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邪気眼少女の攻略法。

485心愛:2013/08/05(月) 18:59:37 HOST:proxyag011.docomo.ne.jp






「え……? お前……まさか、日永!?」




素っ頓狂な声を上げる愛川を、「気づくの遅っ」と笑ってやる。



「うそ。だって、眼鏡……」



「コンタクトだよ」



目の辺りを指差しつつそう言えば、向かいの相手はまじまじと俺を見て、小さく呟いた。



「変わった……な」



「だろ?」



愛川は、俺の予想通り―――小学校の頃、俺をいじめていたクラスの中心グループに所属していた、人気者の少年だった。
……ほんと、すごい偶然だよな。腐れ縁っていうか、運命の陰謀めいたものを感じるわ。


昔美羽と出逢った日、あの公園に駆け込む前に俺とちょっとした揉め事を起こした張本人だ。
すぐに眼鏡のことを気にしたのも、その罪悪感があったからなのかもしれない。


そんな、かなり曰く付きの相手だけど―――今は堂々と、愛川のことを見ることができる。



「まあそういうわけで、同じ小学校出身ってことで、仲良く話でも」



ようやくのことで理解して、居心地悪そうに視線を下に落としていた愛川が途端、顔を上げてキッと俺を睨めつけた。



「……意味分かんない」



「何が」



「何がって……決まってるだろ!?」



感情的に声を荒げる。



「俺……お前に、あんなことしたのに。その上、結野まで傷つけて、怒らせて。……それなのに、まだそんな、平気そうに」



「美羽のことは置いとくけど、別に、俺のことはどうでもいいし」



「はあ!?」



「んー、もう割り切ったっていうか。全然気にしてない」



あの一件だって、あのときの俺が妙にこだわっちゃっただけで、本当はただの事故だしね。


愛川はしばらく唖然とし、次に信じられないものを見る目を向けてくる。



「お前……ほんと、バッカじゃないの?」



「そうだよ。それくらいのバカじゃなきゃ、あの美羽と一緒になんかいられないっての」



その返しに、愛川はちょっとだけ、むっとしたような様子を見せた。
俺は再び、美空先輩がこの店で言った台詞を思い出す。




『分かっちゃうんだよねー。たまにいる、あたしじゃなくてその後ろに隠れてる美羽ちゃんの方を狙う子』




「―――お前さ。美羽のこと好きだったんだろ」




率直に言うと、分かりやすくびくりと肩が跳ねた。



「この前も、俺が彼氏だって勘違いして突っかかってきたんじゃないの?」



「……え? 違うのかよ?」



ぽかんとする愛川。


……え、と。



「いやー……まぁ、えーと、あのときは違ったというか、最近違くなくなったっていうか、」



「もういい。だいたいわかった」



愛川はうんざりしたように言い、色々と諦めたらしく大きく嘆息して。




「……結野のあんな顔、初めて見たんだ」




美羽を取り囲むようにしていた愛川たちの集団に俺が割って入ってきたとき、美羽の見せた表情にどうしようもなく苛立った、と愛川は言う。




「俺なんかに絡まれて、困ってたとこを助けられて……安心してる顔。心底、お前を信頼してる顔だった」



切なく物憂げな眼差しは妙に様になっていて、頻繁にこういう表情をしていることを窺わせた。



「そんなに俺と話すのが嫌かよ、って、すごいムカムカして……自業自得なのにな。ああ、今の結野にはちゃんと、そういう顔見せる相手がいるんだ、って」



―――多分、羨ましかったんだと思う。



最後に、愛川はそう零した。



この前言ってた中学のときの話聞かせて、と試しに頼んでみれば、ぽつりぽつりと語り出す。


自分目当てに群がる女に辟易としていた愛川は、よりにもよって、クラス中に嫌われる美羽に惹かれてしまった。
で、だんだん美羽といい感じになってきたのに、最終的には女友達の策略には嵌り込み、美羽を言葉の暴力で傷つけた。



「……うん? つーかさ、その女友達……ヤナセ? さん? がそもそも一番の原因なんじゃないの?」



「いや。あいつはどんな手段を使ってでも、俺をモノにしたかっただけ。自己中心的っていうか、いじめられてる子なんか眼中にも入れないような奴だから。俺のことがなかったら、結野を攻撃することもなかった」


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