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VaMPiRe
180
:
竜野翔太
◆sz6.BeWto2
:2012/08/12(日) 20:17:53 HOST:p4147-ipbfp1503osakakita.osaka.ocn.ne.jp
「……あん?」
マモンは突如として、何の前触れもなく壊れた天井のすぐ下に近寄っていく。彼はそのまま何も言わずに、崩れた天井を見上げている。
彼はじっと見つめてから、不自然さに眉をひそめる。
(……老朽化、じャねェな、この壊れ方は。建物自体が古くなッて自然に壊れたッつーモンじャねェ……誰かが意図的に、誰かッて誰だ?)
そこでマモンはハッとする。
彼は勢いよく上を見上げた。この状況で、自分を狙う人物は現時点では三人しか思い当たらない。赤宮真冬、霧澤夏樹、そして茜空九羅々。この三人以外いるはずもない。
しかし、マモンが望んでいる相手の誰一人として、壊れた天井の穴から姿を現さないし、顔すらも覗かしてこない。
どう考えたって天井は老朽化で壊れたものじゃないっていうことは、マモンも既に分かっている。だが、誰も出てこないのは不自然すぎる。
(挑発のつもりか……クソが、舐めやがッて……!)
マモンが上へ飛び立とうとしたその瞬間、
別のところの天井が壊れ、急接近してきた赤宮真冬に、強く上へと打ち上げられる。
「……ッ!?」
マモンの身体は天井を何枚も突き破り、上へと急上昇していく。
真冬がやってきた穴から、茜空も下りてくる。彼女は気を失っている奏崎を心配そうな目で一瞬だけ見る。それからすぐに上へと視線を向けた。打ち上げられたマモンがいるであろう上階を。
そんな茜空に気付いた真冬は、
「……ここにいてもいいぞ? だがそうすると、夏樹は何のために来たのかってことになるがな」
遅れて霧澤も穴から降りてくる。
彼は『ヴァンパイア』みたいな身体能力はないので、足で着地せずに、尻餅をつくような形になってしまっていた。ニュアンス的にも『降りてきた』より『落ちてきた』の方が近いものを感じる。
彼は強く打った尻をさすりながら、『いてて』と言いながらよろよろと立ち上がる。
そんな彼の目の前に茜空が立ち、珍しくもじもじした様子で俯きながら彼に頼み込む。
「……あの、霧澤、さん……。その人のこと、任せてもいいですか……? 僕にとって、大切な人なんです……!」
そう頼み込む茜空の頭に、霧澤は優しく手を置いた。
「ああ、任せとけ。こいつは俺にとっても真冬にとっても大事だからな。それより、お前らこそやれるのか?」
霧澤の言葉に、真冬はふん、と鼻で笑った。
そんな彼女の背中は、フルーレティと戦う時より、レヴィアタンと相対する時より、今マモンを討滅する時の方がたくましく見えた。
錯覚かもしれない。勘違いかもしれない。だが、霧澤は今の真冬になら、心の底から任せても大丈夫だと、信じれるようになっていた。
「言葉を選べ、夏樹。こういう時に掛けるべき言葉は『やれるか』じゃない―――」
彼女は、燃えるように紅く赤い髪を靡かせながらこう言った。
「―――『やって来い』、だろ?」
真冬の言葉に霧澤は思わず笑みをこぼす。
それから、彼は絶対の信頼と共に、この戦いの終止符を打つべく、二人の『ヴァンパイア』に命令を出す。
「赤宮。茜空。―――やって来い!」
「「任せろ!!」」
二人はマモンを倒すべく上へと向かっていく。
一人は、自分の大切な人を守り抜くため。
一人は、今まで自分と一緒に築いてくれた楽しい日々をもう一度送るため。
それぞれの想いが交錯し、マモンとの戦いは終焉へと近づいていった。
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