[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
メール
|
1-
101-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
FRAME・GHOST
109
:
竜野翔太
◆sz6.BeWto2
:2012/09/17(月) 21:00:29 HOST:p8152-ipbfp4204osakakita.osaka.ocn.ne.jp
「へぇー、戦場原学園の生徒が無差別にねぇ」
武器屋『ウェポン』の女店主、那月流生は売り物の刀の刀身を入念に磨きながら言った。何度も何度も磨いた刀身は元の輝きを取り戻し、ぎらぎらと銀色に光っている。見てるだけで切り裂かれそうだ。
しかし、流生はまだ満足してないのか刀を眺め『うーん』と声を漏らすと、再び磨き始めた。
どうも納得していないようだ。やはりこういうものは素人には分からない職人のこだわりみたいなのがあるのだろうか。ドライな流生にあるとも思えないが。
流生の言葉に藤村は頬杖をつきながら言い返す。
「とか言って、本当は知ってたんでしょ、工藤会長とかの連絡で」
「あはは、やっぱバレたか!」
流生は笑い飛ばしながら言った。
やっぱり知ってたのか、と藤村は心の中で思う。こういう重大なことを工藤は伝えてそうだなと思い『ウェポン』に来て正解だった。
流生は刀を磨きながら、
「まあそれはそうとして、お前らも大変だな。つーか敵地への潜入メンバー誰一人知らないんだけど」
「あ、そうだった……」
霧野も篠崎も折宮も『ウェポン』に来たことがなかった。修行場所がここであることは伝えてはいたが、紹介はしてなかったな。今度連れて来ようと藤村は思う。意外と神乃院もここを雪路に教えてなかったようだ。彼女もついでに連れて来よう、と藤村は再度思う。
藤村が来たことに気付いた『桜っち』こと桃音ミルが明るい表情をして藤村にまとわり付く。
流生との戦いで藤村に好意に最も近い興味を抱いたらしく、藤村が来るのをずっと心待ちにしていたのだ。彼女は幸せそうな表情をしながら藤村にくっついている。藤村もどう対処すればいいか分からず、宙を泳がせていた手を落ち着かせ、彼女の頭の上に軽く乗せた。
「しっかし政宗も頑張ってやがるな。会長に向いてないとか言いやがって、相変わらず適当な奴だなー」
「いや、今も適当っすよ? でも意外としっかりしてるよな。潜入メンバーを選んだ基準はよく分からんが」
「まあそういうもんだって。私だってそこは適当に選ぶ自信しかねーし」
自信持つとこか? と藤村は心の中でツッコむ。
桃音が顔を上げて藤村を見つめると、彼女はテレパシーを使って藤村に問いかける。
『犯人のシルエットは掴めても、事件を起こした理由は分からずじまいですか。ちょっと手こずりそうですね』
「そうなんだよ。一体どんな理由が……」
「ただ喧嘩を売りたかった―――ってのは考えられねぇか?」
流生が口を開く。
彼女は磨いてた刀をようやく鞘に収めて机の上に優しく置いた。
藤村が聞き返すよりも早く、彼女の次の言葉が紡がれた。
「襲撃事件には因縁ってのがつきものだ。だが、それは特定個人に対してだけ。襲われた奴同士には何の関係もなかったんだろ? 同じ場所にいたってこと意外は。だったら、『喧嘩を売りたかった』ってのも考えられない理由じゃない」
藤村は納得してしまう。
確かに無差別な襲撃事件ならばいちいち理由をつけることもないはず。
この意見に意義を発したのが桃音だ。
『でもそんな子供っぽい理由でやりますかね? いくらなんでも単純すぎるというか……』
「単純で良いんだよ、こういうのは。ぐだぐだ考えたら良い理由ってのは中々浮かばないもんだしな」
桃音も納得してしまった。
流生は藤村の方を見つめて言う。
「卒業生の考えだ。そこまで深く考え込むこともない。―――だが、」
「ないとは言い切れない、ですよね」
「分かってんじゃん」
藤村は椅子から立ち上がって扉のドアノブに手をかける。
「ありがとぐおざいました、流生さん」
「政宗によろしくな」
藤村は勢いよく扉を開け、逃げ出すように店内から飛び出していった。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板