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FRAME・GHOST

66竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2012/04/02(月) 11:41:30 HOST:p4147-ipbfp1503osakakita.osaka.ocn.ne.jp

 とりあえず泣き止ませる事に苦戦したが、藤村は桃音を泣き止ませ一人用の椅子に腰を掛けて(何故か知らんが)狩矢を、桃音は睨みつけている。
 その視線を、気にしませんよと言わんばかりに狩矢は流生と話し続けている。
 何で狩矢を睨んでいるんだろう、と藤村は疑問に思いながらも引きつった表情を浮かべながら桃音を見ている。
 すると、藤村の耳ではなく頭に直接言葉が流れてきた。
『何見てるんです?私の顔に何かついてますか?』
「……?」
 藤村は辺りを見回すが、周りにいる人物は誰も自分と話していない。
 狩矢と流生は二人で話しているし、桃音は恨めしそうに狩矢を睨みつけている。女性の声だったのだが、その二人はどちらも自分と話していない。
 首を傾げている藤村に、さっきと同じ声で頭に声が流れる。
『こっちです、こっち。っていうか「何見てるんですか?」と問いかけた筈です。貴方がさっきまで視線に捉えていた人物は誰ですか?』
「……桃音、か?」
 藤村は視線を桃音に向けてそう問いかける。
 桃音は睨みつけるような目から、普通の幼さを感じさせる丸い目をして藤村の方を見る。
『……直接声を出さなくても思うだけでいいんです。私は人前で喋るのが苦手で、生まれつきテレパシーを使えるんです。何故かは分かりませんけどね』
 藤村は思わず口を開きそうになったが、相手の言葉を思い出して、言いたい事を頭の中で再生する。
 たったそれだけの事で、桃音との『会話』が成立するのだ。
『でも、さっき元気な声出してなかった?アレは何だったんだ?』
『……アレは……流生さんだけだと思ってたから……あの人とは普通に話せるんです……』
 桃音は顔を赤くして、目線を僅かに話すとそう呟くように思った。
 流生が『忘れてた』と言っていた事は、桃音が特定の人物としか喋れないという事だったのか。
 話を変えたいのか、桃音は『そういえば』と前置きして、
『ところでお名前は?私の名前だけ知らされたというのがあまり快くないもので』
『ああ、藤村だ。藤村幽鬼。よろしくな、桃音』
 幽鬼さんですか、と桃音は頭で復唱した。
『分かりました覚えておきます。それから、私の事はミルとお呼びください。苗字で呼ばれるのはあまり好きではないですし、何より私も下の名前でお呼びしたいので。こちらだけ下の名前でっていうの、あまり好きじゃないんです』
 口に出さない時だけはよく喋るな、と藤村は思わず口に出してしまった。
『ちなみに、私は狩矢が大嫌いなので、苗字で呼んでます。下の名前で呼ばないでくださいって言ったところ、あんなヘンテコなあだ名つけられました』
 そうなのか、と藤村は苦笑いを浮かべる。
 桃音は首を傾げて、問いかけるように藤村に訊く。
『ところで、貴方はココに何をしに来たんです?戦場原学園の生徒のようですが、初見の顔ですけど』
 そこで、藤村はハッとして、狩矢に叫ぶように言う。
「そういえば、狩矢!何でお前は俺をココに連れてきたんだよ!会わせたい人ってのは流生さんなのか?」
 いきなりの大声に狩矢は驚いたのか、肩をビクっと震わせる。
「何だ、お前。私に会わせる為に彼を連れてきたのか?」
「……まあ……アイツの戦いに足りないモンを見てもらおうと……」
 ふーん、と適当に返事を返して流生は藤村を見る。
「まあ、見ただけじゃそいつの戦闘センスは計れんしな」
 流生は指でついてこい、というジェスチャーをしながら背を向け、奥の扉を開ける。
 そこには、下へと続く階段が下に伸びていた。
「お前を見てやる。ついて来な、幽鬼」


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