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邪気眼少女の攻略法。
481
:
心愛
:2013/08/04(日) 20:44:13 HOST:proxyag102.docomo.ne.jp
『いやあやってくれたね圭くん! あたし今最高の気分だよ!』
テンション最高潮の美空先輩の声が、電話越しに俺の耳を圧迫する。
『ほんとはあたしがぶん殴りたいとこだったんだけど、変な噂になっちゃったら困るなーって必死に我慢してたんだよ! まさか圭くんが代わりにやってくれるなんて!』
さてはあいつか。
なんとなく察したらしく、目を逸らしてひゅーひゅー口笛を吹いている情報漏洩の達人を、俺は横目でギロリと睨んだ。
春山から彩、彩から美空先輩……ってどんだけ俺の妹は俺の友人関係掌握してんだよ。
っていうか先輩、噂がなければ殴る気満々だったんですね……?
『しかもあれでしょ? ついに美羽ちゃん攻略しちゃったんでしょ!? もー! 圭くんってばどれだけあたしを喜ばせれば気が済むのかな! 今すぐ感動のハグしてあげるよそっち押しかけていい!?』
「遠慮しておきます。……あ、そうだ。その代わりってわけでもないんですが」
俺は人差し指で頬を掻き、
「ちょっと頼みがあるんですけど」
゚・:*:・。☆゚・:*:・゚☆。・:*:・゚・:*:・。☆゚・:*:・゚☆。・:*:・゚
「―――ごめん。殴ったりして」
「お前、馬鹿じゃないの?」
目の前に座る爽やか系のイケメン様が冷たい一瞥をくれる。
こちらのテンションは最悪だ。
こいつのせいで、さっきから小声で「ちょっと、あの人カッコよくない?」「ほんとだー! でもその前の子は微妙だね」とか囁きが交わされている。ほっとけ。
「いや、いくら腹が立ったとはいえあれはさすがにやりすぎたかと思って。……でも、よく来てくれたよな。絶対断ると思った」
下げていた頭を元に戻しつつそう言うと、イケメン、もとい愛川は不機嫌そうに顔をしかめる。
「……別に、結野先輩に脅されたからだよ。……殺されるかと思ったし」
愛川の連絡先を調べ上げてコンタクトをとり、前にも先輩と入ったことのある喫茶店に来るよう話をつけてくれたのは、もちろん美空先輩だ。
小声で付け足された物騒な一言に、一体どういう手段を用いたのかは言及しないことに決める。
「痛い? それ」
「別に。お前の方が酷いんじゃないの」
つっけんどんだけど、お仲間にやられた俺の頬を心配するような台詞を吐くあたり、根っから悪いわけじゃないんだよなぁ、と俺は苦笑する。
今の愛川は猫を被っていないみたいだけど、こういうさりげないところ、いかにもモテそうだ。
そんな整った顔にうっすらとアザができているのを見て、いたたまれなくなる。
「俺は並みのツラだからいいけど、イケメンの顔に傷つけたとか、こう、後から罪悪感がですね」
「うっせ。……女の子との待ち合わせが、主役がこれじゃ、ってことでパスできてよかったくらい」
「あー、エサにされたのか。チャラチャラしてるように見えてそういうの苦手なのな」
「まあね。……って、なんで俺はお前とこんな話してるわけ?」
すごい。こいつこう見えて、いじりやすさは昴さんレベルだ。
分かりやすい不機嫌オーラを放出する愛川はしかし、店員の女性がアイスティーを持ってくると笑顔で会釈して受け取って、彼女が立ち去ると同時にまた不機嫌な表情になる。
なにこれ、超面白いんだけど。
「……で? どういうつもりだよ」
「うん?」
「なんで俺を呼びつけたんだって話。普通、こんな奴となんか二度と会いたくないはずだろうに」
自嘲してみせるその顔に、姫宮に連れられていく美羽を見送ったときのどこか寂しそうな表情、そして、古い記憶の面影が重なり、ちらついて―――
俺は確信すると、愛川にこう問いかけた。
「なあ。俺の名前、なんだと思う?」
「は? ヒナ、だろ」
「それあだ名!」
大して興味もなさそうな様子でストローを弄びながら言われ、ばんっとテーブルを拳で叩いた。
毎回ヒナヒナ言われてると最近感覚が麻痺してきたけど、ヒナって名字もそういう名前の男もそうそういないと思うんですがね!
「そうじゃなくて。俺の名前、日永、圭なんだけど」
「それがどう―――」
愛川は怪訝そうな眼差しで俺を見て、直後、はっと大きく目を開いた。
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