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185竜野翔太 ◆sz6.BeWto2:2012/09/01(土) 23:26:05 HOST:p8152-ipbfp4204osakakita.osaka.ocn.ne.jp

 下の階にいる霧澤と奏崎は動けずにいた。むしろ、奏崎を抱えている霧澤が、動ける状態ではなかった。
 彼が動けない理由は周りにいる数体の魔人だ。人の形、に見えないわけではないが、断言するにはどこか歪な人の形をした魔人を目の前に霧澤はどうすることも出来なかった。
 この魔人が、他校の不良生徒だったなら? ―――その時は殴り倒してでも逃げ道を作るだろうが、少しだけ喧嘩の経験がある元不良の霧澤の拳など、本物の魔人に敵うはずも無い。届いたところで、相手には痛くも痒くもないはずだ。
 霧澤一人だけなら、この状況で何とか逃げ回って逃げ道の一つでも作るだろうが、奏崎を抱えている分、逃げ道を作るのだけでも難しくなる。折角救出できた奏崎をおいていくわけにもいかないし……。
 まさに絶体絶命だった。
 魔人が僅かに漏らす声が嘲りにも聞こえてきた頃、

 タァン!! という乾いた銃声と共に一体の魔人が頭部から赤い鮮血を吹き出しながら、身体を横へと傾け倒れこんだ。

 魔人の視線が一点に集中する。霧澤の視線も自然にそちらへと向き。魔人を倒した、自分達を助けてくれた人物を確かめる。
 ―――いや、確かめる必要はなかったのだ。
 救世主が誰かなど、霧澤にとってはすぐに分かるヒントがあったじゃないか。銃声。たったそれだけで、救世主が分かってしまう。
「……勝手に、退場者扱いしてんじゃないわよ……!」
 声の持ち主が構える銃。放たれる声は振り絞った感じの口調で、持っている銃からは白煙が立ち上っていた。
 白い髪に青い瞳を持ったその少女の名は……、
「白波涙を退場させたきゃ、息の根止めるくらいしなさいよ!!」
 白い救世主が、朧月昴に肩を借り、朱鷺綾芽とともに戦場へと戻ってきた。

 一方で、上にいるマモンも下の階に現れた白波の魔力を感知していたため、表情を帰る。
 余裕の笑みから、計算を狂わされた苦渋の表情に。
「クソが……! やッぱ殺しとくべきだッたか……!」
「やはり、アイツを信じておいて正解だったよ」
 何処からともなく聞こえる、赤髪女性の声。
 前ではない。左右でも上でも下でもなければ、背後からしかない。
 赤い『ヴァンパイア』は拳に赤き炎を纏わせながらマモンへ叩き込もうと構えているところだった。
「……ッ!?」
 いつの間にかさっきまで競り合っていた茜空の姿も無く、マモンに完全なる大きな『隙』が生まれた。
 今真冬と正面を向いているため、障害となる針の邪魔も無い。
 決定的な一撃を、決める事が出来る。
「確かにお前は、フルーレティやレヴィアタンより強いかもしれん」
 だが、と真冬は言葉を区切って、
 拳と共に言葉を告げた。

「その二体より強いお前の上に位置するのが、私達の『絆』だ!!」
 真冬の拳がマモンの防御の無い腹部を捉えた。


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