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邪気眼少女の攻略法。
477
:
心愛
:2013/08/03(土) 20:54:59 HOST:proxyag101.docomo.ne.jp
「い、意味が分からない……っ! 君は結局、何を言いたいんだ!」
かなり混乱しているらしくそんなことを言ってくる美羽に、「マジか……」と俺は頭を抱えた。
「ここまで言ったんだから察せよ、もー……」
「だから何を!」
「だから、」
頭が痛い。顔が熱い。心臓がうるさい。
拳を握り、ぐっと足に力を入れて。
俺は十年越しの想いを、告げた。
「―――美羽は俺の、初恋なんだ」
言葉に詰まり、呆然と見つめてくる美羽に、俺は胸の内を打ち明けていく。
「どんなに失敗しても、くじけそうになっても立ち上がって、また理想を求め続けるところが好きだ。バカみたいにまっすぐで、純粋で、強いところも」
「……ぼくは、強くない!」
悲鳴のように叫び、美羽はカタカタと震える。
俺を信じられずに、怯える。
「自分に都合のいい空想の世界に逃げ込んで、みんなに守ってもらうばかりで……っ。今日だって、何もできなかった!」
美羽の声には、小さな嗚咽が混じり始めていた。
歯を食いしばり、さらに続ける。
「ぼくが吸血姫(ヴァンパイア)なのも、魔術組織の魔女なのも、全部全部作り事だ! そんなの分かってる!」
全てを吐き出すように。
美羽は呼吸を荒げ、指で眦を拭った。
「でも、やめられないんだ! 弱いぼくは、この期に及んでも、まだ自分の理想を諦められない……っ!」
おそらく、自分でも何を言っているのか分かっていないのだろう。
ぐちゃぐちゃな思考で、ぐちゃぐちゃな声で、美羽は叫び続ける。
「ぼくは、周りに迷惑をかけるだけなんだ! そんな人間に、誰かに好きになってもらう資格なんてない!」
「もう一回言う」
美羽を遮るようにして、はっきりと声を発した。
「俺は美羽の“理想”に、救われたんだ」
美羽が息を呑む。
俺は彼女に、静かに語りかけた。
この想いが届くように、願いを込めて。
「柚木園と姫宮、それに春山。クラスのみんなだってそうだ」
俺と美羽を取り巻く仲間たち。
妙に個性的で、バカ騒ぎばかりでうんざりすることもあるけれど。
「あいつらは確かに、優しすぎるところがあるよ。でもさ、美羽と一緒にいるのが面白くて仕方ないから、やたらと構ってくるんだろ? 美羽がいい奴だって分かるから、色々絡んでくるんだろ? いるだけで迷惑がかかって、何とも思ってない奴とつきあうほど、あいつらだってお人好しじゃない」
さらに続けて、美羽にとって一番身近な例を持ち出す。
「美空先輩だって、美羽のことが大好きじゃないか。確かに美羽の全部を肯定してるわけじゃないかもしれないけど、それも美羽のことを一番大切に考えてるからだし」
迷惑なんかじゃない。
むしろ、逆なんだ。
ごく単純に、美羽といるのが心底楽しいから、俺たちは美羽を喜んで受け入れる。
「確かに美羽のソレは、世間様から見たら良くない、今すぐやめるべきことだって言われるよ」
美羽のことを良く知らない人なら、いや、たとえそうでなくても、それは普通のこと。
美羽のことを心配するからこそ、安全で正しい道へ導こうとする。
「でも、俺はそうは思わない。美羽が望んでやってることなら、それが一番いいと思ってる」
「……どうして」
うーん、と俺は考え、ひとつの答えを弾き出した。
「たとえば。美羽がそうやって、“理想”に近づくための演技を始めた理由って、格好良いって思ったからだよね」
「……そう、だが」
すぐに剥がれるくらい薄っぺらで、なのに強い意志で固められた仮面。
美羽がそれで、本来の自分を隠すようになったのは。
格好良くて、憧れるから。それもある。
他人を遠ざけ、自分の身を守るため。それもある。
でも多分、もっと根本的な理由があると思うんだ。
「美羽は、さ。本当は……強くなりたかったんじゃないかな」
美空先輩に、二人の過去を教えてもらったことを思い出す。
お父さんの会社の事情でクラスから仲間外れにされ、その反動で、人を寄せつけないようにするキャラを作るようになった、と。
そんな美羽を一番近くで、一生懸命に支えたのは、美空先輩だった。
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