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194竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2012/09/16(日) 20:47:31 HOST:p8152-ipbfp4204osakakita.osaka.ocn.ne.jp

 霧澤は奏崎に全てを話した。
 赤宮真冬が『ヴァンパイア』という存在であること。『ヴァンパイア』は悪魔を討滅する存在であること。悪魔を倒すために自分が真冬に力を与える契血者(バディー)であること。白波涙、茜空九羅々も『ヴァンパイア』であること。朧月昴、汐王寺百合も契血者(バディー)であること。
 一通り説明を終えた霧澤は軽く息を吐いた。じっと話を聞いていた奏崎は腕を組みながら首をただ上下に振るだけだった。頷いてはいるが、自分の話のどれだけ信憑性があるのだろう。
 奏崎は『ふーん』と返事をすると、
「そうだったんだ。そりゃ、私が分からなくても納得できるわ。だって『ヴァンパイア』とか悪魔とかって二次元の中だけだと思ってたもん」
 意外とすんあり納得していた。
 奏崎の早すぎる順応に霧澤は面食らう。
「お、おい!? 信じてくれるのか、お前?」
「だってアンタさ、『全部話す』って言ったじゃん。今のが紛れもない真実なんでしょ? だったら納得するしかないし、そんな疑り深い性格じゃないわよ」
 霧澤の言葉に奏崎はそう返した。
 言っていることは正しい。だが、いきなり『ヴァンパイア』や悪魔と言われてそう簡単に納得も出来ないはずだ。霧澤だって最初は真冬の言っていることも半信半疑だった。だが奏崎は実際に現場に居合わせていたのだ。簡単に信じてもおかしくはない。
 彼女は茜空へと視線を移して、
「それでさ、クララちゃんはまだ契血者(バディー)いないんだよね?」
「そうですが?」

「契血者(バディー)ってのは一人しかダメなんでしょ? だったら、私がクララちゃんの契血者(バディー)になる!」
 
 その言葉に霧澤達三人は驚愕した。
 霧澤が恐れていたのはこれだ。全てを話したとして、契血者(バディー)がいない茜空に奏崎が何もしないというわけが無かった。そもそも、奏崎は茜空に興味津々である。そんな彼女の契血者(バディー)になら、なりたいと申し出るだろう。
 だからこそ、彼女を危険な目に遭わせたくないからこそ、霧澤は今まで話さなかったのだ。
「……ダメですよ」
 茜空は奏崎の提案を拒否する。
 本当は嬉しいのに。本当は彼女と契血者(バディー)になりたいのに。
「僕と一緒にいたら危ないですよ。手紙にも記したとおり、僕は貴女を危険な目に遭わせたくない」
 夢で聞いていた女の人の声。
 その声の持ち主は目の前にいる。大切な人だからこそ、彼女はあえて距離を置くことを選んだのだ。
 茜空の言葉に奏崎はすぐさま言い返す。
「危険な目に遭ったっていい! 私はクララちゃんと一緒にいたい! 夏樹と同じ場所にいたい! 真冬ちゃんに負けたくない!」
 奏崎は茜空の肩をがっと掴んで叫ぶ。

「貴女が私を守ってくれる!! だったら、私が貴女を守ってあげることも出来る!! お願い、一緒にいさせて!!」

 奏崎の言葉を真正面から受け止めた茜空は、霧澤に言う。
「僕は折れますよ。彼女には勝てません。―――許可、してやってください」
 霧澤は呆れたように溜息をついた。
 彼は知っている。
 こうなった奏崎は誰にも止められない。
「わーったよ、許可する。ただし茜空。ちゃんと守ってやれよ」
 こくりと茜空は頷く。

「俺もお前を守るから、安心しろよ」
「にしし。頼りにしてますぜ!」


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