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幻影師
88
:
ピーチ
:2012/11/26(月) 21:12:41 HOST:EM114-51-53-120.pool.e-mobile.ne.jp
『第六十一話・追っ手』
夕暮れの色に染まり出した時刻、二つの声が聞こえた。
「しばらく、様子を見てからのほうが……」
「いや、今でないと駄目だ」
落ち着いた青年らしき声と、どこか何かに怯えたような声。
本当なら、今すぐにでも飛び出して行きたい。
しかし、奴らが居るから。
奴らさえ居なければ、ここまで怯える必要もないのに。
「………とにかく、今は大人しくしていよう。な?」
小さく唇を噛んだ少女は、しかし青年の言葉に力なく頷いた。
「……分かり、ました…」
「…夕に、頼んでみるよ。彼を連れて来てくれるよう…」
―――宮神 霊を、連れて来てくれるよう―――
「―――…まァ、そろそろ大丈夫じゃねェの?」
「そうね……今日は帰りましょうか。ちょっと待って、誠也達呼ぶから…」
弥生の言葉に、霊が慌てて言った。
「い、いやいいよ! さすがに何でもかンでもってのは……」
「いいのよ。でないと私が怒られるし」
「へ」
彼女の話によると、どうやら初めのうちに連絡をするよう言われていたようだ。
「…なーるほど」
なら、確かにそのまま帰れば弥生が責められることは避けられないだろう。
「でしょ? だからちょっと待ってて」
「……へーい」
結局、緋織達が来ることを待ってから帰る羽目になったことは、言うまでもない。
ぴんぽーん。
唐突に、チャイムが鳴った。
「あ?」
つい先ほどに、誠也達は帰ったはずだ。ならば、何かを忘れない限り戻ってくることはまずありえない。
ならば。
「…………っ……」
不意に、霊の背筋を冷たいものが駆け降りた。
どくんと、鼓動が早鐘を打つ。それがとてつもなくうるさい。
「…誰だ」
警戒心を露にしながら、霊がほんの少しドアを開ける。
それとほぼ同時に、外から引っ張られたドアが勢いよく開け放たれた。バランスを崩しかけた霊が何とかそれを保ったと同時に、口元に何かを当てがられる。
「―――………っ……!?」
突然のことに抵抗できず、やっとほんの少し抵抗を試みるが、段々と意識が遠退いていった。
「―――おかしい」
携帯を戻しながら呟いた誠也の一言に、弥生と緋織が同時に返した。
「え?」
「いくらあいつの携帯にかけても、留守電にしか入らない。…何かあったのか…」
だが、たとえそうだとしても、いつ。
家までは三人で送ったし、しばらく彼の家に入り浸っていた。何かあるとしても、その後。
「……まさか、とは思うけど…」
緋織の呟きを聞き、二人の表情が険しくなる。やはり、可能性はあるわけだ。
「…探すぞ。花音さんに言えばいい。人手は、多い方がいい」
誠也の言葉に、二人が立ち上がった。
89
:
ピーチ
:2012/11/28(水) 22:15:01 HOST:EM114-51-128-244.pool.e-mobile.ne.jp
『第六十二話・誘拐』
「………っ、てェ…」
特別どこかが痛むわけではないが、ずっと動いていなかったせいで体の所々が痛む。
朦朧とした意識の中でも、今居る場所が何らかの乗り物であることは察せられた。普通の建物に居て、景色が動くはずがない。
「……あ。目、覚めたか?」
唐突に聞こえた声に、霊が視線だけを向けた。見ると、運転席の所から声をかけてきた青年の姿が見受けられた。
「手荒な真似をしてすまないな。でも、これは友人たっての頼みだから、大目に見てくれ」
苦笑する青年に、霊が冷え冷えと言い放つ。
「そのお友達たっての頼みならこーンなガキを誘拐してもいいワケだァ? へーえ?」
「まぁ、そう言うなよ。どうしても君に頼みたいことがあるらしいんだ」
「じゃあ何で普通に連れて来なかったワケェ?」
「何でも、断られたら後がないからとりあえずどうにかして連れて来てくれと」
青年の言葉に、霊が一瞬頭の中が混乱した。だが、整理さえ終われば。
「………つまり、断られる前に強硬手段に出ましょうか、ってワケ?」
「まぁ、そうとも言うな」
笑った青年に対し、霊はどこまでも警戒を解かない。
「さて、もう少し時間はかかるが、待っててもらえるかな」
「ここまでがっちがちに縛り上げといて待つも何もないと思うのはオレだけかよ」
「うん。そうだろうな」
今の霊の状態は最悪そのもの。車に乗せられているうえに、動けないようにか手足を縛り付けられている。
それも、普通に縛るだけならまだいいのかもしれないが、なぜか無茶苦茶なほどにきつく。
この状態では、逃げるなどできるわけがないと、霊は諦めて嘆息した。
90
:
ピーチ
:2012/11/29(木) 21:05:53 HOST:EM49-252-130-126.pool.e-mobile.ne.jp
『第六十三話・捜索』
「―――霊が居なくなったぁ!?」
素っ頓狂な声を上げ、警察署の部屋の一角に居た女性が、目を瞠った。
「はい、一応家までは送ったんですけど……」
「その後、しばらくあいつの家に居たしな」
弥生と誠也の言葉を受け継いで、緋織が言った。
「だから、多分その後で何かに巻き込まれたんじゃないかと……」
「…好きねぇ、厄介ごと持ち込むの…」
半ば呆れたように呟いた花音の言葉に、緋織と弥生が渋面を作る。
「…好きで持ち込んでいるわけじゃありません」
「同じく」
弥生の言葉に緋織が賛同し、軽く花音を睨めつけた。
「……とにかく、探してくれるよな? 俺達だけだと、色々と難しい」
「分かってるわよ」
誠也の言葉に頷き、花音が立ち上がった。
車に乗せられて三十分ほど。
それまで苦笑する青年を睨み続けていた霊は、車が止まったことを認めて外を見た。
「…ここは……?」
「俺の友達の、別荘?」
多分なと笑う青年を最後まで睨み続け、青年は苦笑してそれを受け流す。
「……いー加減、これ解いてくれてもいいンじゃねェの?」
「まーだ。あいつらに会うまでは待てよ。どうせ今まで待ったんだから」
「……………………………」
納得のいかない霊である。
そもそも、ここは見る限りどこか林の中だろうし、ここに来るまでの道を、三年ながら彼は見ていない。
つまり、今ここで戒めを解いた所で霊が逃げられるわけではないのだ。
そんなことをつらつらと考えている矢先、青年の声が耳に飛び込んでくる。
「お、来たな」
少年の、不揃いの髪がさらりと揺れた。
「―――……え…?」
この男の友人、と言っていたから、てっきり男かと思っていたのに。
目の前に居るのは。
「お、女……?」
淡い山吹の瞳を見開いた可愛らしい少女が、彼の両腕を見つめている。
しばらくして、はっとした少女が、慌てて霊に駆け寄った。
「み、三井(みい)さんっ! 何もここまでしなくても……っ!」
ふわりとヴェーブがかった髪を揺らし、少女が霊の腕に巻き付いた縄を解こうと試みる。
「い、いやそれあんまり適当にやると………ってて、痛い、痛いからっ!」
突然の少女の行動に虚を突かれた霊が、慌てて否定したが遅かった。
「あ…ご、ごめんなさいっ!」
「―――もしかして、君が?」
唐突に聞こえた声に、霊の表情が険しくなる。
青年のような。目の前に居るこの青年と同年か、それより一つ二つ上か。
「手荒な真似をしてすまない」
その青年の口調に、少年の肩がびくりと震えた。
似ている。あの男に。違うと分かっていても、やはり心のどこかで恐れていたのだ。
かたかたと小刻みに震え出す霊を見て、青年が首を傾けた。
「…どうか、したかい?」
「何だよ」
「え?」
「何の目的で、オレをこんな場所に連れてきたワケ?」
少年の漆黒の双眸が、剣呑に光った。
91
:
ピーチ
:2012/12/01(土) 13:22:43 HOST:EM1-115-75-171.pool.e-mobile.ne.jp
『第六十四話・守り人』
少年の言葉に大して狼狽えた子もない青年は、しかし暗い表情で言った。
「実は………」
彼曰く。
「―――理由も分からず気付いたら変な奴らに追われてたぁ?」
…らしい。
「…本当に悪い。だが、俺達だけじゃどう足掻いても敵わないんだ。せめて妹だけでいい。守ってやってくれないか?」
青年の言葉に、傍にいた少女が目を剥いた。
「な………っ、兄様!? 話が違います、二人とも言ったではありませんか!?」
少女の言葉に、青年の茶色の髪が彼の顔に覆い被さる。
「それはそうだが、いくら何でも失礼だろう? お前は追われる必要はないんだ」
「それは兄様だって同じです! 私だけが逃げる意味はありませんっ!」
「…里葉(りは)…」
「……うるっせェなァ」
「え?」
唐突に言った少年の言葉に、二人が同時に問い返した。
「ごちゃごちゃ言ってねェで、二人一緒にどっかに匿っときゃいーンだろ? そンぐれェでごちゃごちゃ言うなよ。耳障りだ」
明らかに嫌そうに言ってのける霊は、しかし既に決めていた。何としてもその輩を日向に引きずり出すと。
「…で? どんな奴なんだよ?」
不敵に笑った少年が、厳かに問うた。
92
:
ピーチ
:2012/12/06(木) 20:15:42 HOST:EM1-115-118-103.pool.e-mobile.ne.jp
『第六十五話・約束』
「で? どんな奴なワケ?」
厳かに問うた少年の言葉に、二人が顔を見合わせた。
「……本当に、いいのか?」
「何が」
「俺達二人とも、なんて…」
「無理だと思うなら、アンタが妹さん守ってやればー?」
あくまで軽く言う霊だが、内心冷や汗だらけだ。
やべェよなこれいくら何でもあいつら帰った後にこんな厄介ごとに巻き込まれたとか知られたらタダじゃ済まないぞ絶対。
と言うのが霊の胸中であって、断じて今の霊にここまでの余裕があるわけではない。
「………赤茶系の髪に、茶色い目…」
「…え?」
「笑ってても不気味に見えて、それで名前は―――」
「佐藤」
青年の言葉を遮った霊が、彼の言いかけた単語を言い、二人が目を剥いた。
「な…んで、それを…」
「…残念なことに、オレも狙われちってるワケよ、その佐藤さんにさァ…」
同じ奴じゃないと思うけどな、と言い加え、彼の表情が沈んだ。
「で……そいつの名前は?」
「…佐藤、圭人(さとう けいと)…」
名前を聞いて、初めて聞く名だと思う。
まぁ、元々敵対しているので、無理もないが。
「……あッそ。ンじゃ、どっかそこら辺隠れてな。特に、そっちのはさ」
「へ?」
少女―――里葉と言うらしい―――を指し、霊が低く言った。
「オレの味方か敵か、そりゃまだ分かンねェけど……」
―――何かが、近付いてくる。
93
:
ピーチ
:2012/12/09(日) 16:03:59 HOST:EM114-51-164-105.pool.e-mobile.ne.jp
『第六十六話・仲間』
―――何かが、近付いてくる。
霊の言葉を聞いた少女が怯え、青年が彼女を庇うように前に出た。
「―――居たっ!」
「へ?」
あの声は、まさか。
「かみ、せ………?」
「何だってこんな所に居るのよ!? 弥生も誠也も私も、花音さんだってどれだけ心配したか分かってんの!?」
長い漆黒の髪を揺らし、唐突に飛び出してきた緋織の言葉に、霊が目を瞠った。
「…え?」
「だーかーらっ! 誠也達だって心配してたのよ! 貴方の家出てから少ししか経ってないの連絡取れなくなって!」
「あ、そっか……」
すっかり忘れていた。そういえば、そんな成り行きで今自分はここに居るんだった。
「……ま、それは置いといてさァ。一つ頼みあンだけど」
「…何よ?」
緋織の返答を聞き、霊が“佐藤”の話をし始めた。見る見るうちに、緋織の表情が強張っていく。
「じゃ……それで…」
「オレがここに連れて来られたってワケ。まーさかオレだってドア開けた瞬間に誘拐されるなんて考えもしねーよ」
苦笑しながら言った霊の言葉に、緋織が小さく息を吐いた。そして。
「…とにかく、警察に保護してもらえば?」
「無駄だったんだと」
「え?」
「それが無駄だったらしく、最終的に元殺し屋のオレに縋り付こうと思ったんだと」
「―――え…?」
元、と言ったか。今確かに、そう言ったはずだ。
「じ、じゃあ今は…」
「今は警察に協力してるよ。オレを狙った奴をとっ捕まえるためにさ」
そして、ふと少年の表情が和らいだ。
「それに、今オレが居る部署なら、いわゆる外れ組だから無条件で匿ってくれるんじゃねェ?」
そう言って緋織を見て、彼女がそれに応じる。
「そうね。まぁ、部署って言っても二人しかいないからだけど…大丈夫よ。行きましょう?」
言って、緋織がこう付け加えた。
「お互いを護りたいなら…ね?」
その言葉を聞いて、二人が顔を見合わせた。
94
:
ピーチ
:2012/12/09(日) 17:36:44 HOST:EM114-51-164-105.pool.e-mobile.ne.jp
『第六十七話・隠れ家』
「―――で、突然連絡取れなくなったのは自分でもわけ分からないうちに連れ去られたから……と?」
「そ、そーそー」
最早愛想笑いの霊を見て、緋織の眉間にしわが一本刻まれた。
「そーそー、じゃないわよ!! 私達がどれだけぢ心配したか分かってんの!?」
「神瀬から聞きました」
苦笑交じりの霊の言葉に、花音が小さく息を吐き。
「……まぁ、無事だったんならそれにこしたことはないけど…」
呆れ交じりに呟かれた言葉に、傍に居た弥生と誠也も首を縦に振った。
「全くだな」
「いくら何でも、私達が帰った直後にそんな変なことに巻き込まれる?」
「…るせ」
ばつが悪そうに顔を背ける霊の耳に、少女の声が響いた。
「兄様、警察は駄目だとあれほど………っ」
「…今は、信じるほかないだろう?」
何せ、大切な妹を護るためだ。そのためだから、仕方がない。
「……本当に、守ってくれるんですか?」
青年の言葉に、花音がうーんと首を傾けた。
「守るっていうのとは、少し違うわね。私達はあくまでも、匿うだけ」
彼女の言葉に青年が目を見開く。だが、当人は全く気にしない。
「匿えるかってことを聞かれたんだもの。わざわざ守る必要まではない」
でも、と花音が付け加える。
「だから、ここに居れば安心だし、必要なものがあれば頼めばいい。ここに居るのは、一人じゃないから」
にっと笑った女性の言葉に、少女が問うた。
「もう、逃げる必要はないのですか?」
「…そうねぇ、居場所が捕まれない限り、問題はないと思うけど…」
そのために、わざわざ人目を避けてここに連れてきたのだ。これで見つかろうものなら、今までの苦労が水泡に帰すではないか。
「まぁ、見つかったら見つかったで霊達に守ってもらえば安心よ」
「おい、何だその無責任な言い方は」
霊が、思わず半眼になって詰め寄った。花音は苦笑しながら、
「ほら。こーんなに怖いお男が居るのよ、多少の問題はないって」
そう言って笑った花音が完全に全てを諦めたことを悟り、霊達が揃ってため息を吐いた。
95
:
ピーチ
:2012/12/15(土) 00:15:23 HOST:EM1-114-162-231.pool.e-mobile.ne.jp
『第六十九話・守り手』
―――夜の闇に影のモノが誘(いざな)われ、そろそろと姿を現す時間。
「―――……なァ、もう大丈夫なんじゃねェのー?」
とても億劫そうに首を巡らせた霊が、後ろに居る誠也に問うた。それを受け、誠也も同意する。
「確かにな。あの後追っ手が来たとか言うなら、話が別だが……」
今のところ、そのような話は聞き及んでいない。それどころか、彼はまだ青年達の名前さえ知らないのだ。
「今から帰るか?」
その後で聞けばいいと言った誠也の言葉に頷き、二人が夜道を歩き出した。
「で、何もなかったのね?」
「ったりめーだ」
「もし何かあったら、今ここに居ない」
確かにね、と呟く緋織の後ろに、あの少女が居た。
「あぁ……どうしたの?」
優しく問う緋織に、少女が恐る恐る尋ねた。
「あの人達……もう来ませんか?」
少女の問いに、緋織が軽く目を瞠る。霊も誠也も、同様に。
「兄様が、一人で行こうとするんです。あの人達が居ると……」
それが、自分を守るためだと言うことは分かっている。だが。
「………そー言えばさ、君名前何て言うの?」
珍しく優しげに言う霊に、緋織が目を瞠った。
「…そんな言葉、使えたの?」
「オレ様何歳児だと思われてンですかねー?」
「里葉」
「へ?」
唐突な少女の答えに、一同が同時に問い返した。
「秋村、里葉(あきむらりは)です……」
心なし怯えを感じさせる語調で、しかし少女ははっきりと言った。
96
:
森間 登助
◆t5lrTPDT2E
:2012/12/20(木) 16:59:05 HOST:180-042-153-139.jp.fiberbit.net
どうも、お久しぶりです。森間です^^
……というか、ずっと評価の依頼出来なくて申し訳ありませんm(_ _)m
私情を挟んでしまうんですけど、塾だの何だのと結構忙しかったもので、全然私的な時間が取れなくてこんな時期になってしまいました。心からお詫びさせていただきます(汗)
さて、では御託はいいからさっさとやってよ、って思われそうなので、早速評価に移りたいと思います。
描写(D)
前回の批評でも言ったんですけど、やはりここが弱いかなぁと思います。
具体的に言うと、描写力その物はレベルが高いと思います。比喩表現もよく使いこなせていましたし、一人称とマッチさせた三人称主体の文章は中々良かったと思います。
しかし、前回と比べて文章が意味の通らない部分が目立ったり、句読点が上手く使えていないところが読んでいて見受けられました。また、前回課題とした(勝手極まりないですが)描写の量があまり改善されてないかなと……。やはり読んでいて、え? これってどうなったの? と思うところが結構ありました。
ただ、表現力は語彙力が多いのでしょうか、中々レベルが高かったので、そこら辺は自信をもって良いと思います。
テンポ(C)
前回と比べると、中々改善されてきているのではないかと思います。
ただ、会話文がプラスされていたため、上で述べた情景描写などのテンポについては改善の余地有りです。会話文については、量が増えたとは言いましたが会話ひとつひとつが短いので、そこら辺のテンポは問題ないと思われます。
レベルアップを図るには、読書量を増やす(読書を全くしていないのであれば読書の習慣を付ける)など、出版されているものからヒントをもらうと良いと思います。
ストーリー(A)
殺人業を営む主人公の心の変化が良く読み取れる良いストーリーだと思いました。
周りの人間に支えられながら、何か彼の中で変わってゆく心情に思わず同情してしまいました。しかも、やっぱり相変わらずのお愛想と言うところは、キャラクターの個性を尊重していて良かったです。
ただ、要所要所で出てくる回想シーン(?)がちょっと話しの流れを邪魔していたかなと思います。時間移動は結構時間軸を曖昧にさせて、読者を混乱させますので。ピーチさんはどっちかというと、回想使わなくても面白く書けると思いますよ。
キャラクター(A)
前回同様、やはりキャラクターの立ち位置が良かったですね。また、キャラクターの性格を把握して上手く面白い展開に持って行けていると思います。
ただ、佐藤一輝の台詞が多少ご都合主義的な感じがしました。何かわざと悪役を演じているような感じ……でしょうか? 佐藤一輝にももう少し明確な行動原理があれば良かったと思います。
読後感(B)
ここだけは時間の問題上仕方がないことなので、
>>59
までの読後感を述べたいと思います。
全体的に伏線はシッカリしていて悪くなかったと思います。ただ、やはり上で述べた描写などで色々と解消した方が良い謎が解消されていなかったので、惜しくもBと言うことでご理解ください。
総評(B)
すみません、同じ事を繰り返すようなんで悪いんですけど、やっぱり描写の部分で失ってるところが大半ですかね……
これを上達させないことには中々…… 描写が曖昧なせいでストーリーが伝わってこないと言うこともありますし、今回も甘口というわけでこの様な評価となりましたが、描写一つで結構作品全体のバランスが良いか悪いかが出てきます。
上達したいのなら、やはり読書を増やすことがお薦めです。児童書でも良いので、何冊か読んで、自分なりに考察してみてください。
あんまり言いたくないんですが、文章として意味が成り立っていないところがありましたので、これからは描写を気を付けることをお願いいたします。また、今回の依頼で二回目という事ですので、今後意味の成り立つ文章(つまり、最低限度の文章作法のことになります)が出来ていないと評価対象外となりますので、お気を付けください。
……まあ、それでも他の部分はオールクリアしているので、ご心配なく!
描写ひとつに全部が振り回されないよう、それだけお気を付けください^^;
それでは、前より短くなってしまいましたが、ご利用ありがとうございました。次の依頼を楽しみにしております!
97
:
チェリー
:2012/12/20(木) 18:41:28 HOST:ntfkok217066.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
評論家気取りモリマン
98
:
ピーチ
:2012/12/21(金) 13:34:48 HOST:EM114-51-137-129.pool.e-mobile.ne.jp
森間さん>>
ありがとうございますー!
うー…描写、結構入れてるつもりだったのに……
描写の量、増やしてみます! ありがとうございました!
99
:
ピーチ
:2012/12/23(日) 17:27:26 HOST:EM49-252-189-107.pool.e-mobile.ne.jp
『第七十話・信頼』
「分かってるな? お前は、宮神の気を引いてさえいればいいんだ」
嘲りを含んだ声が、辺りに木霊した。
「―――分かって、いる」
相手の返答を受け、佐藤が嗤(わら)った。
「そうそう。そうやって大人しくこっちの頼みを聞いてくれさえすれば、君達に危害を加えるつもりはないよ」
つまり、何らかの形で裏切りがあれば、何の容赦もなく手にかけるということか。
佐藤を見据えた男が、小さく歯噛みした。本当なら、霊を裏切るような真似などしたくない。
だが。
「…………っ…」
あの子を、守らなければいけない。どんな卑怯な手を使っても、あの子だけは。
関係ないのだ。関係ないのに、なぜ巻き込まれる必要がある。
「――――――悪い、本当に―――……っ」
全ては、関係ないことに巻き込まれたあの子を救うため。
男の両眼(りょうがん)が、鈍い輝きを放った。
「里葉ちゃん?」
声をかけられた少女―――里葉は、弥生の声ではっと我に返った。
「は、はい?」
「どうしたの? 顔色悪いよ?」
「え、」
何か言い返そうとした直後、弥生が里葉の額に手を当てる。
「んー……熱はないかなぁ…」
小さく呟いた弥生がちょっと待っててねと言い残し、その場を離れた。
「……兄様………?」
不安げに呟かれた声に、答える声があった。
「大丈夫じゃねェの?」
「え?」
振り返ると、何とも居心地の悪そうな表情をした霊が、それでも必死に作り笑いを浮かべていた。
「そのうち帰ってくるって、多分」
霊の言葉に、里葉が小さく笑った。
「…ですね、そうですよね」
薄く笑い、彼女が呟いた。
「きっとそのうち、帰ってくる………」
それを聞いた霊が、にっと笑った。
「あァ」
100
:
名無しさん
:2012/12/26(水) 22:03:09 HOST:EM114-51-172-214.pool.e-mobile.ne.jp
『第七十一話・謝罪』
全ては、関係ないことからあの子を護るため。
もちろん、彼は許してなどくれないだろう。
初めから計算されていたことなど、無力な自分達にでも分かる。分かってしまう。
でも。
―――絶対、一人で無理なんてしないでくださいっ!
そう言って膨れていたあの子を護るためなら、自分はどうなってもいい。
冥く光った青年の双眸は、しかし何も捕えることはなかった。
「あ……っ!」
少女の瞳が“彼”を映し出した。
「兄様!」
「ん? どうかしたか?」
「どうかしたか、ではありません! なぜ勝手に居なくなったのですか!」
喚き散らした里葉は、しかしはっと我に返って霊を見た。
「霊さんがそのうち帰ってくるって言ったちょっと後に帰ってきたんですよ、兄様」
楽しそうに言った少女の言葉に、青年―――優雨と言うらしい―――の表情が暗くなった。
「………? 兄、様…?」
「あ? あ、あぁいや、何でもない。悪いな、いつもいつも」
そう言った優雨の表情は、どこまでも暗かった。
優雨達が隠れ住むようになってから、そろそろ一ヶ月が経とうとしていた。
「あれ?」
緋織の声に、弥生が
「何? どうした?」
そう問うてくる。それを受け、緋織が呆れたように言った。
「……優雨さん、こう毎回毎回出歩かれたら気付かれるのも時間の問題だと思いますよー?」
何せ、彼は勘がいいのだ。気付かれないようにするには、やはり里葉のように閉じこもっているのが一番だと思うが。
直後、どこからか携帯の着信音が鳴った。
「へ?」
「え、誰の?」
周りを見れば、捨て置かれたような黒い携帯が視界に映る。
「これ、優雨さんの携帯じゃ……」
しかし、携帯の画面を見て、二人がさっと青ざめた。
血の気が引いていく。
「……どうする?」
「私達が出たら、怪しまれるんじゃ」
「でも里葉ちゃんにさせるわけにもいかない」
二人でこそこそと言っている間に、着信が切れた。
「あ…………」
「どうした」
突然聞こえた声に、二人が振り返った。誠也が、壁にもたれてこちらを見ている。
「それ、誰からだ?」
「………佐藤」
緋織の言葉に、誠也がはっと目を瞠った。なら、まさか。
「出歩くなって、あれほど言ったのに………!」
刹那。
再び、携帯が鳴った。二人が誠也を見て、彼の指示を仰ぐ。
誠也は小さく息を吐き、携帯を取り上げた。
「…………秋村優雨は、無事なんだろうな」
率直な言葉に、相手が笑った気配があった。
“相変わらずはっきり言うね…まぁ、それは君達次第だな”
「どういう意味だ」
“言葉のままさ。……分からないようなら、これならどうだ?”
佐藤の声が、一段低くなった。
“……俺はさ、宮神が邪魔なんだ。もちろん君らも邪魔だけど、あのガキはそれ以上に邪魔な奴。だから、宮神を殺せれば俺はそれでいいんだよね”
楽しそうに語る佐藤の言葉を、誠也は表情を変えることなく聞き続ける。
“だから、こうしないか? 宮神をここに連れてくる。それを受けるなら場所を教える。”
教えた後で霊を連れて来なければ、優雨を殺すというわけか。
「分かった。場所は?」
誠也の言葉に、佐藤がにぃと嘲った。
“――――――”
101
:
辰魅
:2012/12/26(水) 22:19:37 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
ピーチさん (…今は名無しさん?
100スレおめでとうございます。
題名や一話一話の話名が面白いです(笑
次は150スレですね! 頑張って下さい!!
102
:
ピーチ
:2012/12/27(木) 14:05:44 HOST:nptka407.pcsitebrowser.ne.jp
辰魅さん>>
初めましてー! 100レスは越えたけどそろそろ終わってしまいますです←
番外編も入れるつもりだけどw
103
:
ピーチ
:2012/12/29(土) 23:23:55 HOST:EM114-51-188-209.pool.e-mobile.ne.jp
『第七十二話・新たな力』
「…………」
霊が、小さく舌打ちした。
「くそ……ッ」
―――秋村優雨が、佐藤に捕られた。
淡々とした彼の言葉が脳裏に蘇り、霊がくしゃりと前髪を掴む。
「…ら、こら、そこの小僧」
「……へ?」
唐突に聞こえた声に、霊が周りを見回した。そして。
「うわァッッ!?」
よくよく聞けば、その声は己の背後から聞こえていた。そう思って後ろを見たところ。
「なんだい、人のことを幽霊みたいに。もう少し礼儀ってもんがあるだろう」
小柄な老婆が、自分の後ろにぴったりとくっついて来ていた。
「そッそっちこそ何だよ居るなら居るで……」
言い差して、ふっと霊が思案する。ところで、この老婆は誰だ。
「…なァバアさん、アンタ誰?」
直後。
霊の頭上に、星が廻った。
「ッてェ!?」
「見ず知らずの人間に向かってあんたとはなんだいあんたとは」
そう言った老婆の眼鏡の奥の瞳が、きらりと光った。
したたか殴られた頭を抱えながら、霊が半眼になって問う。
「……で、その見ず知らずの人間に何の用?」
老婆が、あぁと呟いた。
「そうだったそうだった。忘れるところだったわい」
「こンのクソババァ―――ッ!?」
叫び終わると同時に、またしても頭上に星が廻る。どうやらこの老婆の手は、見た目の通り皮と骨だけのようだ。
「てェ……!」
「もう少し礼儀を覚えんかい。全く、最近の若い者は」
「で? オレに何の用?」
そろそろ自棄(やけ)になった霊が、呆れたように問うた。それを受け、やっとのことで老婆が本題―――彼女からすればだが―――に入る。
「あんた、普通の人間じゃあないね。大方、幻影師の類だろう」
「―――…え……?」
「あたしもなんだよ」
老婆の言葉に、霊はそれこそ驚いた。
「ただ、その様子じゃ具現化できるって程度だろう? もっと他の方法を教えてやろうか?」
「他の……方法…?」
霊の言葉ににっと笑い、老婆はまるで秘密を打ち明けるかのように楽しそうに、言った。
「あっ!」
唐突に、緋織が声を上げた。
「宮神君! 今までどこ居たのよ?」
「あ? あ、あァ…悪ィ、ちょっと色々あってよ」
「優雨さんのことがあって、それ以上に大事なことだったの?」
緋織の呆れたような言葉にも、彼は何も返さない。漆黒の瞳は、少しも動かなかった。
「………?」
「さぁて」
不気味に嘲った青年が、傍に座り込んでいる青年を見た。
「そろそろ来るかな……秋村はどう思う?」
「………………」
彼の瞳は少しも動かない。見開かれたまま、あらぬ方を見つめている。
「……口が利けないわけじゃないんだよ?」
「…言ったからな」
「うん?」
微かに震えた、小さな声を聞き、佐藤が問い返す。
「言ったからな。……もう、俺達に手は出すな」
妹にだけは、親友にだけは。
「あぁ……そういや、そんなことあったけなぁ」
「な…………っ!?」
「分かってるよ。もう、君達に手は出さない」
これが、終われば。
にぃと嘲った青年の表情が、狂気に歪んだ。
104
:
ピーチ
:2012/12/30(日) 12:09:05 HOST:EM114-51-129-80.pool.e-mobile.ne.jp
『第七十三話・影魂(えいこん)』
ざっと、いくつかの足音が響いた。
「おっ」
楽しそうに身を乗り出した佐藤が、やっぱりなと笑う。
「一人で来るよう言った方が良かったのかな」
一人で楽しそうに笑う佐藤を視界の隅に映し、優雨が小さく震えた。
彼の指している人物など、見なくても分かる。
―――オレを筆頭に全員強いからさ、安心しろよ。
悪ふざけのように言われた言葉に、彼女はとても安心したように見えた。
「………っ…」
本当なら、こんなことしたくない。
でも、しないとあの子は。
「―――悪い……」
僅かに震えた声ともう一つ何かの音が、辺りに木霊した。
「秋村優雨は、無事なんだろうな」
「君も、明神と同じこと言うんだねぇ」
突然の霊の言葉に笑みを返し、佐藤が言った。
「無事だよ。でもまぁ返す前に…………」
にぃと嘲い、彼を指し。
「―――君に、先に死んでもらうけどね」
同時。荒れ狂う灼熱色の龍が、霊に襲いかかる。
咄嗟に身を翻した霊の傍で、あの声が反復した。
―――いいかい、これは、本当に覚悟を決めた人間にしかできないことだよ。
その後、彼女は。
―――これは、…………って、言うんだ。その名の通りに、影に…
「魂を…」
宿す。
霊の小さな呟きに、誠也が彼を見た。今、彼は何と言った。
「おい霊……」
「それが…」
―――影魂(えいこん)。
その通り、己の影に魂を宿し、時に形代となる。
―――ただねぇ。
老婆の優しそうな穏やかな声が、脳裏に幾重にも反復した。
―――これは、自分の命を半分、
「影に差し出す。…これが、影魂」
不意に笑った少年が、ふっと佐藤の眼前へと向かい出る。
「……え?」
彼はさすがに虚を突かれたように目を瞠り、しかしやがて笑い出した。
「…………そんなに早く、死にたかった?」
ざっと、何かを貫く音が聞こえた。
「あ……………っ!?」
両の目を大きく見開いた霊が、そのままゆっくりと崩折れる。
同時に、佐藤の口から笑みが零れた。
「よくやるね。……これも、作戦の内か?」
動かない霊に見向きもせず、彼は正面を据えた。
同時。
小さな足音が聞こえ、不揃いの髪を無造作に束ねた霊が現れた。
「…よく分かったな」
「そりゃまぁ、近くまで来(く)ればね」
「……アンタの目的って何なワケ? オレを殺すことかよ?」
少年の言葉に、佐藤は笑みを噛み殺しながら。
「そうだな…元々、そっちの人間を狙ってたけどね。…君が居るなら、君一人でいいかなと思ってね」
佐藤が楽しそうに言っているとき、背後に何かが迫っていた。
一瞬遅れてそれに気付いた霊がはっと後ろを顧みると同時。
―――ぱん。
乾いた銃声とともに、霊がゆっくりと前のめりになる。
「―――え……?」
今の、銃声は。それを撃ったのは。
「秋村さん……?」
見開かれた緋織の瞳が映し出したのは、血の気を失った優雨の姿だった。
105
:
ムツ
:2012/12/30(日) 14:21:32 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
ピーチさん》
題名で戦い系かなと思って、読みましたぁー!
そして今までの全ての話を読ませて頂きました。
率直な意見を言うと、面白すぎました…!!
もうチョットで終わると聞いて、少しガックリです…
番外編をやると聞いてガッツポーズです(^O^)!
これからも応援、絶対します!
なので、これからも小説頑張ってください!!
106
:
ピーチ
:2012/12/30(日) 15:54:22 HOST:EM114-51-157-47.pool.e-mobile.ne.jp
ムツさん>>
初めましてー!
面白くないですよこんなの駄文ですよ?
そろそろ終わるけどまぁ番外編もあるし他の小説もあるんでよかったら読んでみてねー←
107
:
ピーチ
:2012/12/30(日) 16:42:31 HOST:EM114-51-44-25.pool.e-mobile.ne.jp
『第七十四話・別れ』
一瞬だったはずの出来事が、やけに短く感じられた。
「なん………で…っ」
優雨が、なぜこんなことを。
「妹のためだよ」
「………え?」
佐藤の言葉に、緋織が目を見開いた。
「いくら逃げようとも、見つけたらそれまで。その時点で殺すって言ったら妹だけは助けろって言ってさー」
笑みを含んだ青年の言葉に、緋織が優雨を見る。
彼は、右手に持った銃を凝視し、その後で倒れた少年を見る。
「……あ…………」
これで、彼女に危険は訪れない。
だが、本当にこれでよかったのか。
今なら、急げば間に合うはずだ。でも、そんなことをすれば。
混乱した頭で、しかしそう考え、彼は結局動けない。
そうしている間にも、緋織達は慌てて手当に移っている。
「宮神く……」
「ろ…」
「え?」
霊の掠れた声を僅かに受け、緋織が聞き返す。
「やめろ…余計なこと…る、な………っ!」
急所は外れたものの、恐らく肺を撃ち抜かれている。このままでは、霊が尽きるのは時間の問題だろう。
だが、それでも彼は。
「いいから……またアイツらが狙われるんだぞ…!?」
それに、自分は。
幼い頃から、幾度となく人を殺(あや)めてきた。恐らく自分の罪は、その命を以てなお、贖いきれるものではないだろう。
それが分かるから、彼らを護ろうと思うから。
その命を護るためなら、いい。
「…よくやったな。もう君達に手出しはしないから、安心していいよ。神瀬達も、もう殺そうなんてしないからさ」
笑いながら言った青年の姿が消え失せた直後、優雨が地に座り込んだ。
「……悪い。里葉のためなんだ………」
彼女の、未来のため。
「その未来のためなら、そう変わらない子供の命を奪ってもいいの!?」
声を荒げた弥生の言葉に、優雨は返さない。分かっているから反論が出来ない。
「―――おい、嘘だろ? 宮神?」
突如として聞こえた誠也の声に、二人がはっと彼を見る。
血に染まった手は、ぴくりとも動かない。
「そ…………………な…」
間に合わなかった?
「…………………あ…」
緋織の瞳から、一筋の涙が零れ落ちた。
「―――いいって、言ってたの?」
「…あぁ」
花音の言葉に、誠也が答えた。
緋織と弥生は別室に居る。
今回ばかりは、花音にもどうしようもなかった。
「……本当に、彼が言ったのね?」
「あぁ」
つい先ほど連絡を受けた和也が、息を上がらせていた。やはり彼も、相当焦っていたのだろう。
「じゃあ…」
自分達には、人の生死までをどうこすることはできない。
「…和也さんも、言葉失ってたよ」
すっかり冷たくなっていた霊を見て、彼はただ呆然と呟いただけだった。
霊、と。
「―――私達で、送ってあげましょう」
その言葉に、誠也が重々しく頷いた。
108
:
ピーチ
:2012/12/30(日) 16:54:13 HOST:EM114-51-44-25.pool.e-mobile.ne.jp
『エピローグ』
―――これから先、自分と同じ能力(ちから)を持つ人間は、どんな人生を歩むのだろう。
―――この、神永遊歩(かみながゆうほ)を見くびんないでよ。変な力持ったなら、それを活用するまで。
―――あぁ。
彼女が、これから自分と同じ能力を持つ者か。
なら、問題はないだろう。
あれほどしっかりとした意志を持っているなら、自分と同じ、誤った路は進まないはずだ。
それを悟った少年が、ふっと笑みを浮かべた。
今から千年後。その時の年号を何と呼ぶか、それはその時代(とき)を生きた人間にしか分からない。
これは、十四年という短い人生の中を“恐怖”という見えない追っ手から必死に逃げていた少年の、未来夢である―――。
109
:
ムツ
:2012/12/30(日) 16:59:29 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
ピーチさん》
読んでいて駄文の駄の字も思考回路にありませんでしたよ?
解りました、他のお話も読んでみます!
もぅ、ピーチさんの話の進め方は次回の展開を楽しみにさせますよねぇ〜…
だから、物凄くこれからを待っちゃうんですよぉ…
そんな書き方を是非御教授したいものです…
気が向いたらでイイので、私のスレのところに何かアドバイスを下さいm(_ _)m(お願いします
110
:
ピーチ
:2012/12/30(日) 17:06:49 HOST:EM114-51-44-25.pool.e-mobile.ne.jp
ムツさん>>
いやいやいやいや! 一文字呼んだ瞬間に駄文の二文字出てくるからね?
てゆーかタメで話そーよー←
次からは番外編でございますー
………一つ忠告。あたしのアドバイスをもらったら破滅の危機ありだよ…?
111
:
ムツ
:2012/12/30(日) 17:29:55 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
ピーチ》
イヤァ〜…。危険を乗り越えてなんぼでしょぉ〜…
番外編ガンバッ!
ずっと応援してるよぉ〜!!
112
:
ピーチ
:2012/12/30(日) 18:33:42 HOST:EM114-51-44-25.pool.e-mobile.ne.jp
ムツさん>>
ありがとーっ!
さてさてこれから番外編その一(何回行くか分かんないけど!)行きますー!
113
:
ピーチ
:2013/01/08(火) 17:17:32 HOST:EM1-114-186-134.pool.e-mobile.ne.jp
番外編 恐怖はどこに
「ッてェ……」
頭を押さえながら呟いた少年が、正面に居る男を見て肩を震わせた。
「あ? 何か文句あんのか?」
ゆっくりと伸びてきたその手が少年に届く前に、甲高い声が聞こえた。
「ちょっとやめてよお父さんっ!」
突然現れた少女が、男の腕を押さえ付ける。
「あ…っ」
だが、所詮は子供の力。すぐにその少女を投げ飛ばした。
「った………」
「じゃますんじゃねぇよ、文香」
そう言った男が、文香と呼ばれた少女の髪を思い切り引っ張った。
痛いと喚く彼女を見て、少年が叫びかけたとき。
「霊……?」
妙におどおどとした女性の声が聞こえた。
「え?」
「和也君が、遊ぼうって……」
文香も、と言った女性に対し、少女は頑として首を横に振り。
「外で遊ぶなんて嫌いだからっ」
そう言って、頑なに拒む。
「行きたいなら、霊だけで行きなさいよ」
そう言った少女の身体は、僅かに震えていた。
「またかぁ……」
「……オレのせいなんだ。あねきが、そとに出たがらないの」
「へぇ?」
霊を呼びに来た彼の友人である和也が、ぐるりと首を巡らせる。
「オレが外に行ったらあねきかおふくろがなぐられるから。あねきまでそとに出たら、おふくろだけがなぐられるからって」
あんたはまだ小さいんだから外で走り回っとけばいいのと笑った少女が、あの時だけは言ったのだ。
『…やっぱり、ね………』
―――怖い、よね、と。
「……家族思いだなぁ、文香ちゃん」
母親と弟の代わりに自分がと息巻く少女の姿が目に見えて浮かび、和也が苦笑した。
「んじゃ、明日なー」
「………うん」
ぎこちない笑みを浮かべた少年が家の中に入って行くところを見送ってから、和也が帰途についた。
114
:
たっくん
:2013/01/09(水) 09:37:20 HOST:zaq31fa4b53.zaq.ne.jp
↑話がちょっと雑ですね〜雑
これが本当の雑談です(笑)
115
:
ナコード
:2013/02/16(土) 13:40:20 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
>>114
アンタは本物の迷惑人ですね(笑)
116
:
ピーチ
:2013/03/16(土) 23:40:19 HOST:EM114-51-31-109.pool.e-mobile.ne.jp
番外編
―――この、人殺しっ!!
そう言ってキッと男を睨み付けた少女の身体が、力なく横たわっていた。
それを見た少年が小さく呟く。
「あね…き……、…おふくろ……」
ごめん、と。
たかだか自分のためだけに、二人もの犠牲が出てしまった。
「なんで……だよ………っ!?」
あの男が、父親が最も忌み嫌っていたのは、他ならぬ自分なのに。
なぜ、二人が代わらなければいけない。
そして、自分の父親を冷たく見下ろす。
「……なァ、なんでおふくろとかあねきってさァ…」
―――オレなんかを、かばったの?
しかし、どこを見渡しても、返事はない。
「――――――はは……っ」
当たり前だ。三人とも、死んでいるのだから。
彼は、死んで当然だ。母親と姉を、その手にかけたのだから。
だが。
「………ふたりとも…」
弱々しく発された言葉に答えるものは、いない。
それを分かっていながらも、少年はぽつぽつと呟くのだ。
「オレさァ…ひと、ころさないといけないみてェなンだ……」
二人とも、絶対にダメだと言うのだろうが。
「オレ……もうひきかえせないんだ…」
だから。
「ゆるしてくれよ、……おふくろ、あねき」
そう呟いた少年の瞳から零れたそれは、彼にとって最後の涙だった。
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