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Loveletter

162:2012/04/05(木) 14:06:23 HOST:zaq7a66ffb2.zaq.ne.jp
ねこっぴ>>何ィ!?

そうやったんか…ほほうw

でも私の小説読んでるんやからいける系じゃね?

いいやんwそれでもw

小説を書けるだけでも凄いしねw

163:2012/04/05(木) 14:06:35 HOST:zaq7a66ffb2.zaq.ne.jp
ねこっぴ>>何ィ!?

そうやったんか…ほほうw

でも私の小説読んでるんやからいける系じゃね?

いいやんwそれでもw

小説を書けるだけでも凄いしねw

164ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/05(木) 14:14:18 HOST:e0109-49-132-29-5.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 初恋? side梨花



「あれ? 花ちゃんと翔くんと妃芽ちゃんも? めぐちゃんは来るだろうと思ったけど……」


 公園に到着するともう既に未花先輩とレオ先輩が来ていて、不思議そうに花ちゃんたちを見つめた。
 レオ先輩がにこりと微笑んであたしたちに向かって手を振ったから、つい振り返してしまう。


「……で、どうした?」
「実はね、めぐと花ちゃんがレオ先輩に、翔くんが未花先輩に伝えたいことがあるんだって!」


 何かあったのかと少し心配そうな表情をするレオ先輩に深刻なことじゃないですよ、と呟いてから告げた。
 そしてまずめぐからレオ先輩に告げる。


「あたし、レオ先輩がずっと好きでした! 返事とかいらないんで! ただレオ先輩のことさっぱり諦めるために告白したんで気にしないでくださいっ」


 さっきまで張り切ってたくせに急にうだうだするめぐにあちゃー、と呟いた。
 そして驚くレオ先輩をスルーして花ちゃんも言う。


「わたしも、先輩にとってはただの後輩くらいでしかなかったと思うけどレオ先輩が大好きでした。その……未花先輩とお幸せに!」


 最後はかわいらしい笑顔で終わらせた花ちゃんにこの子中々やるなと呟く。
 次に未花先輩に翔くんが告げた。


「俺、未花先輩のことがずっと好きでした。見返りとか返事を求めたわけじゃないですけど……レオ先輩が何かしたら俺にも頼ってくださいね」


 愛される女の子っていいなあ、と思いながら驚く先輩たちを見て微笑んだ。
 そしてレオ先輩と未花先輩が話す。


「めぐと花の気持ちに気づけなくてごめん。でも、俺にとって二人は大切な後輩だよ。俺なんかより全然いい奴いっぱいいるからさ! がんばれよ」
「わたしも、翔くんは大切な後輩だよ! でも翔くんと将来結ばれる子はきっと身近にいるからその子とお幸せにね」


 きっと未花先輩は花ちゃんのことを言ってるんだろうなと思った。
 そのとき何故か未花先輩はあたしに微笑みかけたんだけど、どうしてあたしを見る?とにこやかに疑問符を浮かべた。

 そしてそろそろ帰るかと思いみんな自分の家に帰ることにした。未花先輩とレオ先輩はわからないけれど。


     ×


「はあ………」


 ぽつんと溜め息をこぼした。
 ダウンを着てても寒いこの時期にこぼす溜め息は白くてもわっとしていて、それがおもしろくてふうとまた息をもらす。

 やっぱり、レオ先輩と未花先輩が結ばれたことはそれなりに寂しかったのかも。
 そう思いながら冷え切った水が流れる河原にしゃがみこんだ。

 ぴゅうっと勢いよく吹く風にさむっ、と呟く。
 その瞬間、ふわりと誰かに抱きしめられたような気がした。暖かくて安心する。


「……本当は梨花もレオ先輩好きだったんでしょ?」


 ああ、この声は……
 優しくて、初めて会ったときどきんと胸が揺れてしまった人だ。


「翔、くん……」
「梨花も泣いていいんだよ」


 後ろから抱きしめてたのに、突然正面から翔くんが抱きしめてきた。
 そして優しくされてやっとあたしも泣き出す。


 何でこんなに優しくするの?
 好きになっちゃうじゃん、


     -


 まさかの翔くんと梨花パターン!
 あ、ここからネタバレ含むのでいやな人は見ないでね!










 花と翔は元々双子設定だったのですが幼馴染に変更したので
 くっつくことは多分ないかもしれません←

165ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/05(木) 14:42:10 HOST:e0109-49-132-29-5.uqwimax.jp

>燐

まあ怖い系はあとから怖くなるってわかってるのに見たくなっちゃうっていうね!←
好奇心旺盛なんだy((

166ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/05(木) 18:17:09 HOST:e0109-49-132-29-5.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / きゅん、って。 side梨花



「……ごめんね翔くん、迷惑かけて」
「翔でいいよ。それに迷惑かかってないし、俺迷惑だって思うことは基本やんないからさ」


 にこりと微笑む翔くんはすごく暖かくてあたしまであったかくなったような気がして、でも泣き止んだあと別の意味で熱くなってきてしまった。
 赤くなった顔は何とか泣いたせいにして誤魔化して小さく名前を呟く。


「しょ、翔……」
「ん、じゃあそろそろ帰ろうか? 家まで送るよ」


 小さく頷きながら立ち上がり翔から離れると、何だか少し寂しくなって手を伸ばしてしまった。
 その瞬間、そっと翔の手があたしの手を包む。やっぱりあったかい。


「……いや、じゃない?」
「嫌なわけないじゃんっ……」


 いつもどおりのあたしでいれないことに動揺を隠せないでいる。
 何でこんな気持ちになるの? 今まで付き合ってきた人とはならなかったこの気持ちがよくわからない。


「……なんかきんちょーする」
「はは、俺もだよ」


 あたしが呟いた言葉に優しい笑顔を浮かべながら翔が頷く。
 なんかもうあたし、翔のことが好きでいいんじゃないかな。


「……あのさ、翔は恋愛経験済みなわけじゃない?」
「え、あー……まあ」
「未花先輩のことが好きっていつ気づいた? ていうかどうして気づいたの?」
「……気づいたら、かな。俺未花先輩のこと好きだったはずなんだけど」


 そう言って一度言葉を止めてから、あたしの耳元で囁くように言った。
 翔の低音が耳元で響き顔が真っ赤になる、もうだめだー。


「梨花といると未花先輩といたとき以上にドキドキするんだよね」


 あたしも、レオ先輩といたときより今の方がドキドキしてるよ。
 そう言いたくなったけど恥ずかしくて言えなさそうになくて、そっと心の中に閉まったままばたんきゅーした。


「え、ちょっ……梨花?!」


 ふわりと意識が遠ざかっていく。
 それでもね、翔がお姫様抱っこしてくれたことだけはわかったよ。


     -


 あまあまてんかーい!
 翔がかっこよすぎる何か。

167:2012/04/05(木) 20:05:17 HOST:zaq7a66ffb2.zaq.ne.jp
ねこっぴ>>分かる分かるw

私もそーゆう好奇心で見ちゃう系だわw

ねこっぴも好奇心旺盛かw

私はどちらかと言うとそっち系よりも…関係なく見てるしよw

168ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/05(木) 20:14:57 HOST:e0109-49-132-29-5.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 恋愛 side梨花



「――――か、りか……梨花!」


 お母さんとお姉ちゃんに名前を呼ばれてやっと目が覚めた。
 凄く心配そうな表情をする二人に疑問符を浮かべる。


「あたしどうしたんだっけ……」
「翔くんって子にお姫様抱っこで運ばれたのよ!」


 お母さんがその言葉を言った瞬間、さっきまでのことを思い出して顔が真っ赤になるのが自分でもわかった。


「梨花、もしかして翔くんのこと好きなのっ?!」


 お姉ちゃんが楽しそうに悪戯っぽく聞く。
 それに対して素直にあたしは頷いた。


「な、なんかそれ……っぽい」
「何あったのー? 教えて教えてっ」


 しつこいお姉ちゃんとお母さんに対してさっきまであったことを説明した。
 すると皆顔を赤くしたまま黙り込む。


「…………な、なんかしゃべってよ」


 あたしは真っ赤な顔のまま小さな声で言う。
 そして恋愛に対して詳しくないくせにお姉ちゃんが言った。


「い、いやそれ両思いでしょぜったい……ていうか告白したようなもんだよお互い」
「お母さん翔くんがいいと思うな〜、お姫様抱っこで運んでくれるし滅多に泣かない梨花を泣かせちゃうのよ!」


 言い方悪いよお母さん、とツッコミをいれたあとあたしのふふっと微笑んだ。


「でもね、本当に翔といるとどきどきするんだ」


 もう既にあたしは翔が大好きになってるんだな、と心の底から感じた。



     -

169:2012/04/05(木) 20:16:58 HOST:zaq7a66ffb2.zaq.ne.jp
ねこっぴ>>ちょー待ってくれw

梨花さんは俊ryさんが好きじゃなかったっけ?

まさかの乗り換えたんか!!?

170ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/05(木) 22:48:40 HOST:e0109-49-132-29-5.uqwimax.jp

>燐

好奇心だけで見て怖い思いをしてブラウザバックするのにも時間がかかるっていうね!←

んーとね、梨花が俊太を百花から奪おうとしたのは、百花が好きだから俊太にとられないようにしたみたいな!
梨花は実際俊太のこと嫌いだよー、途中扱い超悪かったしw

ていう話しがどっかにあったりなかったり!←

171ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/05(木) 23:13:27 HOST:e0109-49-132-29-5.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 好き side梨花



 あたしが翔のことを好きだと自覚し始めてから春休み中どうしても翔に会いたくなってしまったけど我慢し続けた。
 そして月日は流れ今日はもう入学式。クラス発表もするし少し緊張してる。

 とりあえず入学式には女子生徒はリボン登校と指示されたから、あまり似合わないと自分で思っているリボンをきゅっと結んだ。


「梨花ー、先行っちゃうよー?」
「わわ、待ってー!」


 下の階できっともう靴を履いて待ってるであろうお姉ちゃんの声が聞こえてきて、乱暴に携帯を鞄の中にいれて階段を走りおりた。
 予想通り靴を履き終わってるお姉ちゃんに早いよー、と呟きながらあたしも靴を履いた。


「だって新学期早々遅れたら嫌でしょ?」


 嘘吐け、本当は俊太さんと一緒に登校できるのが楽しみだから準備早いくせに。という言葉は心の中にしまっておいてドアを開けた。


「いってきまーす!」


 あたしとお姉ちゃんの声が響く。
 そして家の門の前には予想通りあのイラつく方が立っていてむっと表情を歪めた。


「あたし明日から一人で登校しようかな」
「めぐちゃんいるじゃん」
「うん、でも朝から抱きつかれるのはキツいし」


 お姉ちゃんと話している途中、突然後ろからかなり痛い目線が刺さってくるのがわかった。
 もしやと思い嫌そうな顔で振り向くとそこには予想通りめぐがいて笑顔で抱きつかれる。


「キツい? きついの? ならもっとやってあげようか〜」
「いやいやいや、ごめんってばー!」


 ぐてえっと体重をかけてくるめぐから逃げ回る。
 離れそうにないめぐにふうと溜め息を吐いたその瞬間、見覚えのある後ろ姿を五つ見つけた。


「レオ先輩と未花せんぱーい! あ、妃芽先輩と花ちゃんもいるー」
「何であえて翔くんの名前だけ呼ばないのー?」


 ぶんぶんとできるだけ翔のことを気にしないで手を振った。
 何も知らないめぐは怪しそうな表情であたしを見つめるけれど、顔が真っ赤にならないように必死にセーブする。


「梨花、おはよ」
「お、おはよ……あれ? 高校同じだったの?」
「ん、前話さなかったけど同じだよ。花も俺も受験だけどね」
「やった、翔と一緒の学校だ……って、」


 何あたし恥ずかしいこと言っちゃってんの!
 もう我慢できなくて自然と顔は真っ赤になっていた。

 まずさり気無く隣にきちゃうような翔が格好良すぎるんだよー
 それに何故か皆あたしたちから遠ざかってにやにやしながら見てくるし。

 レオ先輩も未花先輩も花ちゃんまでもあたしたちをにやにやしながら見てる。


 触れたり離れたりする手が少しずつ近づいていくような気がした。
 そしてもう一度そっと触れた手をお互いにきゅっと握りしめる。


 まるで「触れてもいいですか? つないでもいいですか?」って言いながら控えめに繋ぐような感じ。
 でもこんな焦らした感じの甘いプレイも嫌いじゃない。



「……好きだよ」
「……え?」


 翔がにこりと微笑んで一言告げた。
 それに動揺しつつも更にぼっと顔を赤くする。

 それでもあたしも恥ずかしさ紛れに言った。


「あたしも翔のこと好きだよ」



 単純でお互い好きで好きで。
 そんな関係がいいなって憧れてたけど今まさにそうなんじゃないかと思う。



 繋がれた手は学校につくまで暫く離れることはなかった。
 かなり冷やかされたけど(ぼそ)



     -


 あまあまとかみてて恥ずかしいよね
 ねここは書いててはずかしいわ!

172ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/06(金) 10:13:13 HOST:e0109-49-132-29-5.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / クラス side梨花



「あたし何組だろー」


 これが一番ドキドキする時間、というか。
 まずクラス発表自体あまり好きではない。心臓に悪いし何より一年間の自分の人生が決まるようなものだから。

 クラス発表の紙が昇降口に張り出されていて、めぐは緊張した様子も見せずわくわくとそれを見つめていた。その能天気さがちょっと羨ましく感じる。
 そして百五十名近くの名前が書かれた紙の中からやっと自分の名前を見つけた。

 きさらぎりか、だから出席番号は毎年最初の方で、今回も予想通り前半の方ではあった。
 そしてそのクラスのメンバーを見ていくと、途中めぐの名前があるのを見つけた。


「……あ、めぐ同じクラスじゃん」


 ぽつんと小さく呟く。そしてめぐはあれだけわくわくしていたというのに未だに自分がどこのクラスか把握していなかったようでえ?、と声をもらす。
 そして花ちゃんも一組の列に名前がのっていて、今年は良い年になりそうだと思った瞬間ピタリと固まった。

 たしか妃芽先輩の苗字は桜羽で、翔も桜羽って苗字になるわけで。
 あたしの名前から少し下にいったところに桜羽翔の文字が。


「翔も同じクラスだね」
「ん、そーだね」


 何かもう彼カノって感じで。
 すっごい恥ずかしいんだけど嬉しいというか……

 とにかく顔が真っ赤になってしまったのは言うまでもない。


     ×


 入学式の前に一度クラスに席順で座ることになった。
 縦列で出席番号順に座るらしいからあたしが座った席は真ん中らへんだった。先生にも見にくい列だーと少し安心する。

 そして隣を見た瞬間、相手も相手ですごく驚いていた。


「え? 翔隣?」
「え、梨花隣?」


 まるで重なるように言う。
 それでも翔が微笑んでくれたのであたしも微笑んだ。


「やった、」
「あたしも嬉しい!」


 どうやら今年は最高の一年になりそうです。



     -



 もうしばらくは梨花編かも。
 ていうか詳しくは梨花の学校編なんだけど!

 最終話は見えてきませんがきっとあれです、おわりも梨花視点になるかと。

173ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/06(金) 14:04:44 HOST:e0109-49-132-29-5.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 担任紹介 side梨花



「あうー、疲れたー」


 入学式を終えてあとは担任発表のみになった。一度教室に戻って待機することになる。
 隣で唸りながら疲れたと呟くめぐに苦笑を浮かべた。あたしはそれどころじゃないんだよ、さっきからこそこそ見てくる超意地悪そうな女子が怖くて仕方無いんだよ。


「また梨花は女子に嫌われてんだね」
「いやまたってそんな悲しいこと言わないでよ」


 めぐは毎年あたしと同じクラスのようなものだから、新学期からある一定の女子には暫く嫌われ続けるあたしをずっと見てきた。
 まあ別に気にしてないけど、って言ったら嘘になるような気もするんだけど。それでもめぐが一緒にいてくれたから出来るだけ視線から外すことくらいなら出来た。


「まあ可愛い子は嫉妬とかもされちゃうよねえ」
「ていうかあたし結構前からカップル破滅させちゃってたからね」


 あたしが破滅させた、というより彼氏の方が彼女いるっていうのに近づいてくるんだけどね。
 でもそんなこと嫉妬し始めた女子に言ったって無駄だから自分から近づいたって疑われても否定はしないんだけど。


「ていうか担任誰だろうなー、親身になってくれる先生がいいのに」


 あたしがぽつんと呟くと、めぐはむっと表情を歪めながら言った。


「梨花の成績と笑顔だったらどんな教師もイチコロでしょ」
「あ、男の教師だったらやだなあ」


 先生の前で面倒ごとにならないように笑顔で誤魔化すあたしにとって、男の教師の一年間は辛い。
 笑顔なんて見せて変態化されたら困るし。


 教室についたあとそっと自分の席につく。
 あんまり戯れるのが好きじゃないのか、ただ入学式で疲れただけなのか隣の席で眠る翔を起こさないようにそっと座った。


「……ねえ見てー、翔くん寝てるよー」
「普段かっこいいけど、寝てるときとか超かわいいよねー」


 周りからこそこそ聞こえてくる会話に何だかむっときた。
 一応あたしたちは両思いなわけで、他の人に可愛いだとか格好良いだとか言われてるのは情けないけどちょっと妬く。


「……梨花梨花」
「あれ、花ちゃん」


 嫉妬するあたしに気づいたのか、花ちゃんがそっとあたしの机にきた。
 そしてこっそりと翔のことを話す。その瞬間また顔が赤くなったような気がした。


「翔は格好良くてモテるらしいけど、梨花に会った瞬間から梨花のことにしか興味無いみたいだよ」
「え、あ……う」


 そんな嬉しいこと伝えられたらあたし何にも言えないよ。


 そして花ちゃんが席に戻った瞬間、教室に誰か入ってきた。
 きっと担任紹介かな、と思い気持ちよく眠っているところ悪いけど翔を起こす。


「しょ、翔! 起きて、先生来たよ」
「ん……あ、梨花? ってことはまだ学校か」


 ふあ、と欠伸をする翔の姿にきゅんときた。
 あたしだったら寝起きで好きな人が隣にいて固まって動けなくなるのに。翔は本当に自然で格好良いと思う。


「一年一組の担任の有希だ、よろしく」


 担任の先生の声にびくんとあたしの肩が揺れた。
 それはめぐも同じようだ。

 だってこのクラスの担任になったのは、


「す、スパルタ先生……?」



     -

174ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/06(金) 14:42:28 HOST:e0109-49-132-29-5.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 自己紹介 side梨花



「えー、実際は午前中ずっと配布物などの説明で授業があるけれど、わたしはそんな暇人じゃない。ということでプリントは帰り際に各自持っていくように」


 ちょ、このクラスかなりラッキーなんじゃないですか。
 プリントの説明ないだけでかなり帰るの早くなりますよいいんですかスパルタ先生ー!

 っていう馬鹿馬鹿しい言葉は心の中だけで叫んでおいて、とにかくファイルを鞄の中から出しておいた。


「……じゃあとりあえず自己紹介。出席番号順に名前と一言言っていけ」


 命令口調ではあったけれど、先生のオーラからして誰も文句を言わない。むしろ言えない。
 ていうか楽しいです先生のノリとか嫌いじゃないしむしろ好きだし。

 とかいう馬鹿馬鹿しいことを言ったら「面倒」の一言にも満たない言葉で流されてしまうから言わない。どちらかというと言えない。


「出席番号一番の朝乃くるみです! 去年から吹奏楽部でピアノやってたんで今年も頑張るつもりです、よろしくー」


 ピアノ仲間じゃないかと油断したあたしが馬鹿だった。
 去年からピアノ経験済みということはライバルになるわけでしょ? スパルタ先生何だかんだいって優しいけど差別とか贔屓とか全然しないから実力で勝たなきゃ。

 このクラスにはどうやら個性豊かなメンバーが見事に揃ってしまったようで、一言が面白かったり真面目だったりと様々だった。
 でもみんな同じっていうよりこっちの方が面白いんだよね。とにかくあたしまで真面目な印象つけられたら嫌だなあとは思ってしまった。真面目っ子には悪いけど。

 こういうのは簡単でほんの一瞬って言っていいくらいすぐ終わるのに、その短い時間がすごく重要になるわけで。
 順番が近づいてきて次あたしだってところでもうすっごくドキドキしてた。

 ああ、前の人が終わった。


「え、と……如月梨花です。よろしくね!」


 よしもう何とか笑顔で誤魔化した! だって特に言うことありません!
 「推薦で入学しました(キリッ)」とかじゃ嫌味っぽいし「夏のピアノコンクール出ます(どや)」とかだと悪印象与えそう。

 どちらにせよ悪印象になってしまうのでそれを防ぐために笑顔で押し切った。
 そして隣の翔の番になる。


「えー、桜羽翔です。よろしくお願いします」


 翔くんスマイルにやられた。殺られてしまった。
 何なのその笑顔! 女子の皆さんきゅんってきちゃってるよあたしもだけど。


「……翔のばーか」
「え? や、え?」


 馬鹿と言われて戸惑いを隠せない翔にむっと表情を歪めながら言った。あーあ、あたし可愛くない。


「あたし以外の女の子にそんな笑顔見せちゃイヤ」


 独占欲丸出しの女の子にはなりたくなかったのに。ならないだろうと思ってたのに。
 何か翔といるといつものあたしらしくできなくて、変なの。


「……梨花が男子にあんな可愛い笑顔見せたから仕返ししようと思って」


 ほら、いくら恋愛に敏感なあたしでも、翔がそんな風に思ってくれてるのを見抜けなかった。
 恋愛で計算高い女の子じゃなかったのか! なんか未花先輩のうつったのかな? 鈍感さが増したような気がする。


 本文長すぎエラーでたんでいったんきります

175ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/06(金) 14:42:50 HOST:e0109-49-132-29-5.uqwimax.jp
 顔を真っ赤にしているうちに、あっという間に自己紹介が終わった。
 そしてプリントの説明を面倒臭くて省いちゃった先生が遊び心たっぷりで提案する。


「じゃあ第一印象ゲームしようか。プリントの説明なんかより楽しいだろ?
 ルールも適当ね。第一印象だけで彼氏にしたい奴とか彼女にしたい奴とか、頭良さそうな奴のアンケートとってランキングにするだけ」


 いぇーい!とクラスの人たちが喜んだ。
 先生はこういう人だってわかってたけど、最初からやるつもりでいたのかもうアンケート用紙が全員分コピーしてあったのには驚いた。

 前の人から後ろの人へと配られたその紙にはかなりたくさんのアンケートが書かれている。
 彼氏にしたい人、かあ……やっぱ翔だな、と呟くように考えながら書き込んでいった。

 そして全員が書き終わり紙を先生が集める。
 まずは真面目そうな人ランキングだった。

 先生が黒板に書いていく。
 同時に名前も呼んでいくから立てということだそうだ。

 男女別でわかれていて、それはどんどん発表されていった。
 先生の遊び心により面白いアンケートがたくさんあったから発表しながらうおー!なんていちいち盛り上がってるし。


 そして溜めて溜めて溜めまくったようにラストスパートに近づいてきた。
 可愛い人と格好良い人と、彼氏にしたい人と彼女にしたい人のランキングだ。


「なんか先生狙ったようにそれ残してるよね」
「何か言ったか? 梨花」
「いえいえ特に何も言ってないです」


 あたしが翔に話し掛けつつ言うと、それがばっちり先生に聞こえてしまったようで笑顔で誤魔化した。
 きらんと光る先生の目が怖い。親身になってくれるっていうのの真逆で目つけられてるんじゃないかあたし。

 そして先生が発表しだした。
 そこは一位だけ発表するようだ。


「格好良い人一位、桜羽翔」
「え」


 翔が固まった。そしてうおー!と盛り上がるクラスの皆にきょとんとしている。
 先生がにやつきながら翔に立て、と言った。


「可愛い人一位、如月梨花」
「え?」


 いやいやいや、女子立たせちゃだめでしょこれまでそういうルールだったけど。
 他の女子の目線が痛くなるのを楽しんでいるのか先生は。あ、そっか。それを楽しんでいるのか。


「で、非常につまらないことに彼氏彼女にしたい人もコイツらが一位にランクインしてしまった」
「いやつまらなくないでしょおもしろくもないけど」


 先生に素早くツッコミをいれた。
 けれど先生はあたしをいじめるように聞く。


「お前らって付き合ってんの?」
「「え」」


 あたしと翔は何も言えなくなった。
 付き合ってるのかもしれないけど好きって言い合っただけだし。

 そして決心して言った言葉が見事に翔と重なった。


「「ノーコメントで」」


 翔もあたしも、きっと付き合ってるって自覚してるのはわかってる。お互いも付き合ってるって思ってるってわかってる。
 けどあたしは面倒ごとになるのがいやでノーコメにしたんだけど


 きっと翔はあたしが女子に絡まれることを避けようとしてノーコメントにしてくれたんだろうなあ。



 まあこれはこれで付き合ってんのか迫られると思うけど。



     -

176ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/06(金) 20:43:48 HOST:e0109-49-132-29-5.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 迫られる、女子に。 side梨花



「如月さん、ちょっと来て?」


 早速明らかに目つきが悪くて怖そうな女子に捕まってしまった。
 新学期早々、しかも先生が面倒臭がりで本当ならあと一、二時間つづくはずの授業がめでたくもすぐ終わって幸せな気分だというのに。


「……あ、あたし今日用事あるんだよね」
「いいから来て!」


 苦笑を浮かべて遠回しに行きたくないことを主張するけれど、その女子たちはこれまでになくしつこくて怖く無理矢理引っ張ってきた。
 まだ新品とも言えるほど綺麗なトイレの壁に押しつけられる。新品とはいえど少し不愉快な気持ちにはなった。わざわざトイレに押しつけるか?


「なんですかー……」


 少しかちんときたあたしは嫌味ったらしく面倒臭そうに聞いた。
 もうこの際コイツらからの印象は悪くなったって仕方無い、嫌われてしまえあたし!


「翔くんと付き合ってるの?」
「ないしょ、かな」


 なんだ嫉妬か、と思いながら馬鹿馬鹿しいというように溜め息を吐く。
 そしてにこっと作り笑顔を浮かべて言った。どうせこういう女子に笑顔なんで通じないんだろうけど。


「あたしの彼氏、誰か知ってる?」
「さあ、人の彼氏に興味無いし」


 また誰かの彼氏絡みなのかと思い笑顔のまま答えた。
 あたしだって好きで人の彼氏とってるわけじゃないんですよーだ!


「あたしたちと同じクラスの小林健太っつうの」
「うーん……ごめん、それだれ?」


 たしかこのクラスに小林さん数名ほどいたような、と思いながら考えるのは無駄だと感じ首を傾げる。
 その瞬間、予想通り女子たちの怒りが露わになってしまった。あたし生きて帰れないかもなー。


「健太さ、アンタのこと好きになったからあたしと別れるって言ってきたの。酷くない?」
「だから! 人の彼氏なんて知らないよ、別れる原因になったのだってあたしのこと好きになっちゃった小林くんか彼氏のこと大事にできなかったあなたが悪いんじゃないの?」


 ばちん、と。
 叩かれるかと思った。っつうか叩かれた。

 まあ新学期早々目が覚めるビンタだったわ、と苦笑を浮かべる。


「……彼氏さん大切にしなよ? あたしは小林くん好きにはならないからさ」
「そ、そんなのわかってるっつーの!」


 あたしがそっとその場を去っていく。
 どうやら笑顔と共に捧げたその言葉にはきゅんときてくれたようだ。

     ×


「梨花、どこいってたの――ってほっぺどしたの?!」


 あたしが戻ってくるのをずっと待っててくれためぐがあたしの頬を見て驚く。
 そりゃあ、力強く一発いただきましたし、と何事もなかったかのように微笑んだ。


「あ、翔と花ちゃんもいっしょ帰る?」


 二人で待っててくれたのか、話していた二人に微笑んで話しかけた。
 でもやっぱり頬の傷が強調されてしまって、翔も花ちゃんもあわてる。


「ど、どうしたの?!」


 花ちゃんがそっと傷にふれた。
 その瞬間ズキリと痛んだ傷にまるで花ちゃんを避けるようにはなれてしまった。


「ご、ごめんね……!」




 ちがう



 痛んだのは頬の傷だけじゃない。
 きっとまた嫌われたって泣いている心も痛いよって言ってる。


     -


 この回では女子の怖さを強調したかった!

177ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/06(金) 22:57:46 HOST:e0109-49-132-29-5.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 泣いていいよ、って。 side梨花



「……梨花」
「翔」


 翔があたしを包むようにそっと抱きしめてくれたのがわかった。
 ラブラブな雰囲気を察したのかめぐと花ちゃんは此処でやんなよ、という痛い目線をぶつけてくるけれど翔は気にしない。


「痛いでしょ? 傷も、心も」
「……っ、なんでわかるの」


 そうだよ、頬の傷も心も痛い。何であたしばっかり嫌われなきゃいけないの?
 ずっと心の奥底に秘めてきたことを翔はあっさりと見抜いてしまい、ぎゅ、と少し力を入れて抱きしめてから優しく言った。


「大好きな梨花のことだからわかるよ」


 顔はよく見えないけど、翔はきっと頬を赤らめながら微笑んでいるだろう。
 そして最後に一言、またあたしがほろりときちゃうような一言を告げた。


「泣いていいよ」


 翔はあたしを泣かせたいの?
 そんなことを思わせるくらい、あたしは最近になって凄い泣くようになってきた。

 翔の前でだけだけど。

 心の中でそんな甘ったるい言葉を吐いたあと、涙を流し始めて翔にぎゅっと抱きついた瞬間ガラリと教室のドアが開いた。
 そしてこのあまぁい雰囲気が少し恐怖を味合わせる影にイラつきを与えたのかその影の人物は持っていた指揮棒らしきものを投げ捨てながら怒鳴る。


「てめぇら外でやれ!」


 どうやらスパ……有希先生のようで、あたしたちはばっとお互いを放した。
 少し寂しいような気がすると心の中で呟くと、誰にもバレないようにこそりと小指だけ絡める。


「指揮棒折れちまったじゃねえかよ」
「い、いや……それは先生が投げたからで」
「口答えすんじゃねぇ!」


 有希先生の言葉に苦笑しながら反論すると本気で言っているようではないけれど口答えするなと厳しい声を浴びさせられた。
 翔と花ちゃんはそんな先生に驚いているようだけど、あたしとめぐはもう慣れたから呆れたような表情を浮かべ流したけれど。


「て、ていうか吹部の指導はいいんですか?」
「あ? スコア忘れたから教室に戻ってきたらおめぇらがイチャついてたんだろ」
「べっ、別にいちゃついてなんかないですし」
「じゃあ何してたっつうんだよ?」


 先生とあたしの会話にぷっ、と翔が吹き出した。
 そして翔が先生に睨まれる。


「あ?」
「や、何かおもしろい先生だなーと思って」
「てめぇらのせいだろーが」
「まあ、気にしないでください」
「てめぇらを隣の席にしたのが間違いだったわ」


 先生が珍しく溜め息を吐きながらそう呟いた。
 そしてえ、とあたしたちは疑問符を浮かべる。


「あれって出席番号順なんじゃ、」
「や、一個ずらすクラスもあるみたいでさー……まああたしは何でずらすのか理解できなかったからやめたけど」
「つまり先生の頭にはおミソが足りないとふげっ」


 めぐが和みながら笑顔でそう吐き捨てると、すぐに先生にチョークをぶつけられてた。
 そこらへんにあるものを投げるのが好きなのか、その白い新品のチョークはめぐの頬に直撃する。


「せ、せんせ……たいばつは、だめ、ですよ……?」


 ぴくぴくとまだわずかにめぐが動きながらそう一言残した。
 そしてふっ、と鼻で先生が笑ったあと、そっと教室を出ていく。最後に甘い一言をとびっきりの笑顔を浮かべて残してから。


「ま、見逃してやるよ」


 そんな先生に対して先生が出ていったあと一言呟く。


「もうめぐは見逃されてないようですけど」


 今年一年、本当に楽しいクラスになりそうだ。


     -


 先生のキャラが好きすぎるうぅうう!
 有希ってなんか気強そうっていうか、先生のイメージの名前だったのよ!

 なんだかんだいって女子キャラでいちばん好きなのは梨花とめぐと未花だわ!
 男キャラは百花編で俊太さああぁぁぁ(ryとか海斗さああぁあ(ryとかおもってたけど今は翔とレオにきゅんきゅんしてるな!


 やっぱ小説書くことで大切なのは
 そのキャラを好きになることだとねここは思った


 なんて言ってみる
 まあ好きなキャラが悪役に回るのが辛すぎてついつい悪役設定のはずが味方設定にかえちゃうねここがいるんだけどね☆てへぺろ(ry


 なんかもうだまってろみたいな。
 だまってます。

178ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/07(土) 11:10:21 HOST:e0109-49-132-29-5.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 彼女<幼馴染 side梨花



「ねー、このあとどっか出掛けない?」


 まだ教室に残ったまま、このあとどうするかを花ちゃんが提案してきた。
 いいねえと頬をおさえながら共感するめぐにあたしは苦笑して言う。


「でも翔だけ一人男の子になっちゃうよ」
「……じゃあ翔なしでいいんじゃね」
「おい、それはないだろ!」


 花ちゃんが冷たい目線で翔を見つめる。
 翔も意外にそういうのは一緒に行きたかったのか珍しく必死になっていた。


「……んー、じゃあ……レオ先輩と未花先輩も誘う?」
「えー、ラブラブカップル二人いる中であたしと花浮いちゃうじゃん」


 めぐの反論にそっかあ、と小さく溜め息をこぼした。
 そして翔が我侭なめぐに苦笑して提案する。


「じゃあ俺の友達誘う?」


 その言葉にめぐと花ちゃんは神様!、というように翔に拝んだ。
 そして翔が携帯を弄り出すと、ちょうど二人暇人がいるようで呼び出してくれた。わざわざ学校に。


「じゃあ先輩たちは部活忙しいだろうしいっか」
「だねー」


 あたしがレオ先輩たちといても失恋したばっかでちょっと辛い子もいるだろうからと思いながら話すと、めぐと花ちゃんがうんうんと頷く。
 最初から近くにいたのか翔の友達は案外早くきて自己紹介をした。


「俺、同じクラスの水野ハルです!」
「俺は小林健太です、よろしく!」


 こばやし、けんた……って!
 さっきの女の子の元彼じゃないかと思考を巡らせるとそっと翔の方に擦り寄った。

 だって小林くんはあたしのことが好きとか言ってその女子と別れたわけだし、此処で一緒にいたのバレたらまた呼び出されるよね。


「……翔」


 ぽつんと翔の名前を呟いた。
 翔に助けを求めるように。こんなに甘えちゃいけないってわかってるんだけど、でも。


「じゃあさ、二人ずつのペアつくって適当に回ったら?」
「いいねえ、彼カノっぽーい!」


 翔が笑顔で提案するのに対し花ちゃんもめぐも楽しそうに提案にのった。
 その瞬間、小林くんの手があたしの肩に触れかけたそのとき、翔がそっとあたしを後ろに引っ張った。


「俺は梨花とね」


 翔がまるで小林くんに笑顔で告げるように、あたしを後ろから抱きしめた。
 人前でそんなことされてもあたし赤くなるだけなんですけど。


「小林くんはあたしとね」


 花ちゃんが小林くんに駆け寄る。
 え、と小林くんが声を漏らすのがわかった。



 そして翔がその二人に一瞬手を伸ばしかけたのがわかってしまった。





 彼女は幼馴染以上の存在にはなれないのだろうか。
 そう思いながらそっと翔の背中を押す。


「いいよ、あたし小林くんにするから翔は花ちゃんと一緒に行ってあげて?」


 あたしの恋愛なんてどうせすぐに崩れてしまうものなんだ。
 初恋だって思ったけど、いつもとちがう自分にドキドキしてみたけど。


 結局あたしはあたしのままだったね。



     -


 うああああああああああああああ(ry
 ぐだぐだ展開になってきた。

 まあ簡単にまとめると


 翔は小林くんが梨花のこと好きだってわかってて
 でもそんな小林くんを花が狙っちゃって
 花に辛い思いしてほしくなかったから翔は花に手を伸ばしかけたわけだけど
 結局それに梨花が気づいちゃって自分を犠牲にしてでも花を守って翔とペアを組ませたみたいな


 梨花をいい役にしようと思ったら
 いい役になりすぎて梨花が傷つく役になってしまった!

 まあもとから梨花は大切な人のためなら自分を犠牲にしちゃうような設定だったんですけど。

179ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/07(土) 11:44:42 HOST:e0109-49-132-29-5.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 彼女じゃなくて友達だったのかな side梨花



「え? ちょっと梨花っ」


 花ちゃんもめぐも驚きを隠せない様子であたしの名前を呼ぶ。
 だけど何も動いてくれない翔を見つめそっと一言呟いてから教室を飛び出した。


「彼女じゃなくてきっと友達だったんだよ、あたしたち」


 いつものあたしと違う様子に動揺したり顔を真っ赤にしたり。
 けどあたしらしくないなんてことはなかったんだよ。あたしは所詮あたしでそれ以上の存在にもそれ以下の存在にもなれないの。


「翔なんてきらいだ馬鹿」


 ぽつりと小さく呟いたところでしゃがみこんだ。
 生温い風でさえも寒く感じるところ。それでもあたしが大好きな場所――――屋上だ。

 やっぱりあたしは長年付き合ってきた幼馴染以上の存在にはなれなかった。
 もういや、と泣き出した瞬間に屋上のドアが開いた。


「如月さん……」
「こ、ばやし……くん」


 泣いているところを見られてしまった。
 そしてそっと近寄ってくる小林くんに泣きながら謝りつづける。それくらいしかできなかったから。


「ごめん、ね……ごめんなさっ……」
「こんなときに聞くのもあれだけど……如月さんと翔って付き合ってた?」


 小林くんの優しい笑みにあたしは素直に答えた。


「よくわかんない……お互い好きだったんだけど、でも結局あたしは幼馴染以上の存在にはなれてなかったもん……きっと翔はあたしのこときらいだよ」
「……俺さ、彼女いたけど別れたんだよね、今日」


 小林くんがははっと苦笑しながら言った。
 それに対してこくこく頷きながら相槌を打ったりする。


「うん、それは知ってる。小林くんの元カノさんに叩かれちゃった」
「……ごめん、如月さん」


 小林くんの表情が曇った。
 最初は何であたしを優先しちゃったんだろうと思ったし、彼女さんも何でそこまで小林くんを大事にするんだろうと思ったけど今ならわかる気がする。


「……ううん、気にしないで」


 そう言った瞬間、小林くんはそっとあたしを抱きしめた。
 暖かかった。生温い風でさえ寒いと感じるあたしにはすごくちょうどいい暖かさだった。


「……俺、如月さんに一目惚れしたんだ」
「あたし、小林くんが思ってるような人じゃない」
「自分を犠牲にしてでも大切な人を守れるようなところ、俺の予想通りだったよ」
「ちがう、あたしは……」


 あたしの嫌なところでさえも良いところとして受け取ってくれちゃう小林くんにドキンと胸が揺れた。


「あたしそんないい人じゃないよ……」
「それでも、如月さんが自分のことどう思ってようと俺は如月さんが好きだよ」


 こんなあたしをこれでもかってくらい愛してくれて、でもその気持ちにすぐ答えることはできなかった。


「……こわい」
「え……?」
「人を好きになるのが怖い、また裏切られるんじゃないかって……ごめんね、小林くんを疑ってるわけじゃないんだけど……」


 小さく震えるあたしを小林くんはもっと強く抱きしめて言った。


「じゃあ俺で試せばいいよ。俺は絶対如月さんを裏切らない」


 力強くそう言う小林くんに不覚にもあたしは頷いてしまった。


     -

180ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/07(土) 14:59:19 HOST:e0109-49-132-29-5.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 大嫌い side梨花



「……あ、電話だ」


 良い雰囲気にそれでも少し恥ずかしくなってきたとき、タイミングが良いのか悪いのか携帯が鳴り出した。
 そっと呟き携帯の画面を見るとその電話が翔からのだと気づき、出ようか出ないか迷ったあとそっと耳元に携帯を当てた。


『梨花? 梨花、今何処に』
「やっぱりもう翔はあたしのこと好きじゃないんだよ」


 ぽつりとその言葉を述べた瞬間、え?、と驚いた翔の声が聞こえた。
 それにふふっと苦笑してぽつぽつと寂しそうに言う。こんな風に言うの、卑怯だっていうのはわかってるんだけど。


「あたしのことを好きになってくれた翔はあたしが何処にいてもすぐ駆けつけてくれた」
『……梨花は何処にいてもすぐ見つけ出してくれる俺じゃなきゃ嫌だった?』
「ちがう……けど」
『今からでも行くからさ、場所教えて?』
「……やだ、だってあたしにはこばや、え?」


 あたしには小林くんがいる、と言おうとした瞬間、携帯があたしから取り上げられた。
 携帯をとった人物は予想通り小林くんで、いつになく冷たい声で翔に話し掛ける。


「残念だけど、梨花を先に見つけたのは俺だったからさ」
『……そうかよ』


 ぷちんと、相手から電話が切れたのがわかった。
 どうしよう、嫌われちゃったかな。でも元々あっちはそんなに好きじゃなかったんだし、でもどうしよう。


「……きらい、翔なんてきらい」
「ん……どっか出掛けようか?」


 あたしをそっと抱きしめてくれた小林くんの提案にあたしは自然に頷いてしまっていた。


「何処でも良いから連れてって」


 もう、翔なんて嫌いだ。


     ×


「……ごめんね、今日は」
「いやいや、気にしないで」


 あのあと適当に街をぶらぶらした。気分転換にでもと小林くんが気を遣ってくれて。
 そして小林くんが送るよ、と微笑んだ瞬間に見えたのは――――



「しょ、う?」



 翔が花ちゃんを抱きしめている姿だった。


     -

 翔くん浮気? 浮気なのか!

181ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/07(土) 15:12:40 HOST:e0109-49-132-29-5.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / その言葉が本当だとしても side梨花



「……どう、して?」


 そっと呟いた言葉が騒めく街の中に溶け込んでいった。
 でも翔は人混みの中でもまだあたしを見つけてくれて、思わず涙を流すあたしにあわてて手を伸ばした。

 やだ、言い訳なんて聞きたくない。……本当は、自分が傷つくのが怖いだけなんだけど。

 そんなことを思いながら、人混みの中に隠れていった。
 小林くんもそっとついてきてくれる。


「梨花!」


 翔があたしの名前を呼んだような気がして思わず止まってしまった。
 その瞬間、押さえつけるように肩を掴まれる。


「しょ、う……やだ、はなして」


 強く掴まれる肩を小さく震わせた。
 やだなんて、本当は思ってないけど怖いんだよ。自分が傷つくのが嫌なんだよ。


「あれは……」
「あれはわたしが抱きしめてなんて我侭言っちゃっただけなんだよ!」


 説明しずらそうな翔にもういい、と思いかけた瞬間花ちゃんが代わりに言う。
 その言葉にえ、と驚いたような表情を浮かべた。


「わたし……本当はずっと一緒にいた翔が梨花にとられて離れていくんじゃないかってこわかったの。そのこと話して……でも翔は梨花が好きって言っててね、だから最後に抱きしめてって我侭言っちゃったの」


 その言葉が本当だとしたら……
 本当だとしたら?

 きっと花ちゃんは嘘つかないしそれが本当なんだろうけど。
 本当のことを知ってあたしはどうすればいいの?

 だから翔とよりもどるの?


「……あたしもうわからない」
「え……?」


 ぼそりと言った言葉に翔も小林くんも花ちゃんも首を傾げる。


「翔が大好きだったくせに、ちょっと嫌なことがあっただけでそのときに優しくされて小林くんも好きになっちゃうんだよ……」


 もういや、恋ってむずかしい。



「あたしの気持ちって、こんなに軽いものだったのかな」


     -

182ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/07(土) 15:34:40 HOST:e0109-49-132-29-5.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 愛が重くて、重すぎて side梨花



「梨花の愛は軽くなんかないよ」


 翔があたしの肩を掴む手から力を抜いて言った。
 その言葉にえ?、と声をもらす。


「だって俺、梨花と話すだけで毎回ドキドキしてたし。梨花もそうじゃなかった? ドキドキして顔真っ赤になりながら、俺の愛重いなーとか思わなかった?」
「おも、った……」


 一生懸命にあたしを元気づけようとする翔に呆然としながら頷いた。
 そして翔がいつもの優しい笑顔を浮かべてあたしを抱きしめる。


「俺だって同じだよ、俺もドキドキしたし顔真っ赤になんのおさえるので必死だった。愛が重すぎた分、嫉妬だっていっぱいしちゃうんだよ」


 小林くんには悪いけど、だけど。


「あたし、翔がいい……」
「ん、俺は多分これからもずっと梨花が好きだと思うから……また何かあったら頼って、な? 応援してるよ!」


 小林くんがあたしの頭を乱暴に撫でて微笑んだ。
 そしてその瞬間、小林くんと花ちゃんの目がぴぴっと合う。


「ねえ、付き合わない?」
「なあ、付き合わない?」


 花ちゃんと小林くんの声が被さった。
 付き合うっていうのは遊びに付き合うのかそれともカップル的なものなのかあたしにはよくわからなかったけど、解決したようでよかった。



「だいすきだよ、翔」
「うん、俺も大好きだよ、梨花」



     -


 うだうだしゅうりょーう!



 と、思いきや!
 レオと未花に何かが!



 ……みたいな展開をねここは希望している。

183ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/07(土) 23:53:20 HOST:e0109-49-132-29-5.uqwimax.jp

※こっから3つにわけます! 長くかきすぎたー



   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / ※なんというか、アレです。無理矢理系とか苦手な方見ないでください。ていうかこれ公開するか迷った! side梨花



 今日は疲れた、と溜め息を吐いてから家に入った。
 最後まで翔が送ってくれて、甘い気分だったあたしたちは玄関前でキスをして別れた。


「……そういえば、めぐどうなったんだろ」


 速野くんとめぐがペアだったはずだと考え携帯を見ると、そこには新着メール20件と不在着信30件の文字。
 不思議に思い新着メールを見ていくと、どれもめぐからだった。

 そしてその内容が全て「助けて」「早く来て」「こわいよ」など、助けを求めるものばかりだ。
 今更だと思いながらそれでもめぐに電話した。するとめぐはすぐに電話に出る。


『梨花あぁっ……』
「め、めぐ? どうしたの……?」
『ハルくんが……怪我してっ』
「ハルくんって……速野くん? 今何処?」
『街のあの一番陰薄い路地裏!』


 めぐの情報だけですぐ何のことかわかり、一応包帯や絆創膏などの応急処置ができるものを一通りバックに詰め込んで家を出た。


「帰り遅くなるかも!」
「え? 梨花ったら……気をつけるのよー!」


 戸惑うお母さんの声も無視して街へ走った。
 切符を買って帰宅ラッシュで込み始めた満員電車に乗って街へ向かう。

 真後ろに明らかにさり気無くボディータッチしてくる奴がいたからそっと睨んでやめてくださいと吐き捨てるように言った。
 そして駅についた途端人混みをわけて走り出す。早くいかなくちゃ!

 切符をいれて改札を通ったあと、例の陰の薄い路地裏に辿りついた。


「めぐっ……ハルくんは?」


 カタカタと小さく震えるめぐに声を掛けた。
 するとめぐがぎゅうっとあたしを抱きしめて言う。


「あのねっ……あたしが明らかに悪そうな奴らにナンパされて、それをハルくんが守ってくれたんだけど殴り合いになっちゃってっ……」
「わ、わかったから落ち着いて、ね? ハルくんは……」
「こっち、だよ」

184ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/07(土) 23:54:19 HOST:e0109-49-132-29-5.uqwimax.jp

 ハルくんは気を失っているのか傷だらけの顔を無防備にさらけ出していた。
 そしてある程度の応急処置をしたあと、目が覚めるのを待つ。

 その瞬間、後ろからそっと人が腕を引っ張ってきたのがわかった。


「だ、れっ?」
「お、またかわいー子増えてんじゃーん」


 この人たちの様子からしてハルくんを殴ったのはコイツらかとすぐにわかった。
 そして相手が女子だからって軽く掴まれた腕を無理矢理振り払おうとする。


「っ、やめてください! 放して!」


 突然あたしが反抗してきたことに相手も予想外だったのか思わず腕を放す。
 そしてキッと睨みつけたままあたしが言い放った。


「何で此処まで殴るの? めぐが可愛いのはわかるけどナンパして失敗したからって人に当たるのって相当幼稚だと思うんだけど」


 怖いって気持ちもあった。
 それよりこんなことをする相手が許せなかった。

 その瞬間相手がくくっと怪しげに笑う。


「……元々なあ、あの女をナンパできなかったからじゃなくコイツが気に入らなかったんだよ」
「気に入らないから殴るっていう考えもナンパして失敗して殴るのと同じくらい幼稚だけど」


 応急処置を終えたハルくんの髪を掴みぐいっと持ち上げる相手たちに怖いと本当に思った。
 それでもこれ以上傷つけるわけにはいかないと相手の腕を掴み力の抜けたハルくんを片手で支える。


「もう手出さないで」
「怖いのか?」
「……ち、がう……」


 ハルくんの髪を掴んだままそっとあたしの顎に手が添えられた。
 顔を近づけてくる相手に後退りながらも首を振る。


「じゃあ何で逃げんの?」
「……触らないでっ……」


 あたしの顎に手を添えたままの相手の質問に答えずキツく言い放った。
 その瞬間、ハルくんを殴るような素振りを見せる。


「だめっ!」


 こわかったけど反射的に体が動いた。
 自然とハルくんをかばうよう自分が前に出る。殴られると思ったけど、相手はすん止めしてくくっと笑った。


「殴らねえよ、お前がキスさせてくれんなら」
「……え?」


 キスはやだ。
 そんな思いがあたしの頭の中をめぐった、けど。


「じゃあコイツ殴ってもいいんだ?」
「だ、だめ……キスしていいからっ……手出さないで」
「や……梨花!」


 キスしていい、と言った瞬間めぐがふるふると首を横に振った。
 それでももう言ってしまったからだめだと思い、めぐに大丈夫だと言うような笑みを見せる。

 無理矢理腕を引っ張られて、あたしの手で支えられてたハルくんが地面に崩れ落ちた。
 逃げられないようにと両腕を強く握られ相手の顔が近付いてくる。

185ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/07(土) 23:58:12 HOST:e0109-49-132-29-5.uqwimax.jp

3つにわけると書きましたが
4つにわけなきゃ書けなかった!



いやちょっと本当にごめんなさい。
苦手じゃない人も見ない方がいいね。そしたら意味ないんだけどさ。


     -



「……やっ」
「口開けよ」


 口開くって、
 でも無理矢理開かされて相手の唇が重なった瞬間もうどうでもよくなった。

 相手の舌が口内に入ってきて気持ち悪い。
 これが翔とだったら少しでも快楽に変わっていただろうかと思いつつ、もうあたし自身に力は入らなくてぐったりと相手に身を任せてしまっていた。


「……ん、ぅ」


 息ができなくなってくる。
 吸いたくない、コイツと同じ空気でさえも吸いたくない。

 それでも息が苦しくて、いっそのこともう死にたいと考えたその瞬間、相手の顔が離れる。

 同時にぱっとあたしを支えるように掴んでいた相手の手も放される。
 バタリとその場に倒れ込んだ。


「……っ、う」


 ひゅうひゅうと少しずつ息をする音が聞こえた。
 そして次の瞬間に、めぐの悲鳴が響く。


「きゃあっ!」
「め、ぐ……? っ、」


 涙目で見るとさっきあたしにキスをしてきた奴の取り巻きみたいなのがめぐの両腕を掴んでいた。
 そしてあたしもぐいっとキスしてきた奴に無理矢理立ち上がらされる。


「なあ……あの女お前のダチだろ? あいつぐちゃぐちゃにしてやってもいいならお前は逃がしてやるけど……」
「だ、め……」


 あたしが即答した瞬間、相手がニヤついたのがわかった。
 その瞬間めぐは放されて、それでもあたしはぐいっと掴まれたまだ。


「じゃあ代わりにお前ぐちゃぐちゃにしてやろうか……顔もいいし飽きても気晴らしにとっておくぐらいしようかな」


 つ、まり
 あたしはもう帰れないと。


 もう希望なんてないと思い、またかぶりつくようにキスしてくる相手にもう何の抵抗もしなかった。
 コートを脱がされ服も脱がされていく自分になんともおもわなかった。

 さらけ出した肩に風があたり冷たいと感じることさえもできなかった。


 その瞬間、あたしの名前を呼ぶ声がきこえた。

186ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/07(土) 23:58:49 HOST:e0109-49-132-29-5.uqwimax.jp
「梨花っ……! っ、お前……何やって」


 翔の声だ。
 よくよく見てみると小林くんもレオ先輩も来てくれてる。


「あ? ハルとかいうやつとめぐとかいう奴逃がす代わりにコイツは俺のものになるって決まったんだよ、無駄なことすんじゃねえぞ?」
「……っ、りか」


 そっと呟く翔の声に微笑むことでさえできなくて、ただ何であたしがこんな目に遭っているんだろうと朦朧とした意識で必死に考えることしかできなかった。
 その瞬間、レオ先輩の冷静な声が聞こえた。


「警察呼ぶか。俺らが出ても犠牲者増やしたりするだけだろうし」
「でも先輩っ……」
「大丈夫、此処街だから交番いっぱいあるしよー」


 レオ先輩が微笑んだ瞬間、あたしがまた突然キスをされたのがわかった。
 また口内に相手の舌が入りこんできて気持ち悪い、もうやだ。

 その瞬間、早くも警察は駆けつけた。


「おい、やめろ」
「……最後までやらせろよ」


 相手が告げた瞬間、もう終わりだと思った。
 のに、レオ先輩が無理矢理その男の腕を掴みすんなりと警察に渡す。

 あたしを支えてた相手の手がなくなって、ふらりとその場に倒れそうになった瞬間レオ先輩があたしを支える。


「……れお、せんぱ……」
「とりあえず服直そうな」


 乱れた服をそっと直していくレオ先輩にふらりと体重をあずけてしまった。


「……くちのなか、きもちわるい……」


 隅々まで舐め回されたようで嫌だ。
 そしてレオ先輩が優しく聞く。


「うがいとかしにいく?」
「ん……」


 歩けるか?、とあたしに気を遣う先輩に本当に優しいなと思った。
 そしてふらりとよろめきながら歩こうとしたが力が入らなくその場に倒れ込んでしまいそうになった。

 その瞬間、レオ先輩がそっとあたしを抱き上げる。
 未花先輩を抱き上げてたときと同じようだお姫様抱っこ。


 一つ疑問に思ったのは、何で翔が助けてくれないんだろうって。
 精神的にキツかったんだろうけど、それでも今はレオ先輩に任せていたかった。


 近くのお店で気持ち悪くなったと言いうがいさせてもらったりした。
 そして気持ち悪さも消えたと思ったけど、やっぱり少し嫌だ。

 そう思った瞬間、つい体が動いちゃったの。



 あたしが立ち上がり、レオ先輩の唇にあたしの唇を重ねた。



     -


 はいごめんなさい。
 本当にごめんなさい。

 それしかいうことがない。
 というかそれ以外の言葉が出てこない。

187神野計画:2012/04/08(日) 05:07:48 HOST:ntfkok190145.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
今のところ、クソスレのクソレスだらけ。
ボク以外。

188ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/08(日) 11:18:56 HOST:w0109-49-135-21-29.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 覚えてはないけれど side梨花



「……り、か?」


 不意打ちでキスされたレオ先輩はとても驚いた表情をしていたけれど、今のあたしにはそんなことどうでもよかった。
 さっきキスしてきた人に染まってて気持ち悪かったのが消えていくようで安心したあたしはふらりと前に倒れそうになる。


「れ、おせんぱい……すき」


 動揺してそれでもあたしを支えてくれたレオ先輩に思わず言った一言。
 でも戸惑う気もないあたしはにこっとレオ先輩の顔を見つめた。顔が真っ赤なレオ先輩が小さな声で一言呟くように言う。


「梨花って本当わかってないよな……」


 もう一回不意打ちでキスしてやろうかとも思ったけどもう少し様子を見ていようと思った。
 でも真っ赤な顔をしたまま俯くレオ先輩に思わず顔を近づける。


「すきだよ、れおせんぱい」


 そっと唇を重ねたあとレオ先輩に体重をあずけて深い眠りに落ちていった。


     ×


「りーかー……先輩きてるよ、もう」
「……んぅ、」


 お姉ちゃんの声がして目が覚めた。
 先輩? 誰だろう、と思いながら重い体を起こす。


「れ、お先輩……?」


 さっきまで自分が何をしていたのか。
 それがよく思い出せなくて何でレオ先輩がいるの?、と思いながら見つめる。


「梨花、さっきのこと覚えてねえの?」
「……なんにも」


 レオ先輩が寂しそうなほっとしたような笑顔を浮かべていた。
 よくわからなくなってレオ先輩に尋ねる。


「ねえ、教えてよー」
「全部はだめ、途中までな」


 そしてレオ先輩があたしのお母さんとお姉ちゃんにも話した。
 あたしがハルくんとめぐを庇って代わりに知らない人たちに襲われかけたこと、だけ?

 そのあととっても幸せな気分になったような気がしたんだけど。


「つづき、あるんでしょ?」
「……それは話せないよ、」
「やだ、教えて!」


 何であたしこんな我侭言ってるんだろう。
 そんなことを思いながらそっとレオ先輩を見つめる。するとレオ先輩は溜め息を吐いて話し始めた。


 あたしがレオ先輩にキスしたこと、とか。
 それともう一つ。



「俺さ、未花と付き合ってるはずなのに……梨花にキスされて梨花のこと好きなんじゃないかって思っちゃった」



 レオ先輩があたしに振り向いてくれるかもしれないということ。




     -


 何かいろいろと雰囲気的に下げて書いておく。
 本当はガツンと言いたい気持ちもあったけど触れると荒らしと同類になりそうでやだorz


 複雑ね(´・ω・`)!

189ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/08(日) 14:51:44 HOST:w0109-49-135-21-29.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / もし好きでいてくれるなら side梨花



「……ごめん、こんな話ししても困るだけだよな」
「ううん、あたし……あたしは」


 あたしには翔がいて、小林くんもあたしを好きだって言ってくれて。
 でもきっと小林くんはあたしの相手が翔だから諦めてくれたわけで、レオ先輩になると話しが違うかもしれない。


「……あたしは好きな人にしかキスしないよ」


 そう微笑んで言った瞬間、レオ先輩が頬を赤らめたのがわかった。
 まあ、遠回しに好きって言ったようなものだしね。


「俺もう未花のこと好きじゃないのかなあ……一生大事にするって決めたのに」
「一生大事にするなんてそんなの無理だよ。お互いただ愛し合っていくだけの関係は深まらないだけだし」


 そっと呟いたあと、にこりと微笑んで先輩に告げた。


「……あたしやっぱり先輩好きかも」


 優柔不断っていうのかな。
 翔が好きで小林くんも好きになって、また翔を好きになって。

 次にレオ先輩だなんて都合が良すぎると思う。


 でもそれでも
 自分の我侭を突き通してでも幸せな恋をしたい



     -

190ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/10(火) 17:48:28 HOST:w0109-49-135-27-63.uqwimax.jp

 ▼なんかおしらせっぽいの

 パソコン一回壊れちゃって(昨日)
 すぐ直したんですけどやっぱりこれから書く時間なさそうです;

 なのでまあちょこまか短め更新多めになると思いますがまったーりしてってね!←

 今日は更新できないかもです、かもだけど。

191ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/11(水) 18:38:28 HOST:w0109-49-135-27-146.uqwimax.jp

 ▼さらにまたおしらせ

 パソコン確実に直りましたー!
 普通に更新できると思いますがやっぱり更新率は減るかなorz

192:2012/04/11(水) 20:06:08 HOST:zaq77195e4e.zaq.ne.jp
ねここ>>再開やなw

応援してるわノシ

193ピーチ:2012/04/11(水) 21:11:12 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>

わー!!・0・再開だー!!*^0^*

楽しみにしてるねー♪ww

194ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/14(土) 14:18:47 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

>燐

やっぱり更新率はさがっちゃうけど再開だよ!
応援ありがとー!燐もがんばれっ

>ピーチ

ありがとー><*
がんばる!

195ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/14(土) 17:25:52 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 我侭ではありますが、 side梨花



「……でも」


 まだレオ先輩の心には迷いがあるのか、表情を曇らせながらあたしを見つめていた。まるで答えを求めるような目線で、まるであたしに助けてというような目線で。
 じっとあたしを見つめるその瞳がいつしか自分のものになれば良いのにとどれだけ願ったことだろうか。


「あたしはレオ先輩の好きな選択肢を選んで良いと思うよ」


 人を選ぶのって、周りの人は簡単そうに見てるけど実際選ぶ立場になったらかなり迷うと思う。
 でもあたしは翔も小林くんも裏切ってしまった。レオ先輩が好きで、それに気づいて向き合える自分が嬉しくて、つい。


「未花先輩とあたし、どっちが大事?」
「……俺は」


 質問を変えて、それでも難しいような内容になってしまったことに少し後悔したけれどもご、と小さく口を動かすレオ先輩の言葉に耳を傾けた。


「俺は梨花が好きなんだと思う、けど……でも、そしたら誰が未花を守るんだろうって考えると結局俺は未花の傍にいなきゃってなって」


 初めて聞いたような気がした。
 レオ先輩の素直な気持ちを。


「……未花先輩はきっと、レオ先輩じゃなくても大丈夫だよ」


 この言葉を言った瞬間、あたしを愛してくれた翔を手放すような気持ちになった。
 遠回しに未花先輩には翔がいるって言っているようなもので、少し罪悪感が生まれた。


「俺、梨花が好きだよ」
「あたしも先輩が好き」


 きっとレオ先輩の心の中も罪悪感でいっぱいなんだろうな。
 こんなことなら未花先輩の「レオ先輩が好き」って気持ちに気づかせなきゃよかったって、あたしもちょっとだけ思ってる。


 でもあたしは、やっと結ばれたレオ先輩との時間を大切にしたいなと思った。
 ごめんね。未花先輩、小林くん――――







 ――――翔。




     −




 さあどうなる!みたいな←
 久々更新ですわっほい☆((

196ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/14(土) 18:06:30 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 大好きだったよ side梨花



 ――――大好きだったよ
 あたしの我侭だと思うけど別れよう
 こんなあたしに優しくしてくれて
 こんなあたしを好きでいてくれて
 こんなあたしを愛してくれて、ありがとう
 どんなときでもあたしの傍にいてくれた翔はいつまでもあたしの大切な人です
 また頼るかもしれない
 また慰めてもらうこともあるかもしれない
 きっと翔は嫌だと思うけど、でもあたしは翔も大切だよ
 あと、未花先輩と仲良くしてね
 これからは翔が未花先輩を守ってあげてください


 携帯に打ち込んだ文章を何度も何度も見直して、でも勇気が出なくて送信せずにそのまま携帯をパタンと閉じてから溜め息を吐いた。

 絵文字も顔文字もない素っ気無いメール。
 終止符が一つもないのはきっと、あたし自身は翔との関係を終わらせたくないからなのかもしれない。

 いや、終わらせたくないというより手放したくないっていうのの方が正しいかな。
 あたしの家からレオ先輩が帰ったあと、暫くメールの内容を考えていた。


 レオ先輩にあたしか未花先輩選んでって言ったわりにはまず自分がレオ先輩か翔か選べてなかった。
 うーんと唸りながら考えていると、家のチャイムが鳴り出す。


「しょ、う……?」
「梨花っ、さっきは何もできなくて……ごめん!」


 ドアを開けた瞬間すぐに頭を下げた翔に戸惑いながら、それでも玄関からふいた風に寒さを覚えて小さな声で尋ねた。


「上がってく?」
「梨花がいいのなら」


 いつもならお互いに話題を出すあたしたちだったけど、今日はあまり話さなかった。
 そして翔がそっとあたしに尋ねる。


「俺のこと、もう好きじゃない?」
「……好き、だけど……でもごめん! これ読んで!」


 勢いに任せて、さっき携帯に打ったメールを見せた。
 送信しなかったそのメールを見て翔が驚いていた。そしてにへらとあたしを安心させるようにと微笑を見せる。


「うん、わかった――――梨花もレオ先輩となかよ、く……」


 途中で翔の言葉が途切れた。
 涙を流しているのか、そっとあたしに抱き着いて顔が見えないようにした。


「……ごめ、ん……さい、ごだから…………」
「……っ、あたしわかんない……どうしたらいいの?」



 大好きだよ、二人とも。
 でも、どっちが恋愛感情なのかわかんないよ。


     -

197ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/14(土) 21:49:21 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 君の好きな人は誰ですか? side梨花



「……え?」
「あたし、レオ先輩が好きなのかなって思ったけど……わかんないよ、翔も好きだもん……」


 あたしは誰が好きなのだろうか?、と今まで何度も自問自答を繰り返してきた。
 答えはその時によって様々だったりして、無理矢理納得させてるんだって心の何処かでは気づいていたけれど。


「……好きな人って、なんだろうね」


 今のあたしは無理矢理納得することでさえ出来ない。
 もう自分の気持ちに嘘は吐けなくて、吐きたくなくて。でも、わからなくて。


「翔の好きな人はだれ?」


 なんだか恋愛っていうこと自体わからなくなってきた。
 翔に馬鹿馬鹿しい質問を問いかけてみるけど、やっぱりあたしは人に頼ってばかりなんだなって改めて感じた。


「俺は……梨花が好きって言ったらやっぱ困る?」
「……あたしはね、よくわからない、の……」


 翔があたしを好きでいてくれることは嬉しい。
 でもあたしの愛情ってちょっとおかしいような気がする。


「……愛されるから好きになるのかな?」


 あたしの問い掛けに翔はにこりと微笑んで答えた。


「愛っていうのは人によってそれぞれだと思うけど、俺の愛は違うかな。愛されるから好きになるんじゃなくて、俺が愛したいから愛してるんだよ」


 大好きな翔は、










 いつでもあたしに優しくしてくれたね。





     -



 大好きな翔は、のあとの隙間はとくに意味がない!
 けどまあ雰囲気というかなんかね!

198:2012/04/14(土) 22:12:16 HOST:zaq7a66c598.zaq.ne.jp
何やこれえええ!!!

まさかの二股パターンかw

199ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/14(土) 22:29:42 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

>燐

どうだろうね!
梨花に限って二股はないと思うけどどうなんだろう、このあとの展開まったくわからない←

200ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/14(土) 22:30:15 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

 ▼200レス突破!

 Loveletterもついに200レス突破しました!
 今梨花ちゃん編でうだうだしてますがきっと大丈夫です←
 記念に何かと思ったけどねここの文章力とアイデアの無さのせいで何もできませんでした、はい((
 そのかわりというのもあれですけどしあんいろの一周年記念でフェチお題書いてるんでよろしくね(`・ω・´)!

 宣伝になってきたので短いけどおわろうかな!


 これからもがんばっていきます!

201ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/16(月) 16:49:43 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 幸せになればいいなって side梨花



「あと梨花、もう一ついいかな」
「……うん、なあに?」


 あたしを不安な気持ちにさせないためか優しげな笑みを浮かべて話す翔だけど、ちょっとだけ嫌な予感がした。
 少し間をあけてから頷くと、翔は残念そうに言い放つ。


「悪いけど、俺は未花先輩を守れない」


 この言葉のあと、動揺しつつもあたしが尋ねる。


「どう、して?」
「俺は梨花が好きで、未花先輩はレオ先輩が好きで……お互い好きじゃないのに梨花とレオ先輩の都合て俺たちがくっつかなきゃいけないのはおかしいと思うんだ」


 あたしは、ただ未花先輩にも翔にも幸せになってほしくて。
 あたしとレオ先輩が付き合うことになったら、きっと未花先輩は一人になっちゃうから翔とくっつけばいいなって思って。


「……なん、で……」
「未花先輩は何て言うかわからないけど、俺は梨花がレオ先輩と付き合いたいんなら諦めるよ。大好きで大事な人のことだから、応援してあげたいし。でもさ、仮に未花先輩がレオ先輩と別れたとしても俺と未花先輩が付き合う必要はないと思うし、俺たちが付き合っても俺も未花先輩も全然幸せなんかじゃないよ」


 翔の厳しい言葉に、それでもその現実を受け入れたくないあたしは翔に聞く。


「じゃあ、どうしたら翔と未花先輩が幸せになれる……?」
「俺にとっての幸せは梨花と一緒にいることだよ。正直に言うと、俺も未花先輩も梨花やレオ先輩とわかれたらまず幸せにはなれない。それくらい、大事に思ってるんだよ……自分で言うのもなんだけど、ね」


 あたし、どうしよう。


     -

202:2012/04/16(月) 17:41:16 HOST:zaq7a66c598.zaq.ne.jp
ねこっぴ>>そかそかw

てか、梨花ちゃん…大丈夫かね?

思ってた事が思いっきり裏目に出ちゃったけどw

203ねむねむ:2012/04/16(月) 18:28:32 HOST:S010600222dda046f.vc.shawcable.net
私には大好きな彼氏がいた。

だが私は他の女の子と仲良しでそれにみんなから人気だった

それが怖かった。

なぜなら父親が浮気をしたからだ。

気が狂いそうになった。身近でしかも一番信頼していたから。

だから彼氏もそうなのかなと思った。そしたら急に怖くなった。

束縛をしてしまったおかげで自分は彼氏に別れを告げられた。

仕方なかった。怖かったから…

そのあと元彼氏は言い続けた

(ただ胸が大きいから、遊ぶには丁度よかった)

それから何年かが立ち、もうトラウマも少しずつ減った。

まいくに会って、自分は変われると思った。

204ねむねむ:2012/04/16(月) 18:30:03 HOST:S010600222dda046f.vc.shawcable.net
わあああああ、すみませんf^_^;)

自分、違うところに書いていまいました…

ねこねこさん本当に申し訳ないです…

205ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/16(月) 22:16:04 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

>燐

正直梨花とレオをどうすればいいかまったくわからない(`・ω・´)←
まあ、なんとなるよね!←

>ねむねむさん

大丈夫ですよー!
気にしないでください^^

206ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/16(月) 22:33:42 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 本当の気持ち side梨花



「……あたし、わかんないや……」


 どうすれば翔が幸せになるんだろう、どうすれば未花先輩が幸せになるんだろう。
 どうすれば、レオ先輩の気持ちを変えられるの?

 いっぱいいっぱい、ぐるぐる考えたりもしてみた。でもやっぱり何も思いつかなくて――――でもあたし、気づいちゃったんだよね。



 「どうすればあたしが傷つかずに済むんだろう」って、自分のことばっかり考えてたから翔や未花先輩の幸せを手放そうとしてたんだ。
 自分が傷つかないように、って。もう傷つきたくない、って。そんなの無理に決まってるのに。


「あたし、翔と一緒にいるよ。未花先輩にはレオ先輩が必要だもん」
「……俺、梨花といなきゃ幸せになれないって言ったけど、梨花が傷つくと俺も傷つくよ」


 翔の言葉と同時にそっと抱きしめられた。
 包み込まれていくその感じが暖かくて心地よくて、でも甘えていいのかなって思っちゃう。


「……好きだよ、翔のこと」
「俺も大好きだよ、梨花」


 これが本当の気持ちならいいのになって思う。
 思うけど、今のあたしにはまだよくわからなかった。


     ×



「レオ先輩っ」
「梨花っ」


 次の日の朝、学校に着いてすぐレオ先輩を探した。
 廊下でバッタリ会ったところでお互いの名前を呼び合う。

 どうやら二人とも、話したいことは同じのようだ。


「あたし……よくわからないんです」
「俺も、考えても何も思いつかなかった」


 レオ先輩も、あたしも。
 考え方がそっくりで、レオ先輩の苦労はしっかりと伝わってきた。


「あたしね、正直レオ先輩には未花先輩しかいないと思うんです」
「俺も、正直に言うと梨花には翔しかありえない」


 ふっと、レオ先輩の表情に今日初めて笑みがこぼれた。


「俺、未花を一生守っていきたい」
「あたしも、翔と一緒がいいな」


 レオ先輩も大好きだったけど。
 でもきっと、それはちょっと気持ちが揺らいじゃっただけなんだと思う。

 そう、思わなきゃ。



「梨花のこと、大好きだったよ……きっと本当に恋愛感情だった」
「あたしも、レオ先輩のことが大好きでした」



 そう告げて、レオ先輩と別れる。
 レオ先輩に背を向けたところで、思わず涙があふれてきた。


 失恋したわけじゃないのに。
 お互い大事にしたいものを見つけただけなのに。




 レオ先輩を手放したって考えるとこんなにも辛くて悲しい。
 これは翔を手放しても同じことだったのかな。




 レオ先輩




 ほんとは、ずっとすきだった
 いまも、きっとこれからも




     -


 う だ う だ !
 この回をレオ視点で書くときっとレオも寂しい気持ちでいっぱいでちょっとくらい泣いてるんじゃないのかなとか。

207ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/18(水) 20:17:48 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / ずっと大好きだったのに side梨花



 本当はこれからもレオ先輩を好きでいたくて、でもあたしはもう好きでいることさえも許されないような気がしていた。
 レオ先輩には未花先輩がいて、あたしには翔がいるんだから――と、自分に言い聞かせるように溢れ出す涙を拭いながら思う。

 あたしが泣いてるとき。
 きっとレオ先輩は必死にあたしを慰めてくれて、きっと恥ずかしさ紛れに抱きしめてくれたりしただろうな。

 そうやって慰めてくれるなら誰でもいいんじゃないかって思ってたけど、今はそんなの嫌。
 レオ先輩がいい、レオ先輩じゃなきゃ嫌だった。


 でも、こんなに悲しい気持ちでいるあたしを慰めてくれる人はレオ先輩ではないんだと分かっていたからこそ更にあたしを辛い気持ちにさせた。

 大好きなんて、言わなきゃよかった。
 確かにそれは伝えたかった大事な言葉だったけれど、この言葉を伝えた所為でもうレオ先輩とお別れしてしまうような気持ちになって。


 どうしてあたしが、なんてもう思わないって決めたのに。
 どうしてあたしがこんな辛い思いをしなきゃいけないんだろうって、ついには怒りまで込み上げてきたような気がした。

 でもそんな怒りもすぐに消えて、それがまた涙に変わって溢れ出てくる。


 一人泣き崩れていた使われていない会議室に、突然聞きなれた声が聞こえてきた。


「……梨花、ちゃん?」
「っ、未花……先輩」


 未花先輩は何も悪くない、悪くないのに……
 あたしきっと未花先輩のこと睨んじゃってる。自分を制御できなくなってきて、あたしに駆け寄り触れた未花先輩にキツく言い放った。


「今は一人にしてください!」
「っ、……どう、したの?」


 何も知らない未花先輩に対して罪悪感の気持ちでいっぱいになって、それがまた涙になって溢れ出てくる。
 その瞬間、ガチャリと嫌な予感をさせる効果音がした。

 鍵が閉まるような感じの。

 そっとドアに駆け寄って開けようとするけれどドアは鍵がなきゃ内側からも外側からも開(あ)けられないので開(ひら)かない。
 その場にヘタリと座り込んだ。未花先輩まで危ない目に遭わせてしまうなんて。


「ごめんなさい未花先輩……っ」


 涙を必死に止めて頭を下げた。
 未花先輩は小さな間をあけたあとあたしに優しく微笑みかける。きっと驚いてるよね、この状況。


「大丈夫だよ、梨花ちゃん。それと、ね」


 未花先輩の不安そうな表情に小さく首を傾げる。



「梨花ちゃんが何で泣いてたのか、教えてくれないかな? 全部、正直に」


 未花先輩は鈍感だけど、きっと話さなくても内容は分かっているだろう。
 諦めてあたしは全てを話すことにした。


     -

208ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/18(水) 20:33:39 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 幸せになってね side梨花



 あたしは未花先輩に今まであったこと、これまでのことの全てを話した。

 あたしがずっとレオ先輩のことを好きだったこととか、事情があったとしてもとにかくあたしからレオ先輩にキスしたこととか。
 あたしとレオ先輩は両思いだったこととかも、全部。

 それを話している間、未花先輩は真剣に、でもちょっと寂しそうな表情で相槌を打ちながら聞いてくれた。


「……あたし、翔といるっては言ったけどやっぱりレオ先輩が好きなんです」
「うん、梨花ちゃんの気持ちだもん。そこはわたしは何も口出しできないね」


 未花先輩はやっぱり優しくて、可愛くて。
 こんな女の子がレオ先輩と並ぶには相応しいと思うんだけどね、


「もうレオ先輩を先輩として見ることができないんです……好きって感情を手放そうとするとどうしても辛くなってきて」
「……梨花ちゃんはもう、我慢しなくていいと思うよ」


 未花先輩の言葉にえ?、と声を漏らした。


「梨花ちゃんいっぱい我慢してるじゃん、好きでいるってことくらい良いと思うな。ここから先のことはレオ先輩もいなきゃ話せないけどね」


 自分がレオ先輩と別れてもいいのだろうか。
 未花先輩は余裕そうな、いや、きっと未花先輩のことだから自分が不幸になる道を見ているようで少し罪悪感がうまれた。


「未花先輩も我慢しなくて――――」
「我慢してるんじゃなくてね、幸せなみんなを見るのが楽しいんだよ」


 未花先輩が辛そうな、それでも優しい笑みを浮かべてあたしに言った。


「まだ先生以外誰にも話してないんだけど……わたし、これからいつまで生きれるかよくわからないんだよね」


 未花先輩の言葉に目を見開いた。
 そして未花先輩が言葉をつづける。


「いつ死ぬかもわからなくて、でも発作が酷くなったら手術も危なくてあんまりできないみたいで……みんなと同じくらい生きるのは難しいって」
「そん、な……」


 そっと呟いたあと、未花先輩が辛いと思うのに無理矢理微笑んで言った。


「だから梨花ちゃんはわたしを気にしないで幸せになってね」


 幸せになってねって、すごく嬉しい言葉のはずなのに。
 未花先輩の幸せなってねはこんなにも辛くて寂しい――――



     -

209ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/19(木) 20:40:08 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 余命一年 side梨花



「未花先輩、死んじゃうんですか……?」


 未花先輩の言葉が嘘なんじゃないかと、あたしとレオ先輩を付き合わせるために言った言葉なんじゃないかと思い疑うように未花先輩に尋ねた。
 でも未花先輩は残念そうに、それでもあたしを不安にさせないようにと無理に微笑を浮かべる。


「うん……で、でもね! まだ余命が決まったわけでもないし、ね?」


 未花先輩が誤魔化すように言った言葉なんてどうでもよかった。
 あたしがレオ先輩とどうこう言ってる暇なんてない。


「未花先輩が幸せになんなきゃだめです……あたしが幸せになっても意味ないですよ」


 自分が傷つかないための決断っていうのも時には必要だと思う。
 だからこそ、あたし自身が傷つかないために未花先輩には幸せになってほしい。


「未花先輩が幸せにならなきゃあたし全然嬉しくない……あたしも辛いよ」


 それでも未花先輩は自分のために遠慮してるんじゃないかと感じてしまったのか、苦笑して首を左右に振る。


「わたしのことは気にしないで――」
「未花先輩、あたしたちに幸せになってほしいとか言っておいてあたしを傷つける行為をしようとしてるんですよ? やめてくれないんですか?」


 遠慮がちな未花先輩に対してキツく言い放った。
 確かに言い方は悪かったと思うけれど、やっぱり未花先輩は泣き出してしまう。


「……っ、未花先輩……キツく言ってすみません」
「ちがう、ちがうの……」


 あたしが謝ると、未花先輩はふるふると首を左右に振りながらちがうと何かを否定し始めた。
 そして少し落ち着いてからあたしに向き直って言う。


「キツく言われたなんて思ってないしそのことに泣いたわけじゃないよ……梨花ちゃんが、わたしのことを思ってくれてて嬉しくて……もうわたし、死んでもいいかも」


 えへ、と可愛らしく微笑む未花先輩に胸がズキリと痛んだ。
 死なないでほしいっていうのが一番の願いなのに。


「……手術、そんなに危ないんですか?」
「発作が酷くなると死んじゃうらしいけど、手術も死んじゃう確率高いんだって」


 つまり、何もできることはないということだ。
 あたしが思わず涙をこぼした瞬間、ガチャリという音と共にドアがそっと開く。


「未花、梨花……っ」


 あたしたちの名前を呼ぶ大好きなレオ先輩の姿に思わず立ち上がる。
 けれどレオ先輩にちゃんとさっきまでのことを話してあげなきゃと思いとんっと未花先輩の背中を押した。

 おっと、とよろけそうになった未花先輩をレオ先輩が軽々と支えたあと、未花先輩はそっと上目遣いでレオ先輩を見つめ聞く。


「レオ先輩、ずっと聞いてましたよね……?」
「……ん、聞いてた」


 少し間をあけたあと、レオ先輩がごめんと謝った。
 そして未花先輩がいいんです、と首を振り謝る。


「わたしこそ先輩に言えなくて本当にごめんなさいっ……」


 泣きながらごめんなさいと言い続ける未花先輩の頭をレオ先輩がそっと撫でた。
 ――そのあと、レオ先輩が未花先輩を震えた手で包み込む。


「……余命とか、本当にわかんねえの?」
「…………ほんと、は……」


 長い間をあけたあと、未花先輩も震えた声で言った。


「本当は、あと一年しか生きられないって……」



 なんで、未花先輩が――


     ‐

210ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/20(金) 19:55:03 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

   Empty heart



 わたしの心は「     」気持ちでいっぱいだ。


 ――ぼんやりと、その言葉を眺めていた。
 まだ新品の教科書には「」の中の言葉を埋めなさいなんて命令口調の黒字が書かれている。

 相変わらずの命令口調に何も思うことはなかった。
 友達はいい加減命令口調やめてほしい、飽きてきたと愚痴を吐いてきたけれどわたしにとってはどうでもいいことだし。


 ていうか、高校生にもなってこんな問題を出すか?
 そう半ば呆れながら、それでもその空欄にどんな言葉が入るのかと真面目に考え出した。

 わかった人から手挙げて発表してー、なんて中学生や小学生っぽいことをやらせる国語の先生を溜め息混じりに見つめた。

 こんなのわたしにはわからない、と心の中で諦めたけれど、周りをよくよく見てみるとほぼ全員手を挙げている。
 その生徒たちの瞳はまるで先生に馬鹿にしてんじゃねえよ、と言っているようだった。


「じゃー……空」


 まだクラスの人の名前をよく覚えられてない先生は席順ではない出席番号順の名簿を手に、ふいにわたしの名前を呼ぶ。
 わたしはえ、あ、と何も言えなくなって戸惑ったあと、冷静にびしりと言い放った。


「わたし手挙げてませんけど」
「ああ、名簿席順じゃないからよくわからなくてねー」


 ごめんごめん、と苦笑する先生に何とか逃れられただろうかと思う。
 そんなことを思ったわたしが馬鹿だったのかな。


「でもこれは答えられるんじゃないの? 空、答えてね」


 無理無理!、と両手を胸の前で振ったけれどもう逃れられそうにはなくて、溜め息を吐いたあと言った。


「わかりません」
「……マジで?」


 少し間をあけたあと、まさかと言ったような目で先生がわたしを見つめた。
 それに反抗して呆れた表情で見つめ返す。


「わからないし答えたくもありません、代わりに誰かどうぞ」
「ん、んー……納得しちゃいけないような気もするけど、まあいいや……じゃあ綾、答えてー」


 綾はわたしがそう思っていいのかわからないけど友達で、代わりにさされて大丈夫かな、と思った。


「はい、わたしの心は幸せな気持ちでいっぱいだ、です」


 綾も戸惑い恥ずかしさ紛れではあったけれどハッキリと自分の考えを述べていた。
 これが正しいとわかっていながら、それでもわたしには無理だと諦める。


「はいはい、その心は?」


 国語の先生はよくわからないけどその心を問い掛けていて、綾はにこりと可愛らしい笑みを浮かべてからわたしを見つめ言った。


「大好きな友達と学校生活を送れていることが幸せで、感謝しても感謝しきれないくらい幸せだーって気持ちでいっぱいなんです」


 綾がわたしのことをこんな風に思ってくれてるなんて思わなかった。
 でもわたしの心は幸せな気持ちでいっぱいになるっていうのは、ちょっと違うような気がする。

 違うというか、わたしはそういう感情になったりはしない。


「……幸せってなんだろうね」


 ペンケースについている綾と御揃いの兎のストラップを見つめながら、そう独り言を呟いた。


     ‐


 つづきます!
 一周年記念の息抜きと思いましたがこれも一周年記念です←
 ていうかもうぜんぶ一周年きねn((

211ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/20(金) 19:56:13 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

はい、すみません!
上の小説はしあんいろに投稿する予定だったものですorz

しあんいろにも投稿しておきますm(_ _)m

212:2012/04/20(金) 20:08:50 HOST:zaq7a66c598.zaq.ne.jp
ねこっぴ>>見たよんヽ(^o^)丿

未花さん死んじゃう系っすか!?

てか、相変わらずねここの小説は凄いね^^

物語に吸い込まれていくから、続きが凄く気になる^^v

213ピーチ:2012/04/20(金) 20:24:45 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>

ひっさしぶりーーー!!>▽<

最近読む暇なくて・・・今日一気読みしたーww

美花先輩・・・死んじゃうの!?

酷い!酷すぎるよー!!←バカみたいに感情移入するバカww

214ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/21(土) 08:49:59 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

>燐

何でこうなったかは知らないけど死んじゃうっぽいね、←
すごくないよ(´・ω・`)!
でも、そんな風に見た人が気になるって思ってくれるような小説を書きたいなって思ってるからそう言ってもらえるとすごい嬉しい!

>ピーチ

久し振りー!…なのか?←
一気読みお疲れ様ですww
どうだろうね!でもこのごたごたを解決するにはそうするしかなかったんd((

215ピーチ:2012/04/21(土) 09:07:31 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>

えー・・・でも美花先輩ってすっごく優しい先輩じゃーーん・・・

可愛そうだよー・・・

216ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/21(土) 09:14:07 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / さよなら side梨花



「……未花先輩、一年したらもういなくなっちゃうの?」


 カタカタと震えた手で、未花先輩の服の裾を掴んだ。
 運が良ければ生き残ることだって、とわずかな希望を胸にそう問いかける。

 けれど未花先輩はふっと苦笑を零して残念そうに頷いた。


「……うん」


 未花先輩がいなくなってしまうということをよく理解できなくて、でもふいに頭の中に浮かんだのはとても残酷なものだった。
 あたしとレオ先輩とめぐがいて、有希先生も相変わらずスパルタで吹奏楽部の皆が楽しそうに話してて――でもそこに、未花先輩の姿はない。


「手術してもだめなの?」
「……う、ん」


 未花先輩が俯いた瞬間、ぽたりと床に涙が落ちていったのがわかった。
 何とか笑って誤魔化そうとしていた未花先輩もやっぱり怖いという気持ちがあったのか、俯いて顔を隠すようにして泣き出す。


「……未花、先輩」


 泣かないで、なんて残酷なことを言うこともできず、未花先輩の名前を呼んでただ立っていることしかできなかった。
 そして未花先輩が何かを決心したようにそっと顔を上げる。可愛らしい笑顔を浮かべて。


「……わたし、もうみんなに隠すのはやめるよ」


 隠すって、何を?、と問いかける暇もなく未花先輩は会議室から飛び出し走って行った。
 今の時間帯は朝だけど、今日は土曜日だから部活だけだし。

 ――となるとやっぱり音楽室に行ったのかな、と少し冷静に考えたあと、焦るレオ先輩の腕を引っ張ってあたしも会議室を飛び出た。


「レオ先輩っ、早く!」



     ×


「――未花先輩っ!」


 音楽室に入り未花先輩の名前を呼んだ瞬間見えたのは、未花先輩がみんなの前に立って何かを話そうとしているところだった。
 タイミング良く行けたようで、みんなの目線はあたしとレオ先輩に集まる。

 それでも未花先輩はあたしに優しい笑顔を浮かべて言った。


「本当はもうちょっと後に言おうとしてたんだけど、それじゃ逃げてるだけだから」


 そしてまた皆の方に向き直って未花先輩がすべてを話す。


「――わたし、実は小さい頃から病気でたまに発作が起こってたんです」


 その言葉だけでざわつく部員たち。
 それでも未花先輩はそれに負けない大きな声でつづける。


「それで、その……うまく言葉にできないけど」


 きっと親のことは話さないんだろうな、と思いながら行き成り余命のことを話そうとしている未花先輩にドキリと胸が鳴った。


「――わたしの余命が、あと一年しかなくて……」 


 少し途切れ途切れに言った未花先輩はやっぱり涙をこぼしていた。
 ざわめく部員たちだけど、すぐにその状況を理解して泣く人もいてあたしまでまた悲しくなってくる。


「……あ、と一年……よろしく、お願いします」


 震えた声の未花先輩がみんなの前からいなくなると、部員たちは練習どころではなくなっていた。



     -

 切ります!
 つかれてきt((

217ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/21(土) 19:07:18 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

>ピーチ

ねここも未花先輩のキャラすっごい好きだからなー
どうしようか迷ってるけど、奇跡的なことが起こりすぎてもあれだしねー

218ピーチ:2012/04/22(日) 00:06:20 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>

あー・・・確かに奇跡ばっかでも面白みないわなww←だからって死ぬのはやだ・・・

うーん・・・美花先輩が死なずに済む方法・・・←自分のじゃないのに必死に考える奴ww

219ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/22(日) 16:04:08 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 何も知りたくなかった side梨花



 未花先輩が余命のことを皆に話した日からあっという間に一週間が過ぎていった。

 翔はあたしを振り向かせようとしているのか、それとも元気づけようとしてるのか一生懸命優しくしてくれる。
 でもどうしても未花先輩やレオ先輩のことが気になってしまう。


「――いてっ」


 移動教室中に前の人にぶつかってしまうなんてもう日常茶飯事だ。
 未花先輩の余命のことはめぐは知らない――というのも、未花先輩がめぐは一つのことにしか集中できない子だからあんまりショックな気持ちにさせたくないんだとか。


「もー、梨花最近様子おかしーよね?」
「……うん」


 めぐのほのぼのとした会話に間をあけたあと頷きながらお前は何も知らなくていいなと心の中で呟いた。


「あ、レオ先輩だ」
「え?」


 めぐがぶすー、とした顔で遠くを指さしたのに釣られて、どこどこ?、と探してしまう。
 そのあとめぐがはんっ、と馬鹿にした様子であたしを見つめる。


「嘘だよばあか――」
「めぐは何も知らなくていいよね」


 思わず言ってしまった言葉に後悔する。
 めぐには話しちゃいけないのに――本当にあたし馬鹿だ。


「……やっぱ何か隠してるよね」
「……う、追求しないでくれる?」
「本当は知りたいよ、大好きな梨花のことだもん」
「あたしのこと、というより未花先輩のことなんだ」


 そんなことを話しているうちにチャイムが鳴ってしまった。
 あたしはどうしても授業を受ける気にならなくて、教科書を持ったままその場を離れようとする。


「ちょっと梨花、どこいくの?」
「……あたしサボる」
「じゃああたしも」


 一人になりたいけど、めぐがいてくれるならいいかなって思った。


     ‐

 一回メモ張に書いたらコピーと削除を押し間違えてしまったorz
 ただ内容をさらりとまとめるために大幅に変更したよ!

 一回目書いたのは音楽室での未花と部員のくだりがつづいてて、未花の体調が急変したってのだったんだけど
 めぐちゃん忘れてたからめぐもストーリーにいれたいと思います!

220ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/22(日) 16:06:48 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

>ピーチ

まあ、そういう奇跡があった方がはっきりしてて書きやすいし見てる方もほっとするんだけどね!←
ま、死ぬって決まったわけじゃないんだしヾ(^ω^*)

221ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/22(日) 16:31:56 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / どうしてかな side梨花



 ――ぴゅう、と。
 屋上に春の冷たい風がふいた。


「……めぐはさ」


 隣で座り込みながらさむいねー、と呑気なことを呟くめぐにそっと話しかけた。
 あまりふれてほしくない話しなのに自分から話すなんて馬鹿だなって思う。


「未花先輩の、その……隠し事、気になったりしないの?」
「そりゃあ気になるよ」


 めぐが当たり前じゃん、と呟きながら即答した。
 それでも優しい笑顔を浮かべながら立ち上がり、あたしに向き直る。


「でも、未花先輩とか梨花が話したくないっていうなら無理には聞かないよ」
「……めぐは優しいね」


 ぼーっと空を眺めながらあたしが呟いた言葉にめぐは動揺していた。
 そしてあたしもめぐの方に向き直って言う。


「あたしも何も知りたくなかった」


 え?、とめぐが不思議そうに声を漏らす。
 そんなことはどうでもよくて、そっとしゃがみこんでめぐに言う。


「もし、もしだよ? ――あたしが死んじゃったら、めぐは寂しい?」
「……っ、当たり前じゃん!」


 キッ、とめぐに睨みつけられた。
 それはそんな分かりきった質問するなよばか、という思いが込められているようでちょっと嬉しくなる。


「……あたしもね、めぐが死んだら悲しい」


 そっと呟くと、めぐはあたしを睨まなくなった。
 でもそのあと、真剣な瞳で見つめられる。


「――で、本当は誰が死んじゃうの?」
「ほん、と……は」


 あたしが思わず未花先輩のことを話そうになった瞬間、ガチャリと屋上のドアが開いた。


「……あ、」


 振り向くとそこにはレオ先輩の姿があってぱあっと表情を明るくさせる。
 そして手を伸ばしてみた――けど、その隣には未花先輩の姿もあった。





 どうしてかな。
 未花先輩の幸せを祈ったはずなのに、レオ先輩をとられたって気持ちになって胸がズキリって痛む。



 レオ先輩、戻ってきてよ。



     ‐


 この展開を期待していた!←
 まあ簡単に言えば嫉妬ですね、嫉妬ちゃんかわいいよ((

 梨花はいい子なんです
 そしてかわいそうな子なんです

 ちょっとくらい幸せにしてやりたかったのに
 やっぱり梨花はこういう運命になっちゃうんです


 梨花を幸せにしてやりたいわ←

222ピーチ:2012/04/22(日) 17:00:41 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>

うわー・・・莉花ちゃんも美花先輩も、どっちも幸せになれる方法・・・

ぎゃー!思いつかーん!!←アホ。

223ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/22(日) 17:09:01 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / これが失恋というのなら side梨花



「あっ、先輩たちサボリー! いけないんだー」


 めぐがふざけた様子で楽しそうに未花先輩とレオ先輩を指さした。
 あたしはそっとその場から立ち上がることくらいしかできなかったけど。


「やー、面倒臭くてねー……っつうかめぐと梨花もサボりだろ?」
「あたしはサボってないもーん、梨花についてきただけだもん」


 言い訳をするめぐはあたしの方をちらりと見て微笑んだけど、それでもあたしは何もできなかった。
 未花先輩は死ぬってことも忘れて今は楽しんでいようとしてるみたいだけど、あたしは全然楽しめない。


「梨花がサボるとか、めずらしくね?」
「そお? 梨花は結構知らない間にサボってるよー……多分」


 レオ先輩があたしの方を見たけど、微笑むことすらもできない。
 不思議そうな表情で見つめられる――レオ先輩は、優しくてずるいよ。


「……レオ先輩」


 そっと、レオ先輩の名前を呼んだ。
 ん?、とレオ先輩が返事をする。


「レオ先輩は――」










「幸せですか?」


 こんな質問するのはずるいと思う。
 でも、それでも。


「幸せだよ」



 レオ先輩が今幸せだっていうなら、あたしが関わる権利なんてない。

 もし幸せじゃなかったら、もしあたしといた方が楽しいって言ってくれたら。
 あたしはまた、レオ先輩といれたかもしれないのに。





 これが失恋だというのなら、なんて辛くて悲しいものなんだろう。





     ‐


 梨花が可哀想すぎるお話
 でも未花はきっと梨花の気持ちに気づいてないよね、あれ?気づいてるか。



 未花は優しいから梨花の気持ちに気づいてるっていうのもアリだけど
 元々未花は鈍感設定だから気づいてないかもしれないね


 や、まあ未花のことだから鈍感でもこーいうことには気づいてたりしそうだけどね。

224ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/22(日) 17:24:07 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

>ピーチ

ねここも思いつかない…(`・ω・´;)←
まあこのあとのお話は大体考えてるんだけどね、二人とも幸せは難しいなー

225ピーチ:2012/04/22(日) 20:02:59 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>

うーん・・・片方の幸せのために片方が犠牲に・・・わ〜っ!!あたしには絶対できなーーい!!

あたしは多分・・・絶対両方とも幸せにして、失敗したー!って喚いてるww←アホだからww

226ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/23(月) 19:52:21 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

>ピーチ

www
でも両方幸せにするのが読んでて一番やったー!って感じだよね!
ねここはそんな優しい子じゃないからどうなるかわかんないけど(´・ω・`)!←

227ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/23(月) 20:10:03 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 君が幸せだと言うのなら side梨花



 レオ先輩が今とても幸せであたしがいなくても全然平気なら、もうあたしはレオ先輩の前に現れない方がいいのかもしれない。
 だってほら、仮にもお別れした仲だし、未花先輩がいるのにレオ先輩優しいからあたしに気を遣っちゃいそう。

 ――でも、本当は気を遣ってもらえると凄く嬉しくてたまらないの。


「……幸せそうで何よりです」


 まるで意地を張ったように、強がったようにそう言葉を告げると早々と屋上から去ろうとした。
 めぐが「梨花ー?」とあたしの名前を不思議そうに呼んでいたけれど、此処で振り向くわけにもいかない。


 泣いちゃった、から。


 別に追い掛けてほしいとか思ってるわけでもなく、むしろ一人にしてほしかった。
 そっと屋上を出て移動教室中で誰もいない自分のクラスの教室に入った。

 何処からか聴こえる軽やかなピアノに乗せられた歌はきっと、あたしたちのクラスが歌っているものだろう。
 こうやって聴いていると子守唄みたいに思えてきて、思わずうとうとしてしまう。

 走れー!、と窓の外から声が聞こえてきた。
 これはきっと体育でサッカーをしているクラスかな、と思いながらまたピアノと絡み合う綺麗な歌声に耳を済ます。


 ――最近ピアノ弾いてないな。


 ふいにそんな思いが出てきて、はあと溜め息を吐きながら練習しなきゃと呟く。
 その瞬間、教室内に置かれている電子ピアノを見つけた。

 自然と体が動いていた。

 スパルタな有希先生のわりに電子ピアノのコンセントはきちんと外されていて、きっとお節介なクラスメイトがやったんだなと思いながらコンセントをさす。
 音量の調節なんて気にせずにドの音を鳴らした。教室に巨大な音量で鳴り響くその音に思わず肩を揺らす。


 音量を出来る限り小さくしたあと、猫踏んじゃったを弾き始めた。
 ――ああ、最近弾いてなかったからか全然だめになってる。


 そう思いながら鳴り響かない音に思わず曲を弾くのをやめた。
 やだ、なんでこんなになっちゃったの?



 ――やっぱりあたしにはこんなことできなかったんだよ。





 諦めかけた自分がいた。
 でもその瞬間、息を切らして勢い良く教室に入ってくる人がいた。




「……レオ、せんぱい」
「梨花っ……どうして泣いて、」



 思わず涙を零してしまった。
 心配そうな表情で見つめられきゅんと胸が鳴るのがわかる。





「……せん、っぱい……が、」
「……俺、が?」



「先輩が幸せで嬉しいけどっ……そしたらあたしは先輩の傍にいられなくなるような気がして、」
「……梨花、」




 もう全て打ち明けることにした。




「あたしはまだ先輩が好きでっ……翔と一緒にいるって決めたのに、先輩を忘れられなくて……」




     ‐



 梨花きた━━━(゚∀゚)━━━!!
 思わずがんばれって応援したくなっちゃうような梨花を書くように目指しましたが無理かなorz


 あれです、梨花のことを応援してくれる人がいなくてもねここがいるよ←

228ピーチ:2012/04/23(月) 20:19:09 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>

梨花ちゃんファイトー!!

美花先輩も負けるなー!←結局どっちの応援してんだww

229ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/24(火) 18:14:20 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

>ピーチ

www
どっちも応援したくなるよね、どうしようねここはどうすれば←

230ピーチ:2012/04/24(火) 18:38:34 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>

とーぜん、ねここはりょーほーのおーえん!←読みにくい!!

でもなー・・・やっぱりどっちも幸せになってほしいよねー・・・

231ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/24(火) 20:42:42 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 好きだよ side梨花



「――ピアノ」
「え?」


 レオ先輩が教室にある電子ピアノを指差した。
 驚いてレオ先輩の顔を見ると、頬が赤く染まっていて照れ隠しのようにふいっと顔をそらされたのがわかった。


「さっきのピアノ、電子ピアノだからってのもあるけどイマイチだった」
「……やっぱりそうですよね」


 少し間をあけたあと、その厳しい言葉を素直に受け止めた。
 あれ? ちょっと待って、話しそらされてる気がするんだけどな。


「練習付き合うよ」
「本当、ですか?」


 照れたような様子でそう言うレオ先輩に本当だろうかと確認した。
 そんな優しく微笑まれたら、頷かれたら。


「あたし……勘違いして浮かれちゃいますよ?」


 いいんですか?、というようにレオ先輩を見つめた。
 レオ先輩の恥ずかしそうな表情は滅多に見れないからじっと見ておきたくて。


「……勘違いして浮かれちゃえばいーよ、一生」


 レオ先輩が拗ねるように小さく呟いた。
 そしてえ、とあたしが驚きの声を漏らす暇もなく話しを続ける。


「俺だって翔とくっつきそうな梨花を見てずっと嫌だなって思ってたし――ずっと大好きだったし今も大好き、だよ」


 ごめん、うまく言葉にできない、と照れたように言うレオ先輩に顔が真っ赤になるのが自分でもわかった。
 でも、とあたしが話す。


「そしたら未花先輩はどうなるんですか」


 疑問符をつけたら人任せになるような気がして嫌だった。
 どうなるんですか、と自分に聞くように、自分を責めるようにぽつりと呟く。

 その瞬間、レオ先輩の顔に迷いの表情が見られたような気がした。


「……未花のことは後輩として好きだよ、あくまで後輩としてな」


 恋愛感情じゃないんだ、と言うレオ先輩に少し安心しちゃう自分が嫌だ。


「余命一年しかないし、自分のことは放っておけって未花は言うんだよ。でも……そしたら何か、ずるい気がして」


 あたしも余命一年しかないんならこれからも生き続けるであろう人と付き合うっていうのはあんまりよくないと思った。
 でも、未花先輩より自分を優先してしまった自分が現にここにいるんだもん。


「……余命一年しかないから、じゃなくて……あ、あたしだったら、その……傍にいたい人がいるって言うかな……あたしだったらだよ?」


 自分でレオ先輩目線の話しをするのは気が引けた。
 だって、自分のことを傍にいたい人がいるって自分で言ってるようなものなんだよ?


 でも、レオ先輩はその言葉に微笑んだ。



「そうだな……もし梨花の余命が一年だったとしても梨花が好きって自分で思うなら俺は梨花の傍にいたし」


 よかった、と安堵の溜め息をもらした。




 ねえ、レオ先輩。
 幸せってね、ほんの少しのことでやったって思えちゃうことだと思うの。


 そんなほんのちょっとの嬉しいことをやっと感じることができたような気がします。



     ‐



 わっふい!
 まだわかんないよ!


 とか言いつつレオと梨花はばっちりくっつきました。



 一年間でどう変化するかな?
 するのかな?ここから先のことは知らん。



 ストーリーの下書きもしてないからね☆てへぺろ←

232ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/25(水) 16:56:05 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / もう手放したくない side梨花



「レオ先輩、梨花ちゃん……?」


 そっと、教室のドアが開いた。
 そして其処には驚いたような寂しそうな表情をした未花先輩の姿。


「……聞いて、ました?」
「うん、ごめんね――」


 あたしが恐る恐る尋ねると、未花先輩は無理矢理微笑を浮かべながら謝った。
 そんな未花先輩の言葉にレオ先輩が間をあけずに言う。


「ごめん未花……未花が俺のこと好きでいてくれてるのが嘘だったとしてもすごい嬉しかったよ」


 未花先輩の理性というか、冷静さを保っていたであろう糸が切れたのかな。
 ついに未花先輩は泣き出してしまった。


「うそなんかじゃないです……ほんとうにだいすきでした……」


 初めて見た。
 未花先輩が人の前でこんなに泣きじゃくるところ。


「かってに、勝手に嘘なんかにしないでくださいっ……」


 未花先輩は余命が一年しかないっていうハンデがあって、でもそれでもレオ先輩はあたしの傍にいてくれて。
 あたしが未花先輩の立場だったらやっぱり同じように泣きじゃくってレオ先輩に傍にいてほしいって主張しただろう。


「……ごめん、未花」


 でも、レオ先輩は未花先輩に振り向くことはなかった。


 あれだけ仲が良くて両思いらしい雰囲気だったのに、どうしてだろう?
 ふいにそう思って、レオ先輩と未花先輩に聞いた。


「そ、の……あたしがこんなこと聞いていいかわかんないんですけど……レオ先輩と未花先輩って付き合ってましたよね。そのときレオ先輩は未花先輩のこと好きだったんですか?」


 なんだか、へんな質問。
 それでもレオ先輩は真剣に答えてくれた。


「……好き、だったのかな。俺自身恋っていうのがよくわからなかったから、後輩の中でも特別な未花を思う気持ちが好きって気持ちなのかもって勘違いしちゃったのかも」


 いつもキッパリしてるレオ先輩が言葉を濁す(にごす)。
 ちょっとめずらしいな、と思いながらそれでもそうですか、と呟いた。



 あたしは未花先輩に幸せになってほしい。
 でも、レオ先輩を譲ることはできないです。




 どうしたら、いいのかな。


     ‐

233ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/27(金) 21:58:37 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

>ピーチ

www
がんばって両方応援するよ!
まあ結論的にそうなることをねここも望みたいけどどうだろうね!←

234聖奈:2012/04/27(金) 22:03:31 HOST:p079.net220148002.tnc.ne.jp
入れて下さい
あまり来れませんが・・・

235ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/27(金) 22:26:16 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / ほんとにすき side梨花



「レオ先輩はわたしの気持ち、ずっと冗談だと思ってたんですか?」


 未花先輩が涙をながしながらレオ先輩に尋ねた。
 泣いている所為なのか怒っているのかちいさく震えた声がレオ先輩を戸惑わせる。


「そういうわけじゃ――」
「好きです、レオ先輩」


 レオ先輩の言葉をさえぎって未花先輩が言った。
 ごめん、とレオ先輩が謝ろうとした瞬間に未花先輩が精一杯の明るい笑顔を浮かべて告げる。


「レオ先輩が梨花ちゃんのことを好きでも、わたしはずっとレオ先輩を好きでいます――片思いでいいから、死んじゃうまでずっと」


 死んでも好きっていうのは怖いからね、と力無く笑う未花先輩に違和感を感じた。
 それでも優しくて可愛い未花先輩に申し訳なくなりそっと俯いてしまう。


 ――ほんとに、すきでした。


 レオ先輩とすれ違うとき、未花先輩がそっとつぶやいた言葉。
 その言葉はまるで別れを惜しむような感じだったけれど、早足で教室を去っていく未花先輩を引きとめることはできなかった。



     × だいすきでした side未花



 ――ぴゅう、と。
 春なのに冷たい風はわたしの二つに結んだ髪をなびかせた。

 きっとこれが最期の居場所になるだろう。


 精一杯努力して頑張って入った青春高校の屋上はやっぱり心地よかった。



 余命一年――これが告げられたわたしの残りの時間。
 でも、一年経つ間もなくタイムリミットは近づいてきている。

 近いうちに死にます、とお医者さんに告げられた瞬間意識が遠のきそうだった。
 だけどわたしはたくさん幸せを感じたし、大切な仲間もできた。それに、有希先生もまるでお母さんのように優しくしてくれた。



 もう未練はない。





 待つべき人も、もうわたしには振り向いてくれないだろうし。


 別にそれが悲しいわけではなかった。
 好きな人が選んだ決断なんだから素直に応援するつもりでいるし、もう邪魔はしない。

 でも、死ぬときくらい。
 死んでしまうときくらい、わたしに振り向いてほしかったな。



 卑怯だってことくらいわかってる。
 泣いて泣いて同情してもらおうなんて無理だって知ってたから無理矢理でも最期は笑いたかった。


「――っ」


 そろそろかな。
 咳が出てきて息がしづらくなった。

 発作も起きてくるのが自分でわかったような気がする。



 かはっ、と。
 まるで吐き出すかのように咳き込んで出てきたのは赤く恐ろしいものだった。



「ち……?」



 不思議そうにつぶやいてみた。
 だけど咳は止まらなくてもう終わりなんだと感じる。





「さよなら、みんな」





 かすれた声でそうつぶやいて、遠のいていく意識とともにふらりと倒れ込んだ。



     ‐



 未花視点に変わりました!
 あ、でもでも一度未花視点やっただけで次レオか梨花(多分梨花)視点になります!


 これからちょっと変わることがおおいかもしれないorz



 とにかく未花の心情です。
 


 かなしくなってきた、書いてるねここが!←

236ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/27(金) 22:27:56 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

>聖奈さん

ぜひぜひ!
あまり来れなくても全然大丈夫ですよ^^

237ピーチ:2012/04/27(金) 22:36:46 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>

み、美花先輩・・・ガンバレー!死ぬなーー!!←ちょー興奮してるww

美花先輩、無理しすぎだよ!絶対!!

238:2012/04/28(土) 11:55:30 HOST:zaq7a66fe3c.zaq.ne.jp
ねこっぴ>>お久しぶりですね^^

1週間もコメしてなかったんか…私。

運命って残酷だよね…忘れた頃に悲劇がやってくるみたいな…。

未花さん…肺が悪いんか?

口から血吐いたって事は…。←違う気がする。

239聖奈:2012/04/28(土) 12:07:56 HOST:p248.net220148011.tnc.ne.jp
来ました。
みなさんよろしくです

240ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/28(土) 18:22:11 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

>ピーチ

どどどどうしようこれからねここは何をすれば←

>輪

肺なのかな?
よくわかんないけど←
でも生まれつきの病気みたいなそういう設定であってほしい!

>聖奈さん

来てくれてありがとうございます^^
よろしくお願いしますm(_ _)m

241ピーチ:2012/04/28(土) 18:34:03 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>

ととととととととにかく、ねここは美花先輩の蘇生!!←大アホ。

そそそそそそそそそれか、この際、りかちゃんとレオ先輩をくっつける!←余計にアホ。

242ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/28(土) 18:40:17 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / ラブレター sideレオ



 未花が教室を早足で去っていったとき。
 小さな声で俺に告げた言葉に動揺してしまったけれど、それでも梨花を大切にすると決めた以上振り向くことはできなかった。


 ――未花の傍にいてあげたい。


 そういうことを思ったときも何度かあった。
 可愛らしい笑顔で振る舞う未花にいつしか俺は惹かれていったのだろう。

 でも俺は未花を大切な後輩と思ったことはなかった。
 本当に、恋愛感情として好きだった。


 何で俺の気持ちが梨花の方に向いてしまったのか、俺自身よくわからない。



 でもきっと。
 未花が大切な後輩なんじゃなくて、梨花が大切な後輩だったのだろうか。


 俺は本当の好きって気持ちと大切な後輩の区別もつかなかったのかな。
 未花をもっと大事にしてあげて何でもわかってやれたら――それでも余命は一年しかなかっただろう。




 そんなことを考えているうちに自然と屋上へ来ていた。
 梨花も、ふらりと歩き出す俺についてきたらしい。


 そしてそこで見えたのは――





「み、か?」






 手に血をつけて倒れている未花の姿。
 息をしてるかしてないかなんて冷静な判断さえできず、救急車を呼ぶので精一杯だった。



 梨花は何かを悟ったように冷静に有希先生を呼んでくれた。





 救急車が来て看護師さんがそっと俺たちに告げる。







「未花さんは――」













「まだ、かすかに息をしています」







 一瞬固まった。
 まだ助かるかもしれないということに気づきあわてて看護師さんに聞く。




「これから先余命とか気にせずに生き延びることってできないんですか?」
「……手術をして成功すれば」
「じゃあ手術を――」





「手術は未花さんがしないとご決断されたようで……」




 どう、して?




「それと、未花さんから手紙を預かっています」




 そっと差し出された薄い桜色に染まった未花らしい色の紙。
 この手紙の内容が未花の本心だとしたら。














「……俺、何やってたんだろ」




 もうこの言葉しか出なくなっていた。





     ‐



 意味深系!


 一度書いたのは未花がこの場で死んじゃったもの。
 でも、ね!


 これからの展開に持っていきたかったからかすかに息はしてるZE☆設定←

243ピーチ:2012/04/28(土) 21:20:43 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>

み・・・みかせんぱーい!!死んじゃだめー!!りかにれおをとられるぞーー!!!

・・・何かゴメン。うn。マジゴメン。

244ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/28(土) 22:36:35 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / ラブレター sideレオ



 レオ先輩がこの手紙を読んでいるということは、わたしはもう死んじゃいそうなのかな。
 それとももう死んじゃいました?
 直接はきっと伝えられないなって思って手紙にしました。
 メールじゃなくてすみません! メールだと死んじゃいそうなときに送れないんです(笑)

 きっと今までも言ってきただろうけど。
 好きです、レオ先輩。

 本当は死にたくなかった。
 レオ先輩の傍にいたくてたまらなかった。

 それでもわたしが手術をしないで死ぬことを決断したのは
 やっぱりレオ先輩に振り向いてもらえなかったのもちょっとはあるけどそしたらレオ先輩気にしちゃいそうなので詳しくは書きません
 でも、わたしがもう必要とされてないってわかったから死ぬって決断できました。

 もし、





 途中で途切れた手紙の言葉に動揺を隠せない。
 そして手紙を握っていたあたりに小さく書かれた言葉を見て思わず涙をながしてしまう。



 ――もしわたしがまだ生きているなら、死なないで先輩の傍にいたい。




 看護師さんに告げた。
 今すぐ病院に行って手術をしてくれ、と。




 そして梨花に向き直って言う。



「……ありがとな、梨花」
「やっぱりレオ先輩には未花先輩じゃないですか……でも、未花先輩なら許せちゃいます」


 そう言って微笑む梨花は絶対泣くのを我慢してるんだろうなと思った。
 さらりと髪を撫でてやってから有希先生に尋ねる。



「翔って教室にいますか?」
「ああ、いんじゃね?」


 いってきな、と梨花につぶやくように言った。
 なんだかんだいって梨花も俺のことは先輩として好きだったのかもと感じ背中をそっと押す。




 翔と幸せにな。



 心の中でそう告げてから救急車に乗った。
 付き添いは先生かと思ったけど、先生が俺で良いって言ってくれたから。


 ――未花の傍にいたい。
 


 その一心で命懸けになったり未花を守ってやりたいと心から思った。


     ‐

245ピーチ:2012/04/29(日) 09:52:05 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>

おー!!レオ先輩が心変わりしたー!!

莉花ちゃんも好きだけど・・・やっぱり美花先輩といないとダメだー!!←うるさいww

246ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/29(日) 11:32:42 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

>ピーチ

レオと未花が一番合ってるなって思った←
www 梨花もいいんだけどね〜

247ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/29(日) 12:34:09 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 傍にいたい sideレオ



 しんと静まった病院が俺に不安と緊張を与えた。
 点滅した緑色の文字で緊急治療室と書かれた部屋はもう一、二時間は開いてないだろう。

 未花はずっと俺を好きでいてくれていた。
 優柔不断で梨花や未花に心が動いてしまうような俺をずっと愛してくれていた。


 だからちゃんと向き合って答えなきゃ。
 そう思って自分の気持ちに素直になった瞬間やっと未花が必要だと気づいたんだ。

 梨花には翔がいるからとか、そういう理由じゃなく本当に未花が好き。
 手術が成功する確率なんて10%とほぼ無いに等しいくらいだけど、その10%に賭けようと思った。


「……未花」


 小さな声で未花の名前を呼ぶ。
 はいっ、と元気良く返事をする未花の笑顔が思い浮かんだ。

 好きだよって本当の気持ちを言ったときも。
 ただ傍にいて他愛無い会話をしたときも。
 俺が未花の家族になる、なんてクサイ台詞を言ったときも。
 


 未花はずっと、優しい笑顔を浮かべてくれた。


 その笑顔に何度救われたことだろうか、と思い出に浸りながら未花の無事を祈る。
 今は祈ることしかできないけど、もし手術が成功したら――







 もし成功したとして、未花は俺に振り向いてくれるだろうか。


 そんな疑問がふいに思い浮かんだけれど、未花が書いてくれた手紙を見てそんな心配はいらないかなと思った。



 未花、早く帰ってきてくれよ!
 そう思いながら時間が経つのをただ待っていた。



     ‐


 なんか。
 最終話っぽくないですか? どうしよう←

 え、どうしよう。
 終わらせたくないんだけどどうしよう。


 正直Loveletterが終わって次のお話書く予定ないし。
 書きたいけどなんかいーの思い浮かばんし。

 とりあえずLoveletterでイベントとかたくさん書いたり日常を書いたりしたいです。
 だから今までの作品で最長のものになるかな?


 しあんいろはね、もうちょっとで400だけど!
 ていうか一周年だけど!


 Loveletterについてあとで語ろっかな。

248ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/29(日) 12:50:28 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

 ▼語る!

 今まで連載してきたものってどんくらいあるんだろう?

 スタート地点がPurincess*(ぷりんせす‐)っていうのです
 29レスで完結しました←

 で、プリンセスの綴り間違ってるっていうね(笑)
 PurじゃなくてPrです(笑)

 でもそれをネタにしたっていう何か。


 これ書いたころくらいにしあんいろもちょうどやったんだよねー
 連載もの長く書けるようになったのはしあんいろがキッカケです!


 それで次に恋敵アリス(こいがたき‐)をやったんですけど
 これは残念ながら内容もアレで完結までいかず22レスで終了orz


 その次に書いたのがねここの超苦手なファンタジー・戦闘・シリアスと得意な恋愛を詰め込んだゆうぐれカフェ!
 完結したのはどのくらいのレスかわからないけれど今は感想含め157レスあります

 よく書けたなーって思いつつも
 実際2ヶ月間しか連載してないんだよね(笑)


 そしてその次はほのぼのシリアス恋愛なねこのあしあと
 ゆうぐれカフェの157レスを1ヶ月ちょっとで越しちゃった何か!

 約3ヶ月で感想含め226レス書いたよ!

 そして次に書いたのが完結できなかった青空ときどき灰色雲(あおぞら‐はいいろくも)
 最初っから死ネタでシリアスつづきな話しはねここには無理でした(笑)


 で、今このLoveletter(らぶれたー)に至るわけだよ。
 Loveletterはいい気持ちで書けるよねいいね!←


 ちなみにしあんいろは5月の後半あたりで一周年になります!
 あと8レスくらいで400レス突破します!


 ありがとうございます
 そしてこれからもよろしくね!←

249ピーチ:2012/04/29(日) 17:53:20 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>

な・・・何かめっちゃ書いてる人発見!!

あたしも気分転換に違うの書こっかなー・・・←今陰陽師がスランプ状態ww

250ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/29(日) 22:22:54 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 愛してる sideレオ



 緑色の点滅が消えた。
 明かりを失った緊急治療室の文字が事の終わりを表す。

 思わず立ち上がってしまったけれど、緊急治療室の扉が開いたのはその数分後だった。


 ガラリと扉が開きこの病院の先生が出てくる。
 奥にチラリと未花が見えたような気がしたけれど数人の看護師の陰に隠れてすぐ見えなくなってしまった。

 先生から告げられる言葉にそっと覚悟を決める。


「未花さんは――」




 チクタクと時計の秒針が鳴り響いた。




「助かりました」



 心の中で何かが緩んだような気がした。
 今まで覚悟していたものや緊張もなくなり思わず涙をながす。


「手術が成功しました」


 よかったね、と俺に微笑みかける先生にはい、とかすれた声で返事をした。
 精一杯の気持ちを込めて先生に言う。


「ありがとうございました……!」



 先生や看護師の話しによると、未花は目覚めるまでもう少し時間がかかるんだそうだ。
 とりあえず有希先生と梨花に報告する。

 電話越しの有希先生は泣いているようにも思えたけれどそこには触れないでおいた。
 梨花は翔と一緒に未花の無事を祈っててくれたそうで、心から喜んでくれた。


 未花、幸せだな。


 そう一言心の中で呟いた。
 緊急治療室から一般の病室に移動して未花が目覚めるのを待っていたけれど、そのときの未花はぐっすりと眠っていて安心しきった様子を見せていた。



 さらりと髪を撫でてやるとふにゃりと嬉しそうに微笑む未花。
 無防備だな、なんてつぶやいてみたりもする。

 さすがに手を出すわけにはいかないけど。
 いつかそんな日がくるのだろうかと考えてみた。


 いやだめだだめだなんて心の中で否定する。
 何考えてんだ俺顔真っ赤にして、変態じゃん。


 それでもふふっと微笑む未花に思わず笑みを浮かべてしまった。


 愛してるよ、未花



 そう告げたあと、無防備な未花の唇にキスをこぼす。
 早く目覚めないかな、と楽しみに待つ俺はまるで遠足のお菓子を買う子供のように無邪気だったのかな。



 それでも、子供でも構わないから早く未花を抱きしめたかった。



     ‐


 有希先生泣くとかギャップがやばいです←
 ていうか幸せね!

 もうるんるんしながら小説書いてますw

 未花との妄想をしちゃうレオも好きですかっこいい。

251ピーチ:2012/04/29(日) 23:10:53 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>

あーね・・・あたしは妄想系の男子はだめだなぁ・・・←基本的に全部だめなくせにww

み、美花先輩が助かった・・・良かったー!!

252ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/30(月) 19:35:11 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

>ピーチ

かっこいい人は何してもかっこいいっていうねここの考え(`・ω・´)←
助かったと思いきや☆←



はい、助かりました!((

253ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/04/30(月) 20:07:48 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 幸せ sideレオ



「――せんぱい、レオ先輩」
「ん……ってうわうわうわ」


 とんとん、と肩を叩かれたと思ったら急にゆさゆさと思いっきり揺さぶられた。
 変な声を出してしまうとそこには未花の楽しそうな笑顔があって、思わず口元が緩む。


「俺寝てた?」
「ぐっすり寝てましたよー、気持ち良さそうに」


 未花にそう言われると何だか恥ずかしくなってきた。
 きっと安心しきって眠ってしまったんだな、と思いながら微笑む未花から目線をそらす。


「先輩、ありがとうございます」
「え?」


 突然お礼を言ってきた未花にきょとんと疑問符を浮かべた。


「……手術、してくれて。わたしに生きる希望を与えてくれて」


 少しの間のあと、未花が涙をながしながら笑顔で告げた。
 その表情に思わず頬が赤らむのが自分でも分かる。




「わたしのところに戻ってきてくれて、ありがとうございます」


 未花はきっと。
 俺と別れるくらいなら死んだ方がいいって考えたのかな。

 それでも。



「死ななくてよかった」



 死んでほしくなかったから。
 未花に一言告げてぎゅっと抱きしめた。


 そしてその瞬間、ガラリと乱暴に病室のドアが開く音がした。
 そしてその音と共に聞こえたのは聞きなれた怒鳴り声。



「てめぇらベタベタしてんじゃねえ!」



 さっきは電話越しに泣いていたであろう有希先生はもうすっかり元気なようで。
 お互い顔を真っ赤にしてそっと離れた。


「いやでも先生病院で大声出すのはどうかと――」
「口答えすんのか?」


 有希先生をなだめつつも注意するとああ?、とガラの悪い口調で逆に怒られたような気がした。
 あはは、と未花が微笑むけれど、すぐ先生に向き直って言う。


「先生、その……迷惑かけてごめんなさ――」
「何で未花が謝んの? 謝るところじゃないじゃない」


 有希先生が未花の言葉をさえぎった。
 そしてにこりと優しげに微笑んで未花の頭を撫でる。


「……死ななくてよかったね」
「っ、はい!」



 二人の仲の良さを見ると、時々いいなと思ってしまう。
 それでも未花が大好きだから束縛したくないし。


 仕方無い、と思いながらにこりと微笑んだ。


     ‐


 最終話じゃないよ?←
 レオがぐっすり寝てたのに無理矢理起こした強引な未花が好き。

254ピーチ:2012/05/01(火) 00:45:55 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>

あ、ナルホドっ!あたしの中でかっこいいと思う人・・・。

うーん・・・小説とかの登場人物くらいかな・・・。←これでよく「夢が無い」って言われるww

255ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/05/01(火) 22:30:44 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 幸せ sideレオ



「――未花先輩、レオ先輩っ!」


 病室のドアがまた乱暴に開いた。
 それにうるせえ!、と怒鳴り散らす有希先生に人のこと言えないじゃないかと思いながら周りにいた人にすみません、と謝る。

 そんなことより、と話題をそらすように息切れしているのは予想通り梨花だった。
 ついでといっちゃアレだけどめぐと翔もいる。


「手術してよかったですね」
「うん!」


 めぐの嬉しそうな表情に未花が釣られて微笑むのがわかった。
 俺が女子同士の会話に入るのもなんだし、そっと翔を呼び寄せて話しかけた。


「……ごめん、梨花のこと」
「梨花泣いてましたよ」
「う、」


 翔が楽しそうに微笑む梨花を見つめながら言った言葉に罪悪感を抱く。


「でも、その……梨花が素直に帰ってきてくれて嬉しかったです」


 なんだかんだいって。
 翔も単純なんだなって思う。


「梨花は元々俺のことなんて好きじゃなかったんだよ」
「……レオ先輩のそーいうところ、嫌いです」


 ばっさりと翔に言われた言葉にえ、と声を漏らした。


「梨花は本当にレオ先輩を好きでいましたよ。なのに違うだなんて勝手に片付けちゃだめですよ、ちゃんと受け取ってやってください」



 そのとおりだな、と思った。
 ごめんと謝りながらそれでもと弱気に言う。


「でも、梨花の気持ちを受け取ることはできない」
「そっちの受け取るじゃないです。ちゃんと梨花がレオ先輩を好きだったって事実を認めろってことです」


 ん?、と疑問符を浮かべる俺に翔がああもう、と呆れたように言ってきた。


「梨花にもらった分の気持ちを全部レオ先輩の気持ちに変えて渡すことが両思いだとしたら、梨花の気持ちを受け取ってそのまま梨花の気持ちを返すのは逃げたことになるんです。わかりますか?」


 翔は大人だな、と思った。
 それでも単純なんだな、と思った。

 くしゃりと翔の頭を乱暴に撫でてやってからにかっと微笑む。


「梨花のこと、大事にしてやれよ」
「……っ、そんなのわかってます」


 照れたような表情を見せる翔にははっ、ともう一度笑ってからそっと病室を出た。



     ‐

256ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/05/03(木) 16:25:12 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

>ピーチ

www
大丈夫、夢はあるよ←

257ピーチ:2012/05/03(木) 19:18:22 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>

うーん・・・そーだといーけどなーww

258ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/05/04(金) 12:49:22 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

   Loveletter きみにおくる愛の手紙 / 戸惑い sideレオ



 何でだろう。
 未花がいて、梨花もめぐも翔もいて、有希先生もいて――いつも通りのメンバーなのに。


 何故か安心して落ち着くことができない。


 病院だから? ってわけでもなさそうだし。
 ふらりと病室の前から離れようとすると、突然誰かにぶつかってしまった。

 よろけて倒れそうになる相手をあわてて支えると、冷や汗をかきながらも頭を下げる。


「す、すみません! 大丈夫ですか?」


 もしこれを未花や梨花が見たらこんな動揺してる姿初めて見たとか言ってくるだろうな。
 そう思いながらぶつかってしまった相手を見つめた瞬間、少し戸惑うような気持ちになった。


 金色のさらりとした髪に淡い青色の瞳。


 なんだか俺が触れてるのが申し訳なくなってきてそっと放すと、きゅっと相手の手をつかまれた。
 俺より全然力が弱いはずなのにそれを振り払えるわけもなくじっと見つめられる恥ずかしさに耐えるのに精一杯だった。


「……おなまえ、は?」


 相手も相手で戸惑っているようで頬を赤らめながらそっと尋ねてきた。
 何でそんなことを、と思ったけれど俺からぶつかったんだしそんな反論できるはずもなく素直に答える。


「速水レオ、です」
「れお」


 慣れない様子で俺の名前を呟く。


「……名前、何ていうの?」


 気になったっていうか、自分だけ名前を教えるのはアレかと思い恥ずかしさまぎれに尋ねてみた。
 相手はちょっとだけ戸惑いながら、それでも小さな声で呟くように言った。


「さつき、です」
「さつきかあ」


 思わずつぶやく。
 相手のペースに慣れてきた俺がにこりと微笑んでさつきの頭を撫でた。


「ぶつかってごめんな」


 そう一言告げてその場を去った。





 何だこの感じ。
 顔真っ赤だし本当なんだし。



 俺は未花が好きなんだからそんなはずないと思うけど。
 そう心の中で告げて病室に戻った。



     -


 わふわふ!
 梨花編からレオ編行こうと思ったけどここからは第三者とか、梨花レオ未花あたりが多くなると思います


 ごめんね、自由に書きたいと思ったんだ
 だから視点縛りあんまりしないかもしれない


 かもしれないだけだけど
 レオ編ってなんかアレなんだよね

 レオの心情はあんまり表したくないっていうか
 表したくても表しきれないっていうか難しいんだよね


 さつきちゃんの登場です
 レオがまた戸惑い始めてまたかよ!って思うかもしれないけど
 レオが悪いんじゃないんですこれは


 レオを振り回す梨花と未花とさつきと
 ついでに書きたい風に書きまくるねここがわるいんですorz


 レオをきらわないでね!
 レオは悪くないんだよ!


 あは←

259ピーチ:2012/05/04(金) 13:04:30 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>

あー・・・レオ先輩のこと一瞬悪者にしちゃったww

ごめーん!

260ねここ ◆WuiwlRRul.:2012/05/04(金) 14:06:06 HOST:w0109-49-135-6-72.uqwimax.jp

>ピーチ

わわわ、レオを悪役にしないであげて!←
っていうかそう書いちゃってるねここが悪いんだけれども(笑)

261ピーチ:2012/05/04(金) 14:13:49 HOST:i125-204-92-164.s11.a046.ap.plala.or.jp
ねここ>>

あーでも分かるかもっ!

あたしもそろそろ主人公悪者に仕立てようと思ってるんだよねーww

あのさー、時間あるときでいいから読んでみてくれない??


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