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VaMPiRe
181
:
竜野翔太
◆sz6.BeWto2
:2012/08/15(水) 16:52:29 HOST:p8152-ipbfp4204osakakita.osaka.ocn.ne.jp
僅かに。本当に本当に、微かでしかないが、奏崎薫の意識は取り戻していた。
自分の身体に、得体の知れない人物の腕が入り込んだ気持ち悪さに意識を失っていたが、彼女はうっすらと瞳を開けることが出来た。感覚的に、今自分は誰かに抱きかかえられている。背中辺りに、自分を抱えているであろう相手の手の感触を感じたからだ。
朦朧とする意識の中、彼女はその人物を確かめようと目線を動かす。
そこにいたのは。自分を助けてくれたのは。傍にいてくれているのは。
自分が想いを寄せる、この世界中で一番大切な人だった。
思わず名前を呟いてしまいそうになったが、言葉が口から出なかった。
そして、そんな彼の前には二人の少女がいた。
一人は長く綺麗な赤い髪を靡かせた、揺るがないような口調の少女。もう一人は、銀髪ツインテールの自分がよく知る少女だ。
無事でよかった。銀髪少女を見た奏崎は、自分の身など一切案じず、心の中で安堵した。
もう一人は恐らく……自分が知っている人物で相手も自分の事を知っているだろう。だったら、赤い髪の人物などすぐに答えが分かってしまう。そもそも、彼がいて、彼の傍にいつもいる彼女がいないわけがない。
二人は少年と言葉をかわすと、そのまま穴が開いた天井へと突っ込んでいった。
これから、最終決戦へと向かうように。
―――やっぱり、自分は信じていて間違いではなかった。
やっぱり、本当に困った時。不安な時。寂しい時。いつも傍に寄り添い、勇気付けてくれたのは、いつだって霧澤夏樹だった。
―――やっぱり、自分は彼女に勝てそうにない。
やっぱり、そんな霧澤夏樹の傍にいて、いつも彼と行動をともにする赤宮真冬にはどうしても勝てない気がする。そう、思うだけだけど。
―――やっぱり、自分は彼女が本当に大事なんだなあ。
やっぱり、偶然出会った、普通には会うことの出来ないような人物、茜空九羅々。彼女が無事で、自分はもう一度意識を失いそうになったのだった。
奏崎薫は信じている。
赤宮真冬と茜空九羅々。二人がどういう関係で知り合ったのかは不明だが、彼女達なら、今の自分の不安の種となっている緑髪の男を倒してくれると。
そして、
また皆で笑えるだろう、と。
彼女はそんな事を思いながらゆっくりと目を閉じた。いつもどおりの、楽しい日常が待っているであろう明日を望んで。
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