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FRAME・GHOST

108竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2012/09/10(月) 15:28:59 HOST:p8152-ipbfp4204osakakita.osaka.ocn.ne.jp

 言われたとおりに工藤は『教えてください折宮サマ』と言ったが、折宮の方が中々話してくれなかった。それもそのはずで、工藤の言い方が棒読みだったことが気に入らないらしい。結果的に工藤は五回ほど言い直させられて、ようやく折宮の口から情報を聞き出すことに成功した。
 さすがに五回もやれば面倒になってきたのか、折宮もきっと妥協してくれたのだろう。
『まず情報の確認といこうか。お前が手に入れた情報をもう一回言え』
「……折宮さんってさ、俺が先輩だって忘れてない?」
 命令されたことに怒りはしないものの、工藤はため息をついてそう言った。本人である折宮は特に何も言わない。代わりに『知るか』とだけ返ってきた。彼女は一生自分に敬語を使わないだろう、と工藤は確信した。
 とりあえず話が進まないので、工藤は折宮の言ったとおり情報の整理と考えて知っていることを話した。
 とは言っても、犯人に繋がる情報は『剣木浜高校の生徒』ということしかないが。
 工藤は話し終わると、折宮に問いかけた。
「俺の情報が全然役に立たないことは分かってるよ。君はそれほど勝ち誇りたいのかい?」
『嫌な奴みたいな言い方するな。そんなんじゃないし、お前より優位に立とうとも思ってない』
 こりゃ失敬、と工藤は素直に謝るが、真剣にではないだろう。
 そんな工藤とのやり取りにも慣れたのか、折宮のため息も今まで長い間工藤と接してきたような感じがした。身近な人物でたとえると、真田紫あたりがつきそうなため息だ。
 折宮が話を戻そうと、真剣な口調で再び口を開く。
『犯人の数って、大体何人ぐらいか把握できてるか?』
「さあね。そこまではさすがに分からないや。人数も把握できたのかい?」
『まあ、そんなところだが……』
 最後の方だけ、自信に溢れてた口調から頼りなさが突出してきた。
 ? と工藤が首を傾げていると、折宮は先程の工藤の情報をもう一度確認するように聞き直した。
『さっき確か、犯人は「剣木浜高校の生徒だ」って言ったよな?』
「ハズレだったかい? 少し自信があったんだけど―――」
『いや当たってるよ』
 折宮は一泊置いて答える。

『一人を除いてな』

 工藤の表情が一瞬にして変わる。
 犯人は複数。そのうちの一人が、剣木浜高校と関係が無い外部の人間だとでも言うのだろうか。
 折宮は落ち着けるような口調で、
『主犯は五人。四人はれっきとした生徒だが、一人だけ名簿を見ても確認できなかったんだ。実際に私が見たわけじゃなく、舎弟どもが言ってたから、ガセの可能性もあるんだけどな』
「……さすがだね、もうそんなところまでたどり着いたって言うのか」
『マグレだよ。実際私が霧野達と同じようなやり方だったら、手に入れられてなかっただろうしな。そこは感謝しとくよ』
「はははっ、やめてくれよらしくない。しかし、さっき舎弟って言った? 反論してた割にはノリノリじゃないか」
「うっせーよ。ノってるんじゃなく、ノせられてるんだよ』
 折宮は嬉しそうに言う。
 その後も情報が続いたが、主犯五人の名前は判明していないようだ。聞こうとしたが舎弟達も知らないらしく、ただ五人が犯行を行ったのは知っているらしい。
「とりあえず、情報ありがとう。明日藤村くん達にも伝えておくよ。潜入組への伝達はよろしくね」
『オイオイ、私任せかよ』
 折宮は軽く笑いながら言ったが、素直に了解した。
『あ、そうだ』
 思い出したように、折宮は工藤が電話を切るのを止める。
 工藤が眉をひそめていると、折宮は確認というよりは、質問的なニュアンスで問いかける。

『お前、篠崎が男だって知ってた?』
 数秒の沈黙。
 工藤の回答は『もちろんさ』という自信に満ちたものでもなければ、『えぇっ!? そうだったの!?』というオーバーなものでもなく。

「……うっそーん……」
 言葉の割にはテンションの低いリアクションだった。


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