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FRAME・GHOST

97竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2012/08/24(金) 22:14:52 HOST:p8152-ipbfp4204osakakita.osaka.ocn.ne.jp

 まさに取っ組み合いになっている神乃院市と雪路冬姫。
 女の壮絶な喧嘩を目の当たりにした男子一同(篠崎は含むが、工藤は含まない)は、かなり引いた表情をしていた。その傍らで女子一同は『まあ女子同士はこうなるよね』みたいな表情をしている。
 この争いを見ても表情を崩さなかった工藤が、手をぱんぱんと叩いて場を鎮める。
「はい、お市ちゃんも雪路さんも落ち着いて。俺から見れば二人とも可愛いからさ」
 二人は肩で息をしながら争いをやめた。
 どっちが可愛いか、という争いではなかったはずだが、何故か二人とも落ち着きを取り戻し始めている。
 この際、理由はどうでもいいのだろうか。
「それじゃあ作戦会議―――いや、敵の正体を話してあげるよ」
 工藤はいちいち言葉を焦らす。
 そんな彼の性格を知っているはずの生徒会メンバーでさえも苛立ちを見せていた。唯一明智だけが、苛立ちを表情に表していないのは見事だった。いつもの事でもう慣れてしまったのだろうか。
 犯人の正体が分かる、ということで全員が息を呑み、呼吸を殺して工藤の言葉を待っていた。
 自分の言葉への期待感を肌で感じ取ったのか、工藤は椅子から立ち上がって窓の外を眺めながら言った。
「犯人ってさ―――誰だと思う?」

「とっとと言えよ!!」
 真田の蹴りが、工藤の後頭部に直撃した。彼の頭はそのまま目の前の窓を突き破り、頭のみが窓の外に出ている。外から見たら少し怖い光景だろう。

 工藤は笑いながら、穴が開いた窓から頭を引っこ抜く。奇跡的に工藤の頭からは血が一滴も流れていなかった。本当に彼は人間なんだろうか。
 彼は痛いのは痛いのか、頭を押さえながら再び口を開く。
「やだなぁー、俺なりのジョークじゃないか。紫ちゃんのツッコミって最近殺人の域に達してない?」
「貴方は殺っても死なないでしょ? 今だって血すら出てないし……だから容赦なく出来るのよ。手加減抜きで」
 軽く問題発言だが、工藤は軽く笑い飛ばす。
 さて、と工藤が皆の方へと振り返ると、那月のハルバートと折宮のダガーが喉元まで迫ってきた。
「君らさ、完全に俺を殺そうとしてるよね。いいじゃん、ちょっとの焦らしぐらいさー。俺なりのユーモアだよ」

「そのユーモアが迷惑だって言ってるのよ、アホ会長」
「つーか俺らにそんなもんいらねーし。とっとと言えバ会長」
「ボケナスカース。ついでにタコ野郎が」

 全員言葉が辛辣すぎるだろ。
 折宮にいたってはただの八つ当たりにしか聞こえないんだけど。
 それでも、アイアンハートの工藤政宗は決して折れない。
「あはは、皆それで俺がくじけると思う?」
「あのー、工藤会長。そろそろ話していただけませんかね?」
 痺れを切らした雪路がそう言った。
 徐々に表情に出していなかった明智の苛立ちが表情に表れ始めている。これは危ない。明智みたいなタイプはキレると危ない。
 工藤は僅かに咳払いをして、話を進めた。
「まず犯人の人数だけど、君達は数人の小組織だと思ってる? それとも一人で実行していると思う?」
 誰に、というわけでもなく問われた質問。
 その質問に狩矢が答えた。
「んー、一人でっていうのは難しいでしょう。複数だと思うのが妥当では?」
「だよねー。まあ俺もそこら辺の不良グループだと思ってたんだけど……」
 工藤が言葉を区切ると、明智が問いかけるように口を開く。
「……その言い方だと、会長の考えとは違うようですね」
 工藤は笑みで答えを返した。
 『その通りだ』というように。
「じゃあ、一体誰が?」
 霧野が不安げに問いかける。

「犯人は複数、というのは大正解。だけど、小組織なんて小さいものに収まらない。俺らの敵は―――」
 工藤は一度言葉を区切って、真相を告げた。

「剣木浜高校(つるぎはまこうこう)だよ」


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