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:
竜野翔太
◆sz6.BeWto2
:2012/09/08(土) 17:55:33 HOST:p8152-ipbfp4204osakakita.osaka.ocn.ne.jp
『というわけで、私の聞き込みでは有力と思われる情報は手に入りませんでした。皆さんも事件のこことは知っているものの、黒幕などは全く知らないらしいです』
携帯電話から聞こえてくる可愛らしい声を聞きながら、生徒会長工藤政宗は静かに『そうか』と返した。
彼の電話の相手は戦場原学園の生徒を襲った主犯がいる剣木浜高校に潜入している四人のうちの一人、篠崎唯だ。彼は事件の詳細を知るために、篠崎以外にもう三人、霧野七瀬、雪路冬姫、折宮明日香を潜入させており、彼女達から情報を受け取る、という方法を実行していた。
今は篠崎唯から情報をもらっていたのだが、本来情報を教えてくれた側がする表情を工藤はしていなかった。どこかまずいような、同じことを何度も繰り返し言われたような顔だ。勿論のこと、篠崎は何度も繰り返し言ったわけではない。
「……なるほど」
『すいません。有力な情報を掴むことが出来なくって……』
申し訳なさそうに謝る篠崎に、工藤は慰めるように優しく言葉をかけてやる。
慰める、というより皆もこんな感じだから、というようなニュアンスで。
「いや、別に謝る必要はないよ。そうだろうと、俺も予想していたからね」
『へ?』
篠崎はきょとんとしたような、間のぽっかり抜けた声を思わず漏らした。
工藤はきわめて落ち着いた様子で、受話器の向こうにいる篠崎に語りかける。
「実は君からの連絡のちょっとだけ前に霧野さんと雪路さんからも連絡があってね。二人ともこう言ったよ『事件を知っていても黒幕を知っている人はいない』ってね」
それって、と篠崎が気付いたような声を出した。
四人のうち三人からの情報が全て同じ、ということは剣木浜高校に黒幕を知っている一般生徒はいないということになるのではないか。
篠崎も工藤も僅かにそんなことを感じ始めていた。
『そ、それじゃ……、私達が潜入しても意味なんてないんじゃ……っ!』
「すまないがそうかもしれない。でも、これは君が悪いわけじゃないから大丈夫だよ」
篠崎は唇を噛むような声を漏らすと、
『……何かあったら、また電話します』
すっかり落ち込んだ様子で、向こうから一方的に電話を切られた。
しばらく携帯電話を眺めて黙っていた工藤に、彼のルームメイト真田紫はお茶を入れたコップを運んできながら彼に聞いた。
「で、どうだったの? 貴方が送った潜入隊達は。上手くやってた?」
彼女の言葉に工藤は僅かに表情を曇らせ、
「んー、上手く溶け込めは出来たようだよ。ただ、情報の収集に手間取ってるみたい」
そう言うと、工藤の携帯電話がコール音を鳴らした。
表示された名前は『折宮明日香』。あれ、番号教えてたっけ? と不審に思う工藤だったが、携帯電話を開き、耳に当てると、
『工藤、テメェこの野郎ッ!! ふざけてんのか!!』
とんでもない怒号が飛んできた。
そんな怒らせるようなことしたかなー、と思う工藤だったが、今の大音量に携帯電話が壊れてなくてよかったと本気で思う。
彼は再び携帯電話を耳に当て、嫌そうな応対をする。
「……えー、何? 明日香ちゃん、何をそんなキレてんの? 俺なんか悪いことしちゃった?」
『そうじゃねぇよ。お前私にだけ連絡先教えてなかったろ! 折角の情報を手に入れてやったのに、どういうことだ。わざわざ霧野に教えてもらったよ!」
情報、という言葉を聞いて工藤は、
「あー、いいよ。結局君も黒幕までは掴めてないだろ? 実は他の三人もさー」
『ってことは私が一番乗りってことだな』
その言葉に、工藤の目つきが変わる。
「ってことは……」
『ああ。黒幕まで掴めたよ』
工藤は声色を真面目な調子に戻して、折宮に言う。
「明日香ちゃん、教えてくれ」
『いいよ。ただし、「教えてください折宮サマ」って言ったらな』
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