に身を委ねているだけだ。
そして、気が済めば自我が戻る。そうやって、彼は今までも己を保ってきたのだろう。
だからと言って、それに呑み込まれる気は、残念ながら緋織には微塵もない。
「……殺してやるよ。邪魔者さんよォ…?」
狂気に歪んだ表情が、この上なく楽しんでいることを嫌でも悟らせる。
緋織が本能に従って咄嗟に身を翻した、刹那。
―――どごぉぉぉぉぉぉぉぉん!
唐突に飛んできた瓦礫を前に、二人がえっと声を漏らした。
5
:
ピーチ
:2012/11/24(土) 23:22:22 HOST:EM114-51-14-145.pool.e-mobile.ne.jp
日陰>>
いや何か文才なさ過ぎてごめんなさい←
題名適当だよー←おい
6
:
ピーチ
:2012/11/24(土) 23:41:29 HOST:EM114-51-14-145.pool.e-mobile.ne.jp
不死の鳥と幻の影
「あ……?」
「え……?」
唐突に飛んできた瓦礫を前に、霊と緋織が目を瞠った。
さすがに、この状況では霊も正気に戻っているだろう。
「あー、ちっとやりすぎたかなー」
軽く肩を回しながら歩み寄ってくる、銀色の髪を月光に靡かせた青年―――高校生か、その辺りだろう―――は、にっと笑って緋織の腕を掴んだ。そして、そのまま無造作に引き上げる。
「わっ!?」
突然のことにバランスを崩した緋織だが、何とか体勢を保って立ち上がった。
着物の裾についた土を、軽く掃う。その後で霊に向き直った。
「……アンタさァ、いきなり何? その女の知り合いなワケ?」
年上相手でも態度を変えない霊に、青年は笑って答える。
「いや、この女の子は知らないけど」
「じゃあ邪魔すンなよ。せっかくいい所まで追い詰めたのにさァ…」
その霊の言葉に、青年が笑みを引っ込めた。
「追い詰めた?」
緋織を見て、その後に霊を見た青年の表情がどこか厳しくなっていて、霊がちっと舌打ちをする。
「………まァ、今回はこれくらいで見逃してやるよ。ただ、次はねェからな?」
そう言い残し闇に姿を溶かしていった霊を見ながら、緋織が軽く嘆息した。その後で、はっと目の前に居る青年のことを思い出す。
「あ、ありがとうございます。…いきなり、すいません」
恐らく霊のことを言ったのだろう。しかし青年は全く気にした風もなく。
「いや、いーよ別に。そう言えば、君名前は?」
「…神瀬 緋織です」
「そっか、じゃあ緋織ちゃん、あの男の子は危ないんじゃない?」
青年の言葉に、緋織が訝しげに眉を寄せた。助けられたとはいえ、名乗らせておいて自分は名乗らないというのは、正直どうなのだろう。
彼女の顔にそれが出ていたのか、青年が笑いながら言った。
「あ、言い遅れたけど俺は一見一夜。よろしくな」
「…一見さん、は何でこんな夜に…」
「んー…簡単に言えば追われててさー」
青年―――一夜は明るく振舞いながら言う。
「…君さ、もし仮に絶対死なない人間が居たら、どう思う?」
「―――え?」
少女の言葉が、夜闇に木霊した。
7
:
日陰
:2012/11/25(日) 09:47:05 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
ピーチ>>
適当(題名)に見えない……
「素晴シイヨ、ピーチクン。尊敬スルヨ…!」←架月(なんか最近キャラ使うのにハマってる
兎に角、これからもよろしくお願いします!!!
8
:
名無しさん
:2012/11/25(日) 09:56:04 HOST:EM114-51-168-236.pool.e-mobile.ne.jp
日陰>>
いやめっちゃ適当だよー←おい
だ、大丈夫? 一夜君の登場のしかた間違ってない? 大丈夫?
9
:
日陰
:2012/11/25(日) 10:37:10 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
ピーチ>>
うん!大丈夫!!
女の子は「ちゃん」づけ、男の子は呼び捨て、もしくは名字を「さん」づけで、お願いします!!!
10
:
日陰
:2012/11/25(日) 11:53:58 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
ピーチ>>
言いたくないけど、また「名無しさん」になちゃってる……
それと上のに付け足し!女の子でも歳上だったら大体「さん」つけでっ!!
11
:
ピーチ
:2012/11/25(日) 13:04:23 HOST:EM114-51-161-64.pool.e-mobile.ne.jp
日陰>>
直しました……
おk! 年上キャラは最後ら辺にしか出てこないから大丈夫!
12
:
ピーチ
:2012/11/25(日) 19:13:53 HOST:EM1-115-123-63.pool.e-mobile.ne.jp
不死の鳥と幻の影
「絶対に死なない、人間……?」
「そ。仮にだけど、そんなの居ると思う?」
唐突に吹いた風が、二人の髪が揺れた。
風に遊ばれている髪をそのままに、少女とは思えない表情で、答えた。
「―――思います」
「へ?」
「だって、普通に考えてそんなこと言い出す人、多くないでしょう? だから思うんです。貴方の周りにその不死の方が居るか、もしくは」
まるで風を避けるようにすっと腕を上げる。着物の裾が、鮮やかに舞った。
「……貴方自身が、不死なのか。そのどちらかの可能性しかありませんから」
くすりと笑って、少女が言う。それを見て、一夜の銀の髪が、風とは別の理由で揺れた。
「…凄いね。よく分かるなぁ」
笑いながら言った青年の瞳の奥が、一瞬深く沈んだ。それを逃さなかった緋織が、気まずそうに顔を逸らす。
「……あの」
「ん?」
「何で、助けてくれたんですか? 別に、あれくらいなら大丈夫だったのに…」
あー、と呟きながら、一夜が笑った。
「いや、弱い者いじめは感心しないからさ」
………それだけの理由で、一体何人もの人を助けてきたのだろう。そして、何人の人間に喧嘩を売る羽目になったのだろう。
そう考えずにはいられない緋織である。
13
:
日陰
:2012/11/26(月) 18:18:11 HOST:i121-113-228-192.s41.a018.ap.plala.or.jp
ピーチ>>
ピーチィィィィ!!!
こッから、私の考え!!!
一夜、殺し屋とか守り屋と仲良しになるから、追ってたのは喧嘩売った雅日くんって事で!!!?
14
:
ピーチ
:2012/11/26(月) 19:05:00 HOST:EM49-252-247-25.pool.e-mobile.ne.jp
日陰>>
あ、それもいいかも←おい
じゃあそうしよっかなー←
15
:
ピーチ
:2012/11/26(月) 19:20:25 HOST:EM49-252-247-25.pool.e-mobile.ne.jp
不死の鳥と幻の影
ぱんぱんと手を叩き、一夜が言った。
「とにかく、夜に一人、それも女の子は危ないから。さっさと帰るんだよ?」
言い聞かせるような言葉に覆いかぶさるように、闇を引き裂かんばかりの怒号が轟いだ。
「一夜ぁ―――!!」
「うわあぁぁぁぁっ!?」
突然の怒号と一夜の反応に、緋織が咄嗟に体勢を整える。だが、ものすごい勢いで闇を駆けてきたそれは、一夜の前に止まると彼を再び怒鳴りつけた。
「今の今までどこに居やがったてめぇはぁ!?」
「え、あー…いやその、ちょっと散歩に…」
「答えになってねぇ―――!!」
ぎゃあぎゃあと喚く影を、一夜が必死でとりなす。
「……ん? そいつは?」
散々怒鳴ってしばらくしてから緋織の姿を認め、彼は胡乱げに尋ねる。
「あぁ、今さっき会った子で……」
言いかけて、はっと我に返った一夜が慌てて言った。
「って、そうじゃない!! さっさと帰ること!」
「え、あ、その……」
言葉に詰まり、緋織が答えあぐねている様を見て、一夜が訝しげに問う。
「そう言えば、何でさっきの子に追われてたの? 見た目からしてもあんまり年離れてなさそうだし」
「……えーっと…まぁ、色々あって」
苦笑気味に答え、少女の着物の裾が翻った。
「じゃあ、失礼します」
「うん。気を付けてね」
一夜の言葉に軽く返し、しかし緋織はまっすぐ家に向かわなかった。
16
:
日陰
:2012/11/28(水) 18:43:05 HOST:i121-113-228-192.s41.a018.ap.plala.or.jp
ピーチ≫
緋織ちゃんはどこに行ったのだろうか?
続き楽しみにしてるよぉぉん!!(>▽<)
17
:
ピーチ
:2012/11/28(水) 21:49:00 HOST:EM114-51-128-244.pool.e-mobile.ne.jp
不死の鳥と幻の影
「―――…誠也……?」
家とは正反対の道を曲がってしばらく歩いた時、緋織がその名を呼んだ。
明神 誠也。緋織の友人であり、彼女の仲間でもある存在。
「また、余計なことしただろう?」
霊に追い掛け回されていたことを指しているのか。彼の表情や口調から悟った緋織が苦笑を零す。
「別に、そこまで危険なわけでもないわよ」
「殺されかけてそれを言うか?」
「う…………っ」
鋭く言われ、緋織がぐっと押し黙った。何とかしてごまかせないかと思ったこと自体、間違いだったようだ。どうやら。
「……あの男は?」
「へ?」
問い返した直後、少女の脳裏を銀の髪を持つ青年の姿が過ぎった。
あぁと笑い、緋織が言った。
「助けてくれたのよ。少なくとも敵の類じゃない」
「本当だな」
「えぇ。それだけは間違いない」
少女の言葉を受け、誠也がはぁっと嘆息した。この少女は、次を言っても次の行動を起こすに違いない。確実に。
内心で呆れ返っている彼に気付かず、緋織が言った。
「……ねぇ、誠也」
「何だ」
諦めたような誠也の表情を見て、緋織が訝しげに眉を寄せる。しかし、気にする風もなく誠也が続きを促した。
「………絶対に死なない人間、て…居ると思う?」
「――――――は?」
今、この少女は何と言った。自分の耳がおかしくなければ、絶対に死なない人間がどーとかこーとか聞こえたのだが。
「…もう一回言ってくれないか?」
あくまで己の耳を疑う少年に、緋織はあっさりと言ってのける。
絶対に死なない人間なんて居るかと思うか、と。
「…緋織、お前頭大丈夫か」
「……それ、あの人に言える?」
「あの人?」
訝しげに問い返す誠也に、緋織が言おうとした直後、二人の背後に不気味な声が降りかかった。
「―――いーモン、見っけ」
18
:
日陰
:2012/12/01(土) 21:21:51 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
ピーチ>>
いつも言ってるけど、続きが気になる……(・_・;)
ピーチは次に繋がらせるところが上手いんだよなぁ〜(だから、物凄く続きが待ち遠しい…
体には気をつけて、頑張って下さい!!(すげぇ、シミジミ…(^。^;)
次回も楽しみに待ってるねぇ〜(-^〇^-)
19
:
ピーチ
:2012/12/01(土) 23:00:30 HOST:EM114-51-218-65.pool.e-mobile.ne.jp
日陰>>
いやいやいやいや!! 日陰の方が上手いって!!
あたしなんかまだまだ見習わなきゃいけないとこありすぎるし←
20
:
ピーチ
:2012/12/01(土) 23:28:34 HOST:EM114-51-218-65.pool.e-mobile.ne.jp
不死の鳥と幻の影
「―――いーモン、見っけ」
唐突に降りかかった言葉に、二人の纏う気配が瞬時に変わった。誠也の着物の裾が、僅かに翻る。
「あのさァ、アンタに聞きてェンだけど」
指された緋織は、努めて冷静さを保ちながら問うた。
「…何?」
「あの男、誰?」
「あの、男…?」
首を捻る緋織に、目の前に居る少年―――霊は、苛立たしげに言う。
「アンタを助けたあの男。知り合いなワケ?」
「違うわ。そんなこと聞いてどうするの?」
違う、と口の中で反復し、霊が醜く嘲った。
「そりゃあ、都合がいいや」
にぃっと嘲った拍子に見えた瞳が、飢えた獣のそれに成り代わっている。
「…………っ…!」
咄嗟に動けない緋織を後ろに、誠也が厳かに声をかけた。
「…おい」
「殺してやる」
「―――っ!?」
言ったと同時。唐突に二人の目の前に移動した霊が、緋織の腹部に拳を打ち込んだ。それを受け、彼女の体がゆっくりと傾ぐ。
「ひ……っ」
「その女さァ、誰にも殺させるなよ?」
少女の名を呼びかけた誠也が、霊の言葉を聞いて鋭く睨んだ。
「何だと……」
「その女を殺すのは、オレ様の仕事だからさァ」
愉しそうに嘲う少年の姿が闇に溶け、誠也が小さく歯噛みした。
「……緋織…」
気を失っているだけだ。それほど気にすることでもない。
何かされていないかと心配したが、さすがにそれはなかったようだ。
しかし、この状況はある意味彼に感謝する。
こうでもしなければ、緋織が睡眠を取ることはほとんどないだろうから。
さわりと、銀の髪が夜の風に靡いた。
「……あれ?」
人が誰か、居る。先ほどの少女ではないが。
誰だろうと確かめる前に、相手が言った。
「―――…見つけた」
にぃっと嘲ったそれは、一夜の姿を認めるなり飛びかかってくる。
「わっ?」
突然のことに思考は追いつかないが、体は俊敏に動く。相手の攻撃を避けながら、一夜が頭の中を整理する。
と、そこでふと、あることに思い至った。
え、ちょっと待てよ何で俺いきなり襲われてんの? 俺誰かに恨み売ったっけ?
半ば本気で考える一夜に、それは厳かに口を開いた。
「さっき、あの女のこと助けた?」
子供特有の、高めの声が辺りに木霊する。
「え? あの女って?」
「とぼけんな」
唐突に語気の変わった少年の顔が、月光に照らされた。
「あ………」
さっきの、少女を追っていた男。
「…何で俺が狙われてんの?」
「決まッてんだろ? あの女助けたから。オレ様の邪魔する奴はさァ―――」
振り上げたナイフを、青年の肩に突き刺し。
「―――死刑だから?」
もう一つのナイフを彼の左胸に深く突き刺した。
一夜は目を見開いて、そのまま前のめりに―――
―――ならなかった。
「………へ?」
「ってて、酷いことするなぁ? 少年?」
何てことないようにあっさり漆黒のナイフを抜き、その箇所ぽんぽんと叩く。
その手が離れたときには、傷はおろか、傷痕さえも残っていなかった。
21
:
日陰
:2012/12/02(日) 08:20:15 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
ピーチ>>
そう言われると余計、ピーチの文学に惹かれる!!
それと、一夜の不死理由(で良いのかな?)は「一瞬自己治癒能力」と「持続精神」の2つなんで良かったらこの言葉使ってみてねェ〜!!!(@^▽^@)
(絶対わかると思うけど、一瞬自己治癒能力は一瞬で怪我を治す能力と、持続精神は飛んじゃう精神をそのまま保たせることです!!←普通にわかると思うけど、不死鳥じゃ詳しくご説明してなくって…(o ̄∇ ̄o)♪
22
:
ピーチ
:2012/12/02(日) 16:26:22 HOST:EM114-51-189-14.pool.e-mobile.ne.jp
日陰>>
いやまじであたし文才なさすぎるからね!?
ありがとうございますありがとうございますありがとうございます!
ぜひ使わせて頂きまーすw←
23
:
ピーチ
:2012/12/02(日) 16:45:35 HOST:EM114-51-189-14.pool.e-mobile.ne.jp
不死の鳥と幻の影
「な……っ!?」
「随分なことするじゃん? 少年?」
にっと笑った青年を半ば凝視して、霊は目を瞠った。
なぜだ。確かに、肩と心臓どちらも刺したはず。
ならなぜ、その傷痕がない。
彼の疑問を見透かしたかのように、一夜が笑った。
「完全不死の、不完全人間」
「………はァ?」
「俺が死なない理由は二つある。一つ目は『一瞬自己治癒能力』が働くから。そしてもう一つ」
銀の髪が哀しさを表すように、彼の表情が僅かに翳る。
「―――『持続精神』。この二つの能力が、無意識に働く」
「………自己治癒能力と、持続精神?」
訝しげに問い返す少年の漆黒の瞳が、鋭利に光った。
「そう。簡単に言えば自己治癒能力ってのは、一瞬で怪我を直す能力。持続神経は普通なら飛んでくレベルの精神でも、そのまま正常に保たせる。そんな奴らのことをまとめて、『完全不死の不完全人間』って呼んでる」
彼を侮る様子など微塵もない一夜が、しかしなぜここまですべてを打ち明けるのかと、霊の胸中に疑問が浮かぶ。
しかし、それを考えたところで彼が死なない事実は変わらない。
「…………」
鋭い眼光にも怯まない青年を、霊はどうにかして自分の視界から消さないといけない。義務でも何でもないのだが、そうしなければ自分の気が済まない。
かと言って、自分がこの地を立ち退けば済む、という話でもない。まだ、緋織達の始末をしていないから。
「君さ、名前なんだっけ? 確かあの女の子が宮神とか何とか言ってなかった?」
「そこまで分かってンなら、聞必要ねェだろ?」
唐突に、霊が何かを振り上げた。お、と呟いた一夜は、余裕を持ってそれを交わす。
いくら死なないとはいえ、やはり痛みは生じるのだ。基本的に痛いことが好きな人間など多くはないはずだが、彼もその例に漏れない。
「…なァ、アンタ死なねェンだろ? だったら動くなよ…っ」
「うん。死なないことは死なないけど、痛み感じるの嫌いだからさ」
くっと嘲った少年が、小さく何かを唱えた。
刹那。
「―――あれ?」
唐突に、空間が変わった。今までの夜闇とは打って変わって、真っ白な空間が続いている。
「あれ…?」
さっきの少年はどこに行ったのだろうか。
そう考えた直後、青年の背後に何かが蠢いた。
「―――死ねよ、馬鹿げたこと抜かしてねェでさァ……」
24
:
日陰
:2012/12/02(日) 16:45:40 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
ピーチ>>
いろんな意味で待ってる!!(*≧m≦*)v
使うタイミングとか難しいと思うけどガンバ\(*⌒0⌒)♪
25
:
ピーチ
:2012/12/02(日) 18:18:28 HOST:EM114-51-189-14.pool.e-mobile.ne.jp
日陰>>
ありがとー!
な、何か明らかに説明おかしくなってるけどごめんね!?
26
:
日陰
:2012/12/02(日) 18:41:31 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
ピーチ>>
いや、全然おかしくないよ?!
むしろ良い! 思ってたより良い!!
27
:
ピーチ
:2012/12/02(日) 18:57:31 HOST:EM114-51-189-14.pool.e-mobile.ne.jp
不死の鳥と幻の影
漆黒の刀が、一夜の身を貫いた。
普段は余裕の体勢を崩さない霊が、肩で息をしている。刺したそれを引き抜いて、手を離す。
地に落ちたその刀は、瞬時に掻き消える。少年の身の丈を超えていたはずの刀は、まるで溶けるように地に吸い込まれた。
「なん……っ」
「だから言ったじゃん。俺は不死者だって」
けろりと言ってのける青年に、霊は怯えにも近い何かを感じた。ここまでして死なないのだから、彼が言ったことは本当だ。
「じゃあ何で…」
なぜ、容易に秘密を打ち明けたのか。
それを呟いた少年に、一夜が笑って言ったのだ。
―――だって君、そんなに悪い奴に見えないし。
それを聞いた霊が瞠目し、やがて逃げるようにその場を立ち退いた。
「――――――って、憶えてる?」
緋織の言葉に、誠也が頷いた。
「確か、霊の存在を知った直後で、見事に敵対してた時期だな」
「えぇ。…宮神君は?」
憶えてるかと問われ、霊があぁと呟いた。
「憶えてるよ。一応オレ様だって怖いもの知らずじゃねェし?」
「え? そんなことあったのー!?」
何で教えなかったと誠也を責め立てる弥生を見て、霊が目を瞬かせた。
「はァ? お前知らなかったの?」
「知らなかったわよ! その頃はまだ貴方のこともよく知らなかったんだから!」
そりゃそーだと、霊が内心で苦笑する。
あの頃彼女が自分の存在を知っていたら、情け容赦の欠片もなく自分を抹消していただろうから。
誠也も弥生も、自分達に敵意を抱くものに容赦はない。敵意を抱かれる覚えがないから、ならばとばかりに敵意むき出しになる。
「で…その完全不死の何とかってほとが何なのよ?」
「完全不死の不完全人間! そんな人が目の前に居たらどうするかって聞いてるの!」
夜の闇を四人で歩きながら、緋織があっと声を上げた。
「ところで、私達が出てきた目的……」
「…………………あ」
緋織のことばに、三人が呆然と後ろを見る。彼らがこんな夜道を歩いていた理由。標的(ターゲット)の監視があったからだ。
霊がしまったと呟いた直後。ふっと何かが背後に忍び寄ってきた。
「うわ……っ!」
咄嗟に身を捻った霊が、体勢を整える。
「―――やっぱりアンタか……佐藤さん?」
「礼儀正しいのか礼儀知らずなのか、分からない子供だねぇ…君は」
醜く嘲った青年が、軽く指を動かした。
刹那。
「――――――っ………!」
「最近会うことがなかったからねぇ…それも久々だろう?」
そこそこに整った霊の面(おもて)が、苦痛に歪む。
傍に居る誠也達は、突然のことに体が硬直して動けない。
「…やぁ…君達も久しぶりだね?」
「うるさい」
一輝の言葉に、誠也が即答を返す。その目が、早々に消えろと言っていた。
「あ………………っ!?」
唐突に、霊が呻いた。それを聞いた弥生が、はっと我に返って慌てて彼に駆け寄る。
「動くな」
鋭い言葉が突き刺さり、弥生が無意識に立ち止まる。
「今動けば、そのガキは殺す。……どこからでも、自由にそれを扱えるってことを、忘れたわけじゃないよね?」
「………っ…!」
霊を盾に取られては、さすがの弥生にも手出しが出来ない。それを分かっていて、一輝はあえて彼の名を出した。
直後。
どごおぉぉぉぉぉぉん
どこかで聞いた音と共に、瓦礫が飛んできた。
28
:
ピーチ
:2012/12/02(日) 19:06:29 HOST:EM114-51-189-14.pool.e-mobile.ne.jp
日陰>>
大丈夫? おかしくない?
よ、よかった……無茶苦茶不安だよねこれ!?
29
:
日陰
:2012/12/02(日) 19:59:56 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
ピーチ>>
不安に決まってんじゃん!
霊君が盾にされちゃって不安でいられない訳ないでしょ!゚(゚´Д`゚)゚←不安が違うだろ!?
っていうか佐藤さん出てきちゃったっ!! 本編でも読んでて佐藤さん怖かったんだよな〜……
30
:
ピーチ
:2012/12/03(月) 20:29:52 HOST:EM114-51-83-65.pool.e-mobile.ne.jp
日陰>>
いや、霊は何とかなるよ!←おい
佐藤は自分的にも嫌いな奴☆
怖いってか邪魔者抹消したいだけなんだよね、昔の霊と同じくw
31
:
日陰
:2012/12/04(火) 18:15:14 HOST:i121-113-228-192.s41.a018.ap.plala.or.jp
ピーチ≫
ピーチも今軽くネタばれ入ったな…(フフッ…私に似たな←何言ってんの…?
あと、佐藤さんって怖いってレベルじゃないよね…人の体に火を移すとか恐ろしすぎる…
ピーチは幻影師で一番お気に入りのキャラは誰?
私は誠也クンかなぁ〜…個人的に大好き(―▽―ハハッ
32
:
ピーチ
:2012/12/04(火) 22:16:38 HOST:EM1-114-237-101.pool.e-mobile.ne.jp
日陰>>
……やってしまった!←おい
うん怖いレベルじゃないよね。しかも炎系の呪詛っていうw
あたしは霊か弥生かな、強がってみせる、でも実際怖がりの主人公と根っからの強気少女w
何気にこの組み合わせが好きだ←
33
:
名無しさん
:2012/12/04(火) 23:03:07 HOST:EM1-114-82-214.pool.e-mobile.ne.jp
不死の鳥と幻の影
「こ…、の……っ!」
突然聞こえた、見方によってはただの雑音。それを受け、霊が低く唸った。
「あれ? 緋織ちゃん…と、少年?」
名前あってるよね、と確認する青年を見て、緋織が瞠目した。
「え、と…あ、一見さん!?」
「久しぶり、だっけ?」
「そういう問題じゃありません!」
思わず怒鳴った緋織と霊、そして彼の目の前に居る青年を見て、一夜が首を傾ける。
「何やってんですか?」
「…君は? このガキどもの知り合いかな?」
「ガキって言い方、よくないですよね?」
「うるさい。質問に答えてもらおうか」
そう言って、佐藤がすっと何かを取り出した。
「……え………?」
「君達を殺せなかったとき、多少の距離があっても狙えるようにしようと思ってねぇ」
嘲笑を浮かべる佐藤を前に、緋織達の表情が険しくなった。
刹那。
「る、せェ……」
突如、霊が言った。
「言っとくけどさ……アンタの目的はオレなんだろ? だったら…、他の奴は関係ねェ………っ!」
「あの頃の君と同じさ」
佐藤の言葉に、少年の肩が跳ね上がる。
その反応を見て、佐藤が楽しそうに言った。
「あの頃の君と全く同じさ…俺がこんなことをするのは楽しいから。君だって、愉しんでたんだろ?」
「…………っ…」
霊がぎりぎりと歯切りしをするが、その通りだから反論が出来ない。
だが、今はそれがどれほどに危険なことか、恐ろしいことか、それが分かる。
「さて…邪魔者には罰を。妥当だろう?」
醜く嘲った青年が、銃口を一夜に向け、放った。
だが。
「―――…な……!?」
「ってぇ…、…何回怪我すれば気が済むんだ、俺……」
左胸に開いたはずの穴は、見る見るうちに塞がっていく。
「―――誠也…」
「何だ」
「もしかしなくても、あの人が…」
死んでも死なない、あの不死者。
「……あぁ」
青年の銀の髪が、静かに揺れた。
34
:
日陰
:2012/12/07(金) 19:10:41 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
ピーチ>>
一夜怒られてやんのっ!←(子供っか
なんか予想してた以上に展開が気になってきたネ〜(^O^)!
それと一夜の出演数が多いことに感謝感激(TдT) アリガトウ!
35
:
ピーチ
:2012/12/07(金) 19:50:01 HOST:EM114-51-188-250.pool.e-mobile.ne.jp
日陰>>
怒られてるってか単純に緋織がキレただけね!←おい
一夜君の出演数結構少ないと思ってたんだけど、大丈夫?
36
:
日陰
:2012/12/07(金) 20:59:41 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
ピーチ>>
全っ然っ! 逆に多いと思う!
と言うか、緋織ちゃんって起こると強そうだね(^^ゞ(&怖そうだね…
37
:
ピーチ
:2012/12/08(土) 09:31:35 HOST:EM49-252-80-29.pool.e-mobile.ne.jp
日陰>>
よ、よかった……
あはっ、ばれた?←おい
38
:
ピーチ
:2012/12/08(土) 09:42:30 HOST:EM49-252-80-29.pool.e-mobile.ne.jp
不死の鳥と幻の影
「―――結界」
唐突に放った緋織の言霊が、辺り一面に木霊する。
そして、瞬時に漆黒の薄い膜が張り巡らされた。
「…私は、貴方を許さない。宮神君や一見さん、その前は弥生や誠也も狙ったでしょう?」
静かに言って、彼女の瞳がすっと細められる。
「―――……風神、招来」
刹那。
何の前触れもなく、突如として荒風が吹き荒れた。それはやがて、手を付けられない大嵐と化す。
「………っ!」
さすがに、風を操ることができない佐藤が、顔の前に腕を翳して無意識に目を守る。
「…失せなさい。悪しき禍者」
緋織の言葉が響き、唐突に風が止んだ。
そして、緋織が小さく息を吐く。
「やっぱり駄目か…」
また、失敗した。
彼の魂の、浄化に。
「……随分やってくれるじゃねぇかよ…」
厳かに放たれた言葉に、緋織が反射的に彼を見る。
視界の隅に映った霊が、微かに震えていた。
佐藤が、怒りに任せて何かを叫んだ。
「――――――っ……!!」
39
:
ピーチ
:2012/12/10(月) 21:13:51 HOST:EM114-51-154-71.pool.e-mobile.ne.jp
不死の鳥と幻の影
これ以上ないほどに両の眼を澱ませた佐藤が、霊に向かって小さく何かを唱え出そうと、した。
しかし。
「―――龍」
霊の言葉の方が、早かった。
「な……っ!?」
突然現れた漆黒の龍に、さすがの佐藤も愕然とする。
そして、勝ち誇った笑みを浮かべる少年を睨みつけた。
「貴様……!」
「呑み込め」
あの男の、負の感情を。
主の命を受け、漆黒の龍が佐藤に飛びかかる。咄嗟のことに、彼の抵抗は利かない。
「すっげー…これ、君達の特技みたいな?」
「……そんなもの、ですね…」
はは、と力ない笑みを返す緋織を見て、一夜が思わず苦笑した。
そして、小さく息を吸い込んで。
「おーい少年! あんまり暴れ回んじゃないぞー!」
あまりに暢気(のんき)な言葉に、霊が体勢を崩した。それに呼応するように、龍の形が一瞬おぼろげになる。
「ったく……何なんだよ、アイツ…」
小さく息を吐き、そして鋭い眼光を佐藤に注ぐ。
「おい、これ以上………」
言い差して、彼の様子がおかしいことを悟った。
笑っているのだ。こんな時に。
「な…に笑って……」
「面白いねぇ、やっぱり」
唐突に言って、濁った鉛色の瞳を霊に向ける。
その瞳を見て、霊が小さく肩を震わせた。
「だからこそ楽しみだよ、君が次をどう乗り切るか……」
そう言ってすっと立ち上がった佐藤は、そのまま一同の前から姿を消した。
「―――え?」
「つまり、これは」
「逃げられた……と…」
ぽつりぽつりと呟いて呆然とする霊達を見て、不意に一夜が笑い出した。
「…何が、おかしいんですか」
「いや、息ぴったりだなぁと思ってさ」
いまだに笑いを噛み殺している一夜を、緋織が軽く睨め付ける。
「…そう言えば、何でここに……」
言いかけて、やめた。弥生の眼光が、尋常でない。
「え、あ、何? 何でここまで……」
睨まれなければならないかと、緋織は半ば本気で考えた。
40
:
ピーチ
:2012/12/30(日) 00:17:41 HOST:EM114-51-188-209.pool.e-mobile.ne.jp
不死の鳥と幻の影
「何で何の説明もないのよ!? あんた達はともかく、私は何も知らないのよ!?」
「あ? あー………」
弥生の金切り声が、夜闇に吸い込まれる。そして、その後できっと霊を睨み付けて。
「あんたは無茶ばっかりするんじゃないのいつも言ってるでしょ!?」
「…はいとは言ってねェし」
「言ってなくても自分の身くらい自分で守りなさいっ!!」
どうやら弥生は、霊を憂さ晴らしの道具にしようと考えたらしい。それを察した緋織と誠也が、微かに苦笑した。
「……で、何で一見さんはこんなところに?」
「あー、ちょっとした散歩に…」
「一夜ぁ―――」
「やば……じゃね、緋織ちゃんに少年!」
一夜の言葉に反論する間もなく、彼が脱兎の如く走り出す。一同が呆然とそれを見送った。
「くそ、どこ行きやがったあいつ……」
一人でぜぇぜぇと荒い息を繰り返す青年を見て、緋織達が苦笑を零す。どうやら、彼を追っていたのはこの青年のようだ。
「……帰るか」
「そうね」
「ちょっと私まだ説明聞いてないんだけど」
「それは後々」
わいわいと賑わう面々の後を、霊が小走りになりながら追った。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板