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紫の歌×鈴扇霊

307心愛:2012/11/18(日) 15:29:09 HOST:proxyag053.docomo.ne.jp
>>ピーチ

本当にありがとうございます…!


天音ちゃん可愛いから危ないよねって返り討ちか!(笑)
ちなみに母上はシュオンもソフィアもシェーラもヒースも歯が立たない『紫の歌』隠れ最強キャラです←

…一応母上も女だから、何かあっても容赦はしてあげてね天音ちゃん…!


柊一くんの天然が悪い方に向いた?←

308ピーチ:2012/11/18(日) 18:13:18 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
ここにゃん>>

あはは、返り討ちかなー

でも天音とか柊一達がどんな反応するか見てみたいかも、これリクにしていーですかね←おい

…隠れ最強キャラか! 天音が太刀打ちできるかなぁ…

柊一は基本的にどっちもだよー、いい方にも悪い方にも行く←

309心愛:2012/11/18(日) 20:16:22 HOST:proxyag114.docomo.ne.jp
>>ピーチ

…クソ重い課題増えたぜ☆


うっわあどうしよう。
どっちのイメージも壊さない程度に絡ませて…(汗)



あ、次から肝試しなんだけどペアでドキドキ☆とか全然ないよ!わいわいやってるだけだよ!
どうもすみません(~_~;)

310ピーチ:2012/11/18(日) 20:31:53 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
ここにゃん>>

まじか、課題嫌い←

いや、天音達は基本を動かさなかったら好きに壊していーよ←

わいわい楽しみww

311ピーチ:2012/11/18(日) 21:29:59 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
ここにゃん>>

何かごめんちょー今更だけど←え

ジルが幽霊って剣で切れるのかなーって言ってたじゃん?

あれ昇が召喚(?)した武器だったら出来るよー

312心愛:2012/11/20(火) 12:16:31 HOST:proxyag062.docomo.ne.jp
>>ピーチ

わいわい一回だけだけどね!
肝試しターンみじかっ!

ほ、ほんとに斬れるんだね幽霊……。




そろそろ天音ちゃんキレさせるよー(=°ω°=)
上手くできるか分からんがw

313心愛:2012/11/20(火) 12:17:12 HOST:proxyag062.docomo.ne.jp

鈴が歌う奇跡の旋律
『――肝試し――』






「……ひゃわっ」



「シェーラっ?」



木の根元につまずき、メイドの少女の身体がぐらりと傾く。
気づいたソフィアが悲鳴を上げると同時。



「ったくお前はいつもいつも……。危なっかしいったらねえな」



苦々しく眉を寄せたヒースが、危なげなく彼女を抱き留めた。



「ヒース」



「足、痛めてないか? おぶってやっても良いけど」



「……え、い、いいよっ」



カッと顔を紅潮させ、シェーラが「大丈夫」とぱたぱたと両手を振る。



「そうか?」



その一連の流れを見守っていたシュオンが、ヒースの言葉に便乗してにっこり笑う。



「ソフィアも大丈夫? お姫様抱っこで運んであげようか」



「……ばかっ」



みるみるうちに赤くなり、ぷくっと膨れるソフィア。


「それとも、皆の前じゃ恥ずかしい?」



「そういう問題じゃないっ」



そして、



「………! …………っ!」



「ユーリエ……マジで怖いのかよ……」



女性陣では最年長のはずのユーリエが、ジルの背後に隠れるようにしてがくがくと膝を笑わせていた。
金の瞳を涙で潤ませ、ひくっと喉を引き攣らせて。



「しっ仕方ないでしょっ? 標的がはっきりしてれば良いけど、もし暗殺術が通用しないお化けだったら……っ?」



「おいおい。いつもできるだけ殺すなっつってンのは何処の誰だよ」



「だって……!」



呆れたように首を横に振ったジルは、



「……ん」



おもむろに、彼女に向けてポケットに入れていた左手を差し出した。



当然、意味を図りかねてユーリエはぽかんと呆ける。



「……へ」



「手! 貸せっつってンの! 察しろそンくらい」



チッ、といかにも面倒くさそうに舌打ちし、頑として顔を思いっきり前に向けたままぶっきらぼうに言う彼。

ユーリエは瞳を純粋な驚きに見開き。

それから、強ばっていた頬を、少しずつ緩ませていく。



「……うん」



初々しい雰囲気を醸し出す彼らのさらに前方では、



「おっばけおっばけー! 早よ出て来ぬかー」



「ルイーズ様。そのように歌っておられては幽霊も逃げてしまうのではないでしょうか」



「わたしの歌に誘われて出て来るかもしれぬではないか」



調子の外れた歌を唄っていたルイーズが尊大に胸を張る。


クロードは頭痛に耐えるように額に手をやりながら、



「……どんなに凶悪な死霊でさえも断末魔の悲鳴を上げて消滅すると思われますが」



「どういう意味じゃっ!?」



ぽかぽかとルイーズに腹を殴られてもクロードは眉一つ動かさず、仏頂面で溜め息をついた。



最後に。



「…………」



「あ、天音?」



「天音さーん?」



一行を先導する天音が、後ろから聞こえてくるうざったいカップル共と小五月蝿いガキの声の所為で『無』としか言いようのない表情になっているのに気づいた昇と柊一が恐る恐る彼女に笑いかける。



「…………」



天音は見るからに苛々(いらいら)を募らせていた。


星月夜を映す泉のように澱(よど)みのない黒の瞳はこれ以上ない程冷たく凍りつき、暗黒の闇を秘めるその見事な髪は、彼女の内から溢れ出る不穏なオーラにゆらゆらと揺らめく。



「え、ええと天音? なんか近いような気がしない?」



「……そう、ね……。そうかもね……」



「……ひっ」



無表情のまま、唇の端だけを、く、と持ち上げた幼馴染みの姿に、柊一が思わず己の本能に従って距離を取る。



「……こりゃ確かに『肝試し』だわ……」



天音を見ながら昇が恐ろしげに呟いた、


そのとき―――




《―――……フハハハハッッ!》




最悪の―――主に相手にとって―――タイミングで、“ソレ”は現れた。

314名無しさん:2012/11/20(火) 21:33:46 HOST:EM114-51-219-252.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

わっほーいっ! 天音がキレたー!←喜ぶな

いやぁやっぱり天才様が動かすと我がキャラながらとってもかわいく見える、黒いはずの部分までもが←おい

315心愛:2012/11/21(水) 16:47:25 HOST:proxy10066.docomo.ne.jp

鈴が歌う奇跡の旋律
『――少女の逆鱗――』





「ひっ……!」



怯えたソフィアがシュオンにしがみつき、ユーリエとシェーラが身を竦ませる。


男性陣が一斉に身構えた。



《ククク……愚カナ。マンマト誘(おび)キ出サレオッテ……》



それは大の大人でも思わず身震いせずにはいられない程に、あまりにも恐ろしい声色だったが。



「……………」



「天音ちゃんっ?」



全く物怖じせずにすたすたと進み出た天音に、シェーラが慌てて声を掛ける。



「あ、危ないですよっ! 早く戻っ―――」



「あー、天音のことは心配いらないから」



「え、で、でもそんな、女の子一人……っ」



「いや……あれは最早『女の子』じゃない」



遠い目をする昇。



「そう、言うなれば……鬼?」



『鬼ぃっ!?』



―――美しき修羅が、今、異形と対峙する。




《フ、ッフハハハハハ!! ツイニ、ツイニ解放サレタ……! 我ガ貴様ラ人間ドモヲ皆殺……》



それを天音は、見た。



顔は青白い炎を纏った髑髏(ドクロ)で、巨大な体はヘドロのような濃紫の粘液で出来ている、酷く醜い異形の化け物を、見た。


いや、正確には、寧ろ一種の感動を覚える程の完全なる無表情を保ったまま、『あ゙あ゙あ゙?』とか、“あ”に濁点をつけた音を連続で発しそうな、そんな凄絶な目で、睨んだ。



「あわわわわ……」



シェーラが異形ではなく天音に、心底恐怖したように狼狽える。



「す、凄い化け物じゃなー! あれがキモダメシとやらをすると出てくるお化けなのか?」



身長差の為天音の形相に気づかない呑気なルイーズを、適当な返事をしながらクロードがさらりと天音から遠ざけ、彼女を庇う姿勢を取る。
……まだまだ若いとはいえ流石は最強の騎士というべきか、彼の判断はこれ以上なく正しいと言えた。



この場での最重要危険人物は、得体の知れない化け物よりも、間違いなく。



「ああなった天音は誰にも止められないんだよね……」



「お前が止める気ないんだったら仕方ねぇな。巻き添え食らわないようにだけ気を付けないと」



相棒二人も早くも達観した面もちだ。



《コ、殺シテ……》



天音は、無言で、異形を睨み続ける。
先程よりも鋭く、地獄をそのまま宿したかのような闇色の瞳が、化け物を捕捉して離さない。
静かな怒りを叩きつける、瞳。
長い長い黒髪を夜風に揺らめかせる彼女の背後には、どんな鬼神や悪鬼羅刹であろうとも裸足で逃げ出すであろう壮絶な表情をした夜叉の幻影が見えた。



「しゅ、シュオン……私、本当に怖いのは何なのか分からなくなってきたかも……」



「大丈夫だよソフィア。いざとなったらヒースとかジルとかそこの人とかが剣で何とかしてくれるって」



『いや絶対無理だから』



おそらく国でもトップレベルの実力のヒースとジル、それから二人と同等、もしくはそれ以上の腕を持つ昇という男三人が、少女一人相手に声を揃えて降参する様はなかなかに見ものだった。



「ほ、ほらユーリエなら暗器使ったりとかッ」



「私は女の子を傷つけるのはちょっと……」



「ちょ、オレ残して逃げンなよッ!?」



「むしろ刃物如きで何とかできんのかあれ……?」



……それでも今回の妖はなかなかにしぶといらしく、今にもガクガク震え出しそうな様子だったが、それでもとても頑張って持ち直し、気を取り直したように、“天音に”怯えて後ずさる面々に、言った。



《フ、フフ……。ソノ怯エタ顔、サテハ我を畏(おそ)レ……》



殺してやる。
この面倒なときに、さらに面倒事を持ち込むようなら、今すぐ完膚なきまでに殺してやる。
いやもう面倒でなくても殺してやる。

……という、目だった。



《ア、ア、アレ? 此処ハ平和ナ人間ノ世界ダヨナ? ナノニナンデコイツ全然、》



「………………」



《ア、イヤ、ゴメンナサイ大人シク帰リマス、ダ、ダカラソンナ睨マナ……》



すっ、
無慈悲たる少女の翳(かざ)す紅い扇が天高く掲げられた、その刹那―――

316心愛:2012/11/21(水) 16:51:29 HOST:proxy10066.docomo.ne.jp
>>ピーチ

せっかく褒めてもらったのに自分からぶち壊すというw

…毒吐くより無言のが怖くないですか?

というわけで好き放題やっちゃいましたごめんね!

317ピーチ:2012/11/21(水) 19:03:33 HOST:nptka207.pcsitebrowser.ne.jp
ここにゃん〉〉

……あーなった天音は止まらないぞー…

暴走族よりも暴走族やってくれそー…

318心愛:2012/11/21(水) 21:21:51 HOST:proxy10045.docomo.ne.jp
>>ピーチ

あ、あれ、やりすぎたかと思ったんだけど…大丈夫だった?

ここあ、天音ちゃんが本気でキレてるとこ見たことないんで←

319名無しさん:2012/11/22(木) 20:05:17 HOST:EM114-51-202-35.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

全然大丈夫! むしろ天音だからあんくらいやってくれそう!

うーん…天音が本気でキレるとこねー…

機会があったら鈴扇霊に載っけとくねー←

320心愛:2012/11/22(木) 22:31:02 HOST:proxyag114.docomo.ne.jp
>>ピーチ

そ、そっか!
これは許容範囲か!

OK、それでは遠慮なくw

321心愛:2012/11/23(金) 10:01:17 HOST:proxyag088.docomo.ne.jp

鈴が歌う奇跡の旋律
『――邪魔者、再び――』





「はーっはっはっは!」



突然、惨劇が展開される直前の緊迫感を、高らかで軽快な、換言すれば妙に雑魚の雰囲気漂う笑い声が引き裂いた。



腕の動きを止めた天音が怪訝そうに辺りを見回す。



「……誰」



「まさか」



シェーラがはっと息を呑む。



「ソ、……レ? ファー……ええっと……あ、ソルファール侯爵……!」



「いかにも!」



その命知らずの馬鹿、もとい―――ソルファール侯爵は胸を張り、



「此処で会ったが百年目。今度こそ、目的を果たしてみせますよ」



かと思えば、



「……そう、元はと言えば三年前のこと―――」



目を閉じ、一人勝手に自分の話に入ってしまってしまった侯爵に、シュオンはふわりと華やかな微笑を浮かべる。



「……教育(おしおき)が足りないようですね?」



「待て待て待てぇっ!?」



笑顔でポケットの中に手を入れたシュオンの腕をガシッと掴む。



「離してヒース。そいつを殺せない」



「落ち着け! 大人になれ! この森爆破したって何にもなんねえし、侯爵とは一応表面上の付き合いってもんもあんだろ!?」



「お嬢様だって吹っ飛ぶぞッ!?」



「じゃあ生きたまま脳髄だけ引きずり出す。それなら文句ないでしょう?」



「死ぬからな!? それ百パーセントの確率で死ぬからな!?」



超シャイニングな笑顔で、セルリアン・ブルーの瞳だけを底なし沼のように澱ませるシュオン。



「僕とソフィアの楽園を脅かそうとする者は許す訳にはいかないよ。ありとあらゆる手段を駆使して死すらも霞む恐怖と苦痛と絶望をじわじわと身体と精神に刻み込んでこの世界に生まれてきたことを後悔させ」



「分かった! 分かったから!」



「あら。気が合うわね、金髪君」



「「ひッ」」



昇と柊一が揃って悲鳴を上げる。



「あれ、君も同意見?」



「えぇ。今私、ちょっと虫の居所が悪いのよ。たまりにたまったストレスの発散を邪魔してくれたお礼も兼ねて、代わりにあの人に栄えある犠牲者一号になってもらおうかなって」



「なるほど。なら、目的は同じだね?」



「そういうこと。金髪君ごときとなんて屈辱だけど、此処は手を組みましょうか」



「うん、その暴言は特別に聞き逃してあげる。……何かあっても権力と財力で握り潰すから、証拠隠滅なら任せて」



『結託したっ!?』



最凶コンビの誕生に、両者それぞれの恐ろしさを知るメンバーが一斉に青ざめた。

シュオンの策略と天音の殺傷能力、ついでに爆弾の威力も付加すれば。



「人ひとりどころかこの国滅ぶぞおいッ」



「クロード殿、マルグリットの危機ですよ!? 今すぐに《イルファーレ》、いや、王立騎士団ごと出陣の申請を!」



「……仰る意味が分かりかねますが……」



真顔で困惑するクロード。



「まず手始めに、この森の木を全部吹っ飛ばしても構わない?」



「構うよ! 大いに構うよ! 何サラッと言ってくれちゃってんの!?」



「うん、別に構わないよ。屋敷はちょっと困るけど」



「えええええ!? 森なくなっちゃうんですかっ!?」



「そ、そうよシュオン! そんなのだめ!」



「でも、近々伐採して、このあたりにソフィアと二人で暮らす新しい屋敷を建てるつもりなんだけど」



「……え」



「早く結婚したいね、ソフィア」



「……う……うん」



「……いや待て。何かちょっと良い雰囲気のところ悪いけど、それじゃ爆弾と変わりねえだろ!? 俺たちまで死ぬって!」



「でも、あの人ひとり殺す程度じゃ物足りないし」



「それ最早殺人鬼の台詞だよなあっ!? おいお前ら何とかしろよ責任取って!」



「……ご、ごめん」



「謝るな! 諦めるな! もっと自分を信じろ!」




「―――そして、その時からのことだった。妻のみならず、いつも私を慕っていた娘が―――」



《ア、アノー……》



喧騒の外には、一人で喋り続ける侯爵と、すっかり存在を忘れ去られた哀れな異形が残された。

322名無しさん:2012/11/23(金) 14:09:21 HOST:EM114-51-192-34.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

え……まさかのシュオン様と天音が手組んだ!?

……天音は、キレると留まることを知らないからね…

323心愛:2012/11/23(金) 15:23:19 HOST:proxyag083.docomo.ne.jp
>>ピーチ

天音ちゃんつええ←


…そんなわけで侯爵って大地色の瞳らしいけど髪の色は?

324ピーチ:2012/11/23(金) 19:17:57 HOST:nptka301.pcsitebrowser.ne.jp
ここにゃん〉〉

天音は強いよー←

侯爵はねー…赤茶系の髪←何か気持ち悪いよね

325心愛:2012/12/02(日) 18:56:00 HOST:proxyag111.docomo.ne.jp

鈴が歌う奇跡の旋律
『――邪魔者、再び――』





「……ソルファール? 聞いたことがあるような……」



事態についていけず首を傾げていたルイーズの呟きを、侯爵が耳ざとく拾って唐突に声を上げた。



「おお、これはこれは第三王女殿下。正式に挨拶申し上げるのは初めてかと存じます。陛下からソルファール侯の名を賜っている者です、以後お見知りおきを」



一礼する侯爵に、ルイーズは「うむ」と頷き。



「くるしゅうない……で、何故こんな所に? 此処はエインズワーズの敷地であろう?」



「よくぞ聞いて下さいました」



その一言で、彼の声色がガラリと変わる。



侯爵に鋭い視線を投げられ、ソフィアはびくっと震え上がった。




「この間の報復を―――今一度、そちらの《紫水晶(アメシスト)》を我が下に、と思いましてね」




「……なッ」



「………!」



ルイーズが驚愕に目を見開き、冷静沈着を絵に描いたようなクロードでさえもが息を呑む。



「な、……んじゃと?」



「殿下には御理解戴けないかもしれませんが……どうしても、私には《紫水晶》の幸福の力が必要なのです」



侯爵は悩ましげに額に手をやり、



「最後の手段である《紫水晶》の強奪が失敗しても、妻と娘は帰って来ぬまま。一人悶々と暮らしていたところに―――」



やはり彼の事情を知らないルイーズは良く分かっていない様子だったが、侯爵は構わず言葉を続ける。



「王城の舞踏会で、レオンハルト王太子殿下にお会いしたのです」



「……は? 兄様と?」



「ええ」



まるで嫌な予感でもしたかのように、ルイーズは片頬を痙攣させた。



「我らが寛大なる第一王子はこのように仰いました―――『シュオンに報復を果たしたい? それなら絶好の機会があるぞ。私の妹のルイーズが近々エインズワーズ邸に遊びに行く予定になっているのだが、その日なら流石の奴も油断しているだろう。……ははっ、面白い報告を期待している』……と」



聞いてもいないことを勝手にぺらぺらと喋り倒してくれる侯爵。



「…………シュオン」



「何でしょう」



ルイーズはにっこりと眩しい笑顔で、同じく穏やかに微笑んでいるシュオンに言う。



「あの馬鹿兄を殴るときには是非とも誘ってくれ」



「はい、姫君。必ず」



「こらこらこらあっ!? 次期国王陛下になんちゅーことをっ!」



「でも、そろそろ僕あたりがレオン殿下の息の根を止めておいた方がマルグリットの為になるんじゃないかと思うよ。本気で」



「激しく同感じゃ。しかし、そうなったらわたしが女王にならなくてはならぬのがいささか面倒じゃのう」



「危険なことを仰らないで下さい!」



晴れやかな笑顔で世にも恐ろしい発言を繰り出す二人にヒースが突っかかる。



「……お、王太子様がそんなことを……?」



「というより、シュオンに返り討ちにされる侯爵が見たかっただけなんじゃ……」



「成程。王太子殿下の道楽好きにも困ったものですね」



順番にシェーラ、ソフィア、クロード。



「ねえジル、大丈夫なの? 確かあの人、かなりの刀の使い手だったはずじゃ」



「大丈夫だろ。こっちにゃオレ様とヒースにお前、それからそこのでかい奴と男二人……に加えて、何よりもお怒りのシュオンとお嬢ちゃんもいることだし」



「そ、そうね……。シュオン様はソフィアちゃんに何とかしてもらうとして、天音ちゃんが手加減できるかどうかの方が問題かしら」



「天音とあの人だけでも、核ミサイルとピコピコハンマーくらいの戦力差だよな」



「? かく……?」



「えー、それは、ええと……」



前回あまりにも簡単に倒せてしまったことも手伝ってか、なかなかに和やかな会話である。



それを聞いているのかいないのか、侯爵は声を張り上げて。




「ふふふ、念の為に、今回は我が兵士たちも連れて来たのです!」




『おおーっ』




「それを早く言えええッ!?」



侯爵の背後の草木の陰から、ぞろぞろと武装した男たちが現れた。

326心愛:2012/12/02(日) 18:59:17 HOST:proxyag112.docomo.ne.jp
>>ピーチ

久々の更新で申しわけない←

赤茶系いいじゃん!了解!

327ピーチ:2012/12/02(日) 19:04:45 HOST:EM114-51-189-14.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

いやいやいやシュオン様もルイーズ王女も何言ってんの!? 冗談抜きで怖いからね!?

………ソルファール侯爵ごとき、天音の逆鱗に触れたら多分一瞬で焼死が溺死か絞殺か生き埋めか最悪解体されて終わるね←おい

328心愛:2012/12/02(日) 19:59:41 HOST:proxyag118.docomo.ne.jp
>>ピーチ

……天音ちゃんはやっぱりシュオンと似たとこがあるみたいだね☆

シュオンは口では色々言ってるけど、基本自分の手は汚さずに陰湿な手口で攻めるけどね!

329心愛:2012/12/02(日) 20:02:15 HOST:proxyag118.docomo.ne.jp

鈴が歌う奇跡の旋律
『――決戦――』






「ちょ、待っ……表の兵は何やってんだよ畜生!」



「親切に道を教えてくれたが?」



「あの馬鹿共がぁああ!?」



自らも愛刀を抜き放ち、侯爵は勝ち誇った笑みを浮かべる。



「しかし、大人しく《紫水晶》を渡すのなら武力は行使しませんよ」




「……話は、お終(しま)い?」



侯爵の発言を華麗なまでに無視、苛立ちを隠す気もない天音が無表情のまま口元だけを綻ばせ、その漆黒の瞳をすっ、と細める。



「ちょうど良かった。どうせやるなら派手にやらなくちゃね」



続いて笑むシュオンを見て、ヒースがサッと青ざめる。



「やべえって、確実に死者出るぞこれ! こんな人数じゃとても守り切れねえから!」



「ま、守る対象が変わっちゃったね……」



「くそ、折角俺が必死こいて『つい逃がしちゃったけど……やっぱり僕の花に近寄る悪い虫にはそれ相応の報いを与えるべきだと思わない? ねえ、ヒース』とか言い出したシュオンの機嫌取って、これからの表面上の関係に影響ないようにお咎めなしにしてやったっつーのに、これで死人でも出てそれが明るみに出たりなんかしたときにゃあ俺の努力が全部水の泡じゃねえかぁ……!」



「……君も、苦労してるんだね……」



「……は、は……」



柊一の同情と共感が入り混じった微笑に、ヒースは力ない笑みを返した。



「そうだね、まずは昨日完成したばかりの―――」



「シュオン、だめ」



ソフィアにじっと見上げられ、シュオンがたじろぐ。



「……う……でもソフィアが」



「だめ」



「わ、分かったよ……。ソフィア、こっちに。ついでに君たちも」



「行動早えなおい」



自分の出る幕がないと知るや、さっさとソフィアたちを促して避難を始めるシュオンに、ヒースは苦い顔をする。



「……其処を退(ど)け」



確かな威圧感と共に、侯爵はずいっと一歩踏み出した。



「この場からって言うんならいくらでも退くさ。でも、御嬢様たちの前からってことなら」



無意味に喧嘩を売る真似はしたくないけれど、これだけは言わせてもらう。


ヒースは挑発的に口端を上げ、



「金輪際、お断りだね!」



「……それは残念だ」



侯爵はふっと息を吐いた。



「だが私としても、無意味な戦いはしたくない。女性を怯えさせるのは趣味ではないのでな」



その決然とした台詞は、睨みをきかせている天音のド迫力に怯えて一歩下がりながらの言葉でなかったならば格好良く聞こえたかもしれなかった。



「そんなわけで、シュオン様。この従僕に粗暴な振る舞いをやめるよう言って戴けますか? 平和的にもう一度話し合いを―――」




《待テ……!》




『え? まだいたの?』




突如として割り込んできたのはあの髑髏型の異形。


ヘドロを撒き散らしながら屈辱にプルプル震えていたが、彼らの酷く冷たい反応をなかったことにしたらしく。



《……………ク、クク、コレハ、コレハ凄イ負ノ感情……!》



「な、何あれ気持ち悪っ」



正直な感想と共にユーリエが後ずさる。



見る間に異形はひゅん、と影のような形状になり、



「……え?」



『…………あ』



ソルファール侯爵の身体に、吸い込まれた。



《……オ、オオ……! 力ガ……力ガ湧キ出テクル……! ッフハハハハハハ!》



高笑いする侯爵―――否、彼を乗っ取った妖。



「憑依……!」



「面倒なことになったわね……」



異界の三人の表情が引き締まる。



「天音」



「分かってる」



彼女の首の動きに合わせて、暁闇を秘めた髪が広がる。


なめらかで、艶やかで、―――残酷な、輝き。



「取り敢えず、ストレスの発散は後回しよ。すぐにあれを何とかしましょう」



「あ、ああ……」



「う、うん……」



“後回し”ということは、彼女の溜まりに溜まった怒りの被害に遭うのは―――と瞬時にその答えを出してしまった二人は、身構えながらも曖昧な愛想笑いを浮かべて頷いた。

330ピーチ:2012/12/03(月) 20:24:27 HOST:EM114-51-83-65.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

うん、多分天音はガキの頃から色々面倒事ばっか持ち込まれてたから耐性ついたのかも←

柊一達がんば!

憑依か! あたしがやると面白くないからなぁ……

続き気になるよー! 待ってるよー!

331心愛:2012/12/04(火) 17:12:28 HOST:proxy10006.docomo.ne.jp

鈴が歌う奇跡の旋律
『――迎撃――』





「……だ、旦那様……?」


戸惑った様子の兵士にこわごわと声を掛けられたが、侯爵を乗っ取った妖は案外平然とした対応を見せた。



《何デモ、ナイ。……オ前タチ、ヤッテシマエ!》



「は、はいっ!」



「いや気づけよ!?」



ヒースの叫び虚しく後方に下がった主人の命を得て突撃を始めた、従順な彼らの前に立ちふさがったのは、



「天音、柊一。此処は俺に任せてくんねぇか? お前らは後に備えて体力温存してろ」



「……仕方ないわね」



「任せたよ?」



いつの間にやら、淡い月光を彷彿とさせる美しい剣を右手に構えた昇。



「剣を向けられたのならば取るべき行動は只一つ」



「く、クロード……? おぬし、物凄く張り切っておらんか……?」



「そんな事は御座いません」



漆黒の大剣を携えたクロード。



「……ッしゃあ! まとめてオレ様がお相手してやんよ!」



「ジル……気をつけてね?」



「ハハッ、誰に向かって言ってンの?」



喜々として愛用の剣を振り回すジル。



「ひゅうひゅーう! ヒース頑張ってー!」



「っ……せえな黙ってろ!」



最後に、シェーラの緊迫感に欠ける声援に体勢を崩しかけたヒースだ。


短く舌打ちし、ヒースは横に並んだ三人に聞こえるように。



「分かってると思うけど、間違っても殺すなよ。意識飛ばすでも、戦意を喪失させるだけでもいい。上手く手加減しろ」




『……え?』




「こいつら殺す気満々だったっ!?」



ヒースは驚愕する。



「冗談冗談、分かってるって黒髪」



「黒髪違う!」



ひらひらと手を振る昇はともかくとして。



「ハァァァア? なにソレ、つっまんねェーの」



「つまんないとかそういう問題じゃないからな!? クロード殿も分かっていらっしゃいますよね!?」



「……承知」



唇を尖らせるジルに続き、渋々といった雰囲気を漂わせたクロードが頷いた。



「ったく……じゃ、」



「やりますか!」



ひゅうっ、と口笛を鳴らして真っ先に躍り掛かったのは、やはり元暗殺者(アサシン)の男、ジル。


鋭い踏み込みと共に、異常なまでに軽い体重と一流の身のこなしを生かして空高く跳躍。



「いっくぜぇぇええええ!」



驚いて彼を見上げる敵兵を剣の柄で一気に殴り飛ばす。




「……なんだ」



ひゅん、と小さく剣先を振る昇。
その動作だけで、相手の気力を根刮(こそ)ぎ奪ってしまいそうな強烈な凄み。

不意に上げられた灰色がかった黒い瞳が、雄叫びを上げて突進してくる男たちを映し出したその刹那、昇は動いた。



―――迅(はや)い。



滑るような動き、疾風の如き剣閃。


次々と襲い来る攻撃を、正確に弾き、逸らし、叩き落とす。



「黒髪たちくらいかと思ってたけど……全然弱いじゃん」



口元には余裕の笑み。




「……これは、なかなか」



クロードは彼に感心したように呟く。



「ルイーズ様の騎士として、負けてはいられませんね」



振り、合わせ、流す―――“戦神”の太刀筋には一切の無駄がない。

一人一人の剣の軌跡を完璧に読み切っているからこそ為せる技。

背後からの攻撃でさえも、全く振り向かずに受け流す。



「……さっすがクロード殿……!」



ヒースは上半身を大きくねじり、戻す勢いで突きを繰り出す。


鞘を使った横薙ぎの一撃で数人を地に沈めると同時、フェイントで鋭い蹴りを見舞う。



「ふっ……」



「ロード・ヒース」



ジルを視界に入れたクロードが、短く一言。



「此処は私たちに」



「……はい!」



尊敬の対象であるクロードに言われ、ヒースは力強く頷いた。
彼がヒースの力量を認めてくれたという事実が、単純に嬉しい。



「って訳で黒髪! 行くぞ!」



「黒髪言うな黒髪! 言わなくても分かってる!」



「こういうときは黙って頷いときゃあ良いんだよ空気読め黒髪が!」



目指すは侯爵。

視線、それからついでに罵声を交わし、ヒースと昇は兵の間を駆けた。

332心愛:2012/12/04(火) 17:18:28 HOST:proxy10005.docomo.ne.jp
>>ピーチ


サービスの一環で昇くんの描写を長めにしてみた((いらねーよ

それにしても、皆強いって設定だから自キャラと昇くんの力量のさじ加減が難しいー(~_~;)

333名無しさん:2012/12/04(火) 22:24:14 HOST:EM114-51-92-224.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

おっ、昇が活躍してる!←

いや、昇は基本的に最悪の状態になるまで手出ししないから適当に弱くしちゃってください←おい

334心愛:2012/12/06(木) 23:03:47 HOST:proxyag087.docomo.ne.jp
>>ピーチ

あ、そうなの?←
ヒースに勝負申し込んでたくらいだし結構ケンカ好きなのかと……ってうちのバカ共と一緒にしちゃ失礼だよねすみませんでした(T^T)

じゃあ最後のトドメをお願いしようかなー←

335ピーチ:2012/12/07(金) 06:52:06 HOST:nptka303.pcsitebrowser.ne.jp
ここにゃん〉〉

いや、何て言うかケンカ好きっていうより自分より強い人見て手合わせしたくなった的な?

336心愛:2012/12/07(金) 18:08:51 HOST:proxyag090.docomo.ne.jp
>>ピーチ

なるほど!
じゃああくまで受け身で、雑魚ズにはやられたら倍返しってことで?
……侯爵にも昇くんが積極的になる価値はなさそうですな(・∀・)


次はこっちのキャラが目立っちゃうけど、ちゃんとその後はお三方を立てるんでお許しをm(_ _)m

337心愛:2012/12/07(金) 18:15:59 HOST:proxyag090.docomo.ne.jp

鈴が歌う奇跡の旋律
『――闘うもの、護るもの――』





「……ほわぁー! クロードってやっぱり凄かったんだぁ」



「ヒースもジルも、昇さんも全然負けてないわね」



「うむ。王立騎士団の御前試合でもなかなか見られぬほどの腕……クロードを抜かせば匹敵するのはクラウスくらいじゃろうか」



シェーラにルイーズ、それから狙われている当人であるソフィアも、こちらの明らかな優勢を察して安心したらしくのんびりと高みの見物を始める。



「この様子だと、侯爵―――じゃないけど―――が取り押さえられるのも時間の問題だね」



「……いや」



シュオンの言葉に、柊一が小さく頭(かぶり)を振って異を唱えた。



「案外、そうとは限らないかもよ?」



「そうね」



ぱたん。と音を立てて、天音は手にした扇を閉じながら。



「柊の言う通り、前とは違って憑依している妖が身体を操作しているから、前みたいに簡単にはいかないと思うわ」



「そっか。じゃあやっぱりあの侯爵だけは厄介だね―――あ」



「ヒースと昇さんだ!」



黒髪の青年二人が、何やら口論しながらも肩を並べて侯爵に向け疾走。
行く先を阻む兵士たちを文字通り蹴散らしながら順調に進んでいく。



「クロード殿が指示を出したみたいだね。確かに、大人数相手の戦闘はジルの基本戦術に合ってるし、クロード殿御自身も良く慣れてる。妥当な判断じゃないかな」



シュオンの発言に、ユーリエも頷いた。



「ジルは元々個人を狙うより、好き放題暴れるのが得意ですからね」



「……ヒース、大丈夫かなぁ」



不安そうに声を揺らしたのはシェーラ。

いつも脳天気な彼女の暗い表情に、ソフィアが驚いたように瞬いた。



「心配? らしくないわね」



「だって、ヒースって慎重なように見えて、無茶するときは一人で物凄い突っ走っちゃうんですもん」



「ふぅん。誰かさんに似てるような似てないような……ね、天音?」



「……さぁ。検討がつかないわね」



言いながらも少しだけ気まずげに、天音がついっと視線を逸らす。



「とにかく、黒髪君だけならともかく昇もついてるから。そこまで心配する必要はないんじゃない?」



「……はい!」



シェーラが笑い、こくんと頷こうとした、そのとき―――




「「―――危ないっ!」」




柊一、そしてシュオンが血相を変え、ほぼ同時に声を上げた。


戦力が分散した瞬間を狙ったのか、死線を潜(くぐ)り抜け突如として一人の兵士が彼らのすぐ目の前に出現。


彼が目をつけたのは、



「……王女様!?」



この場で最も幼く、最も弱そうに見えるルイーズ。


二人よりやや遅れて気づいたユーリエがすぐさまナイフを握り締め、ソフィアとシェーラは悲鳴を呑み込んだ。



「……失礼!」



抵抗しないルイーズにぴたりと剣の切っ先をあてがい、



「そちらのレディ―――《紫水晶》の身柄と引き換えに致しましょう」



「……へえ。王族である姫君に刃を向けるなんて、それだけで重罪なのに」



「随分と横暴な真似をしてくれるじゃない」



シュオンが呆れたように微笑み、天音が冷めた声で言う。

しかし彼らの眼差しは、その間も油断なく反撃の機会を窺っていることを物語っていた。

しかし、



「……そう慌てるでない」



落ち着いた様子で、捕らわれたルイーズが笑う。



「そなたには『あれ』とお相手願うことになるからな」



「………?」



視線を逸らさず、口元の笑みを深くして。



「よりにもよってこのわたしを選ぶとは……。運が悪かったとしか言いようがない」



言い切ると同時、

すっと瑠璃(ラピスラズリ)の瞳を細める。

それだけで『やれ』と命じた。



―――殺気が満ちる。



鷹を思わせるジェード・グリーンの双眸が、闇の中冷ややかに煌めいた。



「もうよい。戻れ」



「はい」



ずるりと崩れ落ちた敵兵を一瞥、彼女の騎士が恭しく腰を折って立ち去る。



「……大丈夫?」



「うむ」



余裕の笑みで天音に頷いてみせ、それから意味深に胸元に手をやるルイーズ。



「この程度、慣れっこじゃ」

338ピーチ:2012/12/07(金) 19:47:14 HOST:EM114-51-188-250.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

すげぇやっぱルイーズ王女凄いっ!

……何気に、ヒースと昇って仲いいよね←

339心愛:2012/12/07(金) 20:41:54 HOST:proxy10035.docomo.ne.jp
>>ピーチ

ルイーズは多分、クロードが間に合わなくても自力でぶちのめしたと思うけどねw
…にしても、ソフィアとシェーラ以外の面子は、人質に取られそうになっても何とかしちゃいそうな人たちばっかりじゃない?←


天音ちゃんはクールだけど無茶するときはしちゃうっていうイメージがあったんだけど大丈夫だよね( ̄〜 ̄)?


ヒースと昇くんセットはとっても動かしやすいです!ここあの主観で!
似てるとこがあるからなのかなぁ。
何気に良いコンビかも?

340彗斗:2012/12/07(金) 22:36:46 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
心愛さん>>
クロード早っ!? ルイーズ王女の為なら何だってするのがやっぱりクロードですねっ☆
 
それはさて置き……クロードの実力がここまでとは正直な所、思っていませんでした(汗)

それじゃここまで強いクロードさんにはこっちで「奴」の相手でもして貰おうかな……?

341ピーチ:2012/12/08(土) 09:30:37 HOST:EM49-252-80-29.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

あ、確かに。自分で何とでもしちゃいそうw←

…ソフィア様もシェーラちゃんも、何気に人質取られても問題なさそうじゃない?

ばっちぐー! 天音は一人で突っ走る傾向ありww

確かに似てるよね、ヒースと昇! 自分でも動かしやすそうって思える!←

342心愛:2012/12/08(土) 16:48:40 HOST:proxy10067.docomo.ne.jp
>>彗斗さん

“イルファーレの戦神”様は最強なので!( ´∀`)

ルイーズとの信頼関係的なものがもっかい書きたかったんです←



>>ピーチ

ソフィアが捕まったらシュオンが黙ってないだろうねw


…そんな息ぴったりのヒースと昇くんは次で活躍してくれるはずでぐふぅ。

343ピーチ:2012/12/08(土) 17:01:17 HOST:EM49-252-145-12.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

ソフィア様が捕まったらシュオン様、シェーラちゃんが捕まったらヒースが黙ってないだろうねw←

まじですか! どーぞヒースたちを目立たせてやってくれ!

344心愛:2012/12/09(日) 20:37:00 HOST:proxyag060.docomo.ne.jp

鈴が歌う奇跡の旋律
『――闘うもの、護るもの――』






「あれか」



視界に入るは、悠然と赤茶の髪を靡かせる侯爵の姿。



……この男に指示を仰ぐのは少々癪だが、仕方ない。


ヒースは昇をちらりと見やり、



「で? どうすれば良い」



「動きを止める」



昇は真っ直ぐ前を見据えたまま、短く一言。



「できるのはそれくらいだな。後は天音たちの仕事だから」



「了解……っと」




《……貴様ラ》




放つ気迫が凄まじい。
あの侯爵の身体とは到底思えない程の圧倒的なオーラを纏い、異形の化け物は二人に対峙する。



《我ニ、逆ラウノカ》



「ああ」



刀身を鞘から抜き放ち、ヒースは挑発するように鈍く光るその先端を『ソレ』に向けた。




「俺たち二人が、お前の相手だ」




「―――……あ。そういや黒髪」



唐突に何かを思い出したように昇に言われ、出鼻を挫かれたヒースは半ば逆ギレ気味に応じる。



「黒髪じゃねえっつの! ……んだよ」



「言ってなかったけどさ」



昇は人の良さそうな笑みを浮かべ、




「俺は基本ノータッチってことで。ヤバくなったら助けるから、あとよろしく」




「……はああああっ!?」



《ナラバ、排除スルノミ》



昇の無責任な発言に食ってかかる暇も与えず、刀を携えた妖はヒースたちに向かって突進。



「ちょっ」



とっさに身を翻して避けながらも、ヒースは額に青筋を立てて怒鳴る。



「何でだよ!? 明らかに此処は二人で協力してって流れだっただろうが!?」



「これ如きに二人がかりってのも可笑しい話じゃねぇ? それとも一人じゃ無理?」



飄々とした昇の台詞に、



「い、言ってくれるじゃねえか……!」



酷く単純なヒースはすぐに引っかかった。


剣の柄をぐっと握り直し、



「分かった、」



重心を左足に乗せ、一呼吸おいてから強く地面を蹴る。



「そんなに言うなら―――俺だけでやってやるっての!」



凝縮した空気が破裂するような跳躍音、妖との距離が瞬時に零になる。



―――ギィッンッッッッ



短く、鋭い剣響が空気を切り裂きながら木霊する。


剣と剣が正面からぶつかり、その反動で身体が後方へと弾かれた。



「……っ!」



足元から砂埃が舞い上がる中、すぐさま体勢を立て直して肉迫。


衝撃で流れた剣先を制御し、再び振りかぶる。


続けざまに、そして際限なく続く剣戟。



―――強い……!



相手の攻撃の起点となる箇所だけを目で追いながら、ヒースは舌打ちした。


前回の侯爵の動きの比ではない。
何倍、何十倍という速度、そして精度。


斜めから打ち下ろすように、下から抉るように、横から払うように。


瞬きすら許さない銀光を紙一重で見切り、捌(さば)くのが精一杯だ。



「くそっ」



突き終わりの瞬間に斜め上段から突き下ろす。
直後、それと交叉して相手の剣が真下から跳ね上がった。



……追撃のチャンスは皆無か。



それをやっとのことで弾き返してなお、異形の動きは止まらない。

防がれるのをあらかじめ悟っていたかのように衝撃を受け流し、大地を蹴って瞬時に迫ってくる。


苦し紛れに空を切った刃を寝かせ横に薙ぐが、



「……っは、」



そのまま数メートル後方に着地して、ヒースは荒い息を吐いた。
一日に何度も酷使した所為で力が入らなくなった腕はぶらりと垂れ、こめかみを熱い汗が伝う。



《終ワリダ、小僧》



ざっ、と足音。



《覚エテオケ。我ヲ阻ム者は、皆―――》



「いや」



ひょい、とヒースは肩をすくめた。



「まだ終わりにするには早い」



そして、異形―――否、その“背後”に向けて、ヒースはほんの少し口の端を上げる。




「……別に、まだ全然ヤバくなってねえけど?」




―――……二の太刀は、不要。




「はっ、黒髪の癖につまんねぇ意地張るなって」




楽しそうに笑う声。




―――昇の刃が、相手の得物を一閃の下に弾き飛ばした。

345ピーチ:2012/12/10(月) 20:30:00 HOST:EM114-51-154-71.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

やばいヒースがめっちゃかっこいい!←

昇は相変わらず何ていうか………自由人?(おい

346心愛:2012/12/10(月) 21:44:37 HOST:proxyag068.docomo.ne.jp
>>ピーチ

ヒース負けかけてたけどねw

猫さんとマジ勝負した後だし仕方ないw


最後の最後で昇くんにいいとこ取られてるヒースでした←


次からは天音ちゃんと柊一くんに頑張ってもらう方向に持ってこうと思います!
どうなることやらー(~_~;)

347ピーチ:2012/12/11(火) 22:45:59 HOST:EM49-252-224-226.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

あの猫さんと真剣勝負した後だから仕方ない! ヒース頑張った!

天音達がどんな暴走を繰り広げてくれるのか楽しみだw←こら

348心愛:2012/12/12(水) 18:04:28 HOST:proxy10016.docomo.ne.jp
>>ピーチ

暴走…よりはしばらくマジメトーンかもしれないw

ここあがとあるシチュを書きたいばっかりに天音ちゃんにはちょっとだけ可哀想な目に遭わせちゃいますがごめんね天音ちゃん!

349ピーチ:2012/12/12(水) 18:44:23 HOST:nptka401.pcsitebrowser.ne.jp
ここにゃん〉〉

マジメトーンか!

全然いいよー←

あ、そういえばソフィア様逹って天音のこと何歳くらいだと思ってる?

350名無しさん:2012/12/14(金) 19:04:21 HOST:proxyag110.docomo.ne.jp

鈴が歌う奇跡の旋律
『――そして、決着の刻は来たる――』





「……ふーっ」



最後の一人が崩れ落ちるのを確認してから、ジルは長い息をついた。
戦うのは好きだけれど、これだけの人数を相手にして一人も殺さない方が骨。
後からじわじわと精神的な疲労が襲ってくる。



「あちらも決着がついたようです」



そのジルと全く同じことをしていたというのに汗一つかかず、クロードが昇とヒースが消えた方角を見やってさらりと言う。


あっそ、とジルは腕を組み、



「……なァ」



「はい」



明らかに格下であるジルにぞんざいに話し掛けられたにもかかわらず、クロードは素直に彼に向き合って。



「如何されましたか」



「兄さん、アンタただもんじゃねェな」



ジルは皮肉げに片頬を歪めた。



「いかにも育ち良さそーな顔してっけど、血の匂いがプンプンしてやがる。今までにそりゃあもう、もっの凄い量の血を浴びてきましたっていう匂いが、アンタの身体には染み付いてる」



クロードは表情を動かさない。
黙ってジルを見下ろすだけ。



「オレ様も似たよーなことしてきたから分かるンだよねー……アンタ強ェだろ、それも滅茶苦茶に」



にやっと嬉しそうに笑うジル。



「兄さん、今度手合わせしてよ」



彼の言葉に、クロードは少しだけ、驚いたように眉をぴくりと動かした。

それから、普段は引き結んでいる口元を僅かに緩め。



「……はい。ルイーズ様にお暇を戴けたならば」






*・゚゚・*:.。..。.:*・゚゚・**・゚゚・*:.。..。:*・゚゚・*






《……オノレ……》



「「……っ?」」



血走らせた目を上げ、二人を睨み付ける異形。

その姿は未だ侯爵のものにも関わらず、異様なまでの迫力を放っている。



《オノレ、オノレ……ッ! 矮小ナ人間ドモガ……!》



怒りに顔を歪め、そう絞り出すように吐き捨てたソレは、



「! 待っ」



二人を振り切って身を翻し、瞬く間に森の奥へと消え去った。



「はあ!? 意味分かんねえし! ……あーくそ、とにかく」



「―――天音っ!?」



そのとき、何処からか漆黒に艶めく長い髪を靡かせる天音が飛び出した。
着物の袖を風に煽らせ、瞳に強い意志を光らせ、消えた異形を追い、真っ直ぐに駆けていく。



「ばっ、天音っ? 何しっ」



「二人とも無事っ!?」



サッと青ざめた昇を遮り、またも新たな闖入者が現れる。
戦いの様子を遠くから眺めていた者たち、そして彼らに合流したクロードとジルだ。




「……昇、天音が」




ぽつりと漏らしたのは、いつになく険しい顔つきをした柊一。
その短い言葉の節々には、確かな焦りの色が見える。



「分かってる」



昇は頷き、柊一の後について駆け出しながら全員に向けて声を張った。



「天音を追うぞ! あの厄介娘、また一人で無茶やらかす気だ!」






*・゚゚・*:.。..。.:*・゚゚・**・゚゚・*:.。..。.:*・゚゚・*






木々の間を走っているうちに開けた場所に出、天音は足を止めた。
注意深く、ぐるりと辺りを見回す。



「見失った……?」



先程まで背が見えていたのに。

無意味に時間を潰していても仕方がない。素直に柊一たちと合流するしかないかと踵を返したとき、




―――突然、彼女の視界が、痛い程に暴力的な―――鮮烈な紅(あか)色に染まった。




「……あ、……?」



そして、燃え盛る火炎の中に、ゆらりと浮かび上がったのは―――人の形をした、黒い、影。



呼吸が、止まる。



……嘘。


だって、……だってこの人が、こんな場所にいるはずが。



大きく見開かれた瞳が、『それ』を映し、揺れる。



「……ぁ…………あ…………っ」



熱い。



熱い。



―――……あつ、い!




思考が停止すると同時、記憶に灼き付いた声が甦り、彼女を容赦なく責め立てる。



全身から血の気が引き、脚が震え、唇が戦慄(わなな)く。



直後、




「―――――――っっっ!」




細く、白い喉から迸った声なき悲鳴が、夜の帳(とばり)を引き裂いた。

351心愛:2012/12/14(金) 19:08:59 HOST:proxyag109.docomo.ne.jp
上の名無しさんになってしまった人はここあです(´ー`)



>>ピーチ

最近忙しくて駄目だわーw

そんな中の重要シーンなんだけど、焦ったせいかいつにもまして上手くいかなかった(~_~;)


それから天音ちゃんごめんねぇええええ(T^T)

352心愛:2012/12/14(金) 19:12:40 HOST:proxyag110.docomo.ne.jp
>>ピーチ



追加!
年齢不詳のお姉さんだと思ってるんじゃないかなw
少女って表現出てくるんで「女性と呼ぶべき年齢ながら、幼さを残した顔立ち」ってことにしてるんだけど…
昇くんや柊一くんに取ってる不遜な態度から二人と同年代、じゃあ自分たちより上か?みたいな←

353ピーチ:2012/12/14(金) 19:27:49 HOST:nptka203.pcsitebrowser.ne.jp
ここにゃん〉〉

さっすがここにゃん!

え、何これ何でこんな神文章になっちゃってるの!?

年齢不詳か! だったら次のコラボで使わしていただきます♪

天音のことだから多分年齢関係ないけどね!←おい

354心愛:2012/12/14(金) 23:09:37 HOST:proxy10033.docomo.ne.jp
>>ピーチ

え、そ、そう……?
妄想加速しすぎて天音ちゃんをぶっ壊してないか心配だったんだけど大丈夫…?


じゃあ次もこのまま突っ走っちゃうよー!
天音ちゃんと柊一くんで是非ともやってほしいシーンがあるのよね←

355ピーチ:2012/12/14(金) 23:36:31 HOST:EM1-114-162-231.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

全然!! むしろいい!

天音と柊一だったらいっくらでシーン思いつくよねー!←

356心愛:2012/12/15(土) 23:11:46 HOST:proxy10051.docomo.ne.jp

鈴が歌う奇跡の旋律
『――二人なら、きっと――』





「……天音っ!」



深い森の中響いた、余りにも弱く、か細い声。


昇と柊一が血相を変えた。


只事ではないということは、部外者であるソフィアたちにも十二分に分かる。


天音の身に何があったのか。



人が通った跡を探しながら走ること数分。

一行を先導していた柊一が、突然立ち止まった。

全員が息を呑む。



「火……!?」



視界を埋め尽くさんばかりに激しく燃え上がる炎。
瞬く間に木から木へと移り、彼らの周りに円を描くようにして広がっていく。



「嘘だろッ!?」



「こっ……こうしてる場合じゃないわ、早く逃げないと!」



ジルとユーリエが退路を探し始める中、



「シェーラ! ぼさっとしてんじゃねえ、お前もさっさと逃げろ!」



ヒースに怒鳴られ、一人ぼうっと突っ立っていたシェーラはやっとのことで我に返り。



「天音ちゃんは!? あたしたちだけ逃げるっていうのっ?」



うっと言葉に詰まったヒースが何か言い返す前に、



「……っ天音!」



「柊一さん!?」



木陰にうずくまる少女を見つけた柊一は、一切の躊躇もなく炎の渦へと飛び込み、彼女へと駆け寄った。



「危な―――」



「……皆、落ち着いて」



落ち着いた声音で、シュオン。
知的に澄むアクアブルーの双眸で、柊一と昇、そして辺りの炎をぐるりと見回す。



「この火、何かおかしい」



「シュオンの言う通りじゃ」



火の粉が舞い飛ぶ風に髪を踊らせ、腕を組むルイーズがちらりと彼女の従者を見上げた。



「焦っていても埒が明かぬ。……クロード」



「はい」



「く、クロードっ!? あんた何やってっ」



主の命を受け、クロードが迷わず火焔へと近づき、その真っ只中へ手を突っ込んだ。


蒼白になるシェーラに、クロードは普段通りの無表情で「案ずるな」と返し、



「……やはり、この炎は全く熱を持っていません。何か違う物の様です」



「え?」



彼の信じられない言葉に、ソフィアたちは恐る恐る炎の上に手を翳し。



「ほんとだ……」



「熱く、ない……?」



《見破ラレタカ》



声の方へと目を向ける。



「侯爵……!」



異形の化け物をその身に宿す侯爵が、この場にそぐわない酷薄な笑みを浮かべていた。



《予定ガ狂ッタガ……我ガ唯一ノ脅威、ソノ小娘を封ジテシマエバ、此方ノモノ》



確かに、妖に物理的な攻撃が効かないのは、すでにヒースが実証済みだ。
頼りになるのは、天音と、そして―――




「―――させない」




良く通る声。

穏やかな眼差しに、彼の内に内包された僅かの怒りを孕ませ、柊一が妖を見据えた。
思わずといったように、妖が黙り込む。



「天音」



屈み込み、小刻みに震えている彼女の顔を覗き込む柊一。



まるで示し合わせたように、場が水を打ったように静まり返る中、



「もう分かったでしょう? これは幻覚だよ」



「……そ……っなの、分かっ……」



天音は歯を懸命に喰い縛り、首を振る。
唇から漏れるのは弱々しい吐息ばかり。
美しい瞳に恐怖を滲ませ、



「でも……っ」




「俺がいる」




きゅっと手が握られた。
まるで幼子のように無防備に、天音は目を見張って彼を見る。



「俺がついてる」



彼女を優しく見つめ返し、柊一は微笑んだ。



「いつもそうだけど……。一人で抱え込まないで。もっと俺を頼ってよ」



一人じゃない。



「いけるね? 天音」



二人なら、きっと。



長い長い沈黙の末―――




「―――……誰に向かって、ものを言ってるの?」




小さく、天音はくすっと笑った。


あくまで素っ気ない動作で手をするりと解いて立ち上がり、異形を振り仰ぐ。




「―――よくも、この私を侮ってくれたわね」




不敵な冷笑。




「覚悟して。……その下品な口、今すぐに塞いであげる」

357心愛:2012/12/15(土) 23:17:00 HOST:proxy10052.docomo.ne.jp
>>ピーチ

書きたかったシーンその一!
弱る天音ちゃんを励ますかっこいい柊一くん!←ここあの主観です


次は悪ノリに悪ノリを重ねた詠唱と、書きたかったシーンその二ですやっほい( ´∀`)!

358心愛:2012/12/16(日) 09:26:33 HOST:proxyag053.docomo.ne.jp
>>ピーチ

質問いいー?
柊一くんって天音ちゃんと同じような力持ってるんだよね?
それ使うときって、両手を胸の前で組む……で、いいの?
鈴は使わないの?



あと、やりすぎじゃボケって場合はどんどん言ってね(・∀・)

359ピーチ:2012/12/16(日) 13:16:51 HOST:EM114-51-148-75.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

やばい凄い! あの天音をここまで上手く動かすことってあたしぜったい無理だよー!

天音と同じような力+で結構持ってるからね柊一は←

柊一の家系の鈴は漆黒ですはい。似たような使い方してるからね

どっちか言うと柊一は右手で鈴持ってそれを天に掲げるって感じかな←おい

360心愛:2012/12/16(日) 19:15:20 HOST:proxy10015.docomo.ne.jp

鈴が歌う奇跡の旋律
『――夜凪乃唄――』







《……面白イ》



異形が、嘲弄とは似て非なる純粋な笑みを浮かべた。



《人間如キガ、今の我ヲ止メルトイウノカ……》



背筋を伸ばし、真っ直ぐな眼を向けてくる天音に、異形が言う。




《ナラバ小娘。貴様ノ意思ヲモッテ、我ヲ見事倒シテミセヨ》




「えぇ。言われなくてもそうさせて貰うわ」



挑戦的に微笑み、それから昇が念の為にソフィアたちを安全な場所へと誘導しているのを横目で確認した天音は、



「……柊」



不意に、隣に立つ柊一に小さな声で。




「後ろ、向いて」




「え?」



「早く」



苛立ったように語尾を強める天音に、柊一は不思議そうにしながらも素直に従う。


すると、



―――とんっ



背中に触れた重みと体温。

驚いた柊一が、首を後ろへと向ける。



「……天、音?」



「別に、深い意味はないから」



少し下方に、彼女の後頭部。

ぴったりとくっついた背中に体重を預け、何とも居心地が悪そうにそっぽを向いている。



―――やがて、柊一の顔がふわりと柔らかく綻んだ。



「……そっか」



「そうよ。……何か文句でもあるの?」



まったく、素直じゃない。


柊一は思わず笑みを零す。



「ううん。それは残念だな、って思っただけ」



「……五月蝿い」



やや迫力に欠ける一睨みを背後へ投げる天音。


それから―――自分が今為すべきことへと思考を入れ替える。



すっと息を吸い、




「―――……宵に煌めく残月、静寂(しじま)に響くは微かな鈴鳴り」




りん―――




辺りを取り囲む炎の中心、背中合わせに寄り添う二人。

紅と黒の鈴が、優しく涼やか調べを奏でた。




《…………ッッ》




妖がびくりと反応する。




「永却(とわ)の記憶(ねがい)は儚く遠く」




「束の間の夢幻(あい)に只溺れゆく」




彼らの夜風に靡く髪を彷彿とさせる漆黒の鈴が、柊一の手によって天へと掲げられる。




「さまよい、いざよい、ゆらめく彩葉(いろは)」




「雪華に堕ちた罪の色、紅(あか)く黒く、尚暗く」




「心、翼、躰(せかい)を染める」




天音が手にした深い紅の扇が月明かりに照らされ、闇に浮かび上がる灯の如く、ぼう、と妖しげに霞んだ。



《コノ、力……小娘、……貴様ラ……ッ》



妖がよろめき、苦しげに呻く。




「乱れ咲け虚城の夜桜、断罪の刻を祝せ」




「舞い踊れ棘(いばら)抱く蝶、贖罪の巫(かんなぎ)を導け」




美しき唱和。
静かなる二人の言葉が波紋のように広がり、森の奥深くへと沁み渡る。




「鵺(ぬえ)吼ゆる玉響(たまゆら)、泡沫の繚乱は狂おしき微醺(びくん)」




「此なるは魂(みたま)に手向けし鎮歌(しずめうた)、空葬の烙印を受けよ」




《……ッアアアアアアアアアアアアア!!!》




突然異形が発狂したかのように絶叫し、髪を振り乱し、喉を掻きむしって苦しみ始めた。
紅蓮の猛火が一段と激しく燃え上がり、異形を覆う。




「鬼火の制裁にて―――」




「常世の呪縛に囚われし者よ」




《コノ、我ガ………ソンナ……ソンナ、コトガ……ッ!》




炎の中、カッと濁った目を見開き、消滅の淵で慟哭を撒き散らす異形の姿を見ても、それでも天音は怯まない。
扇を握り締める手に力を入れ、前を見据え続ける。




「其の総(すべ)てを賭し―――」




そのとき。
ちらり―――まるで示し合わせたように、天音と柊一、両者の間で一瞬視線が交わされた。
天音が何事もなかった風を装い顔を逸らし、それに柊一がふっと微苦笑。



そして。




「「―――汝が終焉を告げよ」」




―――厳かに響く二人の声が、重なった。

361心愛:2012/12/16(日) 19:23:18 HOST:proxy10015.docomo.ne.jp
>>ピーチ


…中二病って怖いね!((キラキラ


書きたかったシーンその2、背中合わせで戦う男女!
いやー、「お前に背中は預けるぜ」みたいなシチュに持ってくにはうちの子たちは貧弱が過ぎるので…
ある程度同等の身長、実力じゃないと映えないもんね!


そんなわけでここあは完全自己満足お腹いっぱいですが、直すとこ言ってくれたら書き直すよ(´ー`)
っていうかありすぎるよねうん←

362ピーチ:2012/12/17(月) 20:29:02 HOST:EM114-51-182-122.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

…………凄いの一言でございます。←

確かにいいかもね! 背中合わせ!

……直すどころか、このまま続けちゃってくださいな←おい

あ、二人の呪文もらっていいでしょうか? もしだめだったら言ってねー!

363心愛:2012/12/18(火) 11:59:25 HOST:proxy10060.docomo.ne.jp
>>ピーチ

………ま、まじで………?

それならよかったんだけど……いいのね? 本当にいいのね?(゚Д゚)


ええもちろん、あんなんでよかったらいくらでももらっちゃってください!
ただ、中二心に響く漢字組み合わせて造語作ったり勝手に意味分からんルビ振ったりしてるので気をつけて(・∀・)


これで一応終わり……な流れだったんだけど、『あの人』が出てきてないんでもうちょい続くよー(^^)/

364ピーチ:2012/12/18(火) 18:25:39 HOST:nptka104.pcsitebrowser.ne.jp
ここにゃん〉〉

あああありがとうございますー!

色んなありがとうー!←おい

らじゃー! 楽しみにしてまーす!

365心愛:2012/12/21(金) 19:13:41 HOST:proxy10023.docomo.ne.jp

鈴が歌う奇跡の旋律
『――幕は閉じる――』





《覚エテオケ……》



おぼろげな声。



《貴様ラノ事、我ハ決シテ忘レヌ……。ソノ顔、ソノ姿、コノ報イ……》



苦しそうに荒い息を吐きながらも―――けれど妖のその表情は柔らかく、憑き物が落ちたように晴れやかなものにも見えた。



《何度、デモ……イツカ、コノ世界ヲ……我ノ物ニ、シテ……》



「お断りよ」



天音はぱたん。と扇を閉じて冷たく告げる。



「仮に、もしそんなことがあっても―――私たちがまた送り還すから。何度でも、ね」



そのときは特別に相手にしてあげる、と薄く笑う天音。



《……最後マデ、良ク吠エル小娘ヨ……》



声を立てて笑い、異形は穏やかに瞼を閉じた。
その身体が、ふっ、と完全に弛緩する。



りん―――



鈴の音色。
それはまるで、妖に安らかな眠りを告げる旋律であるかのようで。



間を置いてから、ソフィアがこわごわと声を発した。



「終……わった、の?」



「あぁ。そうみてぇだな」



昇が首肯し、すぐさま天音と柊一の元へと駆け寄る。



「お疲れ」



「昇もね」



「えっと……お前はもう、大丈夫なのか?」



彼らに割り込む形で、天音へと遠慮がちに尋ねたのはヒースだ。
彼にしては、それなりに気を遣っているようにも見える。


対する天音は額に手を当てて俯き、ふう、と哀しげに息を吐いた。



「……これは、思った以上にショックね。黒髪君如きに心配される程、私は落ちぶれてはいないつもりだったんだけど……」



「こっちがショックだよ畜生!」



途端にいつにもまして凶悪な目つきになったヒースがゲシゲシと傍に立つ木を蹴る。



「……天音さん……」



「もう大丈夫よ。見苦しいところを見せたわね」



「そんなことっ」



何処からか「何で御嬢様には普通の対応できるんだよ……!?」という怨念の籠もった呟きが聞こえたような気がしたがそれには構わず、ソフィアが困ったように視線を彷徨わせる。

ソフィアだけでなく、他の面々も複雑な表情をしていた。

この彼女が取り乱す程の、何か深く、厳しい事情をどうやら天音は抱えているらしくて。

正直に言えば気になるし、自分たちで彼女に何かしてあげられることが、もしもあったならしてあげたいとも思う。
けれど、それについて口に出しても良いものなのだろうか。
変なことを言って、余計に彼女を傷つけてはしまわないだろうか。


そのとき、



「天音ちゃん元気になって良かったですー! もー、走って行っちゃったときはどうしようって思ったんですよ?」



シェーラがおどけたように言い、ぷくっと膨れてみせた。



「昇さんも柊一さんもすっごく心配してたんですから。一人で無理しちゃ、めっ、ですよ!」



彼女は場を明るくするのが異様に上手い。

ソフィアたちはふっと気が抜けて、安心したように笑った。


―――彼女が望まないのなら、何も訊かないことにしよう。


だって、きっとそれは、自分たちの役割ではなくて。



「天音?」



「分かってるよね?」



「……分かってるわよ……」



じとりと据わった目の昇と、笑顔で釘を刺す柊一。
今日は同じことを言われてばかりね、と天音は不承不承頷いた。



「で」



「アレ、どうしましょうか?」



彼らが次に見たのは―――妖が消えた所為でそのまま地面に転がっている侯爵の死体―――訂正、身体。



「処分するのが妥当でしょう」



完全なる無表情のクロードが重々しく告げた。



「生かしておいても価値はありません」



「そうですね。僕も同じ意見です」



「ちょ、ちょっと待てって! クロード殿も落ち着いて下さい!」



「クロード、シュオン! 罰を与えることは必要としても、それはあんまりではないか!」



「ですが」



「ですがも何もない。民を殺めるなど、決してわたしは許さぬからな」



この場の最高権力者であるルイーズが強く言う。
さらに、



「シュオン。許してあげて」



「ソフィア……」



「この通り、私は無事なんだから。酷いことはしないで」



それで、想い人に甘い二人は完全に黙る。

366心愛:2012/12/21(金) 19:19:12 HOST:proxyag115.docomo.ne.jp
>>ピーチ

冬休みになっても忙しいここあです…。
学校燃えr(ry


早めに終わらせてピーチに引き継いで、自分のスレ進めようと思ってるんだけど厳しいわー←
ほんとすみません(つд`)

367彗斗:2012/12/22(土) 02:20:18 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
心愛さん>>
侯爵〜!? この二人に処分されてたらただ事じゃ無かったねこれw

色々な私用が込み入ってコメントが書けなかったのですが今回久々に書く事が出来ました☆

これからコメントする回数も多くなるかと思いますので宜しくお願いします!

368ピーチ:2012/12/22(土) 14:51:52 HOST:EM114-51-6-93.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

ごめんなさい何かすごくごめんなさい!!

いや、別に嫌だったら無理に引き受けてくれなくてもよかったのに……

ほんとごめんね!?

369心愛:2012/12/22(土) 18:18:01 HOST:proxy10011.docomo.ne.jp
>>彗斗さん

ありがとうございます!
確か彗斗さんは受験学年…ではありませんでしたっけ…?

彗斗さんが遊びに来て下さるのはとっても嬉しいですけど、無理はなさらずに(・∀・)



>>ピーチ

あ、あれ!?
言葉のチョイスがまずかった!?

嫌じゃないよ全然嫌じゃないよ!
忙しいのは確かだけど、スキマ時間見つけて書くのは結構好きなことだからむしろ嬉しい悲鳴と言いますか。
恐れ多くも天音ちゃんたちを書かせていただくのが嫌だなんてそんなのあるわけないじゃないか!(くわっ
ただ、散々待たせた挙げ句に内容残念な亀更新で申し訳なくて…m(_ _)m

370ピーチ:2012/12/22(土) 23:23:21 HOST:EM49-252-13-47.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

よ、よかった……!

嫌なのに無理して付き合ってくれてるんじゃないかと思った←

天音達なら永久に健在だよ! 天音はいつまでも女王だよっ!←おい

371彗斗:2012/12/23(日) 15:49:46 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
心愛さん>>

大丈夫! 私は一応余裕ですので☆

全く話が浮かばなくて……ちょっと前までは更新を控えていたんですがね……ピーチさんや心愛さんの小説を見て「無理矢理でも何でも良いから書こう!」とがむしゃらに全ての作品に手を付けている所ですw

良かったら見てみて下さいね☆

372心愛:2012/12/23(日) 20:36:42 HOST:proxy10029.docomo.ne.jp
>>ピーチ

そんなわけないない!

…天音ちゃん最強女王伝説☆



>>彗斗さん

ならよかったです(・∀・)

なんか、全く手が着かなかった回を無理矢理にでも終わらせると、次からは意外とすらすら出てきたりしますもんね!



このコラボも一応山場は越えたので、そろそろ邪気眼少女やソラの波紋も再開できたらいいなーと思います!
ごめんねピーチ…やっぱりコラボ完結はもうちょい待ってー…!(^-^;

373ピーチ:2012/12/24(月) 14:04:39 HOST:nptka207.pcsitebrowser.ne.jp
ここにゃん〉〉

いーよここにゃんさえ迷惑じゃなければ!←

むしろありがとうー!

…あ、質問いーですかね?

374心愛:2012/12/24(月) 16:50:14 HOST:proxy10002.docomo.ne.jp

鈴が歌う奇跡の旋律
『――嵐、来襲――』






「とにかく。兄様に唆されてとはいえ勝手に侵入し、さらにソフィア嬢の身柄を狙ったのだから、野放しにしておくのも問題じゃな」



「でも可哀想ですよー……。天音ちゃんはどう思います?」



天音は「そうね」と考える素振りを見せる。
そして―――次の瞬間には、誰であろうとも思わず見惚れないではいられない程に温かく、麗しい微笑を湛えて言った。




「―――それなら、私が満足するまでひたすら殴る、ってことでどう?」




「「ではそれで」」



「うおおおおいっ!? 落ち着け落ち着いて考えろ! この女絶対殺すまで殴るぞ!?」



揃って即答する真顔のクロードと笑顔のシュオン。

ヒースが二人を、柊一が天音をとそれぞれ必死に説得を開始する中、地面に転がる侯爵がもぞもぞと動いた。



「私、は……何を……? 《紫水晶》は……?」



「あ? 寝ぼけてンじゃねェよオッサン。早いとこ出てきな、じゃねェと面倒だしオレ様が殺っちまうよ?」



「ひいっ」



「ジル、台詞が完全に悪役なんだけど」



真っ青になり尻餅をついて後ずさる侯爵に剣先を突きつけ、ちらりと冷たく見下ろすジル。



「ンなの元からだろ。オレ様もお前も」



「……そうだったわね」



ユーリエがくすりと笑む。



「此処にいると、自分がしてきたことをつい忘れそうになるわ」



「……同感」



ハッと笑い声を漏らして肩を竦め、ジルが侯爵から刃を退いた。



「くっ……またしても……! こんな野蛮な者たちに負けるなん―――」




「お父様っ」




「あなた!」




『………はい?』



侯爵を遮る、新たな二つの声に全員が振り返る。


ザッと音を立てて地を踏み締めたのは、ランプの明かりで足元を照らした二人の女。
赤とも茶とも取れる豊かな巻き毛を背中に垂らした彼女らは眉を釣り上げ、侯爵を見つけるやぱたぱたと駆け寄って。



「お、お前たち、どうして此処に」



「それはこっちの台詞です!」



「誰だあれ」



「さぁ……。あの人の家族、じゃないかな」



昇の呟きに、柊一が首を傾げる。



「お父様こそ何をしているのですかっ」


「王太子様があなたの居場所を教えて下さって、馬車で慌てて駆けつけたの。すぐに見つかって良かったけれど……。まさか、本当にこんな馬鹿なことを……」



どうやら二人は、侯爵の妻子であるようだった。

娘の方と思しき若い女性が、「でも……」と苦笑する。



「こんなことになったのも、元はと言えば私たちの所為だものね……。お父様、私たちが悪かったわ」



「もう心配はいらない。帰りましょう、私たちの家へ」



「お前たち……っ」



侯爵の目にじんわりと涙が浮かぶ。


長らく別れていた家族の再会。
それは一つの感動のシーンのようにも思えたが、


侯爵へとそっと手を差し伸べようとした母娘の瞳が、不意に『彼』を映し出した、その途端―――




「「きゃあああああシュオン様―――――っっ!」」



「こんにちは、親愛なるレディたち」



すかさずソフィアにヒースの後ろへ隠れるよう囁いて、完璧外面を装着したシュオンがにっこり微笑む。
暗い闇の中でさえも、彼の美貌は健在だ。
キラキラ輝く粒子を身に纏い、



「まさかこんな所でお会いできるだなんて……。お二人とも、相変わらずお美しい。今日の僕は神に愛されているようですね」



「金髪君、頭でも打ったの?」



「ええと……シュオンは基本、他人には猫を被ってるから……」



「シュオン様は真性の女タラシなんですよー」



「はぁ」



呆れ顔の天音に、ソフィアとシェーラが小声で解説する。

そして、



「ぅぅ、く……っ」



「…………うん…………」



しくしくと膝を抱えていじける侯爵の肩を、ヒースが慰めるようにぽんぽんと叩いた。

375心愛:2012/12/24(月) 16:59:40 HOST:proxy10001.docomo.ne.jp
>>ピーチ

じゃあそろそろ並行し始めようかなーw


…まさかの侯爵妻子登場です。
ほら、ここあって悪役も最後までちゃんと扱うからね!異形もね!

…ちょっと前に思いついただけだけどね!


質問どーぞ( ´∀`)

376名無しさん:2012/12/24(月) 20:30:26 HOST:EM114-51-208-89.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

まさかの侯爵の妻子登場w

優しすぎるもんねここにゃん!

何気天音の言葉がうけたw

多分三学期に入ってから授業で物語を書いたりするのがあると思うんだけど、このコラボ使ったらだめだよね……?

377心愛:2012/12/25(火) 09:10:50 HOST:proxy10017.docomo.ne.jp
>>ピーチ

女王天音ちゃん復活?←



授業で物語…!?
なんて素敵な学校だ!

や、ここあは全然構わないよ?
構わないんだけど…先生とか同級生が話分かんなくてもいいの?
せっかくピーチの才能が色んな人の目に触れるチャンスなんだから、どうせだったら一本書き下ろしたら…?
それにうちのあんなアホたちが我が物顔で登場したら引かれるんじゃ(;゜ロ゜)


…そりゃあ嬉しいけどさ! 嬉しいけどさっ!

378心愛:2012/12/25(火) 17:51:54 HOST:proxy10045.docomo.ne.jp

鈴が歌う奇跡の旋律
『――嵐、来襲――』





「ルイーズ様。いつものこととはいえ、仮にも一国の王女がふらふらと外を出歩いているなどと部外者に情報が行くのは避けるべきです。此処は身を隠しましょう」



「そなたの言い方には少々引っかかるが、承知した」



クロードに誘導され、ルイーズが森のさらに奥の方へと消え去る。



「ああんシュオン様、お名残惜しいですわっ」



「それは僕も同じです……が」



くっついてくる二人をやんわり押しのけ、シュオンは申し訳なさそうに微笑んだ。



「今の僕は婚約者がいる身ですので」



ヒースの背後のソフィアがびくっとする。



「……そうでしたね……」



二人はしょぼんと目に見えて落ち込み、肩を落とした。



「ごめんなさい。つい調子に乗ってしまいましたわ」



「ですから」



にっこり笑い―――シュオンは柔らかな視線で彼らを指し示した。




「どうせ触れるなら。あちらの二人なんて、如何です?」




「「は?」」



我関せずを決め込んでいた昇と柊一がその顔を上げる。

二人ともすらりと背が高く、さらに方向性は違うにせよ東洋風の魅力を持つ文句なしの美形である。



女性方は彼らを見た途端にぱああっと目を輝かせ、



「「きゃーっステキー!」」



「えぇっ!?」



流石に抱きつきまではしないものの、彼らに密着しては「何処から来たのか」「今いくつか」などと質問責めにする二人。


それを見て、



「………しくしくしく」



侯爵がさらにだばだばと滝のような涙を流し、



「……………」



「あ、天音っ? これはその、違うってっ」



慌てて弁解する柊一にも耳を貸さず、天音は磨きが掛かった「つーん」をかましてそっぽを向き続ける。



やがてたっぷり堪能した後、二人は「ふぅ」といかにもしあわせそうな表情で身体を離して。



「私、とっても満足しました」



「それは良かった」



「全然良くねぇよこの金髪っ!?」



昇が笑顔を崩さないシュオンに噛みつく。


「えへっ?」とちょっと可愛らしくちろっと舌を出す娘。
続いて夫人がおっとりと頭を下げる。



「夫共々、非礼をお詫びしますわ」



「本当にな!」



「それではシュオン様、そちらのお二人もまた! ご機嫌ようー!」



「うう……」



ある意味逞しい親娘は「格好良かったわね!」「私はあの大人しそうな方がストライクで」「えぇーっ? 私は背が高い方の」などと興奮気味に雑談を交わしながら侯爵をずるずると引っ張って退場。



「すげえ……あの人たち、俺らのこと最後まで見なかった……」



半ば呆然として呟くヒースに、シュオンが面白がるように。



「ソルファール侯爵夫人とお嬢様は美形好きで有名だからね。当然と言えば当然じゃない?」



「「どういう意味だコラ」」



見向きもされなかった男二人が額にピシッと青筋を立てた。



「暗い中だったのじゃし、良く見えなかったのかもしれぬな。わたしはそなたらもなかなかの二枚目だと思うぞ」



「王女殿下……!」



茂みの中から出てきたルイーズが苦笑する。
ヒースが少し涙ぐんでいた。


そして、


「いつまでも遊んでないで帰るわよ」



「天音……い、今のは俺たちが悪いんじゃないよね? どうして怒って」



「どうして私が怒るの?」



「ごめんなさい」



「だからもっとプライド持てよお前!」



不思議そうに首を傾げる天音の瞳が冷たく凍っているのを瞬時に察した柊一が流れるように謝罪。

昇も青くなって顔を引き攣らせていた。



そこへ、さらに。



―――またも、新たな闖入者の声が響く。




「―――シュオン? そこにいるの?」




エインズワーズ家の面々が、皆一様に『げぇっ』という表情になった。

379ピーチ:2012/12/25(火) 23:23:58 HOST:EM1-114-215-92.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

天音女王復活伝説w←え

小学校の時にもやってるよー! 教科書めくってて見っけて一人で舞い上がってたよー!

…………柊一達まで餌になったか!

あれ、昇にもちゃんとした人は居るはずだけどw

次のコラボで出せたら出すね!

380心愛:2012/12/26(水) 15:33:14 HOST:proxyag103.docomo.ne.jp
>>ピーチ

大丈夫、昇くんのことはちゃんと承知してるよ!

ただ、天音ちゃんを美人美人言っといて男二人の美形ぶりは書いてなかったなーって思ってちょっと強調してみただけですw

381名無しさん:2012/12/26(水) 21:18:52 HOST:EM114-51-172-214.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

よかった大丈夫か!←

うん、まぁ一応みんな美形キャラ頑張ったけどね!(おい

382心愛:2012/12/26(水) 23:16:51 HOST:proxy10060.docomo.ne.jp
>>ピーチ

美形美形ー!
美形万歳!

…なんか美形ばっか書いてるからレイさんにとばっちりが行ったのかなーとか思うけど気にしない(´ー`)
美形って言い切れない自キャラはなかなか他にいな……あ、ジルがいたか((こら

383ピーチ:2012/12/27(木) 13:57:25 HOST:nptka204.pcsitebrowser.ne.jp
ここにゃん〉〉

美形万歳ー!←

いや、あのね、ジルもレイさんも結構美キャラだと思うよ?

384心愛:2012/12/27(木) 19:16:17 HOST:proxyag093.docomo.ne.jp
>>ピーチ

ありがとう!
奴らが聞いたら絶対喜ぶよ! 特にレイさんは号泣して喜ぶよ!

まあ容姿は並以上だろうけど突出してないから他キャラに埋もれちゃうんだよね…(^-^;

385心愛:2012/12/27(木) 21:08:28 HOST:proxy10003.docomo.ne.jp

鈴が歌う奇跡の旋律
『――災厄、来襲――』






「クロード殿! 姫君をすぐに目の届かない場所へ!」



シュオンが余裕を消し血相を変えて叫ぶ。



「む、今の声はレディ・アゼ」



「承知しました」



「なっ!? 何故ゆえっ! はーなーせー!」



おそらく状況は分からずとも主の身への危機を察知したのだろう、ひょいっと暴れるルイーズを軽々抱きかかえてクロードが再び姿を消す。



「そこの黒髪二人、そいつ連れて早く逃げろ!」



「は?」



「ユーリエ、シェーラちゃん、お嬢様もっ」



涼しげな夜風が吹き抜ける中、ダラダラと冷や汗を流すヒースとジル。



「ソフィア様、あっちに行きましょう!」



「ほ、本当に逃げきれるかしら……?」



「大丈夫、いざとなったら私が何とかするわ。……多分」



慌てて先導するシェーラに怯えるソフィア、そして何処から取り出したのか、鈍く光る包丁を不安げに眺めているユーリエもクロードの後に続く。



「……何の騒ぎだこれ」



「天音、何か嫌な予感がするんだけど……。言われた通り逃げた方が」



「嫌。何だか知らないけど、逃げるだなんて冗談じゃないもの」



「……これだからトラブル抱え込むんだよ……」



一人で何かやらかすよりは良いけどさ、と昇が呆れたように頭を振ったとき。




「―――もう、探したじゃない」




ソルファール兵を従えた貴婦人が姿を現した。


ゆるやかに波立つ淡い黄金色(オフ・ゴールド)の髪に穏やかな新緑色の瞳。
シュオンに瓜二つの甘い美貌は少女のように若々しい。

エインズワーズ公爵夫人アゼリア。



「は、母上……? そちらの人は……?」



「貴方を探している途中で知らない人たちが大勢倒れているのを見つけたから起こして話を聞いたのよ。この人はお願いしたら護衛に付いてくれたのだけど……。災難だったわね」



「今の方が断然災難ですけどね」



「あら、何か言ったかしら?」



「いいえ、何も」



一見にこやかな笑顔の応酬。
ただし、鉄壁であるはずの息子の方は微妙に強張っているような。



「それで? ランディから今日はお客様―――ルイーズ姫がいらっしゃると聞いていたのだけど」



もしかしなくても、ルイーズ目当てにこんなところまでやって来たらしい。



「残念ですが、母上。プリンセス・ルイーズなら既にお帰りになられました」



「……そうなの?」



シュオンの嘘に、アゼリアは不思議そうにぱちぱちと瞬き。



「ソフィアとシェーラとユーリエは? 一緒ではないの?」



「ソフィアたちは先に屋敷へ戻りましたよ。途中で会いませんでしたか?」



さらりと嘘を重ねるシュオン。
三人挙がった名前を「ソフィアたち」で片付けてしまうところは流石と言うべきか。


アゼリアは信じたのか信じていないのか、「ふぅん……」と指先を尖らせた唇に当て面白くなさそうに辺りをぐるりと見回し、




「……まぁ」




「やっぱこうなるか……!」とヒースが頭を抱え、「お、オレあっちの方散歩してくるわ!」とユーリエらがいる方向へジルが駆け込む。
シュオンの微笑に、ピシッ、と最早取り繕えない亀裂が入った。



アゼリアは頬に手を当て、これ以上ないという程にその表情をぱああああっと輝かせる。



「まぁまぁまぁっ! そこの貴女」



「……私?」



眉をひそめ、柊一と昇を伺う天音。



「あぁなんて可愛らしいのかしら……! この年になってこんなに美しい子と巡り逢うことができるだなんて、わたくしの人生もまだまだ捨てたものではないわね。そのオリエンタルなドレスもとっても似合っていてよ!」



「母上。彼女は客人ですから……あと下手に手を出したりしたら後で聞いたソフィアが悲しみますし、まず彼女自身が黙っていませんのでほどほどに」



シュオンの忠告も何処吹く風よと聞き流し、アゼリアは天音に近づいて、キラキラッと熱を纏った煌めく瞳で背の高い彼女を見上げた。

386ピーチ:2012/12/27(木) 22:58:29 HOST:EM49-252-69-209.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

とうとうアゼリア様のご登場だーいっ!

………女性群のみならず男性群まで青くなるのが凄いよね←

387心愛:2012/12/28(金) 16:06:04 HOST:proxy10050.docomo.ne.jp
>>ピーチ

最強母上アゼリアさん登場ーw
ちょっと口調がリリスと似てる(;゜ロ゜)


あと二回で完結予定だよ!
良かった年内に終わりそう…(´ー`)

ラスボスはアゼリアかとか考えちゃいけない←

388ピーチ:2012/12/28(金) 17:36:26 HOST:EM1-115-30-179.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

最強最強w

あと二回か! じゃああたしは来年から始めようかなー

ラスボスNOだよここにゃん!

389彗斗:2012/12/28(金) 23:47:13 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
心愛さん>>
アゼリア様のご登場w(←これはラスボス登場の場面と似た所を感じるのは私だけ?ww)

一体どれだけ他人を怖がらせたら気が済むのやら……(シュオン様が逃げだすジルを道連れにした所が一番ウケたww)

390心愛:2012/12/29(土) 15:48:23 HOST:proxy10009.docomo.ne.jp

鈴が歌う奇跡の旋律
『――貴婦人は微笑む――』





天音の全身を舐め回すように熱っぽく見つめ、ほうっと吐息を零すアゼリア。



「何て綺麗な髪……! 触ってみても良いかしら」



「は?」と一瞬唖然とした彼女の返事も待たずに手を伸ばし、アゼリアは心底恍惚(うっとり)とした表情で髪をさらりと一束掬い取る。



「あぁ、手触りまで最高なのね。ずっとこうしていたいくらい」



目の前の理解不能な生き物に、天音がどう対処すべきか迷っている間に。



「肌も黒に良く映える眩しい白……。堪らないわ。ねぇ貴女、今夜はわたくしととっても楽しいことをして遊ばない? 大丈夫、乱暴なことはしないから」



「はーはーうーえ! ですからそういう不埒な―――」



つつつつつ。


指先で首筋をなぞられ、ぞわっ、と全身に鳥肌が立つ。


天音の頭の中に、正当防衛、というシンプルな単語が浮かぶ。


この際殴り飛ばしても誰にも咎めることはできないのではなかろうか。
きつい言葉を浴びせたり怪我しない程度に振り払ったりしても、このタイプの変人には通用しない。そう天音の本能が告げていた。

やむを得ない。

混乱が過ぎ去り、理路整然とした思考の末に一つの結論を出し、天音が拳を握りかけたとき。




「あの」




苦笑する柊一が、遠慮がちに声を発した。



「……天音が困ってるので」



空気が凍る。


シュオンとヒースが信じられないものを見たときのように目を見張った。


まさか、果敢にも―――柊一は完全に自然体だが―――このアゼリアに対抗しようとする者がいるとは。



「……別に、困ってないわよ」



不満げに響いた声は天音のもの。

むっとしたように柊一を睨む。



「……ふふ」



するり、と指先が離れた。


微笑むアゼリアが天音から距離を取る。



「素敵な騎士(ナイト)様ね」



くすくす笑って柊一を伺い見た後、



「残念だけど……この続きはまた今度」



「その『今度』が二度と訪れないことを祈ります」



「つれないのね。そこも可愛い」



冷ややかな目つきの天音に、性懲りもなくにこにこする。



「母上、冷えた風は身体に障ります。そろそろ中へ」



「はぁい。シュオンったらすっかり口五月蝿くなっちゃって」



ぷんっ、と息子に膨れてみせたアゼリアはそのまま放置していた兵士に向き直り。



「ああ、貴方、申し訳ないのだけどわたくしを屋敷まで送って行って下さる? そうしたら他の皆と一緒に帰ると良いわ」



「は、はい」



「『お願い』なんて嘘だろ絶対強制しただろ……」



ぼそぼそ呟くヒース。



「貴女、お名前は?」



「……天音です」



「天音さんね、可愛い響き!」



明らかに引いている天音もものとせず、



「またお逢いしましょう!」



ドレスの裾を翻し、災厄の具現化とも言える貴婦人は優雅な微笑を残して歩き去った。



「すげぇ、あの人俺らのこと最後まで見なかった……」



何処かで聞いたことがあるような台詞と共に、昇。



「母上は無類の女性好きだから……。嫌な思いをさせてごめんね」



「金髪君に謝られると気持ちが悪いんだけど……」



天音相手に素で謝るシュオンが、次に瞳に微かな尊敬の色を滲ませて柊一を見る。



「柊一さん、だよね。また母上絡みで何かあったら是非よろしく。君しか頼れる人がいないんだ」



「え? 何で俺?」



「やっぱり自覚なしかよ!」



俺でも何となく分かったぞ、と昇が呆れたように。



続いて「良いんじゃねえの?」とヒースが笑った。



「何しろあのお前が『はーはーうーえ!』だもんなー、此処はそっちの黒髪に頼るしかねえだろ。……ははっ、すっかり可愛げも何もなくなっちまったと思ってたけど、珍しいもん見させてもらっ」



「あはは、この僕を困らせることができるのはソフィアと母上だけだからね」



「まっ待て超楽しそうに笑いながら爆弾取り出すんじゃねえマッドサイエンティストかお前は!?」



「そうだけど?」



「そうだったぁー!」



突如として始まった、あまりに不毛な追いかけっこ。

天音が「……帰っていい?」と小さく呟いた。

391心愛:2012/12/29(土) 15:59:31 HOST:proxy10009.docomo.ne.jp
>>ピーチ

最強最強ーw

ここあの中での隠れ最強天然男・柊一くんに撃退していただきました!
ひねくれ者のシュオンが認めるってことは物凄いことだよ(o^_^o)



>>彗斗さん

ラスボスですね!

あ、ジルはすでに逃亡しております。シュオンはアゼリアに「やばっ」と引き攣っただけです、分かりにくくてすみません!



残り一回、ピーチや、これからに繋げつつ綺麗にしめられるように頑張りますっ( ´∀`)

392ピーチ:2012/12/29(土) 16:15:30 HOST:EM49-252-63-97.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

最強ーw

…うん、まぁ柊一も色々凄いからね。ある意味←

あのシュオン様が認める母上も凄いw

頑張れ! 何とか頑張って繋げられそうなところ繋げるから!

393彗斗:2012/12/30(日) 11:28:40 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
心愛さん>>

おぉ……柊一君強っ……アゼリア様をこんなにも簡単にw

シュオン様が認める位だから、相当な物なんだろうねw(色んな意味で)

それと……思いっきり話が変わりますが、正月が近づいているって事である事を企画している最中なのです☆

一月一日深夜12時丁度に更新を予定してますのでお楽しみに☆

394心愛:2012/12/30(日) 11:38:17 HOST:proxy10044.docomo.ne.jp

鈴が歌う奇跡の旋律
『――さよならは言わない――』





「ふー。やっと行ったか?」


「あ、生きてたんだ。ドヘタレ害虫」


「はァ!? 何その言い草!」



木の陰から続々と出てくる彼ら彼女ら。

その中で、ソフィアがそっと申し出た。



「あの……もう、帰ってしまうの?」



「えぇ」



「も、もしかして奥様に何かされちゃったからですか!?」



「……それは関係ないわよ……」



涙目ですがりつくシェーラをさり気なく遠ざけながら、天音が苦笑した。



「また遊びに来てよ。君たちがいると、ソフィアが喜ぶんだ」



「ふふ。次までに、三人専用のカップを用意しておこうかしら」



「おー、さっすがユーリエさん! グッドアイディアです!」



仕方ない、とでも言うように天音は肩を竦め、



「……何かあったらね」



「はい!」



彼女の返事に、黙って聞いていたソフィアも安心したように微笑んだ。



「王宮に来てもよいぞ! 国を挙げて歓迎しよう」



「ルイーズ様、それは激しく有難迷惑と云うものなのでは」



「なんじゃとー!?」



むきゃー! と暴れる王女を諫めながら、クロードが三人を流し見て。



「達者で」



「どうも」



柊一が穏やかに笑みを返す。

続いて、昇が笑って手を振った。




「ヒースもまたな!」




「だっから黒髪言うな! 俺はヒース=ユー……………………………………え?」



ピシッ、と硬直するヒース。



「お湯でも掛けたら解凍できそうだね」



「……あ、悪い。俺としたことが間違えた。じゃーなー、黒髪ー」



氷漬けにされたようにカチコチに固まっているヒースをよそに、三人は歩を進め。




「―――また」




轟音、吹き荒ぶ突風。


巻き起こる黒い渦の中、振り返って薄く微笑んだ天音の唇が確かにそう動いた―――ような、気がした。


やがて三人の姿がその中へと完全に溶け込み、そして―――




「……行っちゃったか」



ふっと息をつく間もなく。



「こうしてはいられません!」



メイドの少女が元気に声を弾ませた。



「天音ちゃんのイメージに合うドレスを作らなきゃ! あーもう柊一さんに好みを聞いておくんだったー!」



一人無駄な使命感に燃えるシェーラの火の粉は、他の誰かにまで飛んでくる。



「ユーリエさん、天音ちゃんの代わりにモデルお願いします! 体型近いから絶対いける!」



「え」



続いてルイーズが、んー、と伸びをして。



「わたしたちも帰るか。早速料理長にもっと美味いダイフクを開発させて、今度あやつらに振る舞えるように!」



「畏まりました。料理長に『すぐに逃げろ』と連絡を入れておきます」



「何を言うか! クロード、そなたもわたしと一緒に味見役を務めるのじゃぞ。たまにはそなたも息抜きをするべきじゃ」



「……それが、ルイーズ様のご意志でしたら」



ルイーズの我儘に、クロードが表情を和らげた。



「あの人たちに関わるとトラブルがつきないけどね。たとえ魑魅魍魎が攻めてきてもこの星が粉々に爆発しようとも、僕はソフィアだけを守るし愛し続けるよ」



「しゅ、シュオン……! 恥ずかしいから……っ」



「この星爆発しても生きてるつもりなのかよこいつら」



ジルがじとーっとした目で呆れたように言う。



「まぁ、日常も良いけどたまには刺激も必要ってことで。毒薬みたいにね」



「お前の求める刺激はヤバすぎンだよ!」



「ちょっとヒースー? 起ーきーろー!」



シェーラに揺さぶられ、はっとようやくヒースが我に返った。



「……ま……間違ってねえし全然間違ってねえし!」



わなわなと震え、



「あの野郎、言いたいだけ言って帰りやがって……! 次逢ったら覚えてやがれぇ……っ」



頬を凶悪にひくつかせて天を見上げる。




「ふざっけんな、俺の名前はヒースだっての―――――――ッッ!!」




「ヒース五月蝿い」



何処までも哀れな従僕の叫びが、森の奥に木霊した。

395心愛:2012/12/30(日) 12:23:44 HOST:proxy10058.docomo.ne.jp
>>ピーチ

繋げちゃってくださーいっw
あ、でも無理に詰め込まなくていいからね!


>>彗斗さん

最強対最強?(笑)
いいですねー、イベントのときに更新するのはここあの夢だったり←
でもどうにも忙しくて一度も叶ったことがないという(^-^;



おめでとうヒース! やっぱりオチはお前のものだ!


次っていうかこの関係がずっとずっと続いていくことを願いまして。
…というわけで、
大変お待たせしましたありがとうございました楽しかったです!


ここあ編完結をここに宣言いたしますっ(つд`)

396ピーチ:2012/12/30(日) 16:07:51 HOST:EM114-51-157-47.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

繋げちゃいまーすっw

ナイスここにゃん! 天音のドレスはあたしも考えてたっ!

…ドレスのデザイン、どんなのがいい?←

397心愛:2012/12/30(日) 18:06:37 HOST:proxyag105.docomo.ne.jp
>>ピーチ

……どんな感じがいい?(逆に


雰囲気変えずクールなブラック系で攻めるのもいいけど面白みがないよね…。
イメージ壊さない程度の意外性があった方がいいかなぁ。


作者様のリクエストがあればここあが適当に描写を量産してお手伝いしますよっ(〃▽〃)
わくわく←

398ピーチ:2012/12/30(日) 18:22:37 HOST:EM114-51-44-25.pool.e-mobile.ne.jp
ここにゃん>>

聞かれたっ!

うーん……黒と真逆の白とか?

天音的にあんまりふわふわしてない大人しめのドレスみたいな?

わ、我儘だけどできる?

399彗斗:2012/12/30(日) 23:41:43 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
心愛さん>>

完結おめでとうございます☆

オチはヒースで締めちゃったのねww やっぱりヒースの物かなぁ……オチの類は全部w

ピーチさん>>

心愛さんの続き、頑張って下さいね☆ 続きの更新も楽しみに待っていますので!

さてさて、これからどうなるか色んな楽しみがあるねww(ヒースのオチとか昇君と柊一君の扱いとかw)

その他にも、お正月の特別書き下ろしストーリーもお楽しみに☆(因みに人数を絞ってますので大体五話ほどストーリーがあります)

400ピーチ:2012/12/31(月) 15:20:15 HOST:EM114-51-4-198.pool.e-mobile.ne.jp
慧斗さん>>

とりあえず駄文ぶちまけてみる←

駄文なので目隠しもしくは目薬のご用意を!

ここにゃん>>

めっちゃ遅れたけど完結おねでとー!!

401心愛:2013/01/01(火) 10:47:34 HOST:proxyag104.docomo.ne.jp

あけましておめでとうございます!
今年もよろしくです(〃▽〃)



>>ピーチ

……オーケイ、白ね白!

マーメイドスタイルでいこうか。
髪はそのまま流してもいいけど、結い上げてアップにしてもいいよね!

裾が床まで届く長いドレスの生地は眩しい純白のシルクサテン。
人魚(マーメイド)の名が示す通り、身につける者のスタイルを十二分に生かす何処か大人びたデザインだ。
銀糸や真珠で繊細な装飾を施してあり、所々に襞(ドレープ)、胸元には透けるシフォンレースを重ねている。

初々しくて清楚な雰囲気を……

……はい気持ち悪いね!(笑)
まあ適当に必要なとこだけ拾ってくださいなw
必要あればもっと書くけど(ぇ




>>彗斗さん

ヒースは使いやすいので!
荒々しいツッコミ締め(そんな名詞はない)ならこいつにお任せあれーw

402ピーチ:2013/01/01(火) 14:12:40 HOST:EM1-114-84-225.pool.e-mobile.ne.jp
明けましておめでとうございます!

今年もどうぞよろしくお願いいたします!

ここにゃん>>

あああありがとうー!!

よし、早速駄文ぶちまけてみる!←

403ピーチ:2013/01/01(火) 14:22:10 HOST:EM1-114-84-225.pool.e-mobile.ne.jp
紫と紅と黒




―――安らぎの唄を、今君に。




優しく紡がれた言霊はどこまでも響き、




冥(くら)い空を、照らす光となった。

404ピーチ:2013/01/01(火) 15:12:22 HOST:EM1-114-84-225.pool.e-mobile.ne.jp
紫と紅と黒




「………?」
 ふっと、銀の髪を二つに束ねた少女が顔を上げた。
 その手にはそこそこに厚い本が載せられ、その約半分のところに、ソフィアが栞を挟む。
「今の声……」
 そう呟いて、窓の外を見る。
 そして、予想通りの顔ぶれが揃っていたことを認めたソフィアが、楽しそうに笑った。
「やっぱり―――天音さんたちだわ」
 そう言って、彼女は庭まで足を運んだ。




 突然の訪問者に、真紅の髪を持ったメイド―――ユーリエが困惑気味に対応していた。
「あ、天音ちゃん!?」
「あ……お久しぶりね、ユーリエさん」
「え? えぇ……っていやそうじゃなくて!」
 なぜ、彼女らが此処に居るのか。
 また、何かしらかの妖を追ってきた?
「違うわよ、今回は私的な用事」
「私的?」
 少女の言葉に、ユーリエが首を捻った。
「えぇ、この前の…………あの馬鹿男に取り憑いてた妖に関する、事後処理みたいなもの」
「はぁ………?」
「まぁ、一応事情は説明したから」
 天音の言葉を遮るように、彼女の傍に居た青年が笑った。
「悪い、すぐ済むからちょっと通してな」
 そう言って軽く跳躍し、昇がユーリエを超えていく。彼の纏っている着物の裾が、ふっと翻った。
 それに倣い、天音たちも苦笑気味に彼に続く。
「あ、ちょ………」
 行ってしまった。
 事後処理だからすぐに済むとは言っていた。だが。
「…ソフィアちゃんかシュオン様に、言った方がよかったのかしら……?」
 彼女は色々な事情からエインズワーズのメイドとして働いている。ある意味、ユーリエの今の主はシュオンやソフィアだ。
「天音さんたち、今来てたでしょう?」
 涼やかな声が、背後から聞こえた。




 静かな森に足を踏み込んだとき、ふと少女が辺りを見回した。
「…………?」
 空気があまりよくない。前の妖のせいもあるのだろうが、それだけではない。
「天音?」
「空気が悪い」
 天音の言葉に、柊一と昇、それから今回たまたま同行していた彼らの友人―――飛湘あおり(ひしょうあおり)がえ、と呟いた。
「あたし、初めて来たからよく分かんないけど……そんなに悪いの?」
「あぁ……かなり、な」
 あおりの言葉に言葉に昇が短く答える。
 そこに、幾つかの足音が聞こえてきた。
「え…………」
「あーっ! やっぱり天音ちゃんだったー!」
 そう叫んだ少女を見て、天音が瞠目した。
「シェーラちゃん……?」
「えへへ、お久しぶりですー」
 シェーラの言葉に、はっとしたように天音が答える。
「え、えぇ……久しぶり、ね」
 つい先ほどユーリエとは会ったが、そう言えばそれ以外の屋敷の人間とはまだ会ってなかったなと今更思う天音である。
 とそこに、ほぼ初対面のあおりが問うてきた。
「天音、この子誰? かわいーね」
「え? あ、この子は……」
 天音の言葉を遮るように、シェーラが大きな青灰色の瞳を輝かせて。
「かっわいーっ!」
「へ?」
 突然のことに思考がついていかないあおりに、シェーラがすかさず飛びかかった。
「…あの世でお元気に」
「こらこらこらぁっ!?」
 縁起でもないこと言うんじゃない! と憤るあおりに、天音が苦笑してみせる。
「気に入られちゃったわね。シェーラちゃんに」
 当のシェーラは、次にそう言った天音を見て言った。
「今日もお仕事ですか?」
「え? あー…仕事っていえば仕事かな……」
 それを聞いたシェーラが、キラキラと眩しいほどの笑顔で、言った。
「じゃあ、その前にこっち来てくださいよー!」
「―――は?」
 こっち、とはどっちだ一体。
 そんな天音の心の叫びも虚しく、メイドの少女にがっしりと腕を掴まれた天音が、そのままずるずると森の外に引っ張り出された。

405ピーチ:2013/01/01(火) 17:49:14 HOST:EM1-114-84-225.pool.e-mobile.ne.jp
紫と紅と黒




「………シェーラちゃん?」
「はい?」
「……どういった経緯で、此処に来ることになったのかしら?」
 天音の問いに、シェーラがからりと笑う。
「やーだなー、だって今度天音ちゃんが来たら、ぜひとも着てほしいのがあったんですよー!」
「…………………」
 嫌な予感がする。とてつもなく嫌な予感がする。
「あ、三人ともちょーっと待っててくださーい」
 そう言って天音を部屋の一角に引っ張り込んだ。
「…着てほしいのって?」
「あー………」
「多分、『あれ』だよな……」
 二人して若干青くなる昇たちに、あおりが首を捻った。
 ―――数分が経過した頃。
「はーいっ! お待たせしましたーっ!」
「や、ちょ、シェーラちゃ…………!」
 シェーラが、絶対に出たがらない天音の背を押しながら言う。
「―――あま、ね………?」
 深藍の着物を纏っていたはずの天音が、対極とも言える純白のドレスを身に纏っていた。
「やっぱり似合うー! 人魚(マーメイド)をイメージしてみましたー!」
 裾が床まで届くほどの長いドレスの生地は天使を思わせるシルクサテン。
 人魚(マーメイド)の名が示す通り、身に着けた者の美しさを更に生かすどこか大人びたデザインになっている。
 繊細な装飾は銀糸や真珠で施してあり、しかし天音はどこか居心地の悪そうな表情をしている。
「…どうせ、似合わないんだから……」
 一人でぶつぶつ言っている天音を見て、柊一と昇は揃って言葉を失っていた。
「………何よ」
 彼女の頬に僅かに走った朱を隠すためか、ふいとあらぬ方を見やる天音。当然、そんなことに気付くはずもない柊一が、ふわりと笑った。
「似合うと思うよ」
 彼の言葉を受け、天音が目を瞠る。続いて、昇とあおりが言った。
「確かにな」
「似合ってるよー」
「……うるさい」
 口先だけのお世辞ならいらないのに、と呟く天音に、シェーラが言った。
「口先だけなんかじゃありませんよっ! 似合ってますよ!」
「…ありがと……」
 にこにこと笑っている少女の気を暗くさせるわけにはいかないだろう。それは、いくら何でも可哀そうだ。
「あ、そうだっ! 柊一さん、こーいうの好きですか?」
「え?」
 突然話を振られた柊一が、驚いてシェーラを見る。そして、彼女の言葉の意味を悟って。
「あー……いや、それは…」
 言い澱む柊一に、シェーラがきょとんと首を捻った。一方の柊一は、天音の視線の威圧を受けて言葉が出ない。
「ま、まぁとりあえず、ね……」
 苦笑する柊一の視線を追い、やっとのことで彼の真意を図ったシェーラが、小さく苦笑した。
「すいません、ちょっと場が悪かったみたいですね」
「あら、どういう意味かしら?」
 さすがに気分を害したような声音の天音の耳に、またしても聞き慣れた声が聞こえてきた。

406心愛:2013/01/02(水) 17:27:07 HOST:proxy10058.docomo.ne.jp
>>ピーチ

皆さん再びようこそ!


そして天音ちゃん可愛いよ天音ちゃん(=°ω°=)
初々しいカップルだなうらやましいぞちくしょう!


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