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狂気の沈黙科学者〜マッド・サイレンティスト〜
20
:
黒椿
:2011/11/17(木) 14:58:26 HOST:110-133-204-51.rev.home.ne.jp
『落ち着いて、マスター』
取り乱す耀に、ジュエルは呼んだこともない名前でなだめてくる。
「マスターとは何だ!!マスターとは!」
『じゃあ・・・キング?』
「それだけはやめろ!!」
今度は耀が一番嫌いな呼び方をしてくる。
この少女は意外と天然肌で、耀の脳内をかき乱すのだが仕方なく耀はその場に座り込んだ。
「一回落ち着くから、俺が分かるように説明してくれ」
耀があきらめたのを確認すると、ジュエルは少し長めのキーボードタッチの後、それを耀に示した。
『理解した。あなたは両親が家にいなかったから、私の説明文があなたに届かなかったのね』
「くそっ、あのふたり・・・」
耀は思わず舌打ちをする。
耀の両親は変わり者と呼ばれる人間で、基本的に家にはいない。
それどころか音信不通になることも多く、こういった大事な知らせが来ていることも知らせてくれないことも多かった。
『1から説明をする。まず私はあなたが言ったとおり未来の人間。このテレポートという技術も未来から持ってきた物だけど、システムができてないから多用はできない』
「未来、ねぇ・・・」
最早常識は通用しないと考え、耀は軽く頬杖をつく。
『さっきあなたをサポートするといったけど、それも『未来の』ドンス会長の命令なの。今ここでいうことはできないけど、とある事情でドンス界の偉人が必要になったの』
つまり、未来のドンスのために耀はこの少女と同棲をさせられることになったのだ。
勝手に決められたのは至極気に食わないが、自分の大好きなドンスがなくなってしまうならと、納得してみた。
21
:
黒椿
:2011/11/24(木) 17:33:43 HOST:59-166-118-86.rev.home.ne.jp
「オーケー、事情は分かった。その上で言わせてくれ」
耀はジュエルの説明が終わると同時に重々しく口を開く。
ジュエルが未来の人間だというところから始まった信じがたい説明。
それから早2時間も足ってやっと一通りが終わったところで、聞いてるだけの耀もさすがにクタクタだった。
「ひとーつ!俺は馬鹿だから今の説明の意味が8割理解できなかった!」
『仕方ない。あなたの偏差値は理解している。何度でも説明させてもらう』
カチン!耀の脳内にそんなポップな効果音が響く。
やっぱり自虐ならいいが、人に言われると腹が立つことはたくさんあるらしい。
(落ち着け!宮井 耀!!お前はお前だろ!!)
そんなことを自分に言い聞かせて何とか怒りを納めると、少しにやけ加減になるまで表情筋を緩める。
「そうだ。だから学校内偏差値42の俺にでもわかるように、俺から質問させてもらう形でもいいか?」
『どうぞ』
「よし・・・じゃあまず、何で俺なんだ?ドンスの有名人って言っても俺は日本のゲーム界のキングというだけだぞ?」
喋り終わった後で、耀は自分自身のポリシーが崩れたことに気づく。
『キング』と言ってしまった。
耀が一番嫌いな言葉。というかトラウマの言葉。それを口にしてしまったことを悔いる暇もなく、ジュエルは話を進める。
『確かに偉業を成し遂げさせるなら、ドンスのみで経営してくる大手企業のカリスマ社長たちのほうが楽だと思う。実際に私ではないサポータが行ってるかもしれない』
「じゃあ・・・なんでだよ」
『そんな人に偉業を成し遂げさせても話題性がない。普通の科学者がノーベル賞とった時位のちょっとの騒ぎ様なだけ』
考えてみれば、確かに新聞の記事に載るぐらいでは意味がないのかもしれない。
それでは人々は目をすぐにそらしてしまうだろう。
『ショッキングであればあるほどに人々の目を引く。あなたのような娯楽ジャンルの人が偉業を成し遂げれば話題性は格段に上がる』
そこでやっと頭のほうが追いついて耀は理解した。
22
:
黒椿
:2011/11/24(木) 17:34:23 HOST:59-166-118-86.rev.home.ne.jp
結論。落ちこぼれがすごいことをすれば話題性がある。
少しダイレクトだが、すなわちジュエルの言葉はそういう意味だった。
正論だったので反論もできないのが耀には少し悲しかった。
「それは分かった。俺が知りたいのはあと一つだ」
『何?私はサポーターだからできる限りのことには答える』
ジュエルのその言葉を聞いた瞬間、耀は隠れてガッツポーズをする。
首をかしげるジュエルの前で咳払いをすると、少し緊張気味に耀は問う。
「それは・・・お前のことだ」
『私は未来から着たあなたのサポーター。説明したはず』
「違う。もっと詳しくだ」
耀は自分でも不思議なぐらい分析的かつ高圧的な口調になる。
「これからここに住む以上話せるだけのことは話してもらうぞ!年齢とか上司の名前とか趣味とかスリーサイズとか!!」
一息に言い終わったところで耀ははっとする。
興奮するあまり、文の最後に思わず本音が出てしまったのだ。
『年齢は17歳。上司の名前は言えない。趣味は発明。スリーサイズは上から76、57、80』
変態ッ!!などと画面上で示しながら殴られないように。
あるいは下心が読まれないようにポーカーフェイスを保ち、防御の体制に入る耀など気にせず、ジュエルは存外普通に答える。
それも耀の想像の2割増しの回答で。(・・・何とはいえないが)
「っま、まぁそれだけわかりゃいいや。何か・・・ごめんな」
なんだか自分の緊張と空回りが恥ずかしくなり、耀は足早に話を進めた。
『それだけでいいの?もっと色々な数値でも教えられるけど』
「―――――っいいんだよ!!もうおわり!!な?」
天然最強説。そんな夢現だと思っていた回りの男共の幻想が耀の中で別の形で構築されてしまった。
わざとやってるわけでもないのに、ジュエルのペースには乱されてしまう。
耀はそそくさとジュエルを部屋に押し込むと、自分の部屋に戻った。
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