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FRAME・GHOST

75竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2012/08/04(土) 22:21:36 HOST:p4147-ipbfp1503osakakita.osaka.ocn.ne.jp
ACT.10「Student council」

 昼休みを迎えたD組の藤村、霧野、神山は目の前の光景に愕然としていた。
 厳密に言えば、愕然としていたのは神山のみであり、藤村と霧野はそうでもない表情をしているのだが。
「……お、屋上が使えないだとぉー!?」
 三人は屋上の前の扉で立ち止まっている。
 三人は屋上で昼食を摂るのが日常になっており、こういう状況は予想もしていなかった。今から教室に戻っても席を三つ確保できる保証はないし、どうしたもんか、と神山は頭を悩ませている。
 ぶっちゃけ食べられれば何処でもいい派の藤村と霧野は裏庭に行こう、と神山に提案するが、彼は外で食べるのはあまり好ましくないらしい。屋上でも一緒だろうに。
 そんな三人の後ろから、一人の女子が声を掛ける。

「君達、今屋上は使えないわよ」

 三人が一斉に振り返る。
 声を掛けたのは長い黒髪を持った女子だ。だが、声は妙に大人っぽさを感じさせ、顔つきもきりっとした、可愛いというよりも美しい系の女子だ。
「……幽鬼。テメェはまたあんなお姉様系女子と親しくなりやがって……」
「知り合いじゃねぇよ。女子が出てくるたびそう思うのやめような」
 藤村は女子の顔をじっと見る。
「……でも、どっかで見たことあるような……」
 一方で、向こうも藤村の事をじっと見つめている。
 それから、ハッとしたようにして、藤村に近づいていく。藤村と女子の顔が間数センチ程にまで距離が縮まる。
 その光景に神山は絶望したような表情をし、霧野は顔を赤くしている。
「……あの?」
「……、」
 女子は何も言わない。
 ただ、藤村の顔をじっと見つめた後、確認を取るように口を開いた。
「……もしかして、藤村幽鬼くん?」
「な、何で俺の名前を……?」
 女子が藤村の名前を知ってることに、神山と霧野は反応する。
「幽鬼ィ! テメェやっぱお近づきになってたんじゃねぇか!」
「藤村くん! いつの間にそんな美人さんと知り合ったの?」
 どんどん誤解が膨張していく。
 藤村より早く、二人の言葉に女子の方が笑みをこぼす。
「ふふっ、そうじゃないわよ。まあ、確かにこれをつけていないと誰か分からないかもね」
 女子はポケットから布を取り出した。
 それは輪のようになっており、女子は左腕に輪になっている布をスッと通す。布に書かれている文字は『生徒会副会長』。
 そう、学園で二番目に強い生徒がなる事のできる役職を示す腕章を女子は何の躊躇いもなくつけた。
「自己紹介するわね」
 女子は、自身の長い髪を自慢するように手で髪をなびかせるように軽く梳いた。

「戦場原学園三年A組、生徒会副会長職の真田紫(さなだ ゆかり)よ。よろしくね、一年生さん」

 四人は食堂へと赴いた。
 真田が通るだけで生徒達は道を空け、生徒会副会長とそのご一行と分類されてしまう藤村達、計四人分の席はすぐに用意された。
 弁当を広げている藤村、霧野、神山とは対照的に真田は食堂で買った物を食べるらしい。
 だが、メニューがかなり豪快だ。
 ハンバーグ定職にとんかつ定職、あげくどっちもライスは大盛りになっている。
「……よ、よく食べるんですね……」
 霧野が表情を引きつらせる。
 真田は何てことないような口調で、
「これくらい食べないと元気出ないもの。逆に貴方達はよくそれだけで足りるわね」
 そんなに食べるのに何でそんなスタイルがいいんだろう、と霧野は考えてしまう。
 ここで、藤村は真田に疑問を投げかける。
「あの、何で俺の事を知っていたんですか?」
「……ああ、やっぱり気になる?」
 真田は笑みを浮かべながら、ハンバーグを切るために持っていたナイフとフォークを置いた。
 彼女は頬杖を突いて、
「会長から聞いていたの。『面白い一年生がいるって』ね」
 真田は藤村をじっと見つめて、

「私にも教えてほしいなぁ。君のいろんなコト♪」
 妖艶な笑みとともに、言葉を告げられた。


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