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どーも《何でも屋》です

1虎視眈々:2012/05/27(日) 13:26:45 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
あらすじ
 主人公、正谷 真(まさや しん)は蓮城高等学園(れんじょうこうこうがくえん)に通う問題児。
 そんな真はある日電車の中でちなんに間違えられた基山 昌平(きやま しょうへい)の無実を晴らす。そして真は基山から「一緒に《何でも屋》で働かないか?」と誘われる。

2虎視眈々:2012/05/27(日) 13:48:02 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「ま〜さ〜や〜」
 PM5:50分。高校生の帰宅部はもうだいたい帰宅している時間だ。そんな時間に蓮城高等学園(れんじょうこうとうがくえん)1年生の正谷 真(まさや しん)は担任の福原(ふくはら)に校則違反を注意されるべく職員室に呼び出されている。

3虎視眈々:2012/05/27(日) 14:09:15 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「何しにって、普通に学生の職務果たしにですけど」
 真はそう言うがその言葉は火に油を注ぐ行為だ。
「一体お前はどんな学生の職務を果たしてるって言うんだ!!学校は遅刻する、校則は守らん授業中に居眠りはする職務一つこなしてないじゃないか!!」
 福原はどんどん勢いを増す。

4虎視眈々:2012/05/27(日) 14:43:05 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「…先生…」
 真は俯きながら小さく呟くと「なんだ」と福原に聞き返される。
「…興奮すると血圧上がって早死しますよ」
 ドーーーン。晴天なのに真の頭に雷が落ちた。

5虎視眈々:2012/05/27(日) 14:55:20 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「あーなんだよ、あそこまで怒らなくたっていいだろ!」
 帰りの電車の中。真は壁に凭れながら福原のことを愚痴っていた。
 ここ最近真はずっと呼び出しを食らっている。その度に家に連絡され、また親に怒鳴られるということもご続いている。最近ではほとんど8時前後の電車に乗るのが当たり前になっている。だが今回はいつもと違った。
『キャーーーーーー、痴漢!!』

6虎視眈々:2012/05/27(日) 15:06:09 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 真のすぐ目の前にいた女性が悲鳴を上げながら叫んだ。
「こ、こ、この人今私のお尻触りました!!」
 女性はレデイース帽子を深くかぶったいかにも不審な男を指さしながらまた叫んだ。
「は、はいー(汗)何言ってるんですか。僕ちがいますよ!!」
 男は両手のひらを見せながら「無実だ」と主張する。
「だ、誰か捕まえてー!!」
 女性はまた叫ぶかのように言った。
 その言葉で周りにいた男たちが一人の男に飛びかかった。

7虎視眈々:2012/05/27(日) 15:58:44 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「イヤ、本当に僕じゃありませんて!」
 押さえつけられた状態で男は容疑を否定する。
「シラを着るな痴漢魔!」
「シラもなにもやっていないことを着る理由なんてないですよ」
 男は首だけを上げて主張を突き立てる。
「……なぁ、姉ちゃん…」
 見ていた真は痴漢にあった女性に耳打ちするように聞いた。
「いい加減離してくださいよ、僕は何にもしてませんって!!」
 男はムキになって叫ぶ。それと同時に真は小さく笑った。

8虎視眈々:2012/05/27(日) 16:31:04 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 真は、男に近づいていった。
「何だい君は」
 男にそう言われ真はその場にしゃがみ込んだ。
「演技上手いもんだなー痴漢魔」
 真がそう言った瞬間沈黙が走った。
「な、何い…」
「いやダッテー」
 真は男に子供の用な口調で話し始めた。
「おっさん、左ポケット膨らんでるけど右ポケット凹んでんじゃん?それって左利きだからだろ。でも、このもしかしたら変態かもしれない不審男押さえつけるときにまっ先に右手が飛び出した。それは、左手よりも右手の方が使われていたからだ。電車は満員だった場合上の手摺り使ったりしてるんだけどよーあんただったら左を使う。じゃあ質問だー」
 真の話し方に周りの者たちは圧倒されていた。

9虎視眈々:2012/05/27(日) 17:06:46 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「み・ぎ・て・は、一体何に使ってたんでしょうか?」
 真の不敵に笑いながら言う言葉に信憑性があったわけじゃなかったが押される勢いはあった。
「はいそして、俺がおっさんが本当の痴漢魔だと思う理由その2。おっさんいっつも3つ先の車両乗ってんのに今日はここ乗ってんのはなんでだ?あっちの方がすいてんだろ」
 さすがここ最近夜8時前後の電車に乗っているだけある。
「それだけじゃねぇ今日さぁおっさん姉ちゃんの後ろついて入ってきたよな。わざわざ混んでる方の車両とわかってたのに?」
「それは急いでたからだ!それにその女性の後ろについて電車に乗って来ただけで入ってきただけで痴漢に間違えられるなんて言語道断だ!!」
 その言葉はすべての引き金だった。
「アンレー、俺いつおっさんにそこの姉ちゃんの後ろなんて言った。わざわざ自分の前にいた姉ちゃんの顔を覚えるか?…急いでたのに?」
 男は言葉を探す素振りをしながら口をパクパク動かした。

10虎視眈々:2012/05/27(日) 17:13:55 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「いつも3つ先の車両に乗ってるおっさんが今日に限って混んでるこの車両に乗ってる理由と赤の他人の姉ちゃんの顔をわざわざ覚える理由は繋いじまえば一本の線になる。そして、その先に行き当たるのは…」
 ビシッと中指をたて男を指さしながら聞いた。
「おっさん、あんただ」

11虎視眈々:2012/05/27(日) 17:18:02 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
(すいません上の文の「聞いた」は「言った」です。意味不のところで間違えてすみません)

12虎視眈々:2012/05/27(日) 17:32:33 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「いやーさっきは有難うこざいました」
 真がいつも降りている駅のホーム。そこで痴漢に間違えられた男に真は話しかけた。
「イヤ別に大した事ねぇよ。はっきり言ってあのおっさんが「やった」って言うまで内心焦ってたし」
 真は男に全てさらけ出すように言った。
「イヤイヤ、ほんとにすごい推理だったよ。本当に有難う。また改めてお礼したいから名前、教えてくれるかな?」
 男にそう言われると真はたま息を付きながら言った。
「正谷 真」
 真が言うと男は「真か…」とつぶやきながら被っていた帽子をとった。
「僕は基山 昌平(きやま しょうへい)といいます。宜しく」
 基山は真に右手を差し出し握手しようという動作をした。「なんだこいつ」と思いながら真も右手をだし木山都握手をした。

13虎視眈々:2012/05/27(日) 17:36:13 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
(すいません。また、、間違えました。「木山都」ではなく「基山と」でした。本当すみません)

14虎視眈々:2012/05/27(日) 17:54:29 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「家、こっちなんですか?」
 基山と肩を並べながら真は家へ帰っていた。
「ん、うん。学校から一番離れてっから、入学した時から電車通勤」
 真は上目遣いになりながら答えた。
「大変ですねぇ、僕なんて今日も合わせて数えるくらいしか乗ってませんよ。だからでしょうか、久々に乗ってみたら痴漢に間違えられました」
 大量に涙を流しながら嘆いた。

15虎視眈々:2012/05/27(日) 18:06:49 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「でも、あんた優しい目してっから痴漢なんてするわけねぇと思ったんだ。それが、あんたを助けようと思ったきっかなんだ」
 真は不敵に笑ってみせるがその笑は先ほどより素直な笑顔だった。
「……」
 基山はいつの間にか立ち止まっていた。
「どうした、基山さん?」
 真が振り向きながら聞くと基山はまた被っていた帽子を取り、言った。

16虎視眈々:2012/05/27(日) 18:43:53 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「正谷さん…」
 基山は小さく呟く。その声はどことなく真面目だった。が、
「僕と一緒に《何でも屋》で働きませんか?」
 途中からどこかに真面目さが失せた。
 二パーッと笑いながら言うその顔を見て真は心底呆れ返った。真面目に言うなら最後まで言えよと言いたかったがその言葉より先に違う言葉が出てきた。

17虎視眈々:2012/05/28(月) 18:06:45 HOST:i114-187-107-219.s41.a018.ap.plala.or.jp
「何でも屋?何それ?」
 白々しい…とでも言うかのような目をして聞いてみると
「いや、僕もその何でも屋の者なんですが…【何でも屋第11課探偵部】それが僕の所属場です」
 真の話など聞いていない様で全く別の答えを出した。
「いや、だからその何でも屋って…」
「正谷さん、内には言って僕の探偵課になりませんか?」
 そう言って基山は帽子をもっと深くかぶる。
 真は離れて止まっていた基山にそっとちかずいた。

18虎視眈々:2012/05/28(月) 18:17:17 HOST:i114-187-107-219.s41.a018.ap.plala.or.jp
「基山さん」
 真は基山のすぐ前に着くとそっと呟く。
「俺はあんたに「何でも屋って何なんだ?」って聞いてんだよ。それ以外の事なんざ一文たりとも聞いちゃいねぇってんダヨ!」
 真は叫びながら言うとすごい剣幕をしながら怒鳴った。
「俺は何でも屋には入んねぇしそれでもなきゃ痴漢に間違えられた男なんかと一緒の働く気は全くねぇんだよ!クソ帽子男!」

19虎視眈々:2012/05/28(月) 18:28:52 HOST:i114-187-107-219.s41.a018.ap.plala.or.jp
―「ただいま!」
 真は基山などほっぽって自分の家へと帰宅した。また雷が落ちてくるとも知らず…
「真!あんた、また呼出くらったんだって!」
 真を待ち構えていたのは、姉の鐘葉(かねは)だった。
「…あ〜、」
 真は玄関で、廊下で怒鳴る鐘葉に届くぐらいの声で
「また、姉貴(あねき)振られたの」  
 と言った。

20虎視眈々:2012/05/28(月) 19:02:55 HOST:i114-187-107-219.s41.a018.ap.plala.or.jp
「だ〜れ〜が〜、ふらたって!」
 鐘葉はガシッと真の頭を掴みリビングへと無理矢理連れて行かれた。
「チョ、あ、姉貴、頭痛い!」
 真は鐘葉に訴えたがそんなことに耳をかさずギロっとキツい目をしたと思ったら真の首に手をかけ「ギギギギ」と力を入れ始めた。
「ちょっと鐘葉、やりすぎよ。死んじゃうわよ真」
 鐘葉を止めたのはリビングに居た母の渚(なぎさ)だった。
「お母さん!そんな事言ってるから真がこんなになちゃったのよ。もっと厳しく育てればよかったのに!」
 鐘葉は渚に訴えるものの、それよりも先に
「あ、あ、あ、姉貴、ギ、ギ、ギブ…」
 鐘葉の手の中でほとんどに死にかけ状態だった真がとぎれとぎれに言う。
「ホラー、おじいちゃんの次に行くの真になっちゃうわよ」
 渚はとっさに怖い事を言った。
「んも〜。はい、真。」
 鐘葉はパッと手を離しため息をつく。
「カハッ、ゲホ…あっちが見えたぞオイ…」
 床に座り込み首をさすりながら呟く。
「で、今日はやけに遅かったじゃない」
 鐘葉が真に聞いた。

21虎視眈々:2012/05/28(月) 19:37:52 HOST:i114-187-107-219.s41.a018.ap.plala.or.jp
「いや、今日電車の中で痴漢…」
「あんた!等々痴漢までしたの!」
 鐘葉は鼓膜が破れてもおかしくないような声で真に叫んだ。
「…は〜…。してねぇよ!アホ姉貴!んなもんしてたまるか!どこのだれかも知らねえ奴の知りなんか死んでも触ってたまるかってんだよ!」
 真は激情した。
「おめぇは俺より世間知ってんだろうが。普通痴漢なんてしたら親に連絡されんだろうが、それも分かんねぇのか馬鹿姉貴!」
「…あんたは自分の姉貴にそんな暴言を吐いていいとでも思ってるわけ!アホクソ間抜け馬鹿真!」
 二人は互いに暴言を吐き散らす。
 それを見て渚はにこにこと笑って見せる。
「…なーにやってんだガキ共」

22虎視眈々:2012/05/28(月) 20:15:07 HOST:i114-187-107-219.s41.a018.ap.plala.or.jp
 声がした方を見るとリビングの戸の所に父の剣(つるぎ)が立っていた。
『お父さん…親父』
 二人は声を合わせた。
「何やってんだよクソガキ共。近所迷惑極まりないぞ」
 剣は持っていたカバンを渚の方に投げた。
「お帰り、お父さん。今日は早かったわねぇ」
 渚はにっこりとしたまま剣に聞くと
「今日は会議があったんだが、あいての野郎が話聞かないから一発かまして帰ってきた」
「お前は一体何回くびになりゃ、分かんだよ!今月で何回くびになったと思ってんだ!5回だぞ5回!」
 真は剣に怒鳴ると逆に
「おーよく覚えてんな。俺なんて全く覚えてねぇ。」
 と真を褒め称える様な事を言った。

23リオネル・メッシ:2012/05/30(水) 18:41:35 HOST:i219-167-175-101.s02.a018.ap.plala.or.jp
 こんにちは。とてもいい物語ですね。

24虎視眈々:2012/05/30(水) 18:54:48 HOST:i125-203-189-31.s41.a018.ap.plala.or.jp
「…褒めんなよ…」
 呆れた…真はそう思って気を落とす。
 真は父である剣の事があまり好きではない。元ヤン、馬鹿、前科在り、中学で勉強終了、その他モロモロ…。
「兎に角今からでも遅くねえから謝りに行くぞ!」
 真は現実逃避したい気持ちを抑えながら剣に訴える。
「は〜?。何でだよ、謝んなくしなくたっていいだろ。悪いのはあっちなんだからよ」
 即拒否。これも剣の性格。
「あのなー、あんたはいつになったら仕事の付くんだ!今だってお袋と姉貴がこの家庭支えてるようなもんだろ。家の大黒柱がちゃんとしないでどうすんだよ!」
 良い決め台詞だ。
「‥‥」
 押された…。剣は押されて何も言えずジッと真を見た。

25虎視眈々:2012/05/30(水) 19:02:51 HOST:i125-203-189-31.s41.a018.ap.plala.or.jp
―「オイ、ホントにお前もくんのか」
 『西谷株式会社』、つまり剣の会社の前。そこに真と剣の二人は会社の社長に謝るべく立っていた。
「行くよ、どーせ親父でけに行かせたらまた喧嘩売りだろ。」
 真は横目で剣を見ながら答える。

26虎視眈々:2012/05/30(水) 19:10:07 HOST:i125-203-189-31.s41.a018.ap.plala.or.jp
「‥‥‥」
 いつの間にか大人になったんだな…剣の心にふとそんな考えが浮かび上がる。
「ほら行くぞ」
 真は一人で会社の自動ドアへと歩いて行く。「おう」剣は小走りをして真の横に着いて歩いた。

27虎視眈々:2012/05/30(水) 19:32:22 HOST:i125-203-189-31.s41.a018.ap.plala.or.jp
「あら、正谷さん。あなた今日で会社辞めたんじゃ?」
 会社の中に入った瞬間受付に居た笠松 峯子(かさまつ みねこ)が入ってきた剣に問いかけた。
「いや、」
「すみませんでした!!」
 先に言ったのは真だった。

28虎視眈々:2012/05/30(水) 19:44:26 HOST:i125-203-189-31.s41.a018.ap.plala.or.jp
「家の馬鹿親父がこちらの社長に迷惑をかけてしまい本当にすみませんでした!」
 深々と頭を下げ必死に謝る。その行動に心を打たれてか笠松は薄く笑うと「謝りに来たってことね?」と言って机についている電話で会社室に電話をかけた。
「はい、はい。分かりました」
 笠松は電話を戻してOKの合図を出した。

29宮本 楓 ◆cxM0Uwle4A:2012/05/30(水) 20:48:43 HOST:EM114-48-68-85.pool.e-mobile.ne.jp

( きみ ≠ ぼく 。)


きみとぼくは見た目はぜんぶいっしょ。
顔だって、動きだって、生まれた日も、考えかただってぜんぶいっしょ。
あんまりにも似てるからドッペルゲンガーかもなんて思ったりしたよ。
あんまりにも似てるからクローンなのかなってかんがえたりしたね。
それによく間違えられるから、入れ替わったりしてみたり。楽しかったなー。

「このときは、きみとぼくはいこーる。“きみ = ぼく”だったんだ。」

でもね、成長していくにつれきみはどんどんかわっていったんだ。
それは、周りからしたらわからないようなもの。
ちょっと身長がちがったり、ちょっと考え方がずれたりしてきた。
きみは嬉しそうにぼくに成長したんだね。ってわらってきたけど、
僕は笑えなかった。なぜか心に穴があいたように寂しかったんだ。

「このときから、“きみ = ぼく”はだんだんと崩れていったんだ」

そして、ぼくときみはとうとういこーるじゃなくなったんだ。
きみはだんだん女の子とくゆうの感情、行動、見た目になってった。
ぼくは、おいてけぼり。もちろん体はかわってくけど、心はあの時のまま。

「ねえ、おいてかないで。もうひとりのぼく。」

こころでずっと、幼いぼくが泣いていた。
成長なんかしなくていいよ、ずっと一緒に子供でいようよ。
でも、きみはその声には気づかずぼくをおいてあるきだす。

「そうか、最初からきみとぼくは違ったんだ。きみ=きみ。ぼく=ぼく。つまりはきみ ≠ ぼく。」


×

はい、意味不明なものができました^p^

30宮本 楓 ◆cxM0Uwle4A:2012/05/30(水) 20:56:21 HOST:EM114-48-68-85.pool.e-mobile.ne.jp

すいませんorz
>>29間違って書き込みをしてしまいました!
上の私の書き込みに削除依頼は出させて頂きましたが、貴重なレスを無駄にしてしまい本当にすいません。

こちらの書き込みの方も削除の方を出させて頂きます。

31虎視眈々:2012/05/31(木) 18:02:03 HOST:i125-203-189-31.s41.a018.ap.plala.or.jp
 大丈夫ですよ宮本 楓さん。特に問題なしです。
 このまま行っても問題なしです。

32虎視眈々:2012/05/31(木) 18:11:45 HOST:i125-203-189-31.s41.a018.ap.plala.or.jp
 しかし、今社長の奥田(おくた)は大事な人と話をしてるとかで10分近く待たなければいけないらしい。
「親父ちゃんと謝れよ」
 ロビーのソファーに腰掛けながら真は剣に言う。
「ワ―てるよ」
 ポリポリと頭をかきながら本当に分かっているのかと思うような口調で剣は真に言った。全く…そんな風に思いながら真はソファーの背凭れに背中をひっつける。
「正谷さん。そろそろ、いいと思いますので行きましょうか?」
 二人を挟んだ机の前に立ちながら笠松が微笑みながら聞く。「はい」はっきりと言いながら真は立ち上がる。それと同時に剣もゆっくりと立ち上がる。

33虎視眈々:2012/05/31(木) 18:24:11 HOST:i125-203-189-31.s41.a018.ap.plala.or.jp
「親も親なら子も子だとは言うものでが正谷さんご家族はなんだか違いますね」
 会社の6階にある社長室に行くためにエレベターに乗った真たちに笠松は笑いながら言った。
「言っときますけど俺は死んだって親父みたいにはなりたくありません。つか死んでもなりません」
 きっぱりと言ってしまう。そこは似ているらしい。

34虎視眈々:2012/05/31(木) 18:47:57 HOST:i125-203-189-31.s41.a018.ap.plala.or.jp
『チーン』
 エレベーターが止まる音がしドアが開く。3人は出て行きすぐ左に曲がった。。それから9個ほどドアを行ったほどあたりで「社長室」と表札の付いた薄茶のドアの前に立った。
「社長、入ります」
 3回ほどノックした後にそう言うとドアの取っ手に手をかけゆっくりと押していった。

35虎視眈々:2012/05/31(木) 18:58:03 HOST:i125-203-189-31.s41.a018.ap.plala.or.jp
「社長?」
 ドアを開け、中に入るとそこには4つの焦げ茶のソファーと脚の短い机があるだけだった。
 3人はもっと進んでいき部屋の中を見渡す。
「社長?」
 笠松は手前のソファーに手を置きながら奥へと進む。

36虎視眈々:2012/05/31(木) 19:14:53 HOST:i125-203-189-31.s41.a018.ap.plala.or.jp
「しゃ…社長!!」
 笠松は悲鳴を上げた。真は、笠松が見たところに目を即座に移した。そこには頭から大量に血を流した奥田が倒れこんでいた!?

37名無しさん:2012/05/31(木) 19:25:31 HOST:i125-203-189-31.s41.a018.ap.plala.or.jp
「社長!」
「笠松さん、ストップ!」
 真は叫びながら笠松の肩を掴む。

38名無しさん:2012/05/31(木) 20:17:09 HOST:i125-203-189-31.s41.a018.ap.plala.or.jp
「親父!救急車と警察に電話!!」
 ドアの外側にまだ立っていた剣に真は叫ぶ。
「は?」
 全く事情が読み取れずに部屋の中を見る。
「いいから早く!!」
 言い方がただ事ではないと思った剣は着ていたトレーナーのポケットから携帯をとりだしまず救急車に電話した。
「それと笠松さんはこの会社のシャッター締めて!!」
 ビクビクと震えている笠松に真は言う。泣きながらも「は、はい」と頷きながらエレベーターの方へと走って行った。
「…たくっ」
 真は横たわる奥田を見ながら片手で顔を抑えて呟く。
「何でこう今日に限って事件にかかわんなきゃいけねんだよ」

39名無しさん:2012/05/31(木) 20:35:17 HOST:i125-203-189-31.s41.a018.ap.plala.or.jp
―それから30分後。西谷株式会社には十数名の警察とパトカー、一台の救急車が訪れた。
「えー殺害されたのはこの会社の社長である奥田 武彦(おくた たけひこ)42歳。」
 社長室の中で1人の若い刑事が手帳のようなものを見ながら座りながら奥田を見ている40代後半ぐらいの刑事に報告する。

40虎視眈々:2012/06/01(金) 19:00:53 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「う〜ん、死因はどう見ても撲殺だな」
 座っていた刑事は立ち上がりながら言う。
「そして第一発見者が…」
 そう言いながら若い刑事は社長室を出てすぐ左の壁でスタンバイしていた真達と顔を合わせる。

41虎視眈々:2012/06/01(金) 19:16:21 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「どうも、警視庁捜査一課強行犯係の田辺(たなべ)です」
 田辺がそう言うと
「同じく捜査一家強行犯係の瀬口です」
 次は若い方の刑事が言う。

42虎視眈々:2012/06/01(金) 19:24:15 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「……」
 自己紹介をされても何も言わない真。
「…あ、あの」
 先に口を開いたのは笠松だった。
「瀬口、この方は?」
 田辺は横に立っていた瀬口に聴く。
「この会社の受け付けの笠松 峰子さんです」
 手帳を見比べるように説明する。

43虎視眈々:2012/06/01(金) 20:01:08 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「で、この方たちは?」
 次は真と剣を見ながら横目で聞く。
「え〜、長髪の男の子が正谷 真君、そしてもう一人が正谷 剣さん。今夜は殺害された奥田さんと昼間口論になったのでその謝罪をしにきたらしいです」
 「口論」その部分で田辺はピクリと片眉を上げる。

44虎視眈々:2012/06/01(金) 20:22:17 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「失礼ですが、午後8時から9時までどこで何をしていましたか?」
 アリバイ確認…心は咄嗟に考えた。
「親父がやったってのか、あんた?」
 壁に凭れながら冷たい目で真は田辺に聞いた。
「そういうわけじゃありません。参考証言を聞きたいだけです」
 田辺も、また冷たい眼で言い返す。
「…親父はそのオッサンを見つけるまで俺とずっと一緒にいたよ」
 質問に答えたのは真だった。

45虎視眈々:2012/06/01(金) 20:34:39 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「…親族の方からの証言は認められません」
 まぁ、そうだろな…真が考えていた答えが案の定だったのでその後の言葉に息詰まることは無かった。
「なんで俺がこんなクソ親父の肩なんか持たなきゃいけねぇってんだよ、死んでもゴメンだね」
 親指を立て剣を指差しながら訴えた。
「し〜ん、お前は俺を一生ムショ送りにしてえのか?えぇ?」
 苦笑いを浮かべながら言う剣。

46虎視眈々:2012/06/01(金) 20:51:20 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「その方がお袋も姉貴も何かと楽だ。ついでに俺も恥じる糞親父がいなくなると思うとせいせいする」
「親をムショ生活にするほうが恥だろ!!お前ホントに俺の息子か!!」
「親父の子供だと思ったことねぇし、だいたいあんたとのdneを切れる装置があるなり借金してでも買う」
「いい加減にしねぇとその長髪むしり取って、筆の毛にすんぞ!!!」
 親も親なら子も子だとは、本当に言うらしい。
 二人は刑事の前で額と額をこすりつけ親子ゲンカをし始める。

47虎視眈々:2012/06/01(金) 21:05:38 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「…瀬口、容疑者は?」
 呆れ返った結果の末、やっぱりこうなる。
―それから10分ほど経ったあとだ社長室前に2人の男性がやって来た。
「事件が起こった瞬間にシャッター閉めたので犯人逃げられなかったみたいですね」
 瀬口は田辺の耳元で呟いた。
「仮にも容疑者だ、ほしときまったわけじゃないだろ」
 きつく口利きする。「すいません…」軽く恐縮する瀬口。

48虎視眈々:2012/06/01(金) 21:19:38 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「だが、害者さんの腕時計が壊れてたおかげで詳しい殺害時間がわかったところは不幸中の幸いだったな」
 注意した田辺も嬉しさの声を上げる。

49虎視眈々:2012/06/01(金) 21:33:28 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「おい坊主、現場には入るな」
 真は一人、殺害現場となった社長室の中に訪れていた。
 それを中年の鑑識が止める。
「…く、九条さん?」
 真は鑑識の制服についた名札を見ながら名前を言った。
「嫌だから、現場に入っちゃ…」
「にしてもすごい壷の数だな」
 真は九条の話を遮って聞いた。確かに床にも壁にも大小バラバラに色とりどりの壷が置かれている。
「凶器は、壷?」
 真は九条に壷を見ながら聴く。
「いや、灰皿だよ」

50虎視眈々:2012/06/01(金) 21:53:23 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 九条は机の下に捨てているかのように置いている四角ガラス灰皿を指さしながら言った。
「へ〜」
 真はしゃがみながら机の下に落ちている灰皿を見た。それが凶器というのは本当らしく灰皿には赤い血がベッタリと付いていた。
「にしても、高そうな灰皿だな、おい」
 灰皿を見ながら真は呟く。
「ん、あぁ。どうやら、今日、契約会社から送られたそうだ…そんなことより早くでろ坊主」
 九条は話を変えて真を外に出した。

51虎視眈々:2012/06/01(金) 22:23:10 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「ケチッ」真は子供のように呟き社長室の外に出た。
「刑事さん、一体どうなっているんですか!」
 外に出た瞬間すぐ横から男の声が聞こえた。奥田殺人の容疑者、立木 一(たき はじめ)だ。
「そうですよ、社長が殺されたってどういうことなんですか!?それに僕たちはなんでここの呼ばれたんですか?」
 もう一人の容疑者であり奥田の秘書である横根 平助(よこね へいすけ)が田辺と瀬口に聴く。
「立木さんも横根さんも落ち着いてください」
 それをなだめる笠松。

52虎視眈々:2012/06/01(金) 22:40:25 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「とにかく今、あなたがたは奥田さん殺害の容疑者なんです。今から我々警察がいいと言うまでここからは出ないでください」
 田辺はそんな二人に静かに言う。それを聞き立木と横根は「ふざけるな」と言わんばかりの顔をして歯を食いしばった。

53虎視眈々:2012/06/01(金) 23:19:17 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「……」
 真剣にその光景を見つめていた真。
「おい、」
 そんな真に声をかけたのは剣だった。
「お前そろそろ帰れ」
 剣はポンと真の頭に手を置きいった。
「俺は糞サツ共に事情聴取で呼ばれてるからお前先に帰って渚たちに事情話しといてくれ」
 心配はかけたくない…それは真にもわかっていたが返事は
「ヤダ、無理、不可能、拒否、却下」
 即却下。
 この答えには剣も顔をひきつる。
「あのなーお前今何時だと思ってんだ、10時回ってんだよ。ただでさえ問題児のお前が連続で何日も遅刻したら反省文書かされっぞ」
 それが何だ。あんたの時代とちがって反省文なんかでしょげるバカはこの時代にいない。と言いたいのもやまやまだったが今はそんなことを言って喧嘩している場合だはないことぐらい真にも理解できていた。
「どーせ家に帰ったところで姉貴にしばかれて帰ってくる羽目になるんだから、帰ったって意味ねぇよ」
 真は両手を挙げお手上げポーズをとると薄くニット笑ってみせる。
「…好きにしろ、ばかガキ」
 ため息混じり言うと剣はエレベーターホールの方え歩いて行った。
(だから嫌いなんだよ、俺は…)
 心の中で真は小さく呟いた。

54虎視眈々:2012/06/02(土) 08:49:56 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
―「悪かったわね、真君」
 社長室の隣の部屋で待機していた真に笠松は謝る。
「別に、ここに来る理由になったのはどうせ親父が原因なんだからよ」
 苦笑を浮かべながら真は笠松に言う。
「その、灰皿からは指紋は出なかったの?」
 気まずそうに笠松は真に聞く。
「…多分出てないと思う」
 出ていても、出ていなくとも教えてくれるわけがない。だが、真には出ていない気がした。こういう場合大体は出ていない。そう、相場は決まっている。
「犯人まだこの中にいるのかな?」
 遺体を発見した直後に会社のシャッターを閉めたといっても殺してすぐ逃げればこの中に取り残されることはない。
「‥‥笠松さん、」
 真は笠松を小声で呼んだ。

55虎視眈々:2012/06/02(土) 09:06:04 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「なに?」
 笠松は真に聞き返す。
「容疑者に上がった、立木さんと横根さんってなんで、奥田さんのこと恨んでんの?」
 その答えにはさすがに笠松も戸惑う。
「…ココだけの話なんだけど。立木さんも横根さんも社長のこと恨んでると思う」
 小声で笠松は真に言う。
「なんで?」
 笠松は周りに目をやりここには真と自分だけしかいないことを確認するとまた小声で真に言った。
「立木さん、社長の失敗をよく自分のせいにされてたのよ。それで、悪い時なんて7ヶ月給料ストップ。お子さんもいるもんだからその間家庭は火の海だったらしいわ」

56虎視眈々:2012/06/02(土) 09:19:29 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「フーン」鼻で返事をする真。
「それで、横根さんは社長秘書で時期社長なんて言われてて奥田社長も期待してるようなこと言ってたんだけど。ある日酔っ払った拍子に奥田社長言っちゃったのよ……『お前はただの金づるだ』って」
 まぁそら怒るわな…それが真の考えだった。
(つーことは横根さんは、奥田さんが死ぬことによって社長昇進出来るわけか)
 これが本当かはわからないが大体はあっているだろう。

57虎視眈々:2012/06/02(土) 09:30:28 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「田辺さん、本当にまだ犯人ここにいるんでしょうか?」
 瀬口と田辺は殺害現場を前に話していた。
「わからん。だがこの会社で害者に恨みを持ってたのはあの二人だ。一番怪しく殺害時刻にちゃんとしたアリバイがないのもあの二人だ」
 田辺は瀬崎に言う。

58虎視眈々:2012/06/02(土) 10:38:56 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「一体、警察はいつまで僕たちを容疑者扱いするんだ!」
 2回の会議室で立木は怒鳴った。
「立木さん、今は冷静にいきましょう。変に動揺したら疑われます」
 横根は冷静に言ったが顔にはびっしりと冷や汗をかいている。
「……しかし、もし、あの事が警察にばれたら…」 
 立木は横目で横根を見る。
「大丈夫です、問題ありません。もしバレたとしても、社長が死んだ今となっては僕たちにあの容疑がかかることはありません」
 横根はまた冷静な口調で話した。

59虎視眈々:2012/06/02(土) 11:11:08 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「こら、坊主、現場に入るなってさっきも言っただろ!!」
 真はまた現場の中に入り、退散しようとしていた九条に怒鳴られた。
「うん、すぐに出るから」
 真は部屋の中に入り辺りを見回す。
 机、本棚、壷、ソファー、窓、脚短机。真はそれを全て一気に見通す。
「なんだあれ?」 
 真は奥田の机後ろにある本棚に近づいた。上から4段目の本棚に目をやる真。そこには、何かあったかのように空欄の場所があった。本一冊が入るぐらいの隙間。
(何か入ってた…じゃあ、ここに入ってたのは、なんだ)
 周りはギリギリにまで本が敷き詰められている。その中で一つだけ空いた場所。―何かが、あった―真の脳内にその言葉が浮かんだ。
「おい坊主いい加減出ろ!」
 九条の堪忍袋のおが切れた。しかし、真は聞こえていない様子で置いてある壷に近づく。
(犯人は灰皿で奥田さんを殺した。置いてある壷を使わないで。確かに壷より灰皿の方が使いやすいけど壷の方が確実だろ。中には小さい壷だってんのに…)
 部屋の中で一番大きい壷に近づきながら真は考える。
 しゃがみながら壷を観察する。すると
「ん?」 
 壷の下に何かがある。青い何かがはみ出して見えた。
 真は壷を動かそうとした。その時、
「坊主いい加減にしろって言ってるだろ!!」
 真の頭に2度目の雷が落ちた。
「いたずらに現場のものを触ろうとするな!!」
 九条は真が腰に巻いていたトレーナーを力尽く出っ張り部屋の中から追い出した。

60虎視眈々:2012/06/02(土) 11:27:18 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「いってなーー!!別にいいじゃねぇか」
「良かない!!お前さんは今回の事件には無関係だ!!」
 真の言ったことに九条はまた怒鳴る。
「そろそろ俺も帰るが上には迷惑かけるなよ!」
 そう言って九条はエレベーターホールに歩いて行った。
「クソッタレ」
 真は九条の後ろ姿を見ながら呟いた。
「追い出されちゃったみたいだね」
 すると後ろから声が聞こえた。振り向くとそこには瀬口が苦笑しながら立っていた。
「瀬口さん…」
 真は驚いたような目をしながら呟く。

61虎視眈々:2012/06/02(土) 11:57:54 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「さっきは悪かったね、君のお父さんを疑うようなことを言ってしまって」
 1階の自動販売機の前でコーヒーの缶を持ちながら瀬口は真に謝る。
「……油断させて、本当のことを言わせるって魂胆?」
 真も片手にオレンジジュースの缶を持って瀬口に言った。
「言っとくけど、親父のアリバイ本当だよ。ついでに俺が親父のことが嫌いだってことも」
 きっぱりと言う真。
「…ハ、ハ、」
 図星だった。真はその笑いを見て「ハァ」とため息を吐く。
「なんで君はそんなに、お父さんのことが嫌いなんだい?」
 瀬口は真に聴く。
「………あの野郎は、怒鳴る時しか俺の名前を呼ばないんだ。…俺が小学生の時にテストで100点とっても運動会の徒競走で1位とっても中学の時に学級員になっても高校に受かっても、親父は俺を名前を呼んで褒めたたことは無かった。だから何だろうなきっと、褒められるってどんなことか分かんなくなって、今となっちゃ問題児扱い」
 真は笑ってみせた。瀬口は俯いてそれを聞いていたがすぐに持っていたコーヒーを一気飲みして自動販売機に投げ捨てた。
「晴れるといいねお父さんの容疑」
 そう言って瀬口は非常階段のほうへ歩いて行った。

62虎視眈々:2012/06/02(土) 12:22:08 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
―「失礼しま〜す」
 真は九条に注意されたことなど忘れて社長室の中に入っていた。
(さっきの壷、壷)
 そう思いながら真は先ほどの壷へと近寄った。
「あれ…」
 真は壷の下を見てつい言ってしまった。
(なくなってる、なんでだ?)
 さっきまで確かにあったはずの青い何かはなくなっていた。
「ハッ〜!?」
 真は驚いた拍子に壷を押した。(何で?)
「と、と、と、…あんぶなー」
 ぎりぎりセーフに壷の口をつかみ割るのだけは防げた。
「………なんでこれ」

63虎視眈々:2012/06/02(土) 13:13:11 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
―「ギィィィィ…」
 誰もいない真っ暗の室内にドアが開く音が響いた。そして外から一人誰かが入ってきた。
 その誰か、はそのまま部屋の中で一番大きな壷へと近づく。
「…な、ない‥!」
 壷を持ち上げその裏を見るとさっきの真のようなリアクションをした。
「何がないんだ‥」
 後ろからの声。振り向くとそこには真が壁に凭れていた。
「なぁ、…」
 真は部屋の中に入りドアの隣についている電気のスイッチをつけた。
「笠松さん…」
 そこには笠松が居た。
「し、真君」
 動揺したような口ぶり。
「どうしたの、真君…?」
 笠松はすぐに作り笑いをして聞き返した。
「どうしたもなにも。来ると思ったから、あんたがここに…」
 真はゆっくりと部屋の中に入りながら言った。
「来ると思ったって…」
「犯人だから…あんたが」
 真自身も嘘であってほしいという言い方で笠松に言った。

64虎視眈々:2012/06/02(土) 15:56:13 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「…ほら俺バカじゃん、だから勘違いかもしんないけど‥すじが‥合いすぎてんだよ」
 まるで何かに悔やむように真は言った。
「あんた俺たちがここに来る前に奥田さんを殺したんだろ。わざと、時計を早めて…」
 笠松は立ち上がりながら真の話に耳を傾けた。
「だけど、俺達が来たことによってあんたが考えた計画が崩れかけた。でも、あんたはそれを逆手にとった。」
 辛かった、推理している自分自身が
「自分にはあたかもアリバイがあると思わせ容疑者の中から外れた…」
「ちょっと待って真君、なんで私がそんなことをしてまで奥田社長を殺さないといけないの。それに私がここに来たのだって社長を殺した証拠として何か残ってないかなと思ってきただけで」
「じゃなんで分かったんだよ!!凶器が灰皿でって!!」
 真は叫んだ。
「…そんなの…」
「この部屋は壷が大量にある、あのに、あんたは凶器は灰皿だって知ってた。なんでだよ」
「私は第一発見者よ、社長を見つけた時に一緒に凶器も見えて、だから…」
「見えないんだよ、あんたが立ってた場所じゃ…」
 笠松は息を飲んだ。
「笠松さんが立ってた場所からじゃ机が邪魔で下にある灰皿までは見えないんだよ」
「………」
 笠松は青い顔で俯く。
「笠松さん…」

65虎視眈々:2012/06/02(土) 17:24:29 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「……真君」
 それから笠松が口を開いたのは数秒後だった。
「いつから私が怪しと思ったの?」
 笠松は苦笑しながら聞いてきた
「これをその壷の下で見つけた時だ」
 真はそう言いズボンのポケットから一枚の写真を取り出し、笠松に見せた。
「…それ…」
「『笠松 健太郎』…笠松さんの親父さんだろ」
 写真に写っていたのは一人の男だった。そしてその後ろには「笠松 健太郎」と書かれていた。
「…えぇ、笠松 健太郎は私の父であり、ここの社長に殺された男よ…」

66虎視眈々:2012/06/02(土) 20:37:13 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
―4年前。雨の日だ。何を思ったか男は一人高層ビル9階から落ちた…イヤ、落とされた…
「父は4年前のあの日の夜奥田呼び出され、そして殺されたのよ!!」
 笠松は怒鳴るように叫ぶ。誰でもいいから自分の悲しみを受け止めて欲しくて…
「だから私は父の死の真相が知りたくてこの会社にに入った、それからすぐに父の死の真相がわかったは…奥田は会社の誰かと手を組んで裏金を回してたのよ」
 手を胸の前に置きながら叫んだ。
「だから今日奥谷話を付けに行ったわ。裏金を回していたことを自白して罪を償ってくれって、でも奥田は要求を飲むどころか逆に行ってきたわ…
『裏金を回していたとして君のお父さんとは全く何の関係も無いよ。それにたかが一人の死ぐらいで何かを自白するするバカが居るのか』
ってね。」
 聞いている方にまで怒りが伝わるような声を上げた。
「…真君あなたにだって理解できるでしょ。家族を殺されて、尚その家族を侮辱される気持ちが…」
 笠松は泣き出した。永遠に泣き続けるかのように―

67虎視眈々:2012/06/02(土) 20:59:04 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 その後笠松はすぐに田辺たちに連行されて行った。
「笠松さん…」
 真は連行される笠松に言った。「ん?」泣いたあとの赤い眼でわざと苦笑いをしながら笠松は真に聞き返す。
「確かに俺だって、家族を殺されて、しかも侮辱までされたら殺意がわかないわけじゃない。あんな糞親父でも侮辱されれば俺は侮辱したやつを殴り殺すかもしれねぇ。でも俺らは人を裁く神なんかじゃないんだ。ましてや俺らには人を殺していい権利も理由もなんにも与えられちゃいないんだ」
 人は神ではない。ましてやそれ以外の人体でもない。人は人、ものはもの、そして「死は死」でしかない―

68虎視眈々:2012/06/02(土) 22:23:06 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「本当にありがとうございました!!」
 深々と頭を下げ、瀬口は真に礼を言う。
「……」
 真はなんといっていいか分からず言葉を詰まらせる。
「その前に、一つお願いしたいことがあんだけど…」
「ん?」
「刑事さん、犯人捕まったんですか!!」
 突然の声。二人は声のしたほうを見るとそこには立木と横根が立っていた。
「もう僕達は帰っていいんですよね?」
 立木は片手にカバンを持ち、帰る気満々で瀬口に聞いた。
「はい、もう事件解決ですから、お帰りいただいて結構です。でも明日また事情聴取ですのでよろしくお願いします」
 瀬口はまた頭を下げる。
「でわ僕もお暇します」
 横根も片手にカバンを持って帰る気満々だ。
「それでは…」
「待てよ」
 二人が帰ろうとした瞬間それを真が止めた。
「正谷君?」
 瀬口が真の顔を見ながら聞く。
「まだアンタらの『裏金協力』の件については全くほとぼり冷めてないんだけど」
 その場の温度だけが下がる。
「裏金?一体何のことだい?」
 少なくとも冷静に、それは横根のポリシーらしい。
「嫌だから、殺された奥田さんと協力して裏金回しててのあんたたちなんだろ?」
 真は腰に巻いていたトレーナーを取りながら言った。
「まぁそら警察もうかつになるわなー。毎日のように嫌味被せられてる奴らがまさか共犯になって裏金回すとはおもんねぇし大体今回は殺人事件として来てっから裏金なんかを考えるわけでもなく…」
 真は白々しい目をして瀬口を見た。
「だからカケに出た。警察がこれを見つけられれば警察の勝ち、見つけられなかったら自分たちの勝ち。で、あんたらは勝った。とついでに事件も解決、めっちゃ運良いじゃん自分たち☆的な感情の中で俺に終止符を撃たれた。いやまさかこんなガキなんかに裏金回してたことがバレるなんて1ミリたりとも考えてなかったんだよな。で、今‥と」
 電車の中と同じ様に子供のような口調で話す。
「バカバカしい。冗談も大概にしたまえ」
 立木が険しい顔をしながら真に言う。
「じゃあそのカバンの中のもん見せろよ。あんだろ青い裏金リストが」
 ニコッと笑ってみせると真は大胆にトレーナーを着てまた笑った。「ハイ終了」とでも言うかのように…

69虎視眈々:2012/06/02(土) 22:48:10 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 それからすぐだ、二人はカバンの中を探られ中から青い裏帳簿が見つかった。それが確たる証拠となりまた連行された。
 お手柄第3回目。電車の痴漢騒動といい、殺人事件といい、裏金といい、真は今日一日で3つの事件を解決した。本人は偶然が重なったに過ぎないと思っているようだが世の中にはそれを偶然ではなく「必然」と呼ぶ者も居る。
『なんでも、やりなす、こなします、あなたのための《何でも屋》』と看板をかけた店にも一人それを偶然ではなく必然と感じたものが居た―

70虎視眈々:2012/06/02(土) 22:49:01 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 それからすぐだ、二人はカバンの中を探られ中から青い裏帳簿が見つかった。それが確たる証拠となりまた連行された。
 お手柄第3回目。電車の痴漢騒動といい、殺人事件といい、裏金といい、真は今日一日で3つの事件を解決した。本人は偶然が重なったに過ぎないと思っているようだが世の中にはそれを偶然ではなく「必然」と呼ぶ者も居る。
『なんでも、やりなす、こなします、あなたのための《何でも屋》』と看板をかけた店にも一人それを偶然ではなく必然と感じたものが居た―

71虎視眈々:2012/06/02(土) 22:52:01 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
(すみません、間違って同じもの発信してしまいました。無視してください)

72虎視眈々:2012/06/02(土) 22:54:31 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
第2話
【押し売りは遠慮してます…】

73虎視眈々:2012/06/02(土) 22:57:55 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「キーン、コーン、カーン、コーン」
 ここ蓮城高等学園では1限目の予鈴が鳴り響いた。ついでに、
「また遅れた―――!!!!」
 正谷 真の走りながら言っている絶叫も…

74ピーチ:2012/06/03(日) 01:03:23 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
虎視さん>>

初めまして♪今の所を読んでみたけど、凄く面白いと思うよ!

ミステリーは大好きでーすww

更新待ってるねーww

75虎視眈々:2012/06/03(日) 07:50:44 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
ピーチさんコメントありがとうございます。てことでバンバン書きます
(トリックとか考えんのムズイが…(T▽T)

76虎視眈々:2012/06/03(日) 08:08:10 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
(たく、今日こそは遅刻しねぇと思ったのに、何で一昨日痴漢騒動が今になって感謝されねぇといけねんだよ!!)
 今日の朝。いつもの電車に乗るときに一昨日痴漢にあった田所 美稲(たどころ みね)が真を見つけ長々と礼を言っていた。昨日は何もなく普通に学校に行った(遅刻して)。そして、いつも乗る電車には乗り遅れ次の電車には載ったものの、途中犬に追いかけられ、来るにあたって信号はすべて赤になり、近道は工事中で通れなくなった。と散々なことになり今にあたる。

77虎視眈々:2012/06/03(日) 08:32:07 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 学校まであと数m。そんな位置になった瞬間真は咄嗟に足を止めた。
 視線を感じた―
 真は振り向き、視線の正体を探す。
(なんだったんだ今の…)
 真は違和感を覚えた。だがすぐに前に目を戻し学校の校門に走った。
―(正谷 真。か、…)
 視線の正体は真が写った写真を片手に口角を少し上げた。

78虎視眈々:2012/06/03(日) 09:12:02 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「正谷。お前また遅刻か!!」
 教室に入った瞬間、福原の怒鳴り声がちった。
「イヤ、イヤ、今回はチャンっとした理由があんだよ。理由が!」
 真は必死に訴える。
「どうせ、寝てたカラーとか言うんだろうが。」
 しかし、福原に聞き入れる耳はない。
「ほら、早く席に行け」
 そう言い福原は真の背中を押す。狼少年とはまさにこのことだな。
「なんでいつも、遅れるの…」
 真が席に着いた時隣の席の高津 咲良(たかつ さくら)が言った。
「そうそう、高校生にもなってママに起こされないと起きれないんじゃいけないよ〜」
 そして次は前の席の前原 涼(まえはら りょう)が真をからかう。
「あぁ!?」
 真はこれを喧嘩が売られていると感じた。
「てめぇ、毎日毎日俺が遅れただけでいちゃもんつけやがって。そんなに俺に殴られて欲しいのか、涼!!」
 体を前に乗り出し真は涼に怒りの声をかける。
「オー怖。そこまで怒んなよ真ちゃん、俺ら中学からの仲だろ」
 涼は二カッと笑いながら言ったが、それとこれとは話が違う。
「それはそれ、これはこれ、だろうが…」
『正谷、前原!!授業中に話しすんな!!』
 突然、福原の怒鳴り声が真と涼の耳に飛ぶ。
「チッ」
「ヘイヘイ」
 二人はそれぞれに言いたいことを言うと黒板に目を向けた。

79虎視眈々:2012/06/03(日) 09:40:43 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
―「キーン、コーン、カーン、コーン」
 1限目終了の鐘がなった。
 終わったと同時に真は思いっきり背伸びをした。そのついで(?)に真は白い天井を視る。
「どうしたんだよ、真ちゃーん」
 涼が前から話けた。
「…あのさぁ、その呼び方やめてくんね‥」
 嫌な顔をしながら言う真に涼は「なんで?」と聞き返す。
「いや、なんか『クレヨ○しんちゃん』ぽいから」
 まぁそうだな。涼も承知のうえで真のことを中学から「真ちゃん」と呼んでいる。
「いいじゃないの〜。可愛いんだからよ真ちゃんって名前」
 可愛いとか気色悪い…真はそう思ったが口には出さなかった。言ったら言ったでまた何か変なあだ名をつけられると思ったからだ。

80虎視眈々:2012/06/03(日) 09:51:55 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「ていうかよ〜、そんない言うなら髪切れば。少しは男っぽくなるって」
 また笑って言う。
 真の髪の毛は中学生の頃から一度も切っていない。また、中学の頃からまともに制服を着たことがない。理由は全くないが。
「いや俺もそうしたいんだよな。でも、姉貴が切るなって言ってんだよな。意味わかんねぇけど」
(そのうちまた女装させられるな…)
 涼は不敵に笑ってみせる。

81虎視眈々:2012/06/03(日) 10:33:47 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
『不審者―――!!』
 突然だった。教室の窓側から見える校庭から声が飛んできた。
 真は、廊下側の自分の席からすぐに窓側の席に飛んでいき窓を開け外を見た。
「どうしたんだ」
「なになに」
「不審者」
「なんかのショーかよ」
 生徒は口々に言ってくる。
 真は1階の自分の教室から校庭をキョロキョロと見渡す。
『学校内に不審者が現れました。生徒のみなさんは窓を閉めて静かに体育館に集まりましょう』
 校内放送でそう言われると生徒全員のザワつきが一段と増した。

82虎視眈々:2012/06/03(日) 10:48:57 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「み、皆落ち着きなよ、兎に角今は体育館に行こう…」
 戸惑い口調で学級員の高梨 琴紗(たかなし ことさ)がみんなに言う。それに従い数人の生徒が廊下へと出ていく。
「正谷君。体育館行こう…」
 咲良が真の肩に手を置きながら言った。
「……」
 真は少し考えたあとに一度振り返り桜に言った。
「高津、俺ちょっと言ってくわ」
 真はそう言うと咲良が止めるのも聞かないで窓から地面に降りた。
「ちょ、正谷君!?」
「高津窓閉めといて」 
 真はそれだけ言い残し校庭の方に走っていった。

83虎視眈々:2012/06/03(日) 11:08:31 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
(またこういうのに首突っ込んじまったけど、まぁ問題ねぇだろ…)
 校庭をひた走る中真はそんなことを考えていた。
 何をどうしろ不審者を見つけてもその後の後始末は全くできない真。
「不審者ってどんなやつなのかな?案外この前の、痴漢騒動ん時の基や…」
「正谷さん!!」

84ピーチ:2012/06/03(日) 11:15:35 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
虎視さん>>

うわっ!不審者!

会ってみたいなー・・・

事件巻き込まれてみたい・・・

ってゆーか、良くそこまでミステリー思いつくねーww←途中で挫折した人ww

面白いよ!更新待ってるねー♪

85虎視眈々:2012/06/03(日) 11:17:10 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 聞き覚えのある二度と聞きたくない声。
 真は頭の中にめんどくさいという感情が生まれた。
「……なんで居んだよ基山…」
 白々しい目で前に現れた基山を見る。
「いや〜ちょっと正谷さん探しにこの学校に入ったんですけどなんか皆さんが僕のこと変な人だとおもちゃってて…」
 一瞬で分かった。こいつが今この学校で不審者呼ばわりせれていることに…

86虎視眈々:2012/06/03(日) 11:30:50 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「基山…」
 真はつめターイ目で基山を見ながら言った。
「帰れ、迷惑だ、ウザイ、つか死ね」
 真は脳裏に浮かんだ言葉をすべて放った。
「ひどい正谷さん!!この前はあんなに優しくしてくれたのに(泣)」
「その誤解を受ける言い方やめろ。優しくもなにも俺はただ単にあんたが痴漢じゃないって言っただけだ」

87虎視眈々:2012/06/03(日) 11:44:16 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 もういい加減にしてほしい。痴漢騒動で助けてやっただけなのに何かの意図で「何でも屋に入らないか」なんて言われて、それだけではなく学校にお押し売りのように侵入してくるとか…
「兎に角学校は押し売りを断固拒否してるんでさっさと帰れ。今帰るなら誰にも言わないから」
 こんな人と関わりを持ってるなんて思われたくないし、思いたくもない。今のところ誰も見てないし基山を逃すことだって簡単だ。
「ちょっと待ってくださいよ。僕がここになんの理由もなく来たと思ってるんですか!?」
「思ってる。ついでに言ったらなんの理由がないからこそ来たと思ってる」
 キッパリと言う、性格の真。それは父親の剣から受け継いだものである。

88虎視眈々:2012/06/03(日) 11:58:16 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「う、う、う、ひどい、ひどいです。正谷さん!なんの理由もなしに来ているわけないじゃないですか!!」
 両手を拳に変え縦に降ってみせる。
「じゃあ何か理由あんのかよ」
 真は呆れ顔になりながら言った、すると基山は二パーと笑い「特にありません(´▽`)」と言い真の顔を見る。
「じゃあくんな!!!!」
「ブゴッ!!!」
 基山の顔面に真の硬い拳が飛んだ。

89虎視眈々:2012/06/03(日) 12:11:00 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「たく、ふざけやがって。理由もなしに来てんじゃねえってんだよ」
 殴られた顔を抑えている基山を前に真は愚痴を発する。
「それにしても正谷さんは相変わらずですねぇ」
 基山は真の学生には見えない服装を見て言う。
 真の服装は半袖の黒いTシャツに腰には青い長袖のトレナーを巻き、両手には金色の糸で「勝利」と「必勝」という文字が縫われている黒いバンドをはめ、首には十字架のネックレス、ズボンは中途半端の長さの半ズボン、髪は男だというのに長髪で後ろでひとつ結びにすているという格好。

90虎視眈々:2012/06/03(日) 12:23:15 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「俺はこれで学生こなしてんだよ。いちいち文句言うな!!」
 真はめんどくさいと言わんばかりの顔で基山に言ったが、自分自身この格好を好んでいるわけではない。
「兎に角だ校門はあっち。早く帰れ」
 親指で校門の方を指さしながら言うと、基山は突然被っていたレディース帽子を取った。
「いえその前に、一つだけご相談したいことがあります」
 真剣な口ぶりで話す基山。

91虎視眈々:2012/06/03(日) 12:59:57 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 真にはその話し方がおかしく聞こえた。
「一昨日の社長殺害事件。世間的には警察が解決したようになってますが本当は正谷さん…」
 変なところで話に区切りがついた。
「あなたが解決したんですよね?」
 何で?…真はそんな顔をして基山を見つめる。

92虎視眈々:2012/06/03(日) 13:10:28 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「………」
 無言でやり通すには無理がある。
「図星…ですか?」
 分かっているのにわざと聞いてくる基山の顔に違和感とウザさがこみ上がってきた。
「…それが本当だとしても俺は何の文句もねぇよ。逆に報道されないだけありがたいね」

93虎視眈々:2012/06/03(日) 13:24:18 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 真は両手を挙げお手上げポーズをしてみせる。
「ものすごい推理力です」
 基山はポツリと一人呟いた。
「……」
(なんだよこいつ。奇味悪ぃ。しかも、心の中を見透かされるような感触。なんか…)
 真の脳裏に変な感触が生まれた。

94虎視眈々:2012/06/03(日) 13:27:32 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
     キモチガワルイ  コイツハイヤダ

 真の頭に浮かんだのはそんな感情だった―

95虎視眈々:2012/06/03(日) 13:35:29 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「正谷!!!!」
 真の横から福原の声が聞こえた。
 真は即座に声のしたほうを見て一歩後ずさりした。
「大丈夫か!!正谷!!」
 福原は、まず真の肩をつかみ語りかけるように言った。
「不審者がいたぞーーー!!」

96虎視眈々:2012/06/03(日) 13:40:58 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 福原は叫ぶように言った。
 真はどうしてだか顔に冷や汗をかいていた。
 知っているのに、初めてじゃないのに、殴ったのに、話したのに、文句言ったのに。心を読まれる感触ってこんなに怖いことなんだ…

97虎視眈々:2012/06/03(日) 13:53:46 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「真君もう大丈夫だと思うけど、本当に何をされてない?」
 真は学校の保健室で平坂 香奈(ひらさか かんな)に心配されていた。
「うん、ちょっとビックリしただけだから…」
 先ほどよりは顔色がだいぶよくなった真を見て少しだけ笑顔を漏らす平坂。
「そういえば、あの捕まった不審者さん、真君の名前ばっかり叫んでるみたいだけどお知り合い?」
 あぁ…あの後すぐに駆けつけた教師たちによって不審者=基山 昌平(きやま しょうへい)は捕まった。というよりパクられた。

98虎視眈々:2012/06/03(日) 14:00:31 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
 もうあんな意味不明の人なんかに関わりたくない。
 ほんといって基山は宇宙人なんじゃないかと真は思っている。(んなわけないが…)
「んじゃ俺教室戻るは…」
 そう言い真は座っていた保健室のベットから立ち上がりドアの方に歩いて行った。
「真君、一人で行ける?なんなら私も…」
 平坂が止めるのを押し切って真は「いいよ」とだけ言って保健室を出た。

99虎視眈々:2012/06/03(日) 14:08:48 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
「しーんちゃん。大丈夫か?」
 教室に戻るなり一番聞きたくない人の声が耳に入った。
「にしてもいいとばっちりだったな……つかホントに大丈夫か?顔色悪いぞ」
 心配されている自分がなんだか情けなくなる。
 真は深くため息を知ると自分の席に戻った。

100虎視眈々:2012/06/03(日) 14:11:51 HOST:softbank220024115211.bbtec.net
(すいません、また上間違えました。「知ると」ではなく「つくと」でした。私よく間違えるんだよな(T▽T)


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