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陰陽師 〜前世と現世〜
67
:
ピーチ
:2012/04/15(日) 21:51:46 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
「・・・まずい・・・!」
「・・・どうなってんだ?」
「・・・結界が破られた・・・」
「え!?」
誠人は大丈夫、と言った後、胸の前で両手を組んだ。しばらくの沈黙が続き、ようやく誠人が、組んでいた両手を元に戻した。
「・・・この前より強度上げたから、多分大丈夫・・・」
恐らく、前の結界が破られた以上、油断はできないのだろう。
「なるべく早く、親に帰ってきてもらうようにしてね。一人でいるよりずっといいから」
「あ、あぁ・・・」
「じゃあ・・・ついでだからここら辺見回って行こうかな・・・」
そう言って、誠人は裕也の家を後にした。しばらく見回して、何もいないのを確認してから帰ろうとした時、反射的に何もない地面を避けた。
「いってえぇぇぇ!」
突然、雑鬼達の悲鳴が上がる。
「・・・自業自得だ・・・」
と、誠人が小さく言った。
「ま、まさあ・・・誠人!」
「え?」
「お前この間・・・あの変な化け物倒したよな!?」
「あ・・・?あぁ、あれは・・・」
そう言いかけた時、誠人は全身を刺すような妖気を感じ、真正面を見た。
≪我ラガ仲間ノ・・・仇ダ・・・≫
「!?」
突然、誠人目掛けて鋭い棘のようなものが飛んできた。
「お・・・っと・・・」
≪オ前・・・ソノ身ニ呪詛ヲ宿シテイルナ・・・≫
「・・・・・・―――っ!!」
いきなり誠人の身体の中で、またあの大蛇が暴れだした。
≪・・・アイツラモ、ハジメカラコウシテレバ良カッタモノヲ・・・≫
はぁはぁと苦しそうな呼吸を繰り返す誠人を一瞥して、妖はこう言った。
≪苦シイダロウ?死ンデシマエバ楽ニナレルゾ?≫
そう言って妖は、誠人の腕を見やった。
≪痛々シイ傷ダ・・・コンナ傷、贄デアル者ニツケテテ良イ訳ガナイ・・・≫
妖が、誠人の腕に手を置こうとした時、誠人は反射的に避け、屋根の上に逃げていた。
≪何故逃ゲル?我ラガ主ノ贄トナレルコト、光栄ニ思エヨ・・・!≫
この妖が言葉を発するたびに、大蛇が一層激しく暴れ、それが、誠人の動きの殆どを封じていた。
≪・・・別ニ、オ前デナクトモ天野ノ人間ナラ誰デモ良イ・・・≫
「な・・・に言って・・・!?」
≪天野 明人、守人、水希・・・誰デモ構ワナイ・・・無論オ前デモナ・・・≫
「・・・!」
「ふざけるな、たかが地獄の使いが」
誠人が答える前に、すぐ近くで誠人や妖以外の声がした。
「え?」
≪・・・何者ダ・・・≫
「・・・お前なんかと話す必要はない、消えろ」
≪フ・・・フザケルナアァァァァ!!≫
「!?」
「う・・・わ!?」
不意に、誠人は自分の身体が宙に浮いたことを理解した。
≪フザケルナフザケルナフザケルナ・・・コノ者は主ノ贄ダァァ!!≫
「・・・その者は俺の主だ・・・」
そう言った直後、尭悸を包んでいた闘気が一瞬にして変わった。
「あの妖を・・・妖だけを焼き払え」
尭気が呟いた途端。火の鳥が姿を現し、誠人に、いや、妖に向かって飛び掛っていった。普段の何百倍もの熱さが頭上から降ってきた。慌てて、妖が誠人から手を離す。
「・・・同情の余地はねぇな・・・」
≪マ、待テ!何ダオ前ハ・・・!?≫
「『臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前』!!」
そう唱えながら九字を切り、手で格子を切った。元々、尭気が放った鳥の効果で身動きは取れないので、真言密教だけでも良かったのだが、一匹一匹倒さないとずっとこうなるかも知れないと言う思いが、わざわざ九字切りまで持っていったのだ。
「・・・戻れ」
尭悸が、小さくその鳥に言った。
ギャァァァと言う不気味な悲鳴を上げながら、妖が消えた。と同時に、誠人が倒れ、そのまま意識を失った。
続きまーす
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