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198竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2012/09/21(金) 20:07:48 HOST:p8152-ipbfp4204osakakita.osaka.ocn.ne.jp
第22話「狂気の再来」

 ズガン!! という乾いた銃声が夜の空に木霊する。銃声を鳴らしたのは、前方に銃口を向けて立っている白波涙。彼女の握っている銃からは白い煙が立ち昇っている。
 恐らく悪魔を退治したところなのだろう、彼女は銃を太ももへとしまった。
 それから物足りなそうに前髪をいじくりながら、
「んー、なんか物足りないんだよなぁ。刺激がないっつーかさ」
 白波は特に気にも留めていなかったのか、思い出したように自分の髪に視線を落とす。
 かなり伸びていた。
 通常は肩より短いくらいにしていたのだが、今では胸の辺りにまで横の髪が垂れており、肩から三センチ程度下にまで後ろ髪も伸びている。
 髪の長さに気付いた白波は溜息をつく。
「そろそろ切り時かねー。何でか私って人より髪伸びるの早いんだよね。私は長髪は似合わないんだぜ?」
 そんなことを言いながら、彼女はくるりと振り返り家に戻ろうとしたが、

 不意に、背後にある殺気を感じ取る。

「ッ!?」
 気付き振り返るが既に遅く、彼女の頭に鈍い衝撃が響き、彼女の身体はそのまま倒れこんでしまう。
 鈍器のようなものを持った人影は、倒れている白波を見下ろし、彼女を―――、

「だから、そこの答えは三なんですよ」
「……いや、だから途中式……」
「答え書いてから説明します」
「お願い。お願いだから今解説して。ホントに頼む」
 翌朝、早めに学校に来た霧澤、真冬、奏崎、茜空の四人は霧澤に宿題を教えていた。教えているといっても彼の向かいに座っているのは茜空で、真冬と奏崎は隣の席に座り、微笑ましくその光景を眺めている。
 ぎゃあぎゃあと子供のように言い合う二人を見て(厳密には霧澤しか見ていない)奏崎は、僅かに目を細めてしまう。
 真冬は言い合いを苦笑いを浮かべながら眺め、
「……あはは、いつ終わるんだろうね。数学一時間目なのに……」
「まー、いつもの事だって。気にすること無いよ」
 真冬の言葉に奏崎がそう言い切る。
 その言葉も安心できないのだが、リアクションしないのも悪いだろうと考えた真冬は、やはり苦笑いを浮かべた。
 それよりも、霧澤と茜空の勉強会が本当にダメなような気がしてきた。

「何でお前は結論ばっか急ぐんだよ! ノベルゲームとか大っ嫌いだろ、お前!」
「克服済みですよ。むしろヒロインが可愛ければ会話中の画面でも楽しめます。声も萌えますし」
「あ、薫! お前茜空にもギャルゲーやらせたのか!?」
「ふふふ、私と同居するイコールギャルゲー三昧なのだよ!」
「待ってください、薫さんを責めるのは筋違いです。責めるなら僕を責めてください」

 どんどん話の論点がズレてきている。
 自分ひとりではどうも収集できない事態になったな、と真冬が諦め本を開き始めている。
 三人のくだらない会話に終止符を打ったのは、宿題に追われてる霧澤でも、ギャルゲー大好きな奏崎でも、ギャルゲーにはまってしまった茜空でも、諦めて読書に勤しむ真冬でもなく、

 バァン!! という強く何かを叩きつけたような、教室の扉が開く音だった。

 四人が驚いてそちらを振り返ると、そこにいたのは朧月昴。彼にしては珍しく息を切らし、焦っているような表情だった。
「……朧月……?」
 意外な来客に霧澤が目を丸くしていると、朧月はずかずかと四人に近づいていき、出来るだけ小さい声で囁いた。
「……お前らに話がある。昼休み校舎裏に来てくれ」
 真剣かつ冷静な、
 朧月昴にしては珍しい声色だった。


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