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FRAME・GHOST

104竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2012/09/02(日) 17:46:45 HOST:p8152-ipbfp4204osakakita.osaka.ocn.ne.jp

 三、雪路冬姫の場合。
「ヲーホッホッホッホッ!! ホホホホホホ!!」
 高笑いをしながら廊下を闊歩する雪路冬姫。これで回りに二、三人程度取り巻きの人がいればより偉そうかつ、周りの生徒も座めきだすだろうが、今一人の彼女ではただの痛々しい生徒である。
 彼女は表では笑っているものの、内面では大号泣していた。
(……はぁ、何でわたくしがこのような役回りなんですの……? 工藤会長様もわたくしの事を勘違いなされていますわ。とりあえず、嫌でも課せられたお役目はまっとうしなければ。少しでも有力な情報を入手し、会長様のお役に立って見せますわ!)
 彼女が自分で自分を奮い立たせた頃、丁度男子生徒がひそひそと会話を始めていた。
 雪路は高笑いをしながら、その会話に聞き耳を立てていた。
 適当に笑えばいいのだから、と考えている雪路であったが、聞き耳を立てるあまり高笑いが『おほほほ』から『うへへへ、ぐへっぐへっ』という下品な類の笑いに変化してしまっているが、雪路本人は気にしていないのだから、勿論気付いてなどいない。
 彼女が聞いた会話を整理するとこういうことだ。
 『あの女子ちょっと可愛いよな』『一年生の子か?』『俺、ああいう黒髪ロングがタイプなんだよなー』『ちょっと話しかけてみようぜ』といったところである。
 雪路は心の中で思い切り叫ぶ。

(―――キタァァァ!!)

 雪路は会話をしていた生徒の方へと振り向き、踵で音を鳴らしながら近づいていく。
 それから動揺している生徒達に向かって、『高飛車なお嬢様キャラ』を全面に出した台詞を言う。
「あらあら貴方達、わたくしに興味がおあり? ならば傅(かしず)いても構わなくってよ? ただし!」
 やるべきことを失念していない雪路は、しっかりと条件をつける。
「わたくしの知りたいことに、何でも答えてくださる?」


 四、折宮明日香の場合。
 学校の裏庭辺りで、折宮は表情を引きつらせながら戸惑っていた。
 彼女が思うことは『どうしてこうなった?』である。
 それもそのはず、彼女が転校してきていきなり不良グループに突っかかられたからリーダー格をぶっ飛ばしたところ、新たなリーダーとして担ぎ上げられたのだ。元々男っぽい顔立ちで学ランを着ているので、皆からは『兄貴』と呼ばれている。
 工藤から出された彼女の設定は『不良少年』であるが、ここまで思い通りに行くとは思ってもいなかったであろう。
(……ちっくしょー、すんなり設定を達成しちゃった。案外工藤の考えも的を射てたってことかよ、納得いかねーし。しかも私、『兄貴』じゃないし)
 とも言えず、彼女は仏頂面で座っており、頬杖をついている。
 妙に不良スタイルが板につく少女だ。
「兄貴! 校内に美少女転校生と謎の影薄い美少女と高飛車な美少女がいるらしいですが、人目見ておきますか?」
 一人の不良がそう言ってきた。
 何でもかんでも美少女かよ、とツッコミたくなるのを抑え、彼女は軽く息を吐いた。
 不良が言うに霧野と篠崎と雪路も上手く潜入できたようだ。彼女は一安心すると、
「いや、そこまで興味もねーし見る必要もねーよ。とりあえず腹減ったから焼きそばパンといちごミルク買ってこい」
 へい、と返事をした不良とその他二人ほどが購買へと駆け足で向かっていった。
 折宮は近くにいた地位的に二番目くらいの奴に、『耳を貸せ』と指で合図をする。
 彼女は男に耳元で囁いた。
「今から俺が聞くことに全て答えろ。一つでも答えられなかったら叩き潰すからな」


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