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112
:
竜野翔太
◆sz6.BeWto2
:2012/12/02(日) 14:28:46 HOST:p8152-ipbfp4204osakakita.osaka.ocn.ne.jp
折宮はグランドに出ていた。
工藤政宗からの退却命令のメール。それを見た瞬時に彼女は他の潜入メンバーである、霧野、篠崎、雪路にメールを送った。内容は『グランドに集合。四人揃って退却する』という内容だ。
学ランを着た彼女がグランドで待っていると、篠崎と雪路が到着した。
あとは霧野だけか、と折宮は小さく呟いた。
「いきなり退却なんて急ですわね。取り巻きに妙な表情をされましたわ」
「俺だって納得いってないっつの。舎弟にメシ頼んでたんだぞ」
不機嫌そうに返答する折宮を見ながら、篠崎は口元に手を寄せてくすっと笑った。
それに気付いた折宮が鋭い眼差しで篠崎を見る。というより、睨んでいるという方が合うくらい眼光が鋭い。
目だけで『何笑ってんだよ』という質問を感じ取ったのか、篠崎は軽く謝ってから、
「折宮さん、今回のこの役。楽しかったでしょ?」
「なっ……!?」
篠崎の言葉に折宮はドキッとする。
彼女は僅かに頬を赤くしながら、叫ぶように反論する。
「そ、そんなわけねぇだろ!! 何で俺が工藤のお遊びに楽しさを感じてると―――ッ!」
「一人称。ちゃっかり『私』から『俺』に変わるほど役にハマってますわ」
ぎくり、と折宮は自分でも気付かないほど自然な今の状態を雪路に指摘されて、ようやく気がついた。
確かに潜入するまでは彼女は自分のことを『私』と呼んでいた。潜入した頃はうっかり『私』と言いそうになっていたが、今はそんな危うさも無い。むしろ、自然に『俺』と言ってしまうほどだ。
折宮は地面に手と膝をつきながら、どんよりとしたオーラを漂わせている。
「……忘れてくれ……。覚えててもいいが、役になりきっていたことは工藤に言うな……」
「分かっていますわ」
「大丈夫ですよ。言ったら工藤会長が折宮さんをいじり倒すの目に浮かびますし」
篠崎の言葉が、妙に折宮の心をえぐったことに本人は気付いていない。
篠崎は校舎の方に視線を移し、
「それにしても、霧野さん遅いですね。ちゃんとメールは送ったんですよね?」
「送ったよ。そこら辺は忘れないって」
「あ、そういえば」
すると雪路が思い出したように、
「中間試験中に神山さんが『最近出来た女の子の友達のメール返信が異様に遅い』と言ってましたわ。翌日教室で出会ってメールが来てたことに気付くとか。時期的に、その友達というのは霧野さんでは?」
全員が固まった。
中間試験といえば藤村、神山のいるD組に霧野が転入してきて数日後の出来事だ。女友達のいない神山が『最近出来た』というくらいなのだから、霧野のことで間違いないだろう。
もしかしたら折宮の連絡も気付いてないかもしれない。
「……折宮さん、どうしましょう……?」
折宮は無言で携帯電話をポケットから取り出し、
「あんにゃろう! 手間取らせやがって! ちょっと待ってろ、今すぐ電話をかけて―――」
じゃり、と地面を踏みしめる音が三人に届く。
気付けば周りには数人の剣木浜高校の生徒。彼らの手には鉄筋やバール、金属バットなどの鈍器が握られていた。これからどこかに攻めに行くような様子だ。
だが、この状況を見た三人が『どこかに攻めに行くんだな』とは思っていなかった。
自分達を襲うとしている目を、彼らがしていたからだ。
「……目測十人前後か。いけそうか?」
「いいえ、もっと多くなりそうですわよ?」
「なりそう?」
雪路のその言葉に折宮が彼女の視線の先を見つめる。
見れば校舎からさらに何十人と押し寄せてきていた。
「まさか、校舎の中が敵だらけってことはないよなあ?」
「ありそうですね。だとしたら」
一番危ないのは誰か。
折宮も雪路も篠崎も。それはすぐに答えが出てきた。
今ここにおらず、校舎にいる可能性が極めて高い霧野七瀬だ。
折宮はこめかみに青筋を立て、
「……篠崎、雪路。とっととこいつら潰して霧野を連れて帰るぞ!!」
彼女は短刀を逆手に持ち、臨戦態勢に入る。
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