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FRAME・GHOST

72竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2012/07/20(金) 21:24:58 HOST:p4147-ipbfp1503osakakita.osaka.ocn.ne.jp

 藤村と流生の拳が激しくぶつかり合う。
 だが、この競り合いの勝者は言うまでも無い。
 そもそも、相性が悪すぎるのだ。

 炎と水なんて、比べる前に決着は着いているのに。

 勿論、流生の勝利だ。
 後方に勢いよく飛ばされた藤村は、その勢いを殺すことなく背中を壁へと打ちつけた。
「が……!」
「おいおい、軽すぎだろ。もうちょい踏ん張ってくれよ」
『焔のの術者は軽いなー。でも軽いってちょい羨ましい。女子としては軽いって言葉は魅力的に聞こえるのだよー!』
「お前はちょっと黙れんのか」
 水神の言葉に、流生は呆れたように告げる。
 それを聞いた水神はぶー、と頬を膨らませて不機嫌な顔をしている。
「ほら、とっとと起きろ幽鬼。じゃねーと追撃するぜ?」
「……言われなくても!」
 藤村はほとんど立つ時間を有さず、炎を拳に纏い、流生に突っ込んでいく。
 それを見ている狩矢と桃音は驚きの表情をしている。
「あいつ、馬鹿じゃねーのか? 流生さんのカウンターに遭うだけだぞ!?」
『……いえ、私にはとても……』
 桃音はじっと藤村を見つめている。
 とても面白い研究材料を見つけた時のように。

『彼が、無謀をする目には見えませんけど?』

 藤村は流生の顔目掛け拳を放つ。が、やはり狩矢の言うとおりに事は進行した。
 藤村の拳を身体を逸らし流生はかわす。彼女はそのままがら空きになっている藤村の腹に肘をくらわせ、前のめりになる藤村の顎に、すかさず膝を叩き込み、上へと打ち上げる。
「あちゃー! ほら、言わんこっちゃない!」
『……っ! いや、まだです!!』

 桃音の脳の言葉に狩矢が顔を上げる。
 桃音が叫んだため、その声が流生と水神にも届いたのか、桃音を含めた四人は一斉に上へと打ち上げられた藤村へと視線を送る。

「……終わりだと……思ってんじゃねぇよ……!」
 藤村は口の端から血を流しながら、そう搾り出すように告げる。
 彼は右の手の平を広げ、前方に真っ直ぐ広げる。その腕を支えるように、左腕を右腕に添えて、狙いを定めている。
 彼が手の平を向けている先にいる人物は決まっている。
 那月流生だ。
「……まさか!」
『彼の狙いは……!』
 傍観していた狩矢と桃音がはっとしたように、藤村の狙いに感づく。

『うっそでしょー!?』
「残念ながら本当のようだぜ、水神」
 流生は楽しそうな、それでいて焦っているような表情を見せる。
 彼女の頬を、一筋の汗が伝う。
「……カウンターなんざ、最初から分かってんだよ……! まっすぐやっても、勝ち目なんかねぇから、なるべく全面に攻撃できる、上からって手を思い浮かんだのさ!」
 藤村の狙いは、

 上から炎を逆噴射して攻撃する。

 そんな荒業だが、完全に相手の不意を突いた。狙いも定まった。力も十分に溜め込んだ。
「い、っけえええええぇぇぇぇぇぇぇ!!」
 藤村は右の手の平から、光線のように炎を放射した。
 流生のいた場所は瞬く間に炎に包まれ、修行場所は赤い炎に包まれた。
 この勝負の行方は、狩矢にも、桃音にも、流生にも、水神にも、焔華にも、そして、

 藤村にも分からない。


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