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206竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2012/11/02(金) 23:46:53 HOST:p8152-ipbfp4204osakakita.osaka.ocn.ne.jp

 茜空から真犯人という可能性が最も高い人物、紫々死暗の名を聞かされた霧澤は、急遽真冬や奏崎に集合場所に戻るように連絡をした。案の定全員が僅かに慌てたような表情をしている。
 それもそうだ。
 いきなり『今すぐ戻ってきてくれ』なんて言われたら緊急事態なのかと焦ってしまう。そんな事を言われて喜んで飛んでくるのはこの中では朱鷺綾芽ただ一人だ。
 霧澤は戻ってきた皆に茜空から聞いたことの全てを話した。前に紫々死暗に身体を斬られた、と話したら奏崎と汐王寺、茨、更には朱鷺までも表情を凍らせ、言葉を失っていたが説明を続けた。
 一通り説明が終わると、珍しく真冬が口を切った。
「夏樹くんやクララちゃんの言うとおり、彼らが関わっている可能性は高いと思う。仮にも『四星殺戮者(アサシン)』と思い切り関わった私から言わせてもらえば、だけど」
 真冬にしては妙にはっきりとした口調で告げた。
 『四星殺戮者(アサシン)』の名前を出すと、朱鷺が思い出したように挙手して発言しだす。
「そういえば、近頃魔界で紫々兄弟の行方が分かってないとか。魔界のレーダーは人間界ではうまく作動しないので、恐らく……」
「つーかそれ、恐らくじゃねーだろ」
 朱鷺の言葉を遮るように朧月が口を挟んだ。
 彼の言葉に霧澤と真冬が頷き、次いで奏崎、茜空、汐王寺、茨もこくりと頷いていく。
 満場一致の結果に朱鷺は溜息をつき、咳払いの後に言葉を変えて、
「確実に、彼らは関わっているでしょうね」

「―――遅すぎだろォがよ」

 ぞっとする聞き覚えのある声に、霧澤、真冬、朧月の三人は一斉に声の方向に振り返る。
 街頭の上。しゃがみこむような体勢でこちらを見下ろしている一人の人物。霧澤を毒で犯し、真冬との戦いで敗れた『四星殺戮者(アサシン)』のリーダーがそこにいた。
 紫々死暗だ。
 彼は右腕に装着した鉤爪のような武器をがちがちと鳴らしながら、
「遅ッせェよな、遅ッせェよ!! 俺らをだすだけでどんだけ時間食ってやがんだ、このポンコツどもが! まあ、時間はテメェらがどれだけ浪費しようが知ったこっちゃねぇけどさ、結論とかはもったいぶらずさっさと言った方が懸命だぜ?」
 紫々の言葉に、全員が眉をひそめる。
 全員の疑問を、朧月が代弁して言う。
「どういうことだ?」
「そのままの意味だよ。さっきお前らは、俺らが何の犯人だって気付いたんだっつの」
 そこで真冬ははっとする。
「涙ちゃんに何かしたの!?」
 真冬にしては珍しく力強くも相手を威嚇するような大声。しかし、そんな真冬の声でも紫々は表情を変えない。むしろ、今まで以上に楽しそうな笑みを刻んでいる。
 鉤爪をがちがちと鳴らしながら、
「さァな。俺はぶっちゃけあの女はどーでもいいんだよ。だが、『あの人』はモノを大事に扱わねぇ。早くしないと、壊しちまうぜ?」
「……ッ!!」
 紫々は小さな紙切れを、真冬の元へと落とす。
 真冬はそれをやや不機嫌そうに受け取る。
「そこに書いてあるのは潜伏場所だ。白波涙を返してほしけりゃそこへ来るんだな」
 紫々はそう言うとその場から飛び去っていった。
 彼が消えた後、真冬は折りたたまれてある紙切れをゆっくりと開いていく。彼女の周りに霧澤達が寄り、紙切れに記されている場所を確認する。
 途端に全員が戦慄した。
「―――こ、ここって」


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