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193竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2012/09/16(日) 10:04:26 HOST:p8152-ipbfp4204osakakita.osaka.ocn.ne.jp

 転校生が来るらしい。
 霧澤と真冬の話が『話せば長くなる』もので、説明は時間が長い昼休みまで持ち越しとなった。普段なら『そんな待てないよー』と奏崎は文句を言うところだが、今回は納得してくれたようだ。
 朝のホームルーム直前に来た滝本はどこで情報を手に入れたのか、霧澤達に転校生の報を伝えていた。本当にどこで知ったんだ。
「真冬ちゃんが来てからちょっとしか経ってないのに、もう転校生だってよ。うちの担任簡単に引き受けすぎじゃない?」
「まー、いいじゃんいいじゃん。その子がとんでもない萌え要素の持ち主だったらどうすんのさ」
 お前の頭の中はそれだけか、と思わずツッコミそうになる霧澤だが、いつもどおりの奏崎に安心しているようにも見えた。
 始業のチャイムが鳴り、担任の先生が入ってくる。第一声はやはり転校生のことだ。転校生が美少女だと先生が言うと、男子+ゲクイの歓声が教室に響いた。
 先生の合図に応え転校生が入ってくると、霧澤、真冬、奏崎は言葉を失った。

 入ってきたのは、銀髪ツインテールで右目には眼帯をしている、身長一五〇前後の彼らがよく知る少女だった。
 
 少女は背後の黒板に名前を書こうとするが身長のせいで、背伸びをしても上に届かない。
 頑張って書こうとする彼女に、教室の生徒は、
(……可愛い)
(頑張って! もうちょっとで届くから!)
(あーん、今すぐ抱きしめたい!)
 などという感想を抱いている。
 結局縦書きを諦め横書きに変更した彼女は、すらすらと自分の名前を書いていく。
 そして、改め皆の方向を向き直し言った。
「茜空九羅々です。偽名でも外国人でもなく本名ですので、気軽に『クララ』とお呼びください」
 まさかだった。
 彼女が転校してくるとは思わなかった。

 昼休みに霧澤達は茜空を屋上に呼び出していた。
 聞き出すのは勿論、転校してきた理由だが、聞くまでも無く茜空は答えてくれた。
「決まってますよ。僕には潜伏地点がほしかったのでここを選んだだけです。朧月さんの父親が手配してくれました。それと、これをどうするか聞きたかったんです」
 彼女の手に握られているのは、マモンから回収した『金瞳(こがねのまなこ)』。だが、今の奏崎に見せても何のことか分からないはずだ。
 奏崎はそれを手にとって空に透かして見る。
「……きれい……」
「それは貴女の身体にあったものです。それのご加護で風に引きにくい体質や、いい成績を取れるような記憶力もついきましたが、今ではほとんど効果はありません。記念に持っておきたいと言うのならいいですが」
 なんの記念だ、と霧澤は思う。
 しかし奏崎は透かすのをやめて、『金瞳』を茜空に返却する。
「いいよ。私には必要ないし、好きにして」
「分かりました。これは後で処分しときます」
 茜空はそれをポケットに戻す。
 そして奏崎はくるっと霧澤と真冬の方へ向き直る。本題に入るために。

「じゃあ、話してもらおうか。アンタと真冬ちゃんの関係。真冬ちゃんとクララちゃんの正体。アンタが真冬ちゃんと会って起きた出来事、全部を」


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