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208竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2012/11/09(金) 23:22:23 HOST:p8152-ipbfp4204osakakita.osaka.ocn.ne.jp

「―――紫々、浪暗―――?」
 どんな敵が攻めてきてもいいように、魔界からかなりの情報を集めていた白波でも紫々兄弟に姉がいるなど初耳だった。
 兄の紫々死暗は暗殺部隊『四星殺戮者(アサシン)』のリーダーであるから、有名なのは分かる。それを裏で仕切っているのが弟の紫々伊暗だ。この話も結構有名になってしまっている。
 それに比べ、姉は表舞台に顔を見せていない。そのためか、認知度が低いのかもしれない。
 彼女はニコッと笑みを浮かべ、きょとんとする白波に、

 ゴッ!! と拾った警棒のようなステッキで白波の顔面を殴りつける。
「……ッ!?」
 何が起こったのか分からない白波。
 彼女は大きく目を見開いていた。殴られたと気付くのに数秒の時間を有した。
 浪暗は片手で器用に警棒のようなステッキを回しながら、
「あー、愉しいわ。やっぱ何度やっても飽きないわよねー。こうやって、」
 さらにもう一度。
 浪暗は抵抗が出来ない白波の頭部を強く叩きつける。抵抗も出来ず、かわすこともままならない白波は、ただただ殴られるしかなかった。
 一方で、理不尽な攻撃を加える浪暗は楽しそうな表情を浮かべている。
「無抵抗な人間をなぶるのってさァ」
 浪暗は僅かな呻きをあげる白波の顎を、警棒のようなステッキの先でくいっと上げる。視線をこちらに向けるように。
 彼女と目を合わせれば浪暗はつまらなそうな顔をして、
「そういえばさぁー、何で私がアンタを攫うように命令したか分かる?」
 白波は質問に答えようと思考を働かせるが答えが出ない。
 殴られたダメージで考えるどころではないのだ。元々疲弊していたのもあって、今の彼女にとっては殴られるのでさえ大きなダメージだ。
 白波は朦朧とする意識の中、必死に言葉を紡いだ。
「……仇、討ち……?」
「はい残念ー♪」

 ガッ!! とさらに彼女の顔を浪暗の理不尽な攻撃が襲う。

 浪暗はくるくると手で警棒のようなステッキを回しながら、
「そんなこと私が考えるわけないでしょー? 勝手に行って勝手にやられてきた弟達を哀れむかっての。私はただ個人的に赤宮真冬達が気に入らないだけよ」
「……?」
 言われても白波は納得できていない。
 今の状態で思考を働かせるのに無理がある。本人でもそれは感じていた。
 浪暗は笑みを浮かべたまま、

「ただっ、アイツらがっ、気に入らないだけよっ! だからっ、アンタを餌にしてっ、助けに来たアイツらを、ここで根絶やしにするっ!! そういうわけ」
 ガッ、ゴッ、ドンッ!! と白波を殴る音が連続する。
 散々殴られた白波はそのままぐったりと気を失ってしまった。無理も無い。疲弊しきっている上に何度も殴られたのでは、彼女じゃなくとも気を失うのはおかしいことではない。

 浪暗は壊れてしまった道具を見るような目で白波を見つめ、やがて重たい溜息をついた。
「なんだぁー、もう終わっちゃったのかー。つまんないなぁー」
「姉さん。あんなにボコったら当然だよ」
「んもー、伊暗ってば。そんな素っ気無い返事返さなくてもいいじゃーん」
 ぶー、と頬を膨らませて最大限の可愛さアピールをする浪暗だが、伊暗にばっさり『可愛くないから』と言われてしまう。
 浪暗は警棒のようなステッキをベルトの間に挿し込み呟く。

「ま、いいか。いい加減自分達が弱いって気付かせてあげるよ。強いと勘違いしてる赤い吸血鬼さん♪」


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