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189竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2012/09/14(金) 23:29:38 HOST:p8152-ipbfp4204osakakita.osaka.ocn.ne.jp

 ついに、マモンの身体に決定的な一撃を与えることが出来た。
 横っ腹に金棒の一撃をくらい、マモンの身体はくの字に折れ曲がり、そのまま横方向へと勢いよく飛ばされてしまう。マモンは横の壁へと激突し土煙を巻き上げた。真冬と茜空の位置ではマモンの安否を確認できない。だが、無事ではないだろうということは確認していた。
 真冬は足の痛みに僅かに表情を歪めるも、茜空の隣に立ち彼女に問いかける。
「……やったか?」
「どうでしょうね。手応えはありましたが、奴も『七つの大罪』の悪魔ですからね。奴らのしぶとさは、貴女が一番分かってるでしょう?」
 言われればそうだ。
 真冬は一度レヴィアタンという『七つの大罪』の悪魔と戦っていた。彼との戦いは真冬の体力的な関係もあってかしぶとい、というよりは手強いという表現の方がしっくりくるような気がする。マモンも彼ほど手強かったら、戦いは長引きそうだと真冬は思っていた。
 しかし、彼女の不安を断ち切るかのように土煙からは一向に音もしなければ人影が揺らめく気配も無い。
 二人の表情が緩む。
「……やった、のか……?」
「そろそろ、安心してもいいと思いますよ」
 歓喜の声を上げそうになった。
 だが、二人は上げなくてよかったと思い知らされる。何故なら、

「勝手に終わらせてんじャねーよ、ボケが」

 ゴバッ!! とマモンが飛んでいった方から瓦礫が弾けるような音が鳴り、土煙がかき消される。その中心には一人の人物が立っていた。
 口から血を流した緑髪の悪魔、マモンだ。
 彼の目は血走っており、今までの彼の余裕は欠片にも感じさせてくれなかった。それほど、今の一撃は彼にとっても決定打だったのだ。
 マモンは口から血の塊を吐き出すと、手の甲で口を拭いながら言う。
「ッたくよー、ふざけたマネしやがッて!! お前らごときが、俺様に勝とうなんざ一〇〇年早いッつんだ!!」
 マモンは巨大な緑色の炎の塊を二人目掛けて放つ。
 二人とも左右に飛んでかわすが、一発だけでなく二発、三発と立て続けに放ってくる。
 交わし続ける真冬と茜空はそれぞれ打開するための作戦を話し合う。
「くそっ! このままじゃ埒が明かない!」
「どうします? 僕がこれ打ち返してもいいですけど―――」
 茜空の提案の瞬間、炎の玉の雨がやんだ。
 すると今度はマモンが巨大な炎の玉を作り出していた。大きさは計り知れない。建物の内壁や天井をも巻き込み、粉々に砕いてゆく。それほど巨大な緑の炎の玉。
 その大きさに二人は圧倒されていた。
「……馬鹿な……!」
「まさか、次はアレを放つつもりですか!?」
 圧倒されている二人にマモンは高笑いをしていた。
「ヒャハハハハハハハハハッ!! これでお前らも、下の契血者(バディー)どもも終わりだ!! お前ら全員焼き尽くしてやる!!」

 真冬は何も言わなかった。
 彼女は今、下にいる霧沢達の事を思い浮かべていた。
 ―――夏樹がいる。だから、ここで私が倒れるわけにはいかない。
 ―――涙が昴が朱鷺が来てくれている。私が諦めるわけにはいかない。
 ―――薫がいる。守り通さなければ意味が無い。
 彼女とほぼ同様のことを、茜空も考えていた。彼女は深呼吸をし、自分の頬を叩いて気合を入れ直すと、前に金棒をすっと慣れた手つきで構えた。
「ねぇ、やっぱり僕達が負けるってのは反則ですよね」
 真冬は首を鳴らし、両手に赤い炎を纏わせると、
「当たり前だ!!」
 当然のように言い放った。

「かッ消えろ!! クソ『ヴァンパイア』ども!!」
「消えるのはお前だ、マモン!!」
 巨大な緑の炎の塊と、赤と茜が混ざった炎が激突する。
 決着は、焦らずともすぐに明らかになる。


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