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188竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2012/09/14(金) 18:49:32 HOST:p8152-ipbfp4204osakakita.osaka.ocn.ne.jp

 マモンが作る、ほんの一瞬にしか満たない隙でさえも見逃すまいと彼から目線を逸らさなかった真冬と茜空だが、二人が同時にまばたきをしたその一瞬で、マモンは二人の視界から消えてしまった。
 突如消えた標的に二人は驚きを隠せず、慌てて辺りを見回す。
 だが、それこそが隙だった。
 マモンは身を屈めて、茜空の懐に潜り込んでいた。身を屈めても視界に入るだろう長い針を、わざわざ最小サイズにまで縮めて、だ。
 ようやく相手の接近に気づいた茜空。だが、今更気付いてもマモンの勢いづいたパンチをかわすことも、金棒で防ぐことも間に合わない。
「く……っ!?」
 彼女は僅かに声を漏らす。接近に気付いたため、僅かに身体を後方に逸らすが、そんな程度では彼の攻撃をかわすことは不可能だ。彼女の華奢な身体の腹に強烈な一撃が叩き込まれる。
「ぐふっ……?」
 茜空は口から血を吐き、そのまま後方へ勢いよく飛ばされ壁へと強くぶつかった。かなり小柄な茜空がぶつかったのに、壁には亀裂が入る。
 なんていう攻撃だ、と茜空は思う。彼女は手の甲で血を拭い、真冬に叫ぶように指示を飛ばす。
「今です!」
「分かっている!」
 真冬が振り返り、マモンの顔目掛けて蹴りを繰り出そうとするが、

 ズッ、と先程感じたものと同じ鈍い感触が足に伝わる。
 感触の正体は、マモンが縮めた針を再び伸ばし真冬の足に突き刺した音だ。

「……ッ!!」
 真冬は痛みを声に出さず、歯を食いしばって耐える。
 声を出さないように頑張る真冬にマモンはつまらなそうな表情で彼女に呼びかける。
「オラオラァ!! 必死に痛みに抗ッてんじャねェぞ!! 痛いなら痛いッて、苦しいなら苦しいッて、逃げたいなら逃げたッていいんだぜェ!?」
 言いながらマモンは拳を真冬に放つ。反応が遅れなかった真冬は両手を重ねて拳を受け止める。痛みが残る足を震わせながら、彼女は必死に立っている。表情は苦痛に歪み、額や頬を冷や汗が伝っている。
 拳を受け止められたマモンがニヤリと笑いながら言う。
「まだまだ元気じャねェか。そうこなくッちャなァ」
「……心配させたな。だが、安心しろ。お前は私達が必ず討滅する」

 ぐっと、
 真冬が押さえていたマモンの拳をぎゅっと、彼女の方から握ってきた。

 行動の意味が分からないマモンは僅かに首を傾げる。彼が目の前の敵にだけ集中しない奴であれば、すぐに感づかれただろう。
 逃がさないために握っているのだと。
「……何のマネだ?」
「気付かんか。……それは好都合」
 真冬はにっと笑い、そして自信とともに告げる。
「へし折れろ!!」

 背後には金棒を振りかぶった茜空九羅々。
 マモンが気付くが、それはもう手遅れだった。背後から迫る攻撃に右腕は握られ動かせない。向きを変えようにも中々上手くいかない。
 隙だらけのマモンの腹に、茜空の金棒が思い切り叩き込まれる。


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