[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
メール
|
1-
101-
201-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
VaMPiRe
178
:
竜野翔太
◆sz6.BeWto2
:2012/08/11(土) 17:32:42 HOST:p4147-ipbfp1503osakakita.osaka.ocn.ne.jp
「う……」
奏崎は目を覚ました。
気がつけば自分は全く見覚えの無い場所にいた。手は縛られているし、真っ暗で窓から差し込む光だけが頼りのような場所にいるし。
彼女は曖昧な自分の記憶を手繰り寄せ、気を失う前のことを思い出す。
確か夏樹と真冬ちゃんを追うために学校を早退して、途中で何だか意味の分からない人と会った瞬間に……。
「目ェ覚めた?」
ぞわっと、悪寒が走る声。
奏崎はそちらに振り返り、声の主を確認する。緑色の髪をオールバックにした、耳が尖っている悪魔のような男。奏崎は彼の名前を知らない。名前も知らない人物に見知らぬ場所に連れられた、というだけで彼女の恐怖は頂点に達する。誘拐されたも同然なのだから。
彼女は恐怖で上手く言葉が出ない。口をぱくpかうと動かすたびに、歯ががちがちと音を立てる。
男が近づくたびに、奏崎は唯一自由な足を必死に動かして、後ろへと下がっていく。
そんな奏崎に、男は相手をなだめるように、
「そんな怖がるなッて。俺様はお前を殺そうとして連れ去ッたワケじャねェし、身代金だのにも興味はねェ」
「……じゃあ……何の、ために……?」
ようやく、口が動いた。
殺す気でもないと分かれば、少しだけ恐怖が和らいだのか、さっきより口の自由が利き始めた。
奏崎の質問に、男は指を二本立て前に突き出す。
「一つは餌として利用するため。お前を使えば、面白いくらい釣られるデカイ魚がいんだよ。俺の元の目的はそッちだし、奴らを殺せばあの女からのお咎めもナシだろォしな」
言われても、奏崎には何の事か分からない。
誰を釣るためか。私なんかで釣られる人は誰なのか。彼の言葉には分からない言葉ばかりが含まれている。
男はお構いなしに続ける。
「二つ目は『金瞳(こがねのまなこ)』だ。ッて言ッても、お前にはさッぱり何のことだか分かんねェだろうがなァ」
「……こがねの、まなこ……?」
奏崎はやはり分かっていなかった。
自分の目は金色じゃないし、そんなこと自分を見ている相手もわかるはずだ。
すると、いつの間にか自分の目の前まで近づいてきていた男は、ニヤリと笑みを浮かべる。
「ひっ……!」
「安心しろ。痛みはねェよ」
ズン、と奏崎の胸を男の手が貫く。
「ッ!?」
しかし、その腕は背中から突き抜けずに奏崎の身体の中をまさぐっている。
感じたことの無い気持ち悪さに苛まれる奏崎は、目に涙を浮かべながら声を漏らす。
「……う、うあ……あぅ……!」
「ハッ。中々イイ声を出すじャねェか」
「……た、……誰か、助けて……!」
「ハハハハッ! 無駄だぜ! 誰もこんな廃ビルに来ねェよッ!」
奏崎の悲痛な祈りは、男の笑いによってかき消される。
しかし、こんな状況の中で奏崎は一つだけ確信できる事があった。
「……いいや、来る……!」
「誰が?」
「……なつき、が」
奏崎は声を振り絞り、
「絶対に、助けてくれる……!」
「あァ。タイムリミットだわ」
、
男が奏崎の身体から腕を引き抜くと彼の手には金色の小さな玉があった。
それを見て、男は狂った笑い声を上げる。
「ヒャハハハハハハハ!! やッた、ようやく手に入れた! 俺の長年の夢がァ……『金瞳』がついにこの手に!」
奏崎は気を失い、目から涙を流しながらその場に倒れこんでいる。
男は『金瞳』は握り締めながら、
「さァて、と。まずは戻るか。これ持ッたまま奴らと戦うのはさすがに分が悪ィし―――」
瞬間、天井が大きな音を立てて盛大に崩れだした。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板