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天使も悪魔もカンケーないっ☆
20
:
ピーチ
:2012/09/29(土) 21:57:04 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
『第十六話・証』
“お前が、代わりにやっておけ”
“……承知致しました”
そんな声が聞こえたと思った直後。
「―――ん……」
「目は、覚めたか」
唐突に、低く落ち着いた声が、頭上から降ってきた。
が、目の前に霧がかかったかのように、輪郭さえもがぼやけて見える。
「………え…?」
ここは、どこだろう。
ついさっきまでは手首と羽根に巻き付いていただけだった紅い糸は、今では両手両足はもちろんのこと、身体中の至る所に巻き付いている。
当然、首周りにも。
「あ………っ」
「案ずることはない。お前は、リバード様の贄となるものだ。死なせはしない」
そう言った声の主の姿が、段々とはっきり見えてくる。
その、人物は。
「天使(エンジェル)―――!?」
いささか老いた見かけだが、その純白の羽根は、天使族のそれに相違なかった。
「私は、もうエンジェルではない」
「…も、う…?」
問い返したミューラの口を塞ぐためか否か、それは定かではないが、彼女の首筋に細身の長いナイフを当てがった。
「死にたくないのなら、その口を塞いでいろ」
無表情に命令する老人とは対照的に、ミューラはその瞳に涙を溜めて頷いた。今ミューラに勝機が回ってくるはずもないし、仮に回ってきても、それを見放してしまうのがオチだ。
それに、一切の自由を奪われているこの状況で下手に言い返そうものなら、彼女の命の保障はない。
「―――……さて、そろそろだな」
そう呟いたかと思うと、老人はミューラの首筋に添えていたナイフを放り出した。
その老人が背を向けた、刹那。
「≪冷たき奈落の底に眠る、真(まこと)の能力(ちから)よ。……我が眼前に居るこの娘を、贄と見なせよ≫」
いつの間にか両手を掲げていた老人の後ろから、とてつもなくおぞましい“気”を纏った生き物達が、彼女の目の前に躍り出た。
それを見たミューラの表情が青ざめ、反対に老人の表情は僅かに喜々を滲ませ。
「さぁ……お前とリバード様を繋ぐ証を、刻もうか……」
「―――い…………っ」
短い悲鳴が響いた数秒後、紅いものが絡み付いた腕がだらりと垂れ下がり、小さな紋様が、その腕にかいま見えた気がした。
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