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FRAME・GHOST

94竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2012/08/22(水) 17:28:07 HOST:p8152-ipbfp4204osakakita.osaka.ocn.ne.jp

 しばらくして真田、那月、明智の三人が遅れて生徒会室にやってくる。そんな三人の大物の間に一人だけ、かなり身を縮めている篠崎も混じっていた。
 真田は一仕事終えたのか思い切り身体を伸ばしている。那月もかったるそうに首をぐるりと回し、明智は寝不足なのか欠伸をしている。一体何をしてきたんだ、と藤村は思う。
 その質問を解消するように神乃院は三人に訊ねる。
「……大体三人ともお疲れですけど……一体何をなさってきたんですか?」
 神乃院の問いに対し、真田は軽い口調で答えた。
「んー、アレよ。ウチの被害者にちょっと話をね。……何十人もいて大変だったわ」
 そう言って真田はもう一度伸びをする。
 大変でしたね、と他人事のように流す神乃院に那月が小さな声でつぶやく。
「……本当は庶務の仕事なんだけどな……」
 そう言われると、神乃院はボッと顔を赤くして、わたわたと慌てだす。
「す、すすす……すみませんでした!! いや、その、言い訳じゃないんですけど、大体私知らなくて……ッ!」
「いや、いいよお市ちゃん。僕らが勝手にやったことだから、気にしないで」
 急に慌てる神乃院に明智がそう声を掛ける。明智は僅かに背伸びして、那月の頭にチョップを食らわす。『ぐほっ』と言って那月は困ったような表情をしながらチョップされた部分を押さえている。
 神乃院はうう、と涙目になりながら落ち込んでいる。そんな彼女を隣にいる狩矢が慰めていた。
 一人だけ三人の圧力に恐れていた篠崎はぶるぶる震えながら、藤村の傍まで駆け寄ってくる。
「……うおぅ、大丈夫か篠崎? すげぇ怖かったろ?」
「は、はいぃ……。何だか、生きてる心地がしませんでした……。あの三人に比べて、私ってどれだけ個性がないんだろう……」
 真剣に悩む篠崎だった。
 だが、彼女に個性が無いかと問われるとそれは否だろう。見た目も金髪で可愛い顔立ちだし、そもそもこれで男の子なんだから、それで十分個性だと思う。篠崎でさえ個性がないなら、神山はどうなるんだろう? オタク、という以外に個性が見当たらない。
 そんな神山は自分の個性を探しているのか、自分の身なりをチェックしている。
「……あれ、政宗くんは?」
「さあ……副会長もご存知でないんですか?」
「ご存知でないわよ。あの間抜け馬鹿お調子者会長……何処に行ってるのかしら?」
 普段そんな風に思っていたのか、と藤村達は真田の本音を聞いて苦笑いしていた。
 反論できないのは、自分達も心のどこかでそう思っているからだ。
 そんな時、

「やあやあ、皆待たせたね!」

 例の間抜け馬鹿お調子者会長が元気よく戻ってきた。
 彼が扉を開けっ放しにしているためか、扉の前の光景が僅かに見えている。黒髪のポニーテール……霧野と一緒だったのだろうか?
 真田が工藤に何をしてたか訊ねると、工藤は笑顔のまま答える。
「まあ、ちょっとした一仕事。さあ、入れちゃって」
 工藤がそう言うと、扉の前で誰かを連れて来ているらしい霧野が一生懸命引っ張っている。
「ほら、早く……入って、き、て……!」
「ふざ、け、んな……! 誰が入るか、よぉ……!」
 女子の声がする。
 霧野が必死に引っ張っていくのを、必死に抵抗しているようだ。相手は相当こっちに来たくないらしい。
 二人が必死になっていると途端に、抵抗していた方の人物が、今まで掴んでいたものから手が離れたらしい。

「「あ」」

 霧野とその人物が同時に声を上げる。
 力強く引っ張っていたため霧野の身体は大きく後ろによろめき。バランスを失った彼女の身体は後ろにいた藤村へと勢いよく激突する。


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