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FRAME・GHOST

90竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2012/08/19(日) 13:22:35 HOST:p8152-ipbfp4204osakakita.osaka.ocn.ne.jp

 工藤と折宮が学校の廊下で話していた頃、寮にいた霧野は自分のベッドに腰掛けながら、ずっと暗い表情を浮かべていた。
 恐らく、折宮の言葉が響いたのだろう。自分だけ彼女と友達だ、と勘違いしていたのが急に恥ずかしくなってくる。
 はあ、と霧野が溜息をつくと、

「霧野!」
「は、はうぃっ!?」
 急に名前を呼ばれたので、変な言葉を出してしまった。

 呼んだのはルームメイトの藤村である。
 変な声を出した事に霧野は顔を赤くして、俯きだす。どうやら相当恥ずかしかったらしく、今の霧野をどうしようかと藤村も困っているようだ。
 深呼吸して落ち着いた霧野は、やや遠慮がちな視線で藤村を見ると、
「……何?」
 と聞き返す。
 用がなければ呼ばないだろう、と思い自分を呼んだ理由を訊ねたのだ。
 藤村は呆れたように息を吐きながら、
「……お前、大丈夫か? さっきから五、六回呼んでんのに反応しねーしよ」
「嘘!? そんなに呼んでたの!? ゴメン、全然気付かな―――」
「いや、五、六回は嘘だけどさ」
 嘘かいっ! と霧野は藤村にツッコむ。
 しかし、藤村の表情が心配そうなのは霧野も気付いている。迷惑かけちゃったかな、とあはは、と乾いた笑みを霧野は無理矢理浮かべた。
 霧野は自分の膝においてある手を、軽くきゅっと握り締めると、
「……折宮さんにとってさ、私って……お節介だったのかな?」
「やっぱりそのことで悩んでたのか」
 藤村は霧野が何を思いつめているのか何となく察しがついていたらしく、そう言うと霧野の横に座る。
 隣に座られるとは思っていなかったため、霧野はちょっとだけ顔を赤くして僅かにもじもじしだす。
 その様子に気付かない藤村は、
「……お節介……ねぇ。俺は折宮じゃねぇから分かんねぇし、アイツの気持ちを分かんねぇけど……」
 藤村は言葉を一度区切る。

「少しでも迷惑だ、とか鬱陶しいだとか思ってたら、俺はわざわざ話さないと思うぜ?」

 その言葉に霧野がハッとする。
 確かに自分がしつこく聞いたのもあり、面倒そうな表情もしていたが、本当に面倒で迷惑で鬱陶しいなら事件に関わらせようともしないはずだ。少なくとも、本気で面倒だとは思っていないはず。
 面倒なら『ゲームセンター付近が危ないから近づくな』で済ませられるだろうし。折宮はわざわざ自分が転校してきたばっか、という確認や、地理は詳しくないよな、という確認まで取っていた。心の奥底では、協力してほしいと思っているかもしれない。
「あんまり深く考え込まなくてもいいんじゃねーの? 折宮はちょっとばかし意地っ張りなだけだと思うけどな」
 何かあんまり深く考えてなさそーだし、と藤村は付け加える。
 何故かは分からないが、藤村と話していると落ち着く。
 霧野は隣にいる藤村の横顔を眺め、小さく笑みをこぼした。霧野はそのまま自分の頭を藤村の肩に乗せる。まるで、恋人同士が公園のベンチでやっているような光景だ。
 急に寄りかかられたため、藤村は顔を赤くして、
「な……っ、お前……!」
「藤村くんってなんだかんだで不思議だよね」
「はぁ?」
 霧野の言葉の真意が掴めず、藤村は首を傾げる。
「だって、すぐに悩みを解決してくれるし。それに……」
 霧野が頬を赤く染めながら言う。
「隣にいてくれるだけで、こんなにも安心するもん」
 その言葉に、藤村も悪い気はしなかったのか、身体を動かさないように固定している。
 いつの間にか霧野は寝てしまい、身体のバランスを崩すと、今度は藤村の膝の上に転がり込んできた。


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