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78
:
竜野翔太
◆sz6.BeWto2
:2012/08/11(土) 17:04:45 HOST:p4147-ipbfp1503osakakita.osaka.ocn.ne.jp
「さて、と。そろそろ私も戻ろうかしら。食べ終わったし」
そう言いながら真田は立ち上がる。
彼女は立ち上がって、ぐっと目いっぱい伸びをする。そのため、ちらっとおへそが見えたりして、ポーカーフェイスを決め込んでいる藤村と神山は、ちらちらと真田の方を見ている。
それに気付いている霧野は、心の中で『男って最低』とか思いながら飲み物を啜っている。
真田が去ろうとしたところへ、
「紫せんぱぁーい!」
と元気な少女の声が飛び込んできた。
その声に聞き覚えがない藤村と霧野は、眉をひそめながら『真田先輩を尊敬してやまない生徒だろうか』と適当な予想を立てる。が、神山には妙に聞き覚えがあった。
真田を呼んだ少女は、一回だけじゃなく二回、三回と真田の事を呼んでいる。聞けば聞くたびにその声の持ち主が神山の頭の中でフラッシュバックする。
忘れもしない。中間試験、森林園で自分の両脇にて展開された少女と少女のすさまじい口喧嘩を。
「やっぱり先輩でしたか! 食堂で会うなんて奇遇ですね―――ってか、大体先輩って食堂派でしたっけ?」
神山翔一の苦手な女性第一号、神乃院市(かみのいん いち)。
生徒会に所属する少女で、一年A組に在籍している。彼女の左腕には生徒会メンバーであることを誇示しているかのように、『生徒会庶務』という腕章をつけている。若干水色がかった銀髪を背中まで伸ばしている美少女、通称『お市ちゃん』は妹のように真田を見つけるとぱぁっと笑みを浮かべていた。
すると、ふと神山の視線と神乃院の視線が重なる。
神乃院は神山の顔を見ると、はっと思い出したように、
「おー、神山くんじゃん! 中間試験以来だね、元気してたー?」
意外と覚えてくれていた。
理由は明確になっていないが、神山翔一という少年は女性から忘れられる事が多い。なので、久しぶりに会った女子に『久しぶり』と言われるのは、神山としても相当嬉しい。
神山は勝ち誇った顔をしながら、『今頃幽鬼はお市ちゃんと「あ、どうも初めまして」的な会話をしているに違いない。一歩リードだぜ』などと思いながら、ニヤけた表情のまま藤村の方を振り返ると、
「君が藤村幽鬼くんだよね! 初めまして」
「どうも。って待て。何で俺の名前を知ってるんだよ」
神山は絶望した。
恐らく工藤政宗が『一年生の藤村くんがさー』みたいに名前をちらつかせたせいで、神乃院も興味を持ったのだろう。学園最強の座に君臨する男が興味を持つ生徒、ということで彼を上司に持つ神乃院も気になったのだろう。D組の生徒から『あれが藤村くんだよ』などと言われていたため、顔は知っていたらしい。何度か声を掛けようとしたが、中々タイミングが合わず今まで出来なかったらしい。
そんな事を知らない神山は床に手をつき、絶望のポーズを取っている。そんな光景もう慣れました、な霧野は見て見ぬフリ。いきなり変な体勢をする彼を見慣れていない真田は、お腹の調子でも悪いのかな、などと思っている。
「いやー、ずっと話したかったんだよねー、君とは。大体、クラスが違うから廊下ですれ違うくらいだし、声を掛けようとしても君はいっつも霧野さんと話してるしね」
霧野の名前も知っていた。
恐らく、また工藤政宗の仕業だろう。
「そりゃ悪かった。気付かなかったよ」
「気にしないで。実際に声を掛けたわけじゃないし、君は私の顔を知らないんだし、大体気付かなくても不思議じゃないわよ」
神乃院は笑ってそう返す。
とても印象が良い娘だ。初対面の藤村と霧野は心底そう思う。
神乃院はポケットから棒が刺さっている飴を取り出して、口の中に放り込む。
「本当は篠崎唯ちゃんとも話したいんだけど……彼女は今どこ?」
神乃院は辺りをきょろきょろと見回す。
「ああ、ここにはいねぇよ。多分教室で友達と飯食ってる。あと、」
藤村は一度言葉を区切って、
「篠崎を表現する時は『彼女』じゃなくて、『彼』が正しいから。アイツ男だよ」
「……ほえ?」
神乃院は目を点にする。
そんな彼女の反応を見ながら霧野は『うんうん、分かる。私だって最初女の子だと思ったもん』と腕を組みながら頷いている。
「そーなの!? 私ずっと女の子だと思ってた! えー、男の子なんだ!?」
さすがに性別の情報までは工藤から聞かされていなかったらしい。
『唯』なんて名前を聞かされたら男とは思えないだろう。本人曰く『唯一の人物になれ』という意味で名前をつけた、と親から言われたらしい。
大声を張り上げる神乃院の耳に、一人の女子の言葉が届く。
「あらあら、公の場にて大声を張り上げるとはみっともない。女性としての品格が大きく欠落していますわよ、お市ちゃん」
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