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紫の歌×鈴扇霊

516ピーチ:2013/03/24(日) 13:24:12 HOST:EM114-51-148-79.pool.e-mobile.ne.jp
紫と紅と黒




「わ……っ」
 着地の際に均衡を崩した柊一が、反射的に腕を前に出した。
 それを見た昇が意外そうに目を見開く。
「珍しいな、寝不足か?」
 茶化すような口調の青年に苦笑を返し、柊一が黒曜の瞳をすっと細めた。
「―――始めるよ?」
「いつでも」
 対する昇も不敵に笑い返す。
 静寂が満ちる。
 もしここに立つのが彼女だったら、あるいは自分以上に手早く済むかもしれない。
 尊大な様子を思わせる、でも繊細な少女を思い浮かべ、柊一がくすりと笑む。
 刹那。
 ―――来た。
「―――立ち還る山代の燐光を帯たるもの、真実我が姿に成り代わりて」
 向こうから送られた、光に包まれた蛇道の姿が、朧に浮かんで容(かたち)を持ち始める。
 柊一が蛇道を処分する間に、昇が群がってこようとする妖たちをその大剣で切り刻む。
「躯(むくろ)を葬る死刑人(しけいびと)、断末の雄たけびを聞き届け」
 鈴を一鳴り鳴らした青年の漆黒の髪が、不自然に揺らめいた。
「―――臨、兵、闘、者、皆、陣、列、在、前」
 瞬間―――。
 昇が相手をしていた妖たちが、仄白い燐光を帯びて霧散した。
 それを見た柊一が鈴を括った腕を下げ、昇がふてぶてしく笑う。
「こっちは終わったよ……天音、飛湘?」
 青年の言葉を聞いた昇が、小さく笑った。


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