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紫の歌×鈴扇霊

481ピーチ:2013/03/05(火) 05:33:56 HOST:EM49-252-6-237.pool.e-mobile.ne.jp
紫と紅と黒




「え…」
 茫然と呟いた彼女の瞳が、音を立てて凍り付いた。
「し………」
 ―――力、寄越セ…
 そう言った『それ』が、天音に向かって襲い掛かる。
「―――凛然(りんぜん)たるは、紅き眼(まなこ)」
 突然、鈴を転がしたような声が響いた。
 ―――ナニ……!?
「憎き骸(むくろ)を血に染めて」
 僅かに赤みがかった薄い膜が、青年を包み込む。
「―――我先に、彼(ひ)へと行(ゆ)く」
 りん―――
 左手で扇を払い、右の手首に巻き付けた紅い鈴を微かに鳴らす。
 その瞳に、今までなかった色が浮かび上がっていた。
「昇…………っ!」
 宿主の意を受けたかのように、薄い膜が音もなく消え去った。




「……?」
 唐突に、あおりが首を巡らせた。
「…? どうかしました?」
 シェーラの問いに、あおりが苦笑を返す。
「ううん、ちょっと…」
 刹那。
「あおりちゃん!」
「え?」
 慌てたような柊一の声が、耳朶を打った。
「昇か天音に、何かあったかもしれない」
「………え?」
 何か、とは。
「…まだ、分からない。から、行ってみよう?」
 促した柊一の後に続くように、あおりが走りかける。だが、不意に止まって。
「貴方たちも来て?」
「え?」
 突然言われたシュオンたちが思わずと言ったように問い返した。
「あたしたちの手の届かない場所に居られたらまもることさえできないでしょう?」
 早口にそれだけ告げると、あとは任せるというかのように駆け出した。


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