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FRAME・GHOST

87竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2012/08/13(月) 16:00:29 HOST:p4147-ipbfp1503osakakita.osaka.ocn.ne.jp
ACT.12「ミッション開始」

 翌日の放課後。藤村は工藤に言われたとおり、事件のことを知っていた霧野と、電話で事件について説明しておいた篠崎、そして神山とともに生徒会室までやって来た。部屋にはいると、もう既に見慣れてしまった生徒会役員五人と、狩矢と折宮が集まっていた。
 狩矢って生徒会に知り合いがいたのか、と問いかけたくなるところだが、自分に流生を紹介したのは彼だ。生徒会役員も那月の姉という事で知っているため、関わりが全くないと言うわけでもない。
 それともう一人、折宮がいる理由も納得できる。
 霧野が事件の内容を知っていたのは、折宮から事件の話を聞いたからだ。話す前の電話の会話で『生徒会との連携』という単語が聞こえたため、今回の事件は生徒会と風紀委員で済ませるということなのだろうか。折宮が一瞬こちらに視線を向けると、軽く息を吐いて顔を背けた。仲良くなるのは、まだ難しいらしい。
 一応全員が揃ったようで、工藤が口を開く。
「さて、全員集まったね。召集の理由は知っているだろうが、もう一度話しておこうか。じゃあお願い、創一」
 
 お前が説明するんじゃないんかい。
 
 僕ですか、と若干ながら嫌そうな顔をする明智。
 そういえば、ゲームセンターの時も神乃院に説明を任せていたし、この人は自分で説明しないのか。理由を聞けば『え? ヤダよ。だって説明苦手だもん』と言いながら鬱陶しいほど爽やかな笑みを浮かべそうで腹が立つ。今すぐにでも殴ってやりたい。
 嫌そうな顔をするも、一応上司からの命令なので明智はこの場にいる全員に説明を始める。
「皆も知っての通り、戦場原学園の生徒が何者かによって襲われ、その被害は拡大しつつある。今回の件は生徒会並びに風紀委員の間で済ませようとしたのだが―――」
 一度そう区切って明智はチラッと藤村達の方を見た。狩矢にも僅かに視線を向けている。
「強力な仲間が加わった。彼らは生徒会でも風紀委員でもないが、今回の事件の解決に共に尽力してもらおうと思う。……いいね、藤村くん」
 明智は藤村に問いかける。
 自分だけの意志で決めて良いのか迷い、霧野達の方を振り向く。彼女達は全員頷き、狩矢も頷いてくれた。そもそもお前は誰に連れられたんだ?
 藤村が頷くと明智は納得したように笑みを浮かべる。
 だが、
「待て」
 女性の声が割り込む。
 見ると折宮が少し手を挙げながらそう言っていた。彼女は壁に背を預け、腕を組んだまま目を閉じている。寝ていないことだけは分かっていたが。
 彼女は目を開くと、先程まで背を預けていた壁から身体を離す。

「私は反対だ。ここにいる霧野七瀬に事件を話したものの、それは事の危険を知らせるため。事件の解決に協力してもらおうなんて思っていない。それに、アンタ達とも協力するつもりはない。私は私のやり方でやってみせる」

 それを聞いた霧野は不安そうな顔をしていた。
 相手が初めから協力させる気なんてなかった、という言葉自体は気にしてはいないだろう。それ以上に、彼女が一人を望む事に不安を感じているのだと思う。
「折宮さん! 協力しようよ! これは一人じゃ出来ない事だよ!?」
「何と言おうと、私の意志は変わらない。お前も、面倒な事になる前に身を引いておいた方がいい」
「……折宮さん」
 霧野の言葉を、折宮は即座に斬り捨てる。彼女は本当に一人で全てを片付けるつもりだ。
 彼女の発言で一気に場は静まり返った。そんな空気が不快に思ったのか、当の本人である折宮は逃げるように生徒会室から出て行ってしまった。

「やれやれ……、今日はお開きにしようか」
「政宗くん……。いいの? 彼女を放っておいて」
 真田の言葉に工藤が溜息混じりに答える。
「何とかしてみるさ。それが……いや、それも俺の仕事だろう?」
 程なくして、今日の作戦会議は終了した。
 話は全く進まず、ただ事件の内容を大雑把に理解しただけだった。


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