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邪気眼少女の攻略法。
90
:
心愛
:2012/10/09(火) 07:57:28 HOST:proxy10024.docomo.ne.jp
「君は自分自身の意思で、自分を変えようとしたんだ。愚かな夢に囚われただけのぼくとは確かに違うけれど、……君は過去を振り切って、“理想の自分”への一歩を踏み出したじゃないか」
結野は瞳に宿った強烈な光で俺を射抜き、きっぱりと告げた。
「―――君は、強いよ」
……多分俺は、心のどこかで、誰かにそう言われるのを待っていたんだと思う。
俺のしていることは、間違ってなんかいないって。
認められたかった。力強く、背中を押してもらいたかった。
だから、俺と同じ、もしくはそれ以上の苦しみを味わって、その気持ちを痛いほど理解しているだろう結野は―――みじめで格好悪い、はた迷惑な野郎にすぎない俺を、こうして不器用な形で、救ってくれたんだ。
完敗、だった。
「……ありがと、結野」
「礼を言われる筋合いはないが」
照れたように鼻の頭をほんのり赤くして、勢い良くそっぽを向く。
あのときと変わらない、黒絹みたいに艶やかな髪がふわっと浮き上がった。
「……ふん。こんなにも長い間、低俗な愚民と無駄話をしてしまうなんてぼくの人生最大の汚点だな」
「人生って人の生って書くけどそれでいいのか? ヴァンパイアなんだろ?」
「う、そ、それは……この姿は人間界に入る為に造った仮の肉体であって、だから厳密にはっ」
言い訳するように早口でまくしたてる結野を笑っていなす。
……痛い? キモい? 見てて不愉快?
―――余計なお世話なんだよクソが。
一度しかない人生、今の自分が望む自分であろうと努力することを、なぜ否定されなきゃいけない?
あとで自分がどれだけ後悔しようが、今他人にどう見られていようが。
いっぱいいっぱい考えて―――それでも、どうしても譲れないから、あきらめられないから、結野は今こうしてるんだ。
つまらない大人になるくらいなら、一生バカなガキのままでいてやるよ。
自分が格好良いって思うものを信じて、全力でぶつかっていける―――
それは本当に、悪いことなのか?
子供の未来のためだって、無理矢理排除すべきことなのか?
夢をひたすらに追い掛け、それが無意味だと分かっていたとしても―――しぶとくあきらめずに立ち上がる。
それができる、強い心を持った奴は、この広い世界にどれだけいるのだろう。
一時だけの痛い勘違い?
大いに結構じゃないか。
結野の言葉じゃないけどさ、笑いたきゃ笑えばいいよ。
―――俺は“ミウ”の、このまっすぐさに惚れたんだから。
「……まだ帰らないのか? 幸せな奴だな、ぼくが怖くないなんて」
結野は本格的に演技モードに入ったらしい。
その素直じゃない口とは裏腹に、少しだけ寂しそうに瞳を曇らせ、
「君がどんなに強い力の持ち主でも、これ以上この結界の中に入り浸れば君の精神力が磨耗する。吸血姫(ヴァンパイア)の眷属以外はどんな種でも確実にダメージを受ける、強力な結界だからな。……ふん、恐ろしいだろう? その羽虫のような命が惜しければ、二度と『こちら側』に近づかないことだ。分かったな?」
つまり―――
これ以上自分と一緒にいれば、俺までハブられるからとっとと出てけ、と。
せっかく新しくできた俺の立ち位置がなくなるから、もう関わってくれるな、と。
……ああ、もう。
いっそ清々しいくらいのバカだ、こいつは。
姫宮に話し掛けられたときもあんなに嬉しそうにしてたのに、気を遣って自分から離れようとした。
自分と一緒にいたら、相手に迷惑が掛かるから。
だから、きっと結野は、自分の考えを曲げないかぎり、理想と友人、両方を得ることは絶対にない。
これから、ずっと。
だったら。
ひとりぼっちで、本当はすごく、すごく優しくて、でも最高に格好良い、どうしようもないバカのために―――
―――俺も思いっきり、バカになってやるよ。
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