したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

FRAME・GHOST

103竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2012/09/02(日) 00:32:28 HOST:p8152-ipbfp4204osakakita.osaka.ocn.ne.jp

 とりあえず、工藤に言われたキャラ(設定)で剣木浜高校の中に潜入する事になった霧野、篠崎、雪路、折宮の四人はそれぞれ行動を開始する事にした。

 一、霧野七瀬の場合。
 転校生、という設定であるため、一時間目の授業が終われば彼女の周りには数名の生徒が集まっていた。比率的には女子の方が多めだが、男子も三、四人程度視界に映っている。
 彼女はクラスメート達に囲まれながら、内心ではこう思っていた。
(……はあ、まさか二ヶ月程度の間で転校生としての自己紹介を二度もするなんて。どんだけ親が転勤してる家庭なのよまったく……)
 設定をつけた工藤への愚痴にも思えるが、彼の言ったとおり、霧野の噂は『謎の美少女転校生』となっていた。
 本人では『美少女』という自覚が無いため、そう囃し立てられるのには少し抵抗があり、本人としても恥ずかしい。
(うぅ、早く戦場原学園に帰りたい……)
 真っ先に思い浮かんだのは藤村の顔だった。
 彼が一番最初に思い浮かぶ、ということは彼に何か特別な感情を抱いてしまっているのでは、と考えてしまうが首を左右に大きく振って思考を無理矢理に変える。きっと一番身近にいるから思い浮かんだだけなんだ、という思考に。
 一方で、霧野に質問してくる男女はこっちの気などお構いなしである。

「ねーねー、霧野さんってどんな男性が好みなの?」
「音楽とか聴く? 好きなアーティストとかは?」
「得意科目は何かな? 私は英語が得意なんだけど……」
「霧野さんっていい匂いするけど、何か香水使ってるの?」
「どうやったらそんな綺麗な髪を維持できるのー?」

 クラスメートの質問攻めに目をぐるぐると回す霧野。
 彼女はその場の全員を牽制するように、手の平を前に突き出して制止を促した。
 それから呼吸を整えて全員に告ぐ。
「……ちょっと待って。質問には答えるから……答える代わりに、私が聞きたい事、先に聞いてもいいかな?」


 二、篠崎唯の場合。
 潜入した教室では休み時間中であった。
 隣の男子が友達と仲良く話している内に、話しが盛り上がり僅かなアクションが交えられる。しかし、アクションが大きかったため、篠崎の机に男子の手が当たり、篠崎は『ひゃっ!?』という声を漏らす。
「あ、悪い……」
 男子は思わず謝罪をした。
 『クラスにこんな可愛い子いたっけ?』という設定の篠崎は、涙目になって男子生徒二人を見つめている。
 その光景を目の当たりにした男子生徒は僅かに頬を赤くして、ひそひそと会話を始めた。地獄耳の篠崎には聞こえていたが。

「(……おいおい、あんな可愛い子クラスにいたか?)」
「(……いや、覚えてないけど……でも確かに超可愛いよな)」
「(ちょっと誘ってみよーぜ)」

 二人は意見がまとまったのか、にっこりと笑顔を浮かべながら篠崎に問いかけた。
「え、えーと……今日時間ある? 良かったら俺らと喫茶店でさぁ……」
「……あ、あの、えっと……私、その……」
 急な誘いに頬を赤くしてもじもじしだす美少女に見える少年篠崎唯。男と分かっていない男子生徒二人の心はもう篠崎の可愛さに射抜かれている。
 僅かに困ったような表情を浮かべたまま、小さな声で返答を返す。
「……べ、別に構いませんけど……。……その、私なんかでいいなら……」
 男子生徒二人は小さくガッツポーズをする。
 篠崎は座ったままなので、どうしても男子生徒二人には上目遣いになってしまうため、その状況を利用して篠崎は上目遣いに訊ねる。
「その代わり、私が聞きたい事を聞いてもいいですか?」


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板